【本編完結済】夫が亡くなって、私は義母になりました

木嶋うめ香

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番外編

ほのぼの日常編2 くもさんはともだち48(蜘蛛視点)

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「マチルディーダ、アデライザ体の調子が悪くなってはいないか」

 主は部屋に入るなり二人の様子を確認する様に、それぞれの体に触れた。
 父上殿とニール様を呼びに行きながら主に念話で事の次第を伝えると、主は蜘蛛以上に驚いていた。
 主に言われるまですっかり忘れていたが、癒しの魔法は難易度の高い魔法で魔法の勉強をした事が無い幼児が戯れに使えるものでは無かった。

「二人の魔力は問題無いように見えるが、どうだ主」
「……そうだな」

 乳母と側仕え達に口止めをして外させてから父上殿はマチルディーダを、ジェリンドがアデライザを膝に抱きソファーに座っている。
 アデライザを他の者が膝に乗せるのをジェリンドが嫌がり、ロニーはマチルディーダを見ていたが父上殿がさっさと自分の膝に乗せてしまったから我慢している様だった。
 ちなみに一人だけたっていようとして、ジェリンドに隣に座る様言われ顔が引きつっていたのを蜘蛛は賢く見ない振りして蜘蛛の形に戻り、ちぃと共にテーブルの上に陣取っている。

「魔力の動きがおかしい感じはないな。アデライザ、こちらを向いてごらん」
「どうだ、ディーン」
「おとさまぁ」
「うん、お父様だよ。おはようアデライザ。父上魔力は問題はありません。マチルディーダおはよう、頭が痛いとか気持ちが悪いとか無いかな」
「おとおさまぁ、おはようございまちゅ。ディーダ元気よ」

 マチルディーダは父上殿の膝の上で機嫌よさげに笑いながら、主に答えている。

「主、ダニエラはどうした」

 ダニエラの気配は近くにしているのに、何故部屋に入って来ない?

「ダニエラは、すぐそこで義姉上と話をしている」

 少し困った様な顔で主が蜘蛛の問いに答える。
 つまり、部屋に入ろうとしたところでニール様の伴侶殿に捉まったということか。
 多分伴侶殿がダニエラが着ているドレスが素敵だから自分もお揃いにしたいとか、髪型を一緒にとか言っているのだろう。いつもの事だ。
 あの方も悪い人では無いのだが、ニール様とダニエラへの愛があり過ぎる。

「マチルディーダ、おまじないはどんなものなのかな。お父様に教えてくれるかい?」
「おまじない? あのねえ、おかあさまぁがねぇ、ディーダがころんだときにねぇしてくれるの。いたいいたいじゃなくなるのよ。おまじないしゅごいの。いちゃいのいちゃいの、とおくのおやまにとんでいけぇってするの」

 マチルディーダの前にしゃがみ込み、主はのんびりと話すマチルディーダの話に耳を傾ける。
 おまじないはどうもマチルディーダが転んで小さな怪我をした時にダニエラが何度か行ったものらしい。
 マチルディーダはそれを覚えていて、痛いと泣くジェリンドに向けて行ったわけだ。
 でもそれで癒しの魔法が発動した理由が分からないが、おまじないの言葉に意味があるのか?

「ふむ。今は何もおこらなかったな。ディーン詠唱しても魔力を流さなければ魔法は発動しないが、同じ理屈か」
「はい、父上。その様に思います。試しに傷を作って……」
「主それは子供には刺激が強すぎると思うぞ」

 実際におまじないを試そうと、懐からナイフを取り出した主に呆れながら止める。
 主自身治癒系の魔法が使えるから、おまじないの効果が無くとも自分で治せばいいだけだから問題はないが、幼い子供の前で自分で自分に傷をつけるのを見せるのは大問題だろう。
 主、そういう配慮がまだまだ足りないな。

「え、そ、そうか」
「ディーン、お前……」

 蜘蛛が指摘した理由を察してニール様が呆れた声を出し、主の耳が赤くなる。
 今の行いはあれだが、うん……こういう情緒が育ったのは良い事だ。
 昔なら、なぜこういう指摘を蜘蛛がしニール様が呆れたのか、すぐに納得出来なかっただろうし察して赤くなるなど絶対に無かったのだから、これは進歩だ。

『母様、ちぃ達が大きな魔物を狩れた時の様な喜び方をしていますよ』
『主の変化を喜ぶのは、使役獣として当たり前だろう』
『ちょっと違う気がしますが……』

 ちぃは蜘蛛がなぜ感動しているか理解出来ずにいるが、昔の主を思えば僅かな変化でも感動せずにはいられないのだ。とにかく昔の主は色んな意味で酷かったのだから、ダニエラと共有しなければいけない程の変化だと思う。

「ダニエラにおまじないの事を聞く方が早い」
「そうですね。ダニエラを呼んできます」
「主、ダニエラの前でも傷を作るのは駄目だぞ」

 ナイフを持ったまま部屋を出ようとする主に駄目押しとばかりに声を掛けると、主は悪戯がバレた時のマチルディーダみたいに何故バレた? という顔をした後でしょんぼりとナイフをしまってから部屋を出て行った。

「くぅちゃん、おとおさまぁをいじめたらだめなのよ」
「蜘蛛は虐めていないぞ」
「おとおさまぁがかなしそうだったもん。めっなのよ」

 マチルディーダが蜘蛛を諫めるのを、父上殿とニール様が微笑ましそうな顔で見ている。
 
「そうか、気を付ける。許してくれるか」
「うん」
「マチルディーダは優しい子だな」

 父上殿は優しくマチルディーダの頭を撫でているが、蜘蛛もそう思う。
 マチルディーダは優しくて可愛い子なのは事実だからな。
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