国民の監察医（こくみんのかんさつい）

きりしまつかさ

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第0233話監視システム無料閲覧

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翌日。

数名刑事が郭雲霞が言及した「古参地」に張り込みを続けたが、盗猴男の姿は見つからなかった。

彼らも特に落胆する様子はない。

老手の刑事たちにとってはこれが日常だった。

梁山泊式の法廷強奪など小説の中の話だ。

仲間が暴露した後に現れるようなのは、まさに大物の海賊にしかできないことだ。

**という男でさえも、そんな度胸は持ち得ないだろう。

皆は反対方向へ逃げた可能性が高いと推測する。

もっとも高い確率では、やはり売り飛ばすのが正解だ。

放生などというものは刑事たちの直感でもあり得ない。

しかし事件に関わった数名は動物取引に詳しくなく、聞き込みをしつつ網を広げて捜索を続けた。

夜明け。

衡文宣校長の熱烈な招待で江遠と魏振国が清河学院食堂二階に集まり、食事を共にする。

卓上には曾卓琥も同席し、和やかな雰囲気だった。

彼は少し緊張していた。

長く放浪を続けた分だけ、この場所に留まるのが惜しいと感じていたのだ。

曾卓琥にとって校長とは滅多に会えない大人物であり、同窓生との酒宴も初めてのことだった。

魏振国は席の前で江遠に囁いた。

「大学の校長は中学校や小学校のものとは違う。

常識を超えた存在だ。

この衡氏の地位は県知事と同等で、話す際には特に注意が必要だ」

漕瑗枝（注：原文中の「漕瑗」はおそらく「曾卓琥」の誤記か、別の登場人物名）が頷いた。

「私は江村出身で間違いなく、そして野郎という言葉も使います」

清河学院の料理は非常に丁寧に調理されていた。

学生を十斤肥やせさせるほどのものでも、校長には最高の一品だ。

調理師たちは本当に熱心だった。

近未来的分子料理まで作られていたが、「美味しくて見た目も美しい」という評価だった。

「味はどうですか？」

李校長はほとんど食事をせず、時折グラスを傾けていた。

江遠は言葉を選んで答えた。

「特に特徴がないですね」

漕瑗枝（注：ここも「曾卓琥」の可能性が高い）が大笑いし、「そうそう！すごく美味しいんです！」

「えっ…」江遠は李校長を見つめた。

彼女は小久という名前だった。

すると李校長は自らグラスを傾けながら続けた。

「そちらの調理長は漕瑗枝さんの親戚で、料理には天賦の才があると聞く。

師匠もいるようだが、味付けなどは…」

そこで李校長が感嘆したように、「そうさ、調理長は一般的に努力家で、野心もある。

貴方たち学校の雰囲気と似ているからこそ、ここまで成し遂げたんだろうね」

江遠は驚いて目を見開き、同席する清河学院の校長陣を見回した。

衡校長は酔っているのか、それとも公開で言うべきことなのか？

その時左側に座った校長がグラスを掲げ、「衡校長は器量が大きい。

厚顔無恥とは言わないが、人の上には乗らない。

あなたもお付き合いしてみよう」

李校長と笑いながらグラスを合わせた。

その校長が江遠に勧めた。

「あなたは衡文宣ではないか」

江遠は酒の取り扱いに慣れていたが、やはり大口を開けてグラスを持ち上げた。

その物語は短いけれど、聞くだけで飲みたくなるようなものだ。

衡校長が目を細めて笑う様子を見た江遠はふと、そんな勧めの話ならもっと凄いことになるんじゃないかと思った。

かつて00年前の若者たちが酒場で飲んでいた頃には、酒場物語を「寝そべり万歳」「丁克戦争」や「婚主義」というものに置き換えて、酔っ払うほどに飲むのが当たり前だった。

