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そもそもが違っていた
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「ピーターはお義父様の子ですよね。ピーターとディーンは似ています、それがイバンが父親だなんて……」
そう尋ねながら、顔を無理やり上げイバンの顔を睨みつけると、彼はお義父様に何となく似ているのだと気が付きました。
「イバンは侯爵家の血筋ですもの子が似ていてもおかしくはないでしょう? 母親はどちらも私、父親は色だけは同じよ、何の問題があるというの?」
「何の問題っ、何故そんな」
お義母様の言葉は、私の耳に正しく届くのに上手く意味が理解できません。
いいえ、感情が理解を拒否しているのです。
「イバンはあの人の従僕として仕えていたわ、私達は彼との顔合わせの日恋に落ちたのよ。運命の出合いよ」
何が、運命だというのでしょうか。
反論したくても、今彼女の神経を逆撫でするのは得策ではありません。
「私は両親に懇願したわ、イバンと添い遂げたいと。だけど許されなかった。イバンの生家は列ネルツ侯爵家の血筋で伯爵位をもっていたけれど、イバンは三男で継ぐ家が無かったのよ。優秀な人なのに生まれ順でイバンは彼に仕えるしか無かったのよ」
まるで下手くそな女優の芝居の台詞を聞いているような、現実味のない話し方でお義母様はペラペラと尋ねてもいない話を教えてくれています。
「私達は誓ったわ。例え私が結婚しても心までは渡さない。そして正しい子供に跡を継がせると」
正しい子供、つまりお義父様ではなくお義母様とイバンの子を……。
「イバンは忠実な従僕として彼に仕えていたわ、そして信用を勝ち取ったの。それは彼の信頼も前侯爵の信頼も両方よ」
「優秀なのですね」
「ええ! 夫よりも余程優秀なのよ。だから夫はイバンを信頼して王都に自分は向かう際は、イバンに領地での家を管理を任せるようになったの」
「そう、ですか」
お義父様とお義母様は仲が良さそうに見えていました。
たまにしか会わない私にはそう見えていても、実際には違っていたのでしょう。
だからこそお義父様は、お義母様を病気療養という名の軟禁をすぐに許可したのでしょう。
「夫がいなければ、この屋敷は私とイバンの天下よ。お義父様達は落馬して家の管理も領地の管理も殆ど出来なくなってしまったから、私の言動等知りもしないわ。お気の毒よね。不幸な事故だもの仕方がないわ」
何故でしょう。
お義母様の言う不幸な事故が、違う言葉に聞こえたのは。
何故なのでしょうか。
「まさか」
「ふふふ、事故はどこにでも起きるのよ。お義父様は普段馬に乗ったりなさらないから、余計に起きやすいわ」
まさか、まさか、まさか。
背筋を冷たいものが流れ落ちました。
「お義父様の事故の責任を取って、前の執事長は辞職したのよ。その頃既にイバンは執事長の代理にまでなっていたから、引継ぎは簡単だったわね」
「はい、奥様」
「イバンは優秀で、私の言うことを何でも聞いてくれたし、この屋敷の使用人達は私とイバンに逆らえないの。だから私達は安心して愛し合うことが出来たわ」
なんていうことでしょう。
お義母様は堂々とこの屋敷で不貞を働いていたのです。
「お義父様の子の可能性は……」
「それはありえないのよ。夫には薬を飲ませていたから」
この親にしてこの子あり。
それがお義母様とピーターにピッタリの言葉です。
「夫が屋敷を離れるのは長くて一ヶ月、妊娠時期など簡単に誤魔化せたわ」
誰にも言えずにいた秘密をやっと口にできた反動なのか、お義母様は饒舌に語り続けました。
つまりお義父様は、お義母様に托卵されていたということです。
お義父様は何も知らず、大事な跡取り息子としてピーターを育てていたのでしょう。
「ディーンはどうして?」
「私も王都に同行させられて、半年程イバンだけ領地に残されてしまった時があったのよ。薬はいつもイバンがお酒に混ぜて飲ませていたから、私には上手く細工ができなかったの。忌々しい。すでに何年も薬を飲ませていたから、問題ないと油断していたのも悪かったけれど、まさかあんなに簡単に妊娠するなんて」
それは、何と言ったらいいのか。
詰めが甘すぎるとしか言いようがありませんでした。
そう尋ねながら、顔を無理やり上げイバンの顔を睨みつけると、彼はお義父様に何となく似ているのだと気が付きました。
「イバンは侯爵家の血筋ですもの子が似ていてもおかしくはないでしょう? 母親はどちらも私、父親は色だけは同じよ、何の問題があるというの?」
「何の問題っ、何故そんな」
お義母様の言葉は、私の耳に正しく届くのに上手く意味が理解できません。
いいえ、感情が理解を拒否しているのです。
「イバンはあの人の従僕として仕えていたわ、私達は彼との顔合わせの日恋に落ちたのよ。運命の出合いよ」
何が、運命だというのでしょうか。
反論したくても、今彼女の神経を逆撫でするのは得策ではありません。
「私は両親に懇願したわ、イバンと添い遂げたいと。だけど許されなかった。イバンの生家は列ネルツ侯爵家の血筋で伯爵位をもっていたけれど、イバンは三男で継ぐ家が無かったのよ。優秀な人なのに生まれ順でイバンは彼に仕えるしか無かったのよ」
まるで下手くそな女優の芝居の台詞を聞いているような、現実味のない話し方でお義母様はペラペラと尋ねてもいない話を教えてくれています。
「私達は誓ったわ。例え私が結婚しても心までは渡さない。そして正しい子供に跡を継がせると」
正しい子供、つまりお義父様ではなくお義母様とイバンの子を……。
「イバンは忠実な従僕として彼に仕えていたわ、そして信用を勝ち取ったの。それは彼の信頼も前侯爵の信頼も両方よ」
「優秀なのですね」
「ええ! 夫よりも余程優秀なのよ。だから夫はイバンを信頼して王都に自分は向かう際は、イバンに領地での家を管理を任せるようになったの」
「そう、ですか」
お義父様とお義母様は仲が良さそうに見えていました。
たまにしか会わない私にはそう見えていても、実際には違っていたのでしょう。
だからこそお義父様は、お義母様を病気療養という名の軟禁をすぐに許可したのでしょう。
「夫がいなければ、この屋敷は私とイバンの天下よ。お義父様達は落馬して家の管理も領地の管理も殆ど出来なくなってしまったから、私の言動等知りもしないわ。お気の毒よね。不幸な事故だもの仕方がないわ」
何故でしょう。
お義母様の言う不幸な事故が、違う言葉に聞こえたのは。
何故なのでしょうか。
「まさか」
「ふふふ、事故はどこにでも起きるのよ。お義父様は普段馬に乗ったりなさらないから、余計に起きやすいわ」
まさか、まさか、まさか。
背筋を冷たいものが流れ落ちました。
「お義父様の事故の責任を取って、前の執事長は辞職したのよ。その頃既にイバンは執事長の代理にまでなっていたから、引継ぎは簡単だったわね」
「はい、奥様」
「イバンは優秀で、私の言うことを何でも聞いてくれたし、この屋敷の使用人達は私とイバンに逆らえないの。だから私達は安心して愛し合うことが出来たわ」
なんていうことでしょう。
お義母様は堂々とこの屋敷で不貞を働いていたのです。
「お義父様の子の可能性は……」
「それはありえないのよ。夫には薬を飲ませていたから」
この親にしてこの子あり。
それがお義母様とピーターにピッタリの言葉です。
「夫が屋敷を離れるのは長くて一ヶ月、妊娠時期など簡単に誤魔化せたわ」
誰にも言えずにいた秘密をやっと口にできた反動なのか、お義母様は饒舌に語り続けました。
つまりお義父様は、お義母様に托卵されていたということです。
お義父様は何も知らず、大事な跡取り息子としてピーターを育てていたのでしょう。
「ディーンはどうして?」
「私も王都に同行させられて、半年程イバンだけ領地に残されてしまった時があったのよ。薬はいつもイバンがお酒に混ぜて飲ませていたから、私には上手く細工ができなかったの。忌々しい。すでに何年も薬を飲ませていたから、問題ないと油断していたのも悪かったけれど、まさかあんなに簡単に妊娠するなんて」
それは、何と言ったらいいのか。
詰めが甘すぎるとしか言いようがありませんでした。
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