【本編完結済】夫が亡くなって、私は義母になりました

木嶋うめ香

文字の大きさ
122 / 310
番外編

ほのぼの日常編2 くもさんはともだち32(蜘蛛視点)

しおりを挟む
「私、生きている?」

 蜘蛛が部屋の隅に置いてあった姿見の前で人形の変化の練習をしていたら、ダニエラの呟きが聞こえた。

「あれは夢だった? 手がある。食べられていないのね」

 様子がおかしいダニエラを見つめていると、両手を自分の顔の前に出ししげしげと見つめ始めた。

「死んで生まれ変わった様な気持ちだわ」

 ダニエラは蜘蛛の存在に気がついていないのか、そう言った後で大きなため息をついた。
 双子を出産したダニエラは、初めての乳を二人に飲ませた後で気を失う様に眠ってしまった。
 乳を飲ませた後、娘は主に、息子はニール様にそっくりだと笑ったダニエラはパタリと眠ってしまったんだ。

 今回は産気づいてから出産までの時間が短かったが、それでもダニエラの疲労は相当なもので深い眠りに着いてしまった。
 疲れ以外見えず眠ってしまったダニエラを見て、ひとまず安心したのか主はニール様と一緒に母上殿を迎えに行くと言いだした。
 急ぐあまり母上殿に何も言わずにこちらに来たらしく、珍しく慌てているニール様と子供が無事に生まれて安堵して呆けている主を見送り、眠る双子を前に表情を崩したままの父上殿を別室に置いて蜘蛛はダニエラの部屋に戻り様子を見守っていたのだ。

「ダニエラ」
「くぅちゃん? 姿が見えないわ」

 そういえば一番小さく体をしていたのだったと思い出し、蜘蛛は人型になった。

「目が覚めたか、苦しくないか痛みは」
「痛みは少し、でも腕輪はまだいいわ」

 枕元に主が作った腕輪が置いてある。
 あれを着けると体がすぐに体が戻るのはいいが、もとに戻り過ぎて乳も出なくなる。
 基本的に乳母が赤子の世話をするが、人間は母親の魔力で子が育つと考えられているから、なるべく自分の母乳で育てたいとダニエラは考えているようだ。

「そうか、では痛みは我慢するしかないな」
「ふふ、痛みは後でディーンが緩和してくれるから大丈夫よ。それよりくぅちゃん、話にくいからここに来て欲しいわ」

 ぽんっとダニエラが枕の辺りを叩くから、蜘蛛は瞬時に体を人の手の平程度の大きさの蜘蛛型にして、ベッドの上に落ちた。

「ふふ、人のくぅちゃんは素敵だけれど、こちらの方が今は話しやすいわ。我儘言ってごめんなさい」
「いや、蜘蛛はどちらでもかまわない」

 ダニエラはそっと指先で蜘蛛の前足に触れる。
 手入れされた指先は、魔物の蜘蛛に触れるには綺麗過ぎる気がするが、ダニエラは何だか泣きそうな顔をしながら蜘蛛の前足を撫でているから、聞かずにおこうと思っていた言葉が出てしまった。

「娘の名前は、ダニエラが言っていたルチアナになりそうなんだが、いいのか」
「私が言っていた?」
「ああ、息子の方は父上殿がルカ―リオと名付けたいと言っていた」
「ルカ―リオ、守護者?」
「ああ、シード神の側に仕え守る者だな。ルチアナは天と地の平安を守る女神の名だったか」

 ちなみに、アデライザは知と美の女神の名前だ。
 マチルディーダだけ女神の名前を頂いているのでは良くないと、アデライザが生まれた時に父上殿が次女にも神の名を頂くと決めた。
 父上殿はダニエラの息子の役割を守護者と感じた故なのか、それは蜘蛛には分からない。

「ルチアナ、私がそう言ったの?」
「覚えてはいないのか。産婆が赤子が生まれた時にダニエラがそう呼んだと言っていたのだが」
「私があの子をルチアナと……そうなの」

 ダニエラは何故か蜘蛛の前足をぎゅっと握り、苦しそうに目を閉じてしまった。

「ねえ、くぅちゃん。今から話すことはディーンには言わないと誓って欲しいの」
「なんだ」
「私は夢を見たのよ。くぅちゃんは、お義母様が私をイバンに襲わせた話は聞いていたわね?」

 何故急にあの二人の話が出てくる?

