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番外編
ほのぼの日常編2 くもさんはともだち49(蜘蛛視点)
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「おまじないは、ええと、そうねぇ気休めかしら?」
主と共に部屋に入ってきたダニエラは、おまじないの話をマチルディーダから説明されて首を傾げつつ答えた。
「気休め、では治癒魔法ではないのだな」
「お父様、私治癒魔法はとても苦手なのに詠唱無しなんて出来るわけがありませんわ」
蜘蛛達が何を心配しているのかすら分からないのか気休めだと言い切るダニエラに、父上殿が頭痛がすると言わんばかりの顔で尋ねると何とも気が抜けるダニエラの返事に父上殿の顔から強張りが消えた。
「そうだった、ダニエラは治癒魔法を覚えるのも一苦労だったんだ」
「そうですよ、お兄様にどれだけ呆れられたか分かりませんわ。あまりにも覚えが悪くて、専属の治癒師を雇ってくれと泣いた程ですのに大人になったからといって得意になるわけがありませんわ」
自信満々に答えているが、ダニエラは魔法の練習を熱心にしてこなかったそうだから、治癒魔法以外もそんなに魔法が上手いわけではないし、攻撃魔法は習得していないとも言っていた気がする。
なんでも出来るニールと違い、王家の血筋を引く女性は国の結界の守りに魔力を使うから他の魔法はあまり覚えようとしないのが一般的だったと以前聞いた事がある。
だから例え苦手だとしてもダニエラが治癒魔法を覚えているだけで立派と言えるのかもしれない。
だが結界の守りを王家の女性達が担う必要は無くなったのだから、子供達は好きに魔法を覚えてもいいだろう。
「それはそうだが、おまえ出来ないことを堂々と言うのも」
「……それは、出来ないより出来た方がいいですけれど、人には向き不向きというものがあるのですし……魔法は私……」
殆どの事に積極的に取り組もうとするダニエラには珍しく、魔法をこれから練習しようという気は無さそうだ。
「ダニエラ、私が常にあなたの側にいますから。不安であれば守り石も増やします」
「そ、そうよね。私にはディーンがいるものっ! お兄様、そういうわけですから私は魔法は不得意なままで良いのです」
明らかに気乗りしていないダニエラに寄り添い、主が助け舟を出すと見事なまでに清々しい潔さで不得意なままで良いと言いきった。
「おまえは本当に嫌なことは嫌だと通すんだな」
「……ダニエラ」
「……だって怖いんですもの」
「怖い?」
「魔法を覚えたての頃、私が望んだわけでもないのに魔法が発動したことがあるのをお兄様忘れてしまいました?」
ダニエラは眉尻を下げ、ディーンの腕に自分の腕を絡めながら小声で話し始めた。
「魔法が発動?」
「はい、あれは魔法の属性を習っていた時です。攻撃魔法には火や風等があって……」
「まて、それ以上言わなくて良い」
慌ててニール様がダニエラの言葉を止める。
「ニール兄上?」
「続きは私から話す」
「そうですね、お願いしますお兄様」
ディーンが二人の会話に付いていけずにニール様の名前を呼んでいるのに、それには答えずニール様は話し始めた。
「はあ、そうだ忘れていた。おまえは魔法の講義を受けていて、風の魔法を発動したんだった」
「風の魔法を?」
「そうだ。強い風が吹いて花びらが舞ったら綺麗! 確かそんな様な事を言って、その途端庭に嵐が起きた」
嵐、ちょっと待て嵐だと?
