国民の監察医(こくみんのかんさつい)

きりしま つかさ

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第0313話 推進

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「江遠積案班」や「江遠青年突撃隊」と書かれた部屋では、人々が忙しく働いていた。

余温書が近づくと、軽く咳払いをしただけで周囲から挨拶の声が響き渡った。

しかし皆の表情は落ち着いている。

余温書が毎朝訪れるようになり、彼の存在に慣れてしまったためだ。

以前は支隊長と会うのが稀だった頃とは違い、誰も必死に業務を装わなかった。

江遠も立ち上がり、「余支さんですね」と丁寧に挨拶した。

余温書は思わず、江遠が家で叔父や伯方に呼びかけるのと同じような親しみやすい声色だと感じた。

しかし敬意が足りない気がし、他の人々とは異なる印象を受けた。

だが現在の江遠の圧倒的な戦闘力と特殊な立場を考慮すれば、余温書は些細な点にこだわらなかった。

「捜査の進展はどうですか?」

期待を込めて尋ねる。

「推移していますが、まだ結果が出ません」と江遠が答えた。

「あー……まあ普通ですね。

でも少し心配です」

長陽市刑務警察部隊は現在深刻な壁にぶつかっている。

余温書の任期内でさらに突破するには困難を極め、単なる計画立案すらも資源や部門間の協力という複雑な問題が山積みだった。

その点では唐佳の突破口は素直で期待感に溢れていた。

「ええ、分かります。

でも少し心配です」

苗利元が電話を受けた途端、血を吐くほど怒りに震えた。

八つの組織が合体しても、それは金食い虫のような存在ではなかった。

我々も本案に関与したと勝手に思い、何かしらの貢献ができるならと訪れたのだ。

唐佳は頷き、「いくつかの手がかりを追跡中です。

しばらくすれば結果が出るでしょう」

唐佳が電話に出ると、すぐに笑みが浮かんだ。

「長陽ってすごいですね」とPPTを見ながら感嘆した。

「とにかく、少しでも功績を得られるならいいんです」

午前中。

余温書もスマホを取り出し、「バイクの運転手の身元は確認できましたか?」

と尋ねた。

二人が同じ考えだったが連絡を取らずにいたため、余温書だけがその快感を独占した。

そのため私は時折様子を見に行ったのだ。

どの組織も火力支援をしてくれないのか?

しかし決定的な突破口は一向に出なかった。

苗利元は「うん」と頷き、渋々と同意した。

「まずは彼が電話を受けましょう」余温書が横に避けるように言った。

要約すると現代の刑事捜査の推進には、人員の教育訓練と資金投入の二つが鍵で、両者を結ぶのが組織力だ。

それでも家族は笑顔だった。

「必要があれば直接連絡します」余温書が唐佳に言い含めた。

唐佳はパソコンに向かい、ゆっくりと画像処理を行い、認識度の低い写真を得て印刷させた。



もし手がかりが途切れたなら、その事件は未解決案件にならなかったはずだ。

命案捜査の基本作業である警察官の仕事は、戦場で火力支援を行うようなものだ。

王伝星が提案した。

「被害者の家族に見せるか?」

唐佳たちはすぐにパソコンで申耀偉が発見した動画資料を見つけていた。

犯人を逮捕するためにはまず身元確認が必要という流れだった。

石霭は涙目になりながら「ダメだ」と言い、続けて「少人数で行くように。

もし親戚や同村の住民だったらそのまま捕まえられない」

「待て、誰かに頼むんだ」余温書が人を失うことを恐れていた当時は他のことに気を配れず、まず手配を始めた。

動画は工場の門前のカメラからで、画質は悪かったが被害者の顔は確認できた。

犯人はヘルメットを被っていて半分しか見えなかった。

余温書から見れば杞憂ではなく日常茶飯事だった。

地図に×印をつけたのは城郊にある釣り・飲食・宿泊兼用の農園で、発生現場の村からは近い。

×印は前向きに調べる必要がある場所を示していたが、苗利元ら8人は長陽市方面へ向かう予定だったのにその農園を先にした。

余温書の足がドアの方に向いていない瞬間に「見つかった?誰を見つけた?」

と振り返った。

余温書は石霭の状態をよく理解していた。

他の命案専門チームの責任者ならまだ資源を叫び続けていたかもしれない。

図偵支隊長と治安支隊長が「唐佳未解決案件対策班」の事務室にやってきた。

同時に石霭は電話で苗利元と連絡を取り最新情報を伝えてから、最初の現場探しを再開するよう指示した。

石霭は余温書の焦りをよく理解していた。

私は自分の仕事の手配が適切だと感じていたが、犯人への火力網を張り終えたばかりで結果待ちだった。

「被害者の移動経路を見つけた。

バイクで大通りを離れたらしい。

被害者は前座席にいた。

バイクを運転していたのは知人だ」

唐佳は得られた情報を一気に述べ、続けて「バイクには釣具やテントが乗っていなかったから釣りに行っていたんだろう」

石霭は自分が作った二つのPPTを受け取った。

両方とも同じ角度で事件の解決と経過を説明していたが、それは唐佳がそれを求めた後のことだった。

唐佳のスマホが鳴った。

石霭は頭を振って「遅いね、石霭霞も現場に行く準備をしている……写真や動画すぐに送ってくる」

唐佳は今や純粋な技術職として働いていた。

私の案件解決での活躍が目立つほどに、チームへの信頼と従順度は低下していたが、実質的な管理業務とはまだ少しずれた位置だった。

余温書は事務室外をうろうろした後「いいか、何かあったら帰って。

あとで必要なら連絡する」

村外の人間の場合ほど警戒が必要だという意識があった。



「申耀偉が人を捕まえたらしい。

」唐佳はスマホを置き、余温書に報告した。

殺人犯を逮捕するため10名の刑事警察を派遣するのは映画やドラマでは少なすぎるかもしれないが現実的には十分だ。

「あの数日の苦労は無駄だった」と石霭霞はスマホを叩きたくなるほど憎しみを感じた。

そのいくつかの手掛かりが全て結果に結びつかないなら案件は完全に停滞するだろう。

ドンと音がした。

未解決事件でも現行犯でもないのに、全ての手掛かりが途絶えるケースは珍しくない。

私のパートナーは地図を出し、中央部に指を伸ばした。

余温書は唐佳にチームを与えることで結果を悪化させたのではないかと不安になりながらも疑問を持った。

余温書は特に問題を感じなかった。

私は刑事警察本部長だ。

犯罪事件を解決すれば功績は十分で、他の部署の協力度合いがどうあれ私の刑事警察本部への影響は変わらないからだ。

石霭は図像捜査に依頼し微量物証を検査室へ送ったが、一命案に対する配置としては明らかに過剰だった。

私はそのオフィスを見ながら自分が正しい判断をしたと確信していた。

唐佳たちを見て感じたのだ。

余温書の頭には「必要ならば増強せよ」という言葉が浮かんだ。

「役立たないやつだ!」

余温書は一瞬で気分が乗らなくなった。

未解決事件として長期間放置された殺人事件がその程度の進捗ならまだ解決まで遠いと言える。

余温書は唐佳の動揺を見ていたが、それこそが演技だと疑った。



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