「夢の中で、私はイバンに襲われて穢されたの。ディーンは助けが間に合わなかった自分を責めて自死しようとしたわ」
「主ならありえるだろうな」
「お兄様は、私に選択させたの。ディーンと共に生きるかそれとも離れるか」

 それは酷なことを。
 ニール様はダニエラを守れなかった主を、見限ってしまったということなのか。

「私は自死しようとしたディーンの側にいてはいけないと、穢れた自分はその資格がないと逃げてしまったの。そして公爵家に戻ってしばらくして子が出来ていたと分かったのよ」
「それは」

 口にしたくもない、ダニエラはあの男の子を宿してしまったのか。

「私は半分正気を失って、でも産むと決めたの。あんな男の子でも私の子でもあるのだから、命を無くせなかったのよ」
「ダニエラならそう考えるだろう」

 ダニエラは優しすぎる位に優しいから、その選択は納得できる。

「お父様とお兄様は、私をある人の後妻にと嫁がせたわ。人知れず産んで里子に出す方法もあったけれど私がそれは嫌だと泣いたから、私と子を守る為にそうしたの」

 父上殿とニール様なら、きっとそうしただろう。
 何故だろう、蜘蛛はこれが夢の話だと思えなくなってきた。

「私は再婚してダニエラ・ブレガとなったわ。やがて子が生まれルチアナと名付けられた私そっくりの女の子は、第一王子の息子と婚約したの」

 なんだと。
 
「私は子供を愛そうとして、でも心から愛することは出来なかった」
「ルチアナは? ダニエラの夫は」
「ブレガ侯爵は名ばかりの夫だった。私は自分の不幸を嘆いてディーンに謝りながら泣くだけだったけれど、ブレガ侯爵はそんな私を支えようとしてくれたわ。お父様を敬愛している方だから、お父様の娘である私をお父様の代わりに守ろうとしてくれていたの」
「ブレガ、ロニーが養子に行く家の当主が、ダニエラの夫」

 混乱して蜘蛛は上手く考えられなくなっていた。
 夢にしては筋が通り過ぎている。

「ルチアナが大きくなって、あの子を嫌っていた婚約者から婚約を破棄されて。私と娘は帰る家を失ってしまったの。王家がブレガ侯爵ともウィンストン公爵家とも縁を切る様に命令したの」
「そんな酷い事を」
「私はお兄様を頼ったわ。せめて娘だけでも助けて欲しいと。半分正気を失っていた私は嘆く娘の手を引いて裸足で王都を歩きお兄様のところへ行ったの」

 どんなところに行くにも必ず馬車を使うダニエラが裸足で街を歩くとは、どんな状況になっていたのかそれだけで分かる。

「お兄様は私を領地で匿うと言ってくれたけれど、その後でお前があの時ディーンを手放さなければと呟いたの。私に聞かせるつもりは無かったのだと思うわ。でも口に出てしまった」
「どういう事だ」
「お兄様は私にディーンを選ばせたかったの。私は選択を間違えてしまったのよ。私がどういう意味かと聞いたらそう答えたの。あの時無理矢理でもディーンの側にいさせるべきだったとダニエラに謝罪したのよ。そして私はそこで自分の愚かさを知って完全に正気を失ってしまったの」

 つまり、ニール様は主を見限ったのでは無く、ダニエラに自分で主のもとにいると決めさせたかったのか?
 何故そんな回りくどいことを。
 そう考えて、ニール様の言葉を思い出した「つい試してしまう」と確かに言っていた。ロニー以外にも色々とあると。

「ダニエラも試されたのか」
「え」
「夢ではなく、主の愚かな母親のやらかしの後だ、ニール様に試されたのか?」
「同じ? そうね、そうだわ。夢と同じくお兄様は私に選ばせたわ家に戻るかディーンと生きるか。そして私はディーンと生きる方を選んだのよ。彼と幸せになりたいから、それを許して欲しいと」

 それは偶然なのか、それともダニエラの記憶にこれがあったからこその夢なのか、分からない。
 だけど目の前にいるダニエラは主を選んだのだ。

「だけど夢の中のダニエラは違ったの。自分の悲しさと辛さでディーンの側にはいられないと考えた。でも本当はずっとディーンのところに戻りたかった」

 目を閉じながら、ダニエラは涙を流していた。
 夢なのに、現実では無いのに、ダニエラが泣くから蜘蛛は夢の中の話だとは言えなかった。

「それでどうしたのだ」
「お兄様が私達を領地に向かわせようとした馬車が襲われて、私達は王家の森に捨てられたの。第一王子の手を私が拒絶したから」
「第一王子、ルチアナの婚約していた?」
「いいえ、その親の方よ」

