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番外編
書籍化記念 初めてあなたと出会った日に1(ブルーノ視点)
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「おや、ブルーノ・ミケーレ殿、今日は王太子殿下と共に成人祝いの式に出られるのではなかったのですか?」
王宮の王太子殿下の執務室から出て成人祝いの式が開かれる大広間に向かおうと歩いている途中で、同僚に声をかけられ立ち止まる。
顔には出さなさいが、この同僚に今は会いたくなかった。
「はい、これから大広間に向かうところです」
彼が私を見る顔を見たくなくて、視線を合わせないように少し俯きがちに話す。
この国では年の初めにその年に成人する貴族の子どもを王宮に招待し、成人祝いの式典を行う。例年であれば国王陛下が一人一人に挨拶し祝いの言葉を述べているが、今年は国王陛下が隣国の王太子の結婚式に招かれているため王太子殿下が代わりを務めることになった。
私は王太子殿下の側近として式の間後ろに控えている様仰せつかっていた。
気が進まなくても王太子殿下に命令されて断るなんてできないから、父上が着古した礼服を着て大広間に向かうところだった。
「まさかその恰好で宴に出るのですか? おっと失礼。私は王太子殿下から頼まれた大切な仕事があるもので、もし予定が変わってあなたがお暇なら手伝って欲しいと思っていたのですよ。残念です」
薄ら笑いを浮かべながらそう告げる同僚は、私の服装をしげしげと見た後「随分と物を大切にされる方だな」と呟きながら去って行った。
彼は私に聞こえる様に嫌味を言っていたのだ、それに気がついていても情けない恰好をしているのは事実だから言い返せない。
「私だって、着たくて着ているわけではない。父上のお古の礼服なんて、誰が喜んで着るというのだ」
屈辱を忘れようと、首を横に振る。
同僚が去ってしまった廊下は、私以外誰もいない。だから、安心して本心を吐露できた。
私の家ミケーレ伯爵家はとても貧乏で礼服一枚新調できない。
今着ているものは父上が若い頃に着ていたものだから、着古していて私の体形にも合っていない。靴も履き古したものだから、艶もなく細かい傷も多いから馬鹿にされても仕方がない。
「こんな姿で王太子殿下の後ろに立っていなければいけないなんて、拷問を受けているのと同じだ」
王太子殿下の側近は何人もいるから、式典等で王太子殿下に選ばれて彼の後ろに立つのは栄誉なことだ。
でもこんなみすぼらしい姿で王太子殿下の後ろに立ち、人目にさらされ続けなければならないのだから、私には苦痛なだけだ。
「頼めるものなら彼に代わって欲しいっていうのに、そんな気持ち分からないんだろうな」
彼は私と同じ伯爵家の嫡男だが、私の家と違って彼の家はとても裕福らしい。常に新品の様な服を着て、傷一つない靴を履いている。そんな彼には想像もできないだろう、この服は私が持っている服の中でもまともな類だと。
「そんなみすぼらしい恰好でお兄様の後ろに立つつもりなの、ブルーノ」
「本当だといっても、酷いではありませんか」
急に目の前に現れた豪奢なドレスを着た女性に、私は眉をひそめる。
この人はいつも突然私の前に現れる。難しい転移の魔法を簡単に使えるのだ。
濃い化粧に派手な装飾品で飾り立てているこの女性、王女殿下には逆らってはいけない。逆らえばどんな嫌がらせをされるか分からない。
少し機嫌を損ねただけで、彼女が今右手にもっている扇で打たれるかもしれない。いや、扇で打たれる程度なら可愛いものだ、彼女の機嫌を損ねて仕事を首になった者は何人もいる。
「あら、本当のことでしょう。そのリボンよれよれよ」
王女殿下は私の気持ちが分からないのだろう、にやにやと嗤いながら私の後ろを覗き込むと、髪を結っていたリボンをほどいて奪い取ってしまった。
「王女殿下、それをお返し下さい。私はいまから成人の宴に……」
「知っているわ。お兄様の後ろに立つのよね、そのみすぼらしい姿で。礼服ぐらい私が新しいものを用意すると言ったのに。断るから恥ずかしい思いをすることになるのよ」
リボンを取り返そうと王女殿下に手を伸ばすが、簡単に逃げられてしまう。
親しくもない女性から服を贈られるなんて、そんなことを誰かに知られたらあらぬ疑いを持たれてしまうというのに、なぜこの人はそんな簡単な事が分からないのだろう。
「礼服の一枚や二枚を用意することぐらい、私は簡単に出来るのよ。ブルーノが私に願ってくれたらすぐに叶えてあげるわ」
すっと私に近付き、王女殿下は扇の先で私の頬を撫でる。
王女殿下お気に入りの香水が私に移りそうな程の距離に、私は恐ろしくなって後ろに飛び退く。こんなに近付いているところを誰かに見られたら何を言われるか分からない。
「王女殿下にねだるような真似、出来るはずがありません」
「他の者ならそんな図々しいおねだりは許さないわ。でも、お前ならいいのよ。……でもお前は小心者、おねだりなんてできないわね。ブルーノ」
言いながら王女殿下は私を壁際に追い詰め、両手を伸ばし私の髪を掴んだ。
私の首の後ろに伸ばされた手、吐息がかかりそうな程の距離に息を飲む。
「お、お許しください」
こんな状態を誰かに見られたら、そう思うと生きた心地がしない。
王女殿下の傍若無人振りは広く知られているし、礼儀作法や男女の適切な距離を全く気にしない人だということも同様に知られているけれど、それでも私はこんな風にふざけられるのは嫌だった。
誰にも話したことはないけれど、私は唯一の相手との恋愛を願っている。物語の恋人たちのように運命の出会いをして互いに惹かれ合う。
互いを想い、互いだけを愛し結ばれる。贅沢は出来なくても愛し愛されたい、そう願っているんだ。
「髪が伸びたわね、そのまま伸ばしなさい。切るのは許さないわ」
口付けししそうな程の近さに逃げようとするけれど、王女殿下の鋭い眼差しに体が動かなくなる。
私が髪を伸ばしているのは王女殿下の命令だった。短い髪は似合わないから伸ばせと言われて、何年もそうしている。
だけど、それは命令に従っているだけだ。王女殿下を想っているから彼女の好みに合わせたいわけではない。
「良く似あうわ。私の好きな赤い色」
「え。これは」
何をされたのか分からず首筋に手を伸ばすと、髪が何かで結われていると気が付いた。
茫然としている私を満足そうに見つめながら王女殿下は、私のリボンを右手に持ち「これはまじないの対価として貰うわ」と言い放った。
「まじないの対価?」
戸惑う私は、王女殿下が持っているリボンから視線が外せない。
まじないとはどういう意味だろう、王女殿下が何をしたのか分からない。
「お前のそのみすぼらしい姿を一時的に変えてあげたの。まじないの効果は一刻半といったところかしら、その間は服も靴も新品同様よ。自分を見てごらんなさい」
「本当だ」
「流行遅れはどうしようもないけれどね。それは我慢なさい」
王女殿下の言葉に下を向くと視界に入った傷一つない靴に、今さっき仕立てたばかりと言われても信じてしまいそうな礼服だった。ほころびひとつ、皺ひとつ見つからないのが信じられなくて、思わず両手であちこち触れてしまう。
「なぜこんな」
「王太子殿下の後ろに立つ者がそんなみすぼらしい姿をしていたら、お兄様が恥をかくわ」
「そうですね。私は……側近として恥ずかしい」
綺麗な服と靴に浮上した気持ちは、王女殿下の言葉で元に戻ってしまう。
自分では新しい服や靴を用意出来なかったのだから、みすぼらしいと言われても反論出来なかった。
「胸を張ってお兄様の後ろに立ちなさい。ブルーノ」
「ありがとうございます」
王女殿下の言葉に肩を落としながら礼を言うと、王女殿下は一瞬で姿を消したんだ。
王宮の王太子殿下の執務室から出て成人祝いの式が開かれる大広間に向かおうと歩いている途中で、同僚に声をかけられ立ち止まる。
顔には出さなさいが、この同僚に今は会いたくなかった。
「はい、これから大広間に向かうところです」
彼が私を見る顔を見たくなくて、視線を合わせないように少し俯きがちに話す。
この国では年の初めにその年に成人する貴族の子どもを王宮に招待し、成人祝いの式典を行う。例年であれば国王陛下が一人一人に挨拶し祝いの言葉を述べているが、今年は国王陛下が隣国の王太子の結婚式に招かれているため王太子殿下が代わりを務めることになった。
私は王太子殿下の側近として式の間後ろに控えている様仰せつかっていた。
気が進まなくても王太子殿下に命令されて断るなんてできないから、父上が着古した礼服を着て大広間に向かうところだった。
「まさかその恰好で宴に出るのですか? おっと失礼。私は王太子殿下から頼まれた大切な仕事があるもので、もし予定が変わってあなたがお暇なら手伝って欲しいと思っていたのですよ。残念です」
薄ら笑いを浮かべながらそう告げる同僚は、私の服装をしげしげと見た後「随分と物を大切にされる方だな」と呟きながら去って行った。
彼は私に聞こえる様に嫌味を言っていたのだ、それに気がついていても情けない恰好をしているのは事実だから言い返せない。
「私だって、着たくて着ているわけではない。父上のお古の礼服なんて、誰が喜んで着るというのだ」
屈辱を忘れようと、首を横に振る。
同僚が去ってしまった廊下は、私以外誰もいない。だから、安心して本心を吐露できた。
私の家ミケーレ伯爵家はとても貧乏で礼服一枚新調できない。
今着ているものは父上が若い頃に着ていたものだから、着古していて私の体形にも合っていない。靴も履き古したものだから、艶もなく細かい傷も多いから馬鹿にされても仕方がない。
「こんな姿で王太子殿下の後ろに立っていなければいけないなんて、拷問を受けているのと同じだ」
王太子殿下の側近は何人もいるから、式典等で王太子殿下に選ばれて彼の後ろに立つのは栄誉なことだ。
でもこんなみすぼらしい姿で王太子殿下の後ろに立ち、人目にさらされ続けなければならないのだから、私には苦痛なだけだ。
「頼めるものなら彼に代わって欲しいっていうのに、そんな気持ち分からないんだろうな」
彼は私と同じ伯爵家の嫡男だが、私の家と違って彼の家はとても裕福らしい。常に新品の様な服を着て、傷一つない靴を履いている。そんな彼には想像もできないだろう、この服は私が持っている服の中でもまともな類だと。
「そんなみすぼらしい恰好でお兄様の後ろに立つつもりなの、ブルーノ」
「本当だといっても、酷いではありませんか」
急に目の前に現れた豪奢なドレスを着た女性に、私は眉をひそめる。
この人はいつも突然私の前に現れる。難しい転移の魔法を簡単に使えるのだ。
濃い化粧に派手な装飾品で飾り立てているこの女性、王女殿下には逆らってはいけない。逆らえばどんな嫌がらせをされるか分からない。
少し機嫌を損ねただけで、彼女が今右手にもっている扇で打たれるかもしれない。いや、扇で打たれる程度なら可愛いものだ、彼女の機嫌を損ねて仕事を首になった者は何人もいる。
「あら、本当のことでしょう。そのリボンよれよれよ」
王女殿下は私の気持ちが分からないのだろう、にやにやと