176 / 310
番外編
おまけ 愛のかたち16 (蜘蛛視点)
しおりを挟む
「父上殿、過去はもう変えようが無い。ダニエラが今第一王子の妻になっていたらこれ以上不幸な事があるか? 父上殿はそれを回避しようとした。一度目の結婚は王妃からも第一王子からも不幸だと思われる結婚でなければなかったのなら、主の兄は丁度良すぎる相手だった筈だ」
「蜘蛛丁度良いは言い過ぎだ」
父上殿は困った様な顔で蜘蛛を呼んだ。
ダニエラと結婚しなかったら主の兄はロニーの母親を妻に出来たのだろうかと考えて、すぐに否定する。
多分誰と結婚しなくても、あの男は両親を説得しロニーの母を妻にする。なんてことはしなかっただろう。
あの男は自分で動く人間じゃ無かった。
自分の出来が悪いのを他人のせいにして、閑職と言われる様な場所でくすぶっているだけだった。
ただ王都で生活したいというだけで仕事に就いて、ネルツ領に帰らない理由にしていただけだ。
あんな怠惰な男が一時でもダニエラの夫だったのは気分が良く無いが、あの男が主の兄でなければダニエラと主の関係は今の様にはならなかったかもしれないから、そう考えるとこれは神の采配という奴なんだろうか。
蜘蛛は神の教えとは遠いところにいる魔物だが、そうなんだろうか。
でもそうすると、ダニエラが言っていたブレガ侯爵家へダニエラが嫁いだのはどうなんだろう。
夢は所詮夢なのか、でもロニーはマチルディーダーの夫になる為に、ブレガ侯爵の養子になった。
「父上殿、なぜブレガ侯爵なんだ」
「なぜというのは」
「ロニーの養子先だ」
「ブレガ侯爵ならロニーを託しても私達の弱みにはならないと思ったからだ」
弱みにならない。つまり、父上殿はブレガ侯爵を信じているということか。
「それはもし年齢が近かったら、ダニエラを嫁がせた程の信用か」
「……蜘蛛がどうしてそう思ったか分からないが。あの男が死んだ時、ディーンがダニエラの夫になりたいと願わなければ、ブレガ侯爵はダニエラの受け入れ先として考えていた位には信じている」
なんと、それではダニエラの言う通り、あの暑苦しい夫がダニエラの夫になる可能性はあったのか。
「父と娘程度に年齢が離れているぞ」
「あれは妻として預かって欲しいといえば、ダニエラの尊厳を守り大切にしてくれる男だ」
「尊厳を守る。本当の妻にはしないということか」
そこまでの信用があの男にはあるのか、あの暑苦しい男を信用。蜘蛛にはとても出来ないが。
それは本当にダニエラの幸せになるのだろうか。
だが、夢の中のダニエラなら世間の目から夫として父親として自分と娘を守る存在は必要だっただろう。
「ダニエラが生涯結婚せずに屋敷にいても私達は仲良くくらしただろう。だが、陛下はきっとそれを認めないだろうし王妃様にも第一王子にも狙われ続ける。ブレガはああ見えて強い、あの者の娘も同じく強い。王都から遠い場所でダニエラを匿うならあそこは理想的だった」
「そうなのか」
ああ嫌だ。ダニエラの夢は所詮夢だと思いたいのに、父上殿がそれを否定してくる。
主の母親のせいで穢されて、望まぬ子を身ごもったダニエラをブレガ侯爵が父上殿にダニエラを託されて匿う為に夫になった。その道筋が蜘蛛の目にも見えてしまう。
「何を心配している」
「父上殿やニール様の目の届かないところで、主やダニエラが側にいないところでロニーが育っていくのが不安でたまらないのだ」
蜘蛛に食べてと願うダニエラ。
あんな悪夢を現実にしたくない。
ブレガ侯爵と関りを持つのがいいことなのか、蜘蛛には分からない。
「不安ばかりだ、父上殿。第一王子と王子妃の事も、子供達が使ったまじないのことも、ロニーがどう育つかも蜘蛛は不安で仕方が無い」
「まじないは、そうだな」