 夢の中でも第一王子の性格は変わらないのか。

「彼は森の奥に私を捨てて、ディーンの使役獣の蜘蛛に食われてしまえと言い捨てて去っていったわ。私がここにいるとディーンには知らせてやろうと言ってね」
「主はダニエラをまだ思っていたのだな」

 言いながら、何故か蜘蛛は声を思い出していた。
 まさかこれが繋がるのか、あの声に。

「ダニエラ」
「私は願ったの、正気を失って希望を失って、それでももう一度ディーンに会いたいと。でもディーンに会う資格は私には無いと分かってもいたの。ディーンを選ばなかった私にはその資格はないと」
「だから蜘蛛に願ったのか、自分を食べて欲しいと」

 蜘蛛の声に驚いた様にダニエラは目を見開き、そして頷いた。

「ええ、ディーンに会えないのなら、せめて彼の使役獣の中で生きたいと願ったの。そうすれば彼が誰と幸せになっても側に居られると狂ったダニエラは考えたのね」

 それはなんて悲しい考えなのだろう。
 ダニエラは、二度選択を誤ったのだ。

 一度目は、主から離れる道を選んだこと。
 二度目は、自分の命を捨てると決めたこと。
 主なら、どんな時でもダニエラが伸ばした手を取っただろうに。

「くぅちゃんは、いいえ夢の中では蜘蛛さんと呼んだけれど、一度は拒否したの。主の望みは違うと。でも私は、夢の中のダニエラは死んだ後でもディーンに顔向け出来ない生き方をしたと言って、蜘蛛さんに頼んだの。そして望みは果たされたのよ」
「蜘蛛はダニエラを食べたりしない」
「夢の話よ。くぅちゃんがそんなことしないって分かってるわ。きっとくぅちゃんなら私が同じ状況で同じ願いを口にしても、食べずにディーンを呼んでくれる。主を置いて死ぬなんて許さないって私を叱ってくれるわ」

 そうだ、ダニエラ。
 蜘蛛ならそうする。
 だって蜘蛛は、ダニエラの夢の中の蜘蛛を叱りたいと思っている。
 何故主を呼ばなかった、何故ダニエラを食ったのだと。

「でも、ルチアナは夢の中の子の生まれ変わりかもしれないわ。あの子が生まれる時に声を聞いた気がしたの。今度は間違えない幸せになる。幸せになれるって」

 声を? 蜘蛛は確かに双子の声を聞いたからダニエラにも声が届いてもおかしくはない。
 だが、今度は? 夢の中の人間が生まれ変わるなんてあるのか?

「ダニエラはどう思う?」
「分からないけれど、夢の中で私は娘を本心からは愛せなかった。それが辛くて悲しくて、だからこの子が私の娘なら良かったのにって思ったのよ。夢の中のダニエラなのに、現実の私がそう思ったの。私なら愛するのにって」

 どちらもダニエラなのか? それは何なのだ。
 もう一つの未来なのか、主が幸せになれない。
 ダニエラも子供も、皆が幸せになれない未来があったかもしれないのか?

「名前はルチアナでいいんだな」
「ええ、あの子はルチアナよ。私の娘、私とディーンの娘よ」
「そうだな」
「これは私とくぅちゃんの秘密ね」
「あぁ、秘密だ。ダニエラ」
「なぁに、くぅちゃん」
「蜘蛛はダニエラが、くぅちゃんと呼んでくれる未来を選んでくれた事が嬉しい。主の側にいると決めてくれたダニエラに感謝する」

 主に幸せになって欲しい。
 蜘蛛は主の使役獣だから、そう願う。
 主の幸せにはダニエラが必要で、子供達やニール樣や父上殿が必要で、だから皆が幸せでいてくれないと駄目なんだ。