家庭の事情があっても飲み狂った人がいるなら、白酒で酔い潰れるくらいまで飲まないと。

酒が三巡した頃、衡校長は手を振って皿を変えさせ、果物とナッツ類を新たに並べ、冷たい料理を追加してからテーブルの下に両手を添えて江遠に向かって笑った。

「江遠さん、貴校の監視システムはどうなっている？」

江遠は方向を見ながらさりげなく答えた。

「まあ小さいけどしっかりしている感じです」

「小さいが精巧という意味ですね」

衡校長はその意図を理解した。

話題がそこまで来たら、江遠も隠しきれずに言った。

「小さいだけでは無駄です。

監視室のスクリーンが少ないだけでは意味がないんです。

それくらいのリアルタイム監視が必要ですから」

衡校長が注意深く聞いていたので、江遠は続けた。

「清河学院の監視システムはまあ完成度が高いと言えますよ」

「他の学校や小規模工場などもそうですが、ほとんどが建物ごとや地区ごとに監視室を設けている。

一部だけが統一されているのは稀です」

「それに比べれば清河学院のシステムはかなり整っていると思います」

「ストレージシステムを更新すれば、その監視システムは60点くらいでしょう」

李校長は頷きながら杯を傾げた。

辛い酒に舌をやけどしたように息を吸んでから言った。

「これだけの努力で60点なら甘んじていいわね」

衡文宣が横から尋ねた。

「江法医さん、満点にするにはどうすれば？」

江遠は驚いて考え込み、グラスを回しながら笑った。

「あなた方は自家用監視システムと理想のOSを比較しているんですか？」

「直球すぎるわ」

李校長は大笑いした。

「でもその通りでしょう」

酒の効果が現れた頃合いだ。

江遠も教育関係者だし、監視システムの構築には関わっていない。

だから監視システムという小さなケーキを分けるのも、舐めるのも当然だった。

慎重に考えた末、江遠は言った。

「まず人員の訓練が必要です。

監視するだけではダメで、追跡できる能力も必要です

満点を目指すなら、Aとして分析動画の能力がなければなりません」

「次に設備を統一しなければならない。

彼らのシステムは何年かかけて建てたものだから、同じ年代のカメラや同じメーカーのカメラを使っているはずです。

それらのプロトコルやコーデックは互換性があるでしょう」

「通信回線にも問題はないはずです

古い時代の回線なら同軸ケーブルや双経線を使う場合もありますが、性能要件を満たしているのであれば低解像度でもフレームレートは達成できるはずです」

「それに、一条線下でも設備が少なすぎます」

「アナログカメラの時代はまだ来ていないからね。

彼らの監視システムでは映像を保存することは可能だが、それと関係ない」

「ストレージデバイス……ストレージ構造の構築はもっと簡単だ。

生体認証や利便性に加え、経済性も考慮する必要がある」

「当然、貴校は満点を基準にしているんだからね

普通中等教育施設の監視システムだけを見れば、貴校がまだ間違っていることは明らかだ」

江遠は最近、監視システムの研究も行っていた。

低画質画像補正に関しても、全システムに影響を与える問題ではないため、詳細まで考慮する必要があった

李校長は熱心に耳を傾けていた

隣の衡文宣は不服そうに「普通中等教育施設にはそのような要求が……」

「満点だからこそね」

李校長は衡文宣を制し「我々と清華大学の差はそれより小さいはずだ」と言い放った

衡文宣は黙り込んだ

李校長は一人でグラスを傾け、少し考え込むと江遠に笑顔を見せた「江警官、貴方の監視システムを再改造する際、アドバイザーとして協力していただけないか」

漕瑗が驚いたように「それは適切でしょう」

「アドバイザーは学校のために働くもの。

適切かどうかは別問題だ」

李校長は自然に笑みを浮かべて続けた「貴方の専門家知り合いも一部は普通中等教育施設内の人間で、技術や知識に欠ける部分はあるが、利益相反はない。

だから貴方は体系内の専門家を探しているんだ」

「貴方がそのレベルです」

江遠は謙遜したように言った

個人アドバイザーなら古今の知恵を傾けてくれるし、適切な助言を得られるだけでも満足だ

李校長は笑顔でグラスを掲げた

江遠も合わせて飲みながら、内心では少し意図が読めなかった

寧台県の監視システムに関しては江遠は非常に満足していた

現在の状況では地元の窃盗犯は減少傾向にある。

時折やってくるのは空き時間に穴場を探す輩だ

もちろん大規模犯罪者は、休暇中や出張中など、隙間を狙ってくる存在だ。

江遠が数時間かけてデータを分析すれば複数人を逮捕できる

メディアの宣伝通り、窃盗犯を捕まえてすぐに釈放されるというケースは少ない。

そのほとんどは証拠が十分か、または金額が2000円以上8000円未満の場合だ

3000円を超える事件で証拠がない場合、処分権限の問題も発生する

繰り返し犯人については現行刑法では8年以下の懲役となるが、江遠の効率的な仕事ぶりから寧台県の犯罪者更新速度は他県と同等だ

しかし現在は、江遠が関わる案件は減少傾向。

県外の大規模窃盗犯を追う際には同僚の協力が必要になるため、監視システムの強みが発揮される

特に空き時間に「画像補正」を求められることが多い

低画質カメラで撮影された曖昧な映像の場合も送検時には簡易的に処理できる

重大事件では証拠が曖昧でも証明書類が揃えば十分。

余計な問題を起こすのは弁護士ですら面倒がる

しかし、現代の監視システム建設においてコストが低いというのは、入札から建設までの簡便さも十分で、例えば小学校の開校プロジェクトのようなものだ。

江遠は資格を有していた。

一方清河学院は寧台県より規模が大きく、システム構造も複雑だが資金と人材面での優位性に欠けるため、新たな技術を理解するには理想的な選択肢だった。

その頃、江遠は次回の受賞となる八等功章について思いをめしていた。

新しく得た八等功章は、新たな技能を選択する資格を与えないという制約があった。

選択可能なのはL2級の小項目か、LV3級の大項目のみだ。

当時はまだ方向性が定まっていなかったため、江遠はスキルアップを一時保留していた。

しかし今になって、技防建設（LV3）のような大規模プロジェクトに取り組むことを検討してみるのも悪くないかもしれない。

いずれにせよ、次回の七等功章獲得時には、既存の八等功章で選択した技能が重複するため再選できないというデメリットは避けられない。

「この度は数ヶ月間のアドバイザーとしてお手伝いさせていただきます」

江遠が納得して同意すると、尋ねた。

「あなたは何をしたいのですか？」

李校長は真剣にスマホを取り出し、「微信で繋げましょう。

QRコードを読み取る方はどちらですか？」

と提案した。

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