明ンク街13番地

きりしま つかさ

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第0281話「神々の代理人」

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炎は燃え続けていた。

ベルナの遺体は完全に黒炭化していたが、カレンは彼をさらに術法で処理し続けた。

以前喪儀社で働いていた頃、火葬場が節約のために油を節約して灰を不十分に焼くことが多かったため、自分は小槌で砕かなければならなかった経験があった。

自分の労力は問題ではなかったが、顧客が骨灰を受け取れないという点が心配だった。

大きな骨片が残ってしまうと、それを骨灰壺に入れるのは困難だからだ。

ベルナもかつてプルエル・ジャンフニエとフィリアスの友人であり、職業的義務感からカレンは彼にそのような悲劇をさせないよう努めていた。

地面が炎で大きく陥没した後、カレンは腰を屈め、ベルナの膨らんだ遺体に息を吹きかけた。

ベルナは完全に灰燼となり、人間の形を保っていたものが一瞬で透明な骨粉となった。

カレンは洞窟内の掃帚を持ち上げたが、その先端は既に朽ちており石製の柄だけだった。

彼は石棒を使って灰の中から異物がないか確認し、胆石が焼け残っていないかもチェックした。

その後、大きな石鉢にベルナの骨灰を入れ、洞窟内を完全に清掃した。

カレンは海辺まで石鉢を持って行き、洞穴で見つけたスプーンを使って一匙ずつ海に撒き散らした。

沿岸を歩きながら灰を全て散布し終えると、彼は石鉢を海水に浸けて洗った。

「ふぅ……」

カレンはため息をつき、初めて「死体の処理」がこんなにも複雑であることに気づいた。

やはりプルエルが一番見事に理解していたのだ。

ベルナの灰を海に撒くのが最も安全な方法だったのだ。

カレンは美しい貝殻を集め石鉢に入れ、屍坑(しんこう)の前に向かった。

ポケットには半箱残ったタバコがあり、彼はそれを全て取り出し、墓標前で火をつけた。

煙が立ち上る中、彼は笑みを浮かべた。

「誰かが私や私の追跡者たちに線香を上げてくれるかどうか分からないな」

墓標に刻んだ文字はまだ鮮明だった。

時間の経過と共にその凹凸が磨滅されるまで待つ必要があるだろう。

「私はこの島にはもう戻らないと思う。

新たな航海、無事で行ってくれよ」

カレンは洞窟に戻り、拾った貝殻をジャンフニエの石棺に並べた。

「先ほど話した通り、プルエルが訪ねて来たら私も一緒に再訪するかもしれない」

全ての作業が完了すると、彼は岩盤に腰を下ろしポケットから赤い月牙形の玉(小指の爪ほどの大きさだが鮮やかな朱色)を取り出した。

ベルナに関連する一切はカレンによって完全に抹殺され、光の浄化を十回以上施されていた。

石で叩いたり火で焼いたりしてもその月牙には傷がつかなかった。



ベルナの暗月の瞳孔が残されたことで、カレンは再び彼を復活させる可能性を感じていた。

その瞳孔が夜明けの光に反射するたび、ベルナが棺材を地上に置いた理由——毎晩暗月の光で養うため——が浮かんできた。

「この瞳孔の価値は想像を超えるだろう」

カレンは赤い半月形の片方を目の上に乗せ試みた。

しかし反応なし。

内部発動装置があるのか?彼は舌打ちしながら、暗月の刃で傷つけた掌に半月形を置いたが、やはり無効だった。

「始祖エレンの水系力や黒い鎖も呼び出したが…」

暗月島に戻れば、この異常な聖器が島民たちの注意を引くかもしれない。

ベルナの子孫は先祖の陪葬品さえ知らないだろうが、暗月との結びつきは明らかに強すぎる。

「猫や犬がいれば何か分かるかもだが…」

朝日が昇り始める中、カレンは苦渋の決断を下す。

この瞳孔を放棄するには惜しすぎた——先祖の遺物という重みと、暗月との結びつきが彼の理性を揺さぶっていた。



残念だ、自分はエイセン卿にリチャードを連れて瞬間移動法陣へと連れ去られてしまった。

もし今エイセンがここにいれば、彼の魔方でこの双月牙を解析してくれたかもしれない。

仕様がない。

安全策としてまずは簡易封印を施して隠し場所に保管するしかない。

カルンは左手中指に二つの月牙を握り、投げ上げて再び受け取り、重量を確認した。

その時、カルンの左手薬指が突然震えた。

顔を下げると、一枚の月牙が自身の左手薬指にある銀色の指輪に貼り付いていたことが判明した。

祖父から継承したあの銀面罩を装着後、レーマル氏が作らせたこの指輪は元々のデザインと色合いを変えられていた。

カルンが手を上げると、月牙は指輪に吸い取られるように固定された。

これで何か役立つのか?

もう一枚の月牙も同じく吸着させた。

するとカルンは笑みを浮かべた。

「ふん……」

この双月牙の使い道が分からないし、祖父から継承した銀面罩にも用途が分からない──以前封じられた空間でローヤと会ったのは偶然だったし、光球空間で神殿長老に化けたのも運命的な出来事だ。

しかしカルンは確信していた。

これは決してこの面罩の本質的機能ではない。

たまたま触発された周辺効果に過ぎない。

現在、自分には制御できない二つの物体が存在する。

それらが相互作用で何かを生み出すかもしれないか?

すると銀色の指輪が熱くなり、月牙から赤い光が放たれた。

カルンは指輪に手を伸ばし、首を捻った。

面罩を顔に被せると、指輪から離れていた二つの月牙がカルンの前に浮かび上がり、交互に回転し始めた。

この現象は双暗月眼が成功裏に起動したことを示していた。

まあ原理は分からないが、今の状況は悪くない。

二つの月牙が交互に回転し、最終的に衝突して月光の幕をカルンに向けて広げた。

面罩をつけたままのカルンは動きもせずにいた。

その月光が自身に降り注ぐと、目元に集まった。

その瞬間、カルンは目の渇きを感じたが、すぐにその不快感は消え、代わりに清涼感が広がった。

谷兣

カルンがまばたきを繰り返すと、視界の中に暗赤色の重影が残っていた。

しかし時間が経つにつれその影は収まり、やがて完全に消えた。

これで終わりか?

カルンが体内の霊性力を動かそうとした瞬間、驚愕の事態が発生した。

自身の霊性力量が目元に集まるように吸い取られていたのだ。

息を呑むような苦痛と共にカルンは膝をついた。

この速度はかつて蘇醒術で死体を復活させる時よりも遥かに速かった。

「ふう……ふう……」

約一時間の間、カルンは体内の霊性力量がほぼ枯渇するまで耐え抜いていた。

やっとその動きが止まった。



等止まった後、双眸位置で吸収した霊性エネルギーが外に拡散し始め、循環を形成した。

「貯蔵効果か……」

カルンは何が起きたのか悟り、自身の体内に新たな霊性エネルギーを貯める水槽ができ、暗月の目から得た水槽は現在も未満であることに気付いた。

つまり、休息して体調を整えれば、元々あった量の二倍まで貯められるのだ。

その優位性がさらに強化された瞬間だった。

術法や戦闘でエネルギー切れに怯む必要はなくなった。

しかしカルンが立ち上がった直後、眼窩から赤味が差し、魂を引き裂くような痛みが襲ってきた。

「自分の霊性エネルギーを貯めた上で、魂の分割か?」

予期せぬ攻撃に備えられず、ベルナードの苦しみを再現するような激痛が襲った。

しかし銀色の仮面が輝くと、魂への切り裂きは途絶えた。

カルンは針で刺されたように軽い痛みを感じた後、特に問題はなかった。

顔には冷や汗が滲んでいた。

手を伸ばし仮面に触れた瞬間、この仮面が自身の魂を守ってくれたと悟った。

「ふぅ……完全終了か?」

カルンがしばらく待機した後、変化はなかった。

融合完了を確認すると、掌を開き暗月の刃を取り出した。

以前より三倍長く、さらに純度の高い闇月の力が輝いている。

術法を使うと眼窩から血色が滲んだ。

軽く振るだけで洞窟の壁に深い溝が刻まれた。

「貯蔵量は二倍だが、術法使用時の出力口も一つ増えた」

カルンは次回近戦ではオフィーリアと互角になるだろうと考えていた。

これは控えめな見積もりだ。

最初から劣らないなら、消耗で勝てるはず。

「今後、相手が最初に敗北させない限り、膠着状態を維持すれば中盤以降逆転できる」

自身の実力を再評価したカルンは、練習相手として隊長を探すことにした。

帰還したら近戦で勝負してもらう。

意図を巡らせると銀色の仮面が消えたが、指輪内に新たな何かを感じ取った。

再び指輪を触れた瞬間、仮面が現れ再び消失する。

カルンはパヴァロ氏になり戻り、元に戻った。

「もう一枚の仮面が増えた……」

カレンは再び刺激を受け、一瞬のうちに別の人物に変わった。

鏡前へと向かい、磨き上げられた鏡面を覗くと、ベルナールの人皮マスクが映っていた。

「くそ! 本当に気持ち悪い」

ベルナールの息遣いや精神の痕跡は残っていない。

カレンは完全に清掃し終えていたからだ。

暗月の眼が初代所有者の存在慣性を保持し、異変した銀色の指輪がそれを模写しただけだった。

その主導権は祖父の銀色マスクが握っていた。

「レマルも自分の作った指輪が進化するなんて知らなかったんだろうな」

しかし、彼がセリーナのために作成した両親の傀儡が感情崩壊で離婚に至ったという事実からも、予測不可能だったと言えるかもしれない。

「帰り際にケビンとプールに相談してみよう。

ベルナールのマスクを除去できるか調べてもらおうか、あるいはレマルに頼むか」

パワロ先生の脂ぎった外見や薄毛は問題ではなかったが、清潔で手入れされたベルナールの姿はカレンにとって生理的・心理的にも不快だった。

今回の出来事は得した面の方が大きい。

『沈黙者』という組織を知り、暗月の眼を得ただけでなく、隊長とプールのためにベルナールの骨灰を散らすこともできたのだ。

昼近くになった頃、カレンが洞窟を再確認すると、アレウスの剣と剣箱はリチャードが抱えて先に去っていた。

特に持ち出す必要はないものだった。

遺留物がないことを確かめると、カレンは法陣へ向かった。

白光が彼を包み込むと、「うむ」という音と共に主寝室の絨毯に現れた。

エイセン氏とリチャードは外で馬車を待っていたはずだ。

階段から聞こえる声がした。

「先祖の遺体まで失くすのか、お前たちも何事か!」

「隊長、我々の責任です。

しかし当時は全護衛が軍団に集中しており、シンセイ宮には十分な人員がいなかったのです」

「絶対に見つけてこい! その上、暗月への祈りを通じて先祖の位置を探らせろ。

遺体は島内にあるはずだ、少なくとも近海に」

「了解です、隊長」

「それからもう一件、シンセイ宮で殺された光の残党以外にも牢屋には一組いる。

君が直接監視し、船で密かに出すように」

「隊長、それは…」

「私の命令通りにやれ」

「はい、隊長」

護衛隊長が去ると、タフマンは腕の包帯を見つめた。

島の医師が治療した後も、悪霊の汚染を除去できたとはいえ、この腕は完全には回復しなかった。



しかしタフマンはそれほど悲しみを感じることもなかった。

むしろその肩の空虚さを見つめながら、少し安堵したような気分になった。

階段を上りながら「先祖の遺体が誰に盗まれたのかね?」

と尋ねた。

三階で書斎へ向かう途中、寝室のドア前で足を止めた。

ドアの向こう側に立っていたカレンは、その音を聞きつけた瞬間、身震いした。

自分が諸用で遅れたせいでタフマンに寝室に閉じ込められてしまったのかと悟り、相手が寝室に誰かいることを察知していることに気づいた。

カレンは窓を見やった。

飛び降りする?しかし外にはタフマンの護衛が控えているはずだ。

暗月島の各所で戻るべき場所に戻っているだろう。

ドアの前でタフマンが手を伸ばし、ドアノブに触れた。

すると彼は中から人間の姿を見た。

タフマンの顔が引き攣り、「あなた……貴方……どうして……」と声を上げた。

目の前に立っていたのは先代だった。

その双眸には純粋な暗月の輝きがあり、それは無上の尊厳を象徴する「暗月の瞳」と呼ばれるものだった。

カレンはタフマンを見つめながら、ほんの少しだけ笑みを浮かべた。

「聞いた話だが、あなたが私を探しているのかね?」



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