「蜘蛛は誓う。もっともっと力をつけてダニエラと子供達を守る」
「ありがとう、くぅちゃん」

 ダニエラは笑って蜘蛛の誓いを受け入れてくれた。
 第一王子の行いは、夢の中の事だと蜘蛛には思えなくて、今後警戒しなければと考えていた。

※※※※※※※※※
出産中にダニエラはゲームのダニエラの行いを夢に見ていました。
出産だけで大変なのに、そんな夢見るとか気の毒過ぎる。
鬼畜な作者でごめんね、ダニエラと思いつつ書いていました。
ちなみに、ダニエラ以外前世の記憶がある人はいません。
ルチアナも記憶はありません、自分の魔力を殆ど使って夢の中のルチアナの魂を自分に結びつけ生まれてきました。
なので現在魔力がすくないですが、実は双子の魔力はほぼ同じです。
(本作中にエピソード入れるの無理そうなので、ここで暴露します。乙女ゲーム編で息子ちゃんがこのエピソード話す予定ですが、書くの忘れそう……)

ディーンと生きるかどうかを決めた辺りがターニングポイントとコメント頂きまして、実際そのつもりで書いてたので驚きました。
夢の中のニールは、守れなかったと自責の念にかられているディーンを選んで欲しくてダニエラに選択させましたが、ダニエラが拒否したので妹の気持ちを優先しました。
そして後悔するニール。
夢の中のニールも不幸、皆不幸になる恐ろしいゲーム。

次回子供達登場です。
ダニエラ視点は次の次位かな、ゲームのダニエラの感情を今のダニエラはどう考えているのか、更新をお待ち下さい。
ほのぼのどこいった? すみません。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

前世の記憶しかない元侯爵令嬢は、訳あり大公殿下のお気に入り。(注:期間限定)

miy
恋愛
(※長編なため、少しネタバレを含みます) ある日目覚めたら、そこは見たことも聞いたこともない…異国でした。 ここは、どうやら転生後の人生。 私は大貴族の令嬢レティシア17歳…らしいのですが…全く記憶にございません。 有り難いことに言葉は理解できるし、読み書きも問題なし。 でも、見知らぬ世界で貴族生活?いやいや…私は平凡な日本人のようですよ?…無理です。 “前世の記憶”として目覚めた私は、現世の“レティシアの身体”で…静かな庶民生活を始める。 そんな私の前に、一人の貴族男性が現れた。 ちょっと?訳ありな彼が、私を…自分の『唯一の女性』であると誤解してしまったことから、庶民生活が一変してしまう。 高い身分の彼に関わってしまった私は、元いた国を飛び出して魔法の国で暮らすことになるのです。 大公殿下、大魔術師、聖女や神獣…等など…いろんな人との出会いを経て『レティシア』が自分らしく生きていく。 という、少々…長いお話です。 鈍感なレティシアが、大公殿下からの熱い眼差しに気付くのはいつなのでしょうか…? ※安定のご都合主義、独自の世界観です。お許し下さい。 ※ストーリーの進度は遅めかと思われます。 ※現在、不定期にて公開中です。よろしくお願い致します。 公開予定日を最新話に記載しておりますが、長期休載の場合はこちらでもお知らせをさせて頂きます。 ※ド素人の書いた3作目です。まだまだ優しい目で見て頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。 ※初公開から2年が過ぎました。少しでも良い作品に、読みやすく…と、時間があれば順次手直し(改稿)をしていく予定でおります。(現在、146話辺りまで手直し作業中) ※章の区切りを変更致しました。(9/22更新)

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

転生したので前世の大切な人に会いに行きます!

本見りん
恋愛
 魔法大国と呼ばれるレーベン王国。  家族の中でただ一人弱い治療魔法しか使えなかったセリーナ。ある出来事によりセリーナが王都から離れた領地で暮らす事が決まったその夜、国を揺るがす未曾有の大事件が起きた。  ……その時、眠っていた魔法が覚醒し更に自分の前世を思い出し死んですぐに生まれ変わったと気付いたセリーナ。  自分は今の家族に必要とされていない。……それなら、前世の自分の大切な人達に会いに行こう。そうして『少年セリ』として旅に出た。そこで出会った、大切な仲間たち。  ……しかし一年後祖国レーベン王国では、セリーナの生死についての議論がされる事態になっていたのである。   『小説家になろう』様にも投稿しています。 『誰もが秘密を持っている 〜『治療魔法』使いセリの事情 転生したので前世の大切な人に会いに行きます!〜』 でしたが、今回は大幅にお直しした改稿版となります。楽しんでいただければ幸いです。