「嵐という程酷くありませんわ。庭木の花がすべて散っただけではありませんか」
「それを嵐というほど言わずに何と言う」
呑気なダニエラに、父上殿とニール様が頭を抱えるという珍しい現象が起きている。
「つまり、ダニエラは風魔法を使おうとしたわけでもないのに嵐をおこしたのだな」
「くぅちゃん酷いわ。嵐じゃなく風よ」
拗ねながら言うダニエラはマチルディーダの様に愛らしいが、蜘蛛はそれでは誤魔化されない。
『母様、この方主様の伴侶殿だけあって何かおかしいです』
「つまり、まじないも同じなのか」
ちぃの念話を無視して蜘蛛は主に尋ねた。
ダニエラはおかしいのでは無い、危機感が無くて呑気なんだ。
主と共に部屋に入ってきたダニエラは、おまじないの話をマチルディーダから説明されて首を傾げつつ答えた。
「気休め、では治癒魔法ではないのだな」
「お父様、私治癒魔法はとても苦手なのに詠唱無しなんて出来るわけがありませんわ」
蜘蛛達が何を心配しているのかすら分からないのか気休めだと言い切るダニエラに、父上殿が頭痛がすると言わんばかりの顔で尋ねると何とも気が抜けるダニエラの返事に父上殿の顔から強張りが消えた。
「そうだった、ダニエラは治癒魔法を覚えるのも一苦労だったんだ」
「そうですよ、お兄様にどれだけ呆れられたか分かりませんわ。あまりにも覚えが悪くて、専属の治癒師を雇ってくれと泣いた程ですのに大人になったからといって得意になるわけがありませんわ」
自信満々に答えているが、ダニエラは魔法の練習を熱心にしてこなかったそうだから、治癒魔法以外もそんなに魔法が上手いわけではないし、攻撃魔法は習得していないとも言っていた気がする。
なんでも出来るニールと違い、王家の血筋を引く女性は国の結界の守りに魔力を使うから他の魔法はあまり覚えようとしないのが一般的だったと以前聞いた事がある。
だから例え苦手だとしてもダニエラが治癒魔法を覚えているだけで立派と言えるのかもしれない。
だが結界の守りを王家の女性達が担う必要は無くなったのだから、子供達は好きに魔法を覚えてもいいだろう。
「それはそうだが、おまえ出来ないことを堂々と言うのも」
「……それは、出来ないより出来た方がいいですけれど、人には向き不向きというものがあるのですし……魔法は私……」
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「ダニエラ、私が常にあなたの側にいますから。不安であれば守り石も増やします」
「そ、そうよね。私にはディーンがいるものっ! お兄様、そういうわけですから私は魔法は不得意なままで良いのです」
明らかに気乗りしていないダニエラに寄り添い、主が助け舟を出すと見事なまでに清々しい潔さで不得意なままで良いと言いきった。
「おまえは本当に嫌なことは嫌だと通すんだな」
「……ダニエラ」
「……だって怖いんですもの」
「怖い?」
「魔法を覚えたての頃、私が望んだわけでもないのに魔法が発動したことがあるのをお兄様忘れてしまいました?」
ダニエラは眉尻を下げ、ディーンの腕に自分の腕を絡めながら小声で話し始めた。
「魔法が発動?」
「はい、あれは魔法の属性を習っていた時です。攻撃魔法には火や風等があって……」
「まて、それ以上言わなくて良い」
慌ててニール様がダニエラの言葉を止める。
「ニール兄上?」
「続きは私から話す」
「そうですね、お願いしますお兄様」
ディーンが二人の会話に付いていけずにニール様の名前を呼んでいるのに、それには答えずニール様は話し始めた。
「はあ、そうだ忘れていた。おまえは魔法の講義を受けていて、風の魔法を発動したんだった」
「風の魔法を?」
「そうだ。強い風が吹いて花びらが舞ったら綺麗! 確かそんな様な事を言って、その途端庭に嵐が起きた」
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「つまり、ダニエラは風魔法を使おうとしたわけでもないのに嵐をおこしたのだな」
「くぅちゃん酷いわ。嵐じゃなく風よ」
拗ねながら言うダニエラはマチルディーダの様に愛らしいが、蜘蛛はそれでは誤魔化されない。
『母様、この方主様の伴侶殿だけあって何かおかしいです』
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ダニエラはおかしいのでは無い、危機感が無くて呑気なんだ。
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