【本編完結済】夫が亡くなって、私は義母になりました

木嶋うめ香

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義母の愚策2

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「ん……」

 息苦しさに私は目を覚ましました。

「ん? うんんっ」
「目を覚ましてしまったようね。構わないわイバン好きになさい」

 お義母様の声がどこからか聞こえましたが、体が動きません。
 ソファーで眠ってしまったわけではなく、そうです私はイバンに何かを嗅がされて意識を失ったのです。
 
「んんんっ!」

 私は口元を何かで覆われ、両手は後ろ手に縛られていました。
 視界に二人の足が見えます、つまり私は床に転がされているのです。

「奥様よろしいのですか」
「ええ、この女はお前にされた等話さないでしょう。貴族の女が望まぬ相手、夫以外と通じた等自死を選ぶべき醜聞ですからね。そして子を孕ませるのよ」
「畏まりました」
「私はディーンと結婚します。私の夫はディーンです! イバン、私に手を掛けたら父と兄がお前を死ぬ方がマシだと思うような目に合わせるわ!」

 ここは何処なのでしょう、視線だけを動かしながら周囲を見ますが見覚えのない部屋です。調度品から侯爵家の客間の一つの様に思いますが、私には判断ができません。

「改心するなら今よ、私に手を掛けたら手加減はしないわ」

 虚勢を張りながら、私は魔力を身に着けた魔道具へと注ぎます。私は自分を守るための魔道具を二つ身に着けていますが、それは一度使えば力が尽きてしまうものだけです。それでも無いよりはマシです。
 魔道具の一つは、対の魔道具を持ったメイナに私の場所を知らせるものですが、互いの魔道具の距離が離れていると反応しません。これが使える距離にこの場所があればいいのですが、どうなのでしょうか。
 兎に角今は、メイナが来てくれると信じて抵抗を続けるしかありません。

「ふふふ。そんなもの言えるはずがないわ。公爵が傷物になったお前を大切にする筈がないもの」
「残念ですが、父と兄にとって私は大切な駒だもの。それを傷付けようとするものを許すわけがないわ」

 自信はありませんが、この二人にはそう言い続けるしかありません。

「だいたい子を孕ませる? はっ、馬鹿にしているわね。お義母様、私はあなたの馬鹿息子のお陰で子を孕めない体にされたのですよ。イバンに何をされても私には痛くも痒くもありませんわね。だから兄はピーターが平民の女に産ませた子供を私とディーンの子にしようとしているのですから」
「認めないわっ! 平民の血を引く子だなんて、ピーターは平民等に騙されて、私の愛しい子ピーターは何故!」

 お義母様はやはりロニーは認めたくないのでしょう。
 自分の孫だというのに、酷い話です。

「ディーンもあなたの大事な子供ではありませんか。私に子を産ませたいなら彼の子でいいではありませんか」

 私の虚勢、父と兄の報復の話を本気にしたのかイバンは私には触れずオロオロと私とお義母様を見ています。
 気が小さい男です。

「それでは駄目、私はディーンの子など愛したくもない」
「あなたの嫌いな祖母に似ているだけで、そんなに憎むものですか」

 呆れてそう言えば、お義母様はとんでもないことを言い始めました。

「ピーターはイバンの子、だけれどディーンはあの人の子、私が愛しているのはイバンよ、彼じゃないわ。あの人の血を引く子など愛せるはずがないでしょう!」

 イバンがピーターの父親? それはどういうことなのでしょうか。
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