魅了魔法…?それで相思相愛ならいいんじゃないんですか。

iBuKi
恋愛
サフィリーン・ル・オルペウスである私がこの世界に誕生した瞬間から決まっていた既定路線。 クロード・レイ・インフェリア、大国インフェリア皇国の第一皇子といずれ婚約が結ばれること。 皇妃で将来の皇后でなんて、めっちゃくちゃ荷が重い。 こういう幼い頃に結ばれた物語にありがちなトラブル……ありそう。 私のこと気に入らないとか……ありそう? ところが、完璧な皇子様に婚約者に決定した瞬間から溺愛され続け、蜂蜜漬けにされていたけれど―― 絆されていたのに。 ミイラ取りはミイラなの? 気付いたら、皇子の隣には子爵令嬢が居て。 ――魅了魔法ですか…。 国家転覆とか、王権強奪とか、大変な事は絡んでないんですよね? いろいろ探ってましたけど、どうなったのでしょう。 ――考えることに、何だか疲れちゃったサフィリーン。 第一皇子とその方が相思相愛なら、魅了でも何でもいいんじゃないんですか? サクッと婚約解消のち、私はしばらく領地で静養しておきますね。 ✂---------------------------- 不定期更新です。 他サイトさまでも投稿しています。 10/09 あらすじを書き直し、付け足し?しました。

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

【完結】あなたの『番』は埋葬されました。

月白ヤトヒコ
恋愛
道を歩いていたら、いきなり見知らぬ男にぐいっと強く腕を掴まれました。 「ああ、漸く見付けた。愛しい俺の番」 なにやら、どこぞの物語のようなことをのたまっています。正気で言っているのでしょうか? 「はあ? 勘違いではありませんか? 気のせいとか」 そうでなければ―――― 「違うっ!? 俺が番を間違うワケがない! 君から漂って来るいい匂いがその証拠だっ!」 男は、わたしの言葉を強く否定します。 「匂い、ですか……それこそ、勘違いでは? ほら、誰かからの移り香という可能性もあります」 否定はしたのですが、男はわたしのことを『番』だと言って聞きません。 「番という素晴らしい存在を感知できない憐れな種族。しかし、俺の番となったからには、そのような憐れさとは無縁だ。これから、たっぷり愛し合おう」 「お断りします」 この男の愛など、わたしは必要としていません。 そう断っても、彼は聞いてくれません。 だから――――実験を、してみることにしました。 一月後。もう一度彼と会うと、彼はわたしのことを『番』だとは認識していないようでした。 「貴様っ、俺の番であることを偽っていたのかっ!?」 そう怒声を上げる彼へ、わたしは告げました。 「あなたの『番』は埋葬されました」、と。 設定はふわっと。

死に戻ったら、私だけ幼児化していた件について

えくれあ
恋愛
セラフィーナは6歳の時に王太子となるアルバートとの婚約が決まって以降、ずっと王家のために身を粉にして努力を続けてきたつもりだった。 しかしながら、いつしか悪女と呼ばれるようになり、18歳の時にアルバートから婚約解消を告げられてしまう。 その後、死を迎えたはずのセラフィーナは、目を覚ますと2年前に戻っていた。だが、周囲の人間はセラフィーナが死ぬ2年前の姿と相違ないのに、セラフィーナだけは同じ年齢だったはずのアルバートより10歳も幼い6歳の姿だった。 死を迎える前と同じこともあれば、年齢が異なるが故に違うこともある。 戸惑いを覚えながらも、死んでしまったためにできなかったことを今度こそ、とセラフィーナは心に誓うのだった。

転生皇女はフライパンで生き延びる

渡里あずま
恋愛
平民の母から生まれた皇女・クララベル。 使用人として生きてきた彼女だったが、蛮族との戦に勝利した辺境伯・ウィラードに下賜されることになった。 ……だが、クララベルは五歳の時に思い出していた。 自分は家族に恵まれずに死んだ日本人で、ここはウィラードを主人公にした小説の世界だと。 そして自分は、父である皇帝の差し金でウィラードの弱みを握る為に殺され、小説冒頭で死体として登場するのだと。 「大丈夫。何回も、シミュレーションしてきたわ……絶対に、生き残る。そして本当に、辺境伯に嫁ぐわよ!」 ※※※ 死にかけて、辛い前世と殺されることを思い出した主人公が、生き延びて幸せになろうとする話。 ※重複投稿作品※

処理中です...