「ダニエラの血というより主の血なのか、マチルディーダもアデライザも容易くとんでもない事をしてくれる」
だが、アデライザのやらかしのお陰で母上殿は元気になった。
不安はあるが良い事もある。
「ふっ。あれはダニエラの血だ。ディーンは慎重だ。新しい魔法陣を思いついた時は面白くなるが、あれはとても真面目で一途で本当にいい子だ」
「主を息子と思ってくれるか」
そう思って欲しい。主を大切に思って欲しい。
それは蜘蛛の願いだ。
「思っているよ。ディーンがダニエラの夫になりたいと願ったとニールに聞いた時私がどれだけ嬉しかったか分かるかい、蜘蛛」
「父上殿は嬉しいと思ってくれたのか」
「勿論だ。ディーンが良い子だと知っていたからね。義理の息子になってくれてとても嬉しいよ。お陰で可愛い孫にも会えたからね」
父上殿は目を細めて蜘蛛にそう言ってくれた。
蜘蛛はそれが嬉しくてたまらない。
「父上殿、蜘蛛は魔物だ。主とダニエラの命が尽きてもその先も蜘蛛は生き続けるだろう。その時はマチルディーダの使役獣になってウィンストン家とネルツ家を守る。マチルディーダの命が尽きたら、その子か孫の使役獣になる。そうしてずっと蜘蛛と蜘蛛の子が守り続けると誓う」
蜘蛛はその為にもっともっと力を付ける。
力を付けて、永遠に大切なものを守り続ける。それは蜘蛛の愛だ。今主に思うと同じ愛を、蜘蛛はずっと抱きながら大切な者を守り続ける。
「蜘蛛ありがとう。私の子供と孫たちをよろしく頼むよ」
「ああ、任された。蜘蛛は絶対に守り続ける」
ダニエラの悪夢を本当にはしない。
蜘蛛はもっともっと強くなって、愛する者を守り続けるんだ。
※※※※※※
愛のかたちはこれでおしまいです。
ちなみに王妃様、瀕死ですがまだ生きてます。
第一王子と王子妃は拘束されてます。この三人がどうなったかは乙女ゲーム編で明らかになるかなあ。
今週ちょっとばたばたしているので、ダニエラ父編は来週からのスタートとなります。
他の作品は何か更新出来たらいいなと思ってます。
「蜘蛛丁度良いは言い過ぎだ」
父上殿は困った様な顔で蜘蛛を呼んだ。
ダニエラと結婚しなかったら主の兄はロニーの母親を妻に出来たのだろうかと考えて、すぐに否定する。
多分誰と結婚しなくても、あの男は両親を説得しロニーの母を妻にする。なんてことはしなかっただろう。
あの男は自分で動く人間じゃ無かった。
自分の出来が悪いのを他人のせいにして、閑職と言われる様な場所でくすぶっているだけだった。
ただ王都で生活したいというだけで仕事に就いて、ネルツ領に帰らない理由にしていただけだ。
あんな怠惰な男が一時でもダニエラの夫だったのは気分が良く無いが、あの男が主の兄でなければダニエラと主の関係は今の様にはならなかったかもしれないから、そう考えるとこれは神の采配という奴なんだろうか。
蜘蛛は神の教えとは遠いところにいる魔物だが、そうなんだろうか。
でもそうすると、ダニエラが言っていたブレガ侯爵家へダニエラが嫁いだのはどうなんだろう。
夢は所詮夢なのか、でもロニーはマチルディーダーの夫になる為に、ブレガ侯爵の養子になった。
「父上殿、なぜブレガ侯爵なんだ」
「なぜというのは」
「ロニーの養子先だ」
「ブレガ侯爵ならロニーを託しても私達の弱みにはならないと思ったからだ」
弱みにならない。つまり、父上殿はブレガ侯爵を信じているということか。
「それはもし年齢が近かったら、ダニエラを嫁がせた程の信用か」
「……蜘蛛がどうしてそう思ったか分からないが。あの男が死んだ時、ディーンがダニエラの夫になりたいと願わなければ、ブレガ侯爵はダニエラの受け入れ先として考えていた位には信じている」
なんと、それではダニエラの言う通り、あの暑苦しい夫がダニエラの夫になる可能性はあったのか。
「父と娘程度に年齢が離れているぞ」
「あれは妻として預かって欲しいといえば、ダニエラの尊厳を守り大切にしてくれる男だ」
「尊厳を守る。本当の妻にはしないということか」
そこまでの信用があの男にはあるのか、あの暑苦しい男を信用。蜘蛛にはとても出来ないが。
それは本当にダニエラの幸せになるのだろうか。
だが、夢の中のダニエラなら世間の目から夫として父親として自分と娘を守る存在は必要だっただろう。
「ダニエラが生涯結婚せずに屋敷にいても私達は仲良くくらしただろう。だが、陛下はきっとそれを認めないだろうし王妃様にも第一王子にも狙われ続ける。ブレガはああ見えて強い、あの者の娘も同じく強い。王都から遠い場所でダニエラを匿うならあそこは理想的だった」
「そうなのか」
ああ嫌だ。ダニエラの夢は所詮夢だと思いたいのに、父上殿がそれを否定してくる。
主の母親のせいで穢されて、望まぬ子を身ごもったダニエラをブレガ侯爵が父上殿にダニエラを託されて匿う為に夫になった。その道筋が蜘蛛の目にも見えてしまう。
「何を心配している」
「父上殿やニール様の目の届かないところで、主やダニエラが側にいないところでロニーが育っていくのが不安でたまらないのだ」
蜘蛛に食べてと願うダニエラ。
あんな悪夢を現実にしたくない。
ブレガ侯爵と関りを持つのがいいことなのか、蜘蛛には分からない。
「不安ばかりだ、父上殿。第一王子と王子妃の事も、子供達が使ったまじないのことも、ロニーがどう育つかも蜘蛛は不安で仕方が無い」
「まじないは、そうだな」
「ダニエラの血というより主の血なのか、マチルディーダもアデライザも容易くとんでもない事をしてくれる」
だが、アデライザのやらかしのお陰で母上殿は元気になった。
不安はあるが良い事もある。
「ふっ。あれはダニエラの血だ。ディーンは慎重だ。新しい魔法陣を思いついた時は面白くなるが、あれはとても真面目で一途で本当にいい子だ」
「主を息子と思ってくれるか」
そう思って欲しい。主を大切に思って欲しい。
それは蜘蛛の願いだ。
「思っているよ。ディーンがダニエラの夫になりたいと願ったとニールに聞いた時私がどれだけ嬉しかったか分かるかい、蜘蛛」
「父上殿は嬉しいと思ってくれたのか」
「勿論だ。ディーンが良い子だと知っていたからね。義理の息子になってくれてとても嬉しいよ。お陰で可愛い孫にも会えたからね」
父上殿は目を細めて蜘蛛にそう言ってくれた。
蜘蛛はそれが嬉しくてたまらない。
「父上殿、蜘蛛は魔物だ。主とダニエラの命が尽きてもその先も蜘蛛は生き続けるだろう。その時はマチルディーダの使役獣になってウィンストン家とネルツ家を守る。マチルディーダの命が尽きたら、その子か孫の使役獣になる。そうしてずっと蜘蛛と蜘蛛の子が守り続けると誓う」
蜘蛛はその為にもっともっと力を付ける。
力を付けて、永遠に大切なものを守り続ける。それは蜘蛛の愛だ。今主に思うと同じ愛を、蜘蛛はずっと抱きながら大切な者を守り続ける。
「蜘蛛ありがとう。私の子供と孫たちをよろしく頼むよ」
「ああ、任された。蜘蛛は絶対に守り続ける」
ダニエラの悪夢を本当にはしない。
蜘蛛はもっともっと強くなって、愛する者を守り続けるんだ。
※※※※※※
愛のかたちはこれでおしまいです。
ちなみに王妃様、瀕死ですがまだ生きてます。
第一王子と王子妃は拘束されてます。この三人がどうなったかは乙女ゲーム編で明らかになるかなあ。
今週ちょっとばたばたしているので、ダニエラ父編は来週からのスタートとなります。
他の作品は何か更新出来たらいいなと思ってます。
115
あなたにおすすめの小説
前世の記憶しかない元侯爵令嬢は、訳あり大公殿下のお気に入り。(注:期間限定)
miy
恋愛
(※長編なため、少しネタバレを含みます)
ある日目覚めたら、そこは見たことも聞いたこともない…異国でした。
ここは、どうやら転生後の人生。
私は大貴族の令嬢レティシア17歳…らしいのですが…全く記憶にございません。
有り難いことに言葉は理解できるし、読み書きも問題なし。
でも、見知らぬ世界で貴族生活?いやいや…私は平凡な日本人のようですよ?…無理です。
“前世の記憶”として目覚めた私は、現世の“レティシアの身体”で…静かな庶民生活を始める。
そんな私の前に、一人の貴族男性が現れた。
ちょっと?訳ありな彼が、私を…自分の『唯一の女性』であると誤解してしまったことから、庶民生活が一変してしまう。
高い身分の彼に関わってしまった私は、元いた国を飛び出して魔法の国で暮らすことになるのです。
大公殿下、大魔術師、聖女や神獣…等など…いろんな人との出会いを経て『レティシア』が自分らしく生きていく。
という、少々…長いお話です。
鈍感なレティシアが、大公殿下からの熱い眼差しに気付くのはいつなのでしょうか…?
※安定のご都合主義、独自の世界観です。お許し下さい。
※ストーリーの進度は遅めかと思われます。
※現在、不定期にて公開中です。よろしくお願い致します。
公開予定日を最新話に記載しておりますが、長期休載の場合はこちらでもお知らせをさせて頂きます。
※ド素人の書いた3作目です。まだまだ優しい目で見て頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。
※初公開から2年が過ぎました。少しでも良い作品に、読みやすく…と、時間があれば順次手直し(改稿)をしていく予定でおります。(現在、146話辺りまで手直し作業中)
※章の区切りを変更致しました。(9/22更新)
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
魅了魔法…?それで相思相愛ならいいんじゃないんですか。
iBuKi
恋愛
サフィリーン・ル・オルペウスである私がこの世界に誕生した瞬間から決まっていた既定路線。
クロード・レイ・インフェリア、大国インフェリア皇国の第一皇子といずれ婚約が結ばれること。
皇妃で将来の皇后でなんて、めっちゃくちゃ荷が重い。
こういう幼い頃に結ばれた物語にありがちなトラブル……ありそう。
私のこと気に入らないとか……ありそう?
ところが、完璧な皇子様に婚約者に決定した瞬間から溺愛され続け、蜂蜜漬けにされていたけれど――
絆されていたのに。
ミイラ取りはミイラなの? 気付いたら、皇子の隣には子爵令嬢が居て。
――魅了魔法ですか…。
国家転覆とか、王権強奪とか、大変な事は絡んでないんですよね?
いろいろ探ってましたけど、どうなったのでしょう。
――考えることに、何だか疲れちゃったサフィリーン。
第一皇子とその方が相思相愛なら、魅了でも何でもいいんじゃないんですか?
サクッと婚約解消のち、私はしばらく領地で静養しておきますね。
✂----------------------------
不定期更新です。
他サイトさまでも投稿しています。
10/09 あらすじを書き直し、付け足し?しました。
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
【完結】あなたの『番』は埋葬されました。
月白ヤトヒコ
恋愛
道を歩いていたら、いきなり見知らぬ男にぐいっと強く腕を掴まれました。
「ああ、漸く見付けた。愛しい俺の番」
なにやら、どこぞの物語のようなことをのたまっています。正気で言っているのでしょうか?
「はあ? 勘違いではありませんか? 気のせいとか」
そうでなければ――――
「違うっ!? 俺が番を間違うワケがない! 君から漂って来るいい匂いがその証拠だっ!」
男は、わたしの言葉を強く否定します。
「匂い、ですか……それこそ、勘違いでは? ほら、誰かからの移り香という可能性もあります」
否定はしたのですが、男はわたしのことを『番』だと言って聞きません。
「番という素晴らしい存在を感知できない憐れな種族。しかし、俺の番となったからには、そのような憐れさとは無縁だ。これから、たっぷり愛し合おう」
「お断りします」
この男の愛など、わたしは必要としていません。
そう断っても、彼は聞いてくれません。
だから――――実験を、してみることにしました。
一月後。もう一度彼と会うと、彼はわたしのことを『番』だとは認識していないようでした。
「貴様っ、俺の番であることを偽っていたのかっ!?」
そう怒声を上げる彼へ、わたしは告げました。
「あなたの『番』は埋葬されました」、と。
設定はふわっと。
死に戻ったら、私だけ幼児化していた件について
えくれあ
恋愛
セラフィーナは6歳の時に王太子となるアルバートとの婚約が決まって以降、ずっと王家のために身を粉にして努力を続けてきたつもりだった。
しかしながら、いつしか悪女と呼ばれるようになり、18歳の時にアルバートから婚約解消を告げられてしまう。
その後、死を迎えたはずのセラフィーナは、目を覚ますと2年前に戻っていた。だが、周囲の人間はセラフィーナが死ぬ2年前の姿と相違ないのに、セラフィーナだけは同じ年齢だったはずのアルバートより10歳も幼い6歳の姿だった。
死を迎える前と同じこともあれば、年齢が異なるが故に違うこともある。
戸惑いを覚えながらも、死んでしまったためにできなかったことを今度こそ、とセラフィーナは心に誓うのだった。
転生皇女はフライパンで生き延びる
渡里あずま
恋愛
平民の母から生まれた皇女・クララベル。
使用人として生きてきた彼女だったが、蛮族との戦に勝利した辺境伯・ウィラードに下賜されることになった。
……だが、クララベルは五歳の時に思い出していた。
自分は家族に恵まれずに死んだ日本人で、ここはウィラードを主人公にした小説の世界だと。
そして自分は、父である皇帝の差し金でウィラードの弱みを握る為に殺され、小説冒頭で死体として登場するのだと。
「大丈夫。何回も、シミュレーションしてきたわ……絶対に、生き残る。そして本当に、辺境伯に嫁ぐわよ!」
※※※
死にかけて、辛い前世と殺されることを思い出した主人公が、生き延びて幸せになろうとする話。
※重複投稿作品※
【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~
魯恒凛
恋愛
地味で気弱なクラリスは夫とは結婚して二年経つのにいまだに触れられることもなく、会話もない。伯爵夫人とは思えないほど使用人たちにいびられ冷遇される日々。魔獣騎士として人気の高い夫と国民の妹として愛される王女の仲を引き裂いたとして、巷では悪女クラリスへの風当たりがきついのだ。
ある日前世の記憶が甦ったクラリスは悟る。若いクラリスにこんな状況はもったいない。白い結婚を理由に円満離婚をして、夫には王女と幸せになってもらおうと決意する。そして、離婚後は田舎でもふもふカフェを開こうと……!
そのためにこっそり仕事を始めたものの、ひょんなことから夫と友達に!?
「好きな相手とどうやったらうまくいくか教えてほしい」
初恋だった夫。胸が痛むけど、お互いの幸せのために王女との仲を応援することに。
でもなんだか様子がおかしくて……?
不器用で一途な夫と前世の記憶が甦ったサバサバ妻の、すれ違い両片思いのラブコメディ。
※5/19〜5/21 HOTランキング1位!たくさんの方にお読みいただきありがとうございます
※他サイトでも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる