281 / 310
番外編
兄の寵愛弟の思惑103
しおりを挟む
「まあボナクララ、お茶会用夜会用どちらも五着は追加しなければいけないわ。あなた達はまだ成人前だから夜会よりお茶会の招待の方が増えるかもしれないから、お茶会用のドレスの方はいっそ十着程増やした方がいいかもしれないわね。あら、何かしら騒がしいわね」
ボナクララとマーニ先生の教務室で話をしてから数日後、母上を私の宮に招いてボナクララと三人でお茶を頂いていると、慌ただしくレモが部屋の中に入って来た。
今日の集まりは母上とボナクララに招待状を出し三人でのお茶会としているが、それを知らない兄上が私の宮を訪ねて来てお茶会に参加する予定になっている。
兄上が先触れなしに私の宮にふらりと現れるのは珍しくないから、この企みは不自然ではない。
兄上に招待状を送り、現在王宮に暮らしているエマニュエラに送らないのは支障があるから母上の提案でこの様な形になった。
ボナクララには兄上も参加する事は伝えていない、私の宮の使用人や母上の連れている侍女を疑うわけではないが兄上の姿を見た時にボナクララが驚く様子を彼らに見せた方がいいと考えたのだ。
「どうしたレモ」
「あの、それがサデウス……エマニュエラ・サデウス様がいらっしゃいました」
レモにも兄上のことは伝えていなかったけれど、彼が戸惑った様子で口にしたのは兄上ではなくエマニュエラの名前だった。
「え、エマニュエラ? あの子が何故。デルロイ、彼女が今までこの宮に来たことはあるの?」
「幼い頃も含めて初めてですね。レモ、何か聞いている?」
「それが……」
レモは母上とボナクララの方にちらりと視線を向けた後、「手違いで招待状が届かなかった様だと」と言い難そうに口にする。
「手違いもなにも、デルロイがエマニュエラを呼ぶ理由が無いというのに」
「母上」
「来てしまったものは仕方がないわね。デルロイ、いいかしら?」
母上を招待したのは私でも、ここで一番位が高いのは王妃である母上だから私に決定権はないのだが……と思いながら「仕方ありませんね」と頷く。
「それではすぐに茶器の用意を……」
「まだそれはしなくていいわ。レモ、エマニュエラをここに」
レモが部屋を出てすぐ、私が部屋の中に控えていたメイドに指示を出そうとするのを、母上が扇を指しながら止める。
「母上?」
招かれざる客とはいえ、追い返さないのならば部屋に来る前にもてなしの準備はしなければならないというのに、なぜ止めるのか分からない。
「最初から三人だけだったと、分からせないとね」
これから兄上が来る予定なのを、母上は勿論知っている。
兄上用の茶器は用意していないし、テーブルの上に載っている菓子も兄上の好みのものは置いていない。あくまでも兄上は偶然に私の宮に来て、丁度お茶会をしていた私達に合流したということにしていたから、兄上の好みだと分かるものは出していないのだ。
「失礼いたします。エマニュエラ・サデウス様がいらっしゃいました」
扉を開きレモがそう告げると、強い香水の匂いが私のところに漂ってきた。
母上も気が付いたのだろう、不愉快そうに扇を顔の前に開きながらうんざりした様に息を吐く。その様子に私が思っているよりも母上はエマニュエラを疎ましく思っているのだと気が付いた。
「エマニュエラ、あなたが私の宮まで足を運ぶのは珍しいね」
令嬢のする表情ではないが、エマニュエラは眉間に深く皺を刻みながら部屋の中を見渡している。
エマニュエラが着ているドレスは辛うじて昼間用に見えるが、目が痛くなりそうな程派手なものだし胸元が大きく開いている。王宮で日頃使っている仕立て人もサデウス家で使っている者達もおかしな趣味はしていなかった筈だが、どうやったらこんな下品な物を仕立てられるのだろう。
今までエマニュエラが王宮に来る時、こんなドレスを着ていたことがあっただろうかと記憶を探るけれどその覚えはないから、サデウス家の中で着ていたものなのかもしれない。
「私は優しさから手違いで招待状が届かないのだと言っているというのに。これはボナクララの嫌がらせですの?」
なぜこれがボナクララの嫌がらせになるのか、エマニュエラの思考が良く分からない。
「なぜボナクララの名前が出て来るのか分からないな。今日は婚約披露の準備についてボナクララと共に報告したくて母上をお招きしただけのこと……っ!」
部屋の入口に立ったままのエマニュエラにそう言った途端、エマニュエラがバンッと扇を扉に叩きつけるものだからあまりの暴挙に唖然としてしまう。
「私に恥をかかせるおつもりですか」
「恥? 招かれてもいないのにやってきてその様な振る舞いを見せるのは恥ではないの。エマニュエラ」
呆れたように言う母上にエマニュエラは「私は邪魔だということですか。王妃殿下のお気持ちは良く理解しました。失礼します。邪魔よどきなさい」と捨て台詞を吐くと、扉を抑えながら立っていたレモを押しのけ足音も高く去って行った。
「レモ、怪我はないか。ロイ、エマニュエラを送る必要はないが、宮を出るまで目を離さない様に」
エマニュエラに押しのけられてヨロヨロと床に倒れ込んだレモに近付き声を掛けながら手を差し伸べロイに指示をだすと、レモは「お手をお借りするなど恐れ多い」と言いながら一人で立ち上がり、ロイがエマニュエラの後を追いかける。
「無様な姿を晒してしまい申し訳ございません。王妃殿下、サデウス様お詫び申し上げます」
立ち上がってすぐ母上達に詫びを告げるレモを見ながら、エマニュエラが去っていくのを横目で見送る。
エマニュエラは供も無く一人で歩いて行く、ロイはエマニュエラに追いつかない程度の歩みで歩いて行く。
本人がいないのに強く残る香水の匂いに、私は軽い眩暈を感じ始めていた。
ボナクララとマーニ先生の教務室で話をしてから数日後、母上を私の宮に招いてボナクララと三人でお茶を頂いていると、慌ただしくレモが部屋の中に入って来た。
今日の集まりは母上とボナクララに招待状を出し三人でのお茶会としているが、それを知らない兄上が私の宮を訪ねて来てお茶会に参加する予定になっている。
兄上が先触れなしに私の宮にふらりと現れるのは珍しくないから、この企みは不自然ではない。
兄上に招待状を送り、現在王宮に暮らしているエマニュエラに送らないのは支障があるから母上の提案でこの様な形になった。
ボナクララには兄上も参加する事は伝えていない、私の宮の使用人や母上の連れている侍女を疑うわけではないが兄上の姿を見た時にボナクララが驚く様子を彼らに見せた方がいいと考えたのだ。
「どうしたレモ」
「あの、それがサデウス……エマニュエラ・サデウス様がいらっしゃいました」
レモにも兄上のことは伝えていなかったけれど、彼が戸惑った様子で口にしたのは兄上ではなくエマニュエラの名前だった。
「え、エマニュエラ? あの子が何故。デルロイ、彼女が今までこの宮に来たことはあるの?」
「幼い頃も含めて初めてですね。レモ、何か聞いている?」
「それが……」
レモは母上とボナクララの方にちらりと視線を向けた後、「手違いで招待状が届かなかった様だと」と言い難そうに口にする。
「手違いもなにも、デルロイがエマニュエラを呼ぶ理由が無いというのに」
「母上」
「来てしまったものは仕方がないわね。デルロイ、いいかしら?」
母上を招待したのは私でも、ここで一番位が高いのは王妃である母上だから私に決定権はないのだが……と思いながら「仕方ありませんね」と頷く。
「それではすぐに茶器の用意を……」
「まだそれはしなくていいわ。レモ、エマニュエラをここに」
レモが部屋を出てすぐ、私が部屋の中に控えていたメイドに指示を出そうとするのを、母上が扇を指しながら止める。
「母上?」
招かれざる客とはいえ、追い返さないのならば部屋に来る前にもてなしの準備はしなければならないというのに、なぜ止めるのか分からない。
「最初から三人だけだったと、分からせないとね」
これから兄上が来る予定なのを、母上は勿論知っている。
兄上用の茶器は用意していないし、テーブルの上に載っている菓子も兄上の好みのものは置いていない。あくまでも兄上は偶然に私の宮に来て、丁度お茶会をしていた私達に合流したということにしていたから、兄上の好みだと分かるものは出していないのだ。
「失礼いたします。エマニュエラ・サデウス様がいらっしゃいました」
扉を開きレモがそう告げると、強い香水の匂いが私のところに漂ってきた。
母上も気が付いたのだろう、不愉快そうに扇を顔の前に開きながらうんざりした様に息を吐く。その様子に私が思っているよりも母上はエマニュエラを疎ましく思っているのだと気が付いた。
「エマニュエラ、あなたが私の宮まで足を運ぶのは珍しいね」
令嬢のする表情ではないが、エマニュエラは眉間に深く皺を刻みながら部屋の中を見渡している。
エマニュエラが着ているドレスは辛うじて昼間用に見えるが、目が痛くなりそうな程派手なものだし胸元が大きく開いている。王宮で日頃使っている仕立て人もサデウス家で使っている者達もおかしな趣味はしていなかった筈だが、どうやったらこんな下品な物を仕立てられるのだろう。
今までエマニュエラが王宮に来る時、こんなドレスを着ていたことがあっただろうかと記憶を探るけれどその覚えはないから、サデウス家の中で着ていたものなのかもしれない。
「私は優しさから手違いで招待状が届かないのだと言っているというのに。これはボナクララの嫌がらせですの?」
なぜこれがボナクララの嫌がらせになるのか、エマニュエラの思考が良く分からない。
「なぜボナクララの名前が出て来るのか分からないな。今日は婚約披露の準備についてボナクララと共に報告したくて母上をお招きしただけのこと……っ!」
部屋の入口に立ったままのエマニュエラにそう言った途端、エマニュエラがバンッと扇を扉に叩きつけるものだからあまりの暴挙に唖然としてしまう。
「私に恥をかかせるおつもりですか」
「恥? 招かれてもいないのにやってきてその様な振る舞いを見せるのは恥ではないの。エマニュエラ」
呆れたように言う母上にエマニュエラは「私は邪魔だということですか。王妃殿下のお気持ちは良く理解しました。失礼します。邪魔よどきなさい」と捨て台詞を吐くと、扉を抑えながら立っていたレモを押しのけ足音も高く去って行った。
「レモ、怪我はないか。ロイ、エマニュエラを送る必要はないが、宮を出るまで目を離さない様に」
エマニュエラに押しのけられてヨロヨロと床に倒れ込んだレモに近付き声を掛けながら手を差し伸べロイに指示をだすと、レモは「お手をお借りするなど恐れ多い」と言いながら一人で立ち上がり、ロイがエマニュエラの後を追いかける。
「無様な姿を晒してしまい申し訳ございません。王妃殿下、サデウス様お詫び申し上げます」
立ち上がってすぐ母上達に詫びを告げるレモを見ながら、エマニュエラが去っていくのを横目で見送る。
エマニュエラは供も無く一人で歩いて行く、ロイはエマニュエラに追いつかない程度の歩みで歩いて行く。
本人がいないのに強く残る香水の匂いに、私は軽い眩暈を感じ始めていた。
57
あなたにおすすめの小説
前世の記憶しかない元侯爵令嬢は、訳あり大公殿下のお気に入り。(注:期間限定)
miy
恋愛
(※長編なため、少しネタバレを含みます)
ある日目覚めたら、そこは見たことも聞いたこともない…異国でした。
ここは、どうやら転生後の人生。
私は大貴族の令嬢レティシア17歳…らしいのですが…全く記憶にございません。
有り難いことに言葉は理解できるし、読み書きも問題なし。
でも、見知らぬ世界で貴族生活?いやいや…私は平凡な日本人のようですよ?…無理です。
“前世の記憶”として目覚めた私は、現世の“レティシアの身体”で…静かな庶民生活を始める。
そんな私の前に、一人の貴族男性が現れた。
ちょっと?訳ありな彼が、私を…自分の『唯一の女性』であると誤解してしまったことから、庶民生活が一変してしまう。
高い身分の彼に関わってしまった私は、元いた国を飛び出して魔法の国で暮らすことになるのです。
大公殿下、大魔術師、聖女や神獣…等など…いろんな人との出会いを経て『レティシア』が自分らしく生きていく。
という、少々…長いお話です。
鈍感なレティシアが、大公殿下からの熱い眼差しに気付くのはいつなのでしょうか…?
※安定のご都合主義、独自の世界観です。お許し下さい。
※ストーリーの進度は遅めかと思われます。
※現在、不定期にて公開中です。よろしくお願い致します。
公開予定日を最新話に記載しておりますが、長期休載の場合はこちらでもお知らせをさせて頂きます。
※ド素人の書いた3作目です。まだまだ優しい目で見て頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。
※初公開から2年が過ぎました。少しでも良い作品に、読みやすく…と、時間があれば順次手直し(改稿)をしていく予定でおります。(現在、146話辺りまで手直し作業中)
※章の区切りを変更致しました。(9/22更新)
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
転生したので前世の大切な人に会いに行きます!
本見りん
恋愛
魔法大国と呼ばれるレーベン王国。
家族の中でただ一人弱い治療魔法しか使えなかったセリーナ。ある出来事によりセリーナが王都から離れた領地で暮らす事が決まったその夜、国を揺るがす未曾有の大事件が起きた。
……その時、眠っていた魔法が覚醒し更に自分の前世を思い出し死んですぐに生まれ変わったと気付いたセリーナ。
自分は今の家族に必要とされていない。……それなら、前世の自分の大切な人達に会いに行こう。そうして『少年セリ』として旅に出た。そこで出会った、大切な仲間たち。
……しかし一年後祖国レーベン王国では、セリーナの生死についての議論がされる事態になっていたのである。
『小説家になろう』様にも投稿しています。
『誰もが秘密を持っている 〜『治療魔法』使いセリの事情 転生したので前世の大切な人に会いに行きます!〜』
でしたが、今回は大幅にお直しした改稿版となります。楽しんでいただければ幸いです。
魅了魔法…?それで相思相愛ならいいんじゃないんですか。
iBuKi
恋愛
サフィリーン・ル・オルペウスである私がこの世界に誕生した瞬間から決まっていた既定路線。
クロード・レイ・インフェリア、大国インフェリア皇国の第一皇子といずれ婚約が結ばれること。
皇妃で将来の皇后でなんて、めっちゃくちゃ荷が重い。
こういう幼い頃に結ばれた物語にありがちなトラブル……ありそう。
私のこと気に入らないとか……ありそう?
ところが、完璧な皇子様に婚約者に決定した瞬間から溺愛され続け、蜂蜜漬けにされていたけれど――
絆されていたのに。
ミイラ取りはミイラなの? 気付いたら、皇子の隣には子爵令嬢が居て。
――魅了魔法ですか…。
国家転覆とか、王権強奪とか、大変な事は絡んでないんですよね?
いろいろ探ってましたけど、どうなったのでしょう。
――考えることに、何だか疲れちゃったサフィリーン。
第一皇子とその方が相思相愛なら、魅了でも何でもいいんじゃないんですか?
サクッと婚約解消のち、私はしばらく領地で静養しておきますね。
✂----------------------------
不定期更新です。
他サイトさまでも投稿しています。
10/09 あらすじを書き直し、付け足し?しました。
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
【完結】あなたの『番』は埋葬されました。
月白ヤトヒコ
恋愛
道を歩いていたら、いきなり見知らぬ男にぐいっと強く腕を掴まれました。
「ああ、漸く見付けた。愛しい俺の番」
なにやら、どこぞの物語のようなことをのたまっています。正気で言っているのでしょうか?
「はあ? 勘違いではありませんか? 気のせいとか」
そうでなければ――――
「違うっ!? 俺が番を間違うワケがない! 君から漂って来るいい匂いがその証拠だっ!」
男は、わたしの言葉を強く否定します。
「匂い、ですか……それこそ、勘違いでは? ほら、誰かからの移り香という可能性もあります」
否定はしたのですが、男はわたしのことを『番』だと言って聞きません。
「番という素晴らしい存在を感知できない憐れな種族。しかし、俺の番となったからには、そのような憐れさとは無縁だ。これから、たっぷり愛し合おう」
「お断りします」
この男の愛など、わたしは必要としていません。
そう断っても、彼は聞いてくれません。
だから――――実験を、してみることにしました。
一月後。もう一度彼と会うと、彼はわたしのことを『番』だとは認識していないようでした。
「貴様っ、俺の番であることを偽っていたのかっ!?」
そう怒声を上げる彼へ、わたしは告げました。
「あなたの『番』は埋葬されました」、と。
設定はふわっと。
死に戻ったら、私だけ幼児化していた件について
えくれあ
恋愛
セラフィーナは6歳の時に王太子となるアルバートとの婚約が決まって以降、ずっと王家のために身を粉にして努力を続けてきたつもりだった。
しかしながら、いつしか悪女と呼ばれるようになり、18歳の時にアルバートから婚約解消を告げられてしまう。
その後、死を迎えたはずのセラフィーナは、目を覚ますと2年前に戻っていた。だが、周囲の人間はセラフィーナが死ぬ2年前の姿と相違ないのに、セラフィーナだけは同じ年齢だったはずのアルバートより10歳も幼い6歳の姿だった。
死を迎える前と同じこともあれば、年齢が異なるが故に違うこともある。
戸惑いを覚えながらも、死んでしまったためにできなかったことを今度こそ、とセラフィーナは心に誓うのだった。
転生皇女はフライパンで生き延びる
渡里あずま
恋愛
平民の母から生まれた皇女・クララベル。
使用人として生きてきた彼女だったが、蛮族との戦に勝利した辺境伯・ウィラードに下賜されることになった。
……だが、クララベルは五歳の時に思い出していた。
自分は家族に恵まれずに死んだ日本人で、ここはウィラードを主人公にした小説の世界だと。
そして自分は、父である皇帝の差し金でウィラードの弱みを握る為に殺され、小説冒頭で死体として登場するのだと。
「大丈夫。何回も、シミュレーションしてきたわ……絶対に、生き残る。そして本当に、辺境伯に嫁ぐわよ!」
※※※
死にかけて、辛い前世と殺されることを思い出した主人公が、生き延びて幸せになろうとする話。
※重複投稿作品※
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる