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番外編
兄の寵愛弟の思惑88
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「彼女が生まれた時『皇女を超える魔法使いになる者よ、欲に溺れず自分を律しよ』と占いに出ました」
「皇女を超える魔法使い」
私の『対処しなかった?』の問いに、ジョバンニ叔父上は答えずに話す。
彼女というのは、エマニュエラの母親こことだろう、そして占いの結果の皇女というのは、守りの魔法陣を作った人のことだ。
この国で、皇女の名前は誰も言わない。
嫁いで王太子妃になり、王妃になっても彼女は皇女であることを望みそうあり続けた。そう王家の歴史書には記載されているからだ。皇女の夫との仲が悪かったわけではないと思う、二人の子の数は王家の長い歴史の中でも一番多い。子が多いから仲が良好だったとはいえないだろうが、この時の王は敬虔なシード神の信者で帝国はシード神の妻も娘とも言われている女神マルガレーテだ。
女神マルガレーテは愛を司る神様で純愛を尊ぶといわれているし、シード神の教えでも一夫一婦制を最良としているから、その教えを信じ頑なに守っていたらしい王が皇女以外と子を儲けるとは思えない。
そもそも皇女はこの国と夫を大切に思っていたからこそ、守りの魔法陣を作ったのだから仲が悪かったとは思えないのに、どうして皇女であり続けようと考えたのか、私の様な凡人には分からない。
「彼女はエマニュエラ以上に魔法について才能があったし、本人も貪欲に魔法と魔法陣の研究を行っていました。寝食を忘れる程に熱心に」
ジョバンニ叔父上がエマニュエラの母親を名前で呼ばず彼女と言うのは、彼女が己の罪により死後体を焼かれただけでなく名も奪われたからだ。
シード神や女神マルガレーテの教えでは、体を焼かれた者は罪を犯した者とされ死後誰もが迎え入れられるという神の園に辿り着けないと言われている。
遺体を清め神官により魂送りをされるのが理想だが、旅の途中等の不慮の事故で亡くなった場合でも遺体を焼くのではなくその場で地中深く埋めるか、それすら出来ぬなら野晒しにする方を選ぶらしい。
敬虔な信者程、遺体が焼かれるのを恐れるし、馬鹿らしい話だが火事で焼死するのを神の罰だというものすら存在すると聞く。
名前を奪われるのも、神の罰の一つとされている。
名前というものは、人が生まれて初めて贈られる大切な神の贈り物と言われているからだ。
エマニュエラの母親は、名を奪われた上遺体を焼かれたのだから、彼女の罪はそれだけ重いと判断されたのだ。
「それだけの才能があったのですか」
なぜエマニュエラの母親が複雑な守りの魔法陣を書き変えられたのか、魔力が多いだけではなくそもそもの実力があったのはおじい様から聞いていたけれど、皇女を超えると言われる程とは思わなかった。
「彼女はエマニュエラ以上に自分の欲に忠実で、遠慮が無かった。生まれた時の占いを彼女は聞かされていて、皇女を超える魔法使いになる者という占い結果を歪んで理解し、皇女を超えるのだから自分は王妃になるのだと、なぜか思い込んだのです。そして当時まだ王太子になっていなかった兄上に懸想した」
「でも父上は母上を選んだ」
確かおじい様は、「残虐で利己的過ぎる性格は王妃の器ではないと余も息子も判断した」と仰っていた。
いくら素晴らしい魔法使いでも、どれだけ優秀でも選べない程に、彼女の性質は悪すぎたのだ。
「兄上は、自分の婚約者を早々に決めました。私も他の弟も彼女を選ぶ者はいなかった。それでも彼女は自分こそが王妃になるのだといわんばかりの行動を取っていた」
「誰も選ばなかったのに?」
ということは、皆が婚約を決めていても尚王妃になれると信じていたのか。
「彼女にとって兄上以外はどうでもいい存在でした、王太子だからなのか、もし兄上が王位を継ぐ者でなくても良かったのか分かりませんが、兄上だけが彼女のすべてだった」
唯一無二の存在と言いながら、彼女は父上に選ばれず。その腹いせなのかジョバンニ叔父上の子を宿した。
彼女はエマニュエラを産む前に守りの魔方陣を書き換えて、自分を王妃とし自分の死後は腹の中のエマニュエラが王妃だとしたのだ。
「皇女を超える魔法使い」
私の『対処しなかった?』の問いに、ジョバンニ叔父上は答えずに話す。
彼女というのは、エマニュエラの母親こことだろう、そして占いの結果の皇女というのは、守りの魔法陣を作った人のことだ。
この国で、皇女の名前は誰も言わない。
嫁いで王太子妃になり、王妃になっても彼女は皇女であることを望みそうあり続けた。そう王家の歴史書には記載されているからだ。皇女の夫との仲が悪かったわけではないと思う、二人の子の数は王家の長い歴史の中でも一番多い。子が多いから仲が良好だったとはいえないだろうが、この時の王は敬虔なシード神の信者で帝国はシード神の妻も娘とも言われている女神マルガレーテだ。
女神マルガレーテは愛を司る神様で純愛を尊ぶといわれているし、シード神の教えでも一夫一婦制を最良としているから、その教えを信じ頑なに守っていたらしい王が皇女以外と子を儲けるとは思えない。
そもそも皇女はこの国と夫を大切に思っていたからこそ、守りの魔法陣を作ったのだから仲が悪かったとは思えないのに、どうして皇女であり続けようと考えたのか、私の様な凡人には分からない。
「彼女はエマニュエラ以上に魔法について才能があったし、本人も貪欲に魔法と魔法陣の研究を行っていました。寝食を忘れる程に熱心に」
ジョバンニ叔父上がエマニュエラの母親を名前で呼ばず彼女と言うのは、彼女が己の罪により死後体を焼かれただけでなく名も奪われたからだ。
シード神や女神マルガレーテの教えでは、体を焼かれた者は罪を犯した者とされ死後誰もが迎え入れられるという神の園に辿り着けないと言われている。
遺体を清め神官により魂送りをされるのが理想だが、旅の途中等の不慮の事故で亡くなった場合でも遺体を焼くのではなくその場で地中深く埋めるか、それすら出来ぬなら野晒しにする方を選ぶらしい。
敬虔な信者程、遺体が焼かれるのを恐れるし、馬鹿らしい話だが火事で焼死するのを神の罰だというものすら存在すると聞く。
名前を奪われるのも、神の罰の一つとされている。
名前というものは、人が生まれて初めて贈られる大切な神の贈り物と言われているからだ。
エマニュエラの母親は、名を奪われた上遺体を焼かれたのだから、彼女の罪はそれだけ重いと判断されたのだ。
「それだけの才能があったのですか」
なぜエマニュエラの母親が複雑な守りの魔法陣を書き変えられたのか、魔力が多いだけではなくそもそもの実力があったのはおじい様から聞いていたけれど、皇女を超えると言われる程とは思わなかった。
「彼女はエマニュエラ以上に自分の欲に忠実で、遠慮が無かった。生まれた時の占いを彼女は聞かされていて、皇女を超える魔法使いになる者という占い結果を歪んで理解し、皇女を超えるのだから自分は王妃になるのだと、なぜか思い込んだのです。そして当時まだ王太子になっていなかった兄上に懸想した」
「でも父上は母上を選んだ」
確かおじい様は、「残虐で利己的過ぎる性格は王妃の器ではないと余も息子も判断した」と仰っていた。
いくら素晴らしい魔法使いでも、どれだけ優秀でも選べない程に、彼女の性質は悪すぎたのだ。
「兄上は、自分の婚約者を早々に決めました。私も他の弟も彼女を選ぶ者はいなかった。それでも彼女は自分こそが王妃になるのだといわんばかりの行動を取っていた」
「誰も選ばなかったのに?」
ということは、皆が婚約を決めていても尚王妃になれると信じていたのか。
「彼女にとって兄上以外はどうでもいい存在でした、王太子だからなのか、もし兄上が王位を継ぐ者でなくても良かったのか分かりませんが、兄上だけが彼女のすべてだった」
唯一無二の存在と言いながら、彼女は父上に選ばれず。その腹いせなのかジョバンニ叔父上の子を宿した。
彼女はエマニュエラを産む前に守りの魔方陣を書き換えて、自分を王妃とし自分の死後は腹の中のエマニュエラが王妃だとしたのだ。
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