【本編完結済】夫が亡くなって、私は義母になりました

木嶋うめ香

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番外編

兄の寵愛弟の思惑87

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「第二王子殿下の五歳と七歳の占いの結果をお話する前に、王太子殿下の成人の祝いの際に占術師が占った結果をお話します。お聞きになっていませんよね」
「ええ。占いの結果を知るのは本人と親だけだと聞いていますから、兄上から聞いた事も私が話したこともありません」

 それなのに私はすでにエマニュエラの結果を聞いている。

「王太子殿下の他の占いは私から申し上げることはありません。もしこれからお話することで気になるのであれば直接王太子殿下にお尋ねください」
「分かりました。成人の占いは本人が何を占って欲しいか決められるのでしたね」
「ええ、生まれた時はその者の運命または、将来を良いものにするにはどうしたらいいか等、人生に対する助言の様なものを占術師から伝えられ、五歳と七歳は親が占う内容を決め、成人の時は本人が決めるのが基本です。五歳と七歳の占いを本人にいつ伝えるかを決めるのは親ですが、私はボナクララとエマニュエラどちらにもすべての占い結果を教えていません」

 それは、エマニュエラの占い結果があまりに酷い内容だからだろうか、つい眉をひそめながら考えてしまうが、それでエマニュエラは納得しているのだろうか。

「占術師について、そもそもエマニュエラは知りません。殿下は公爵家の人間全員が占いを行うと思われているかと思いますが、実際には生まれた時占術師が占い結果を伝えてもらえた者がその後も占いをしてもらえるのですよ」
「知りませんでした」
「王子、王女はほぼ全員占い結果を伝えられていますが、……これは私の考えなのですが、早世した者は占術者が占い結果を伝えていないのではないかと」

 それはつまり、生まれた時点で占術者はいつその者が亡くなるのか分かっているということなのだろうか。
 それが本当なら、なんという能力だろう。
 さすが、この国が出来たころから生きていると言われるだけある。

「つまりジョバンニ叔父上は、占術者は占い対象がどの様に生涯を生き終えるのか見えていると?」
「ええ」
「そこまでの能力を持っているなら、どうして」
「私がエマニュエラの母にしてやられたのか、ですか?」

 笑ったのか怒ったのか分からない、そんな表情をジョバンニ叔父上は浮かべながら髪を掻きあげる。
 父上と違い、ジョバンニ叔父上は普段前髪を下ろしていることが多いが、額を出すとやはり兄弟だけあって父上に良く似ている。
 緩く波打つ髪を前髪は肩に掛かる程の長さまで伸ばし、それ以外は背中を覆う程にしている。
 いつもはすべて一つにまとめて髪紐で結っているが、今日は珍しくおろしている。

「いえ、その……はい」
「あなたは素直な方だ。王太子殿下があなたがそうなる様に周囲を囲んだ結果なのでしょうが、いいえ私もそうだったのですよ。私は周囲に守られた日常が当たり前だと信じる甘い王子だった」

 素直、ジョバンニ叔父上は私をそう言った。
 それは多分いい意味ではない、トニエがたまに呆れている様にこの国の王侯貴族はどこか呑気なのだ。
 皇女の作った守りの魔法陣のお陰で、他国からの侵略も強い魔物の害も殆どない。
 魔法陣のお陰か分からないが、大きな災害も殆ど経験がないし天候による不作も平民が飢えて死ぬほどになったことがないせいもあるだろうし、王位継承の争いが無いというのも大きいのかもしれない。

「甘い王子ですか」
「ええ、自覚はありますか」
「友人に、他国からの留学生ですが呑気だと呆れられています」
「それを本人に言うとは、中々肝が据わっていますね」

 くすりと今度は本当に笑いながら、ジョバンニ叔父上は「でも良い友人ですね」と褒めた。

「ええ、とても。兄上にも同じ態度を取るので心配になりますが、兄上は許していますね」
「何と王太子殿下にまで、それは肝が据わるというより無謀ですね」
「無謀、いえ多分良く人を見ているのかと。加減を分かっているのだと思います。他国の人間ですから王家の人間に対する盲目的な思いもない」

 エベラルドやテレンス、護衛のロイや従者のレモ達とトニエではだいぶ私への対応が違う、何と言えばいいのか悩むが暑苦しさがない。

「なるほど。他国……そこが大きいのかもしれませんね」
「どういうことです?」
「先程執着の話をしましたが、守りの魔法陣の影響をその友人は受けていないのでしょう」

 それはつまりどういうことなのだろう。

「エマニュエラの母親の行いを何故止められなかったか、占術師はすべてを見通すのにと殿下は疑問を覚えていらっしゃいますね」
「え、はい」
「占術師は彼女が生んだ子が国の守りを変えるっ切っ掛けになる。と、彼女の成人の時に彼女でも彼女の親でもなく陛下、私の父に告げました」
「それでは分かっていて、対処しなかった?」

 でも、私が夢とシード神の園の境目で会ったおじい様は後悔している様に見えたのに、実際には違っていたのだろうか。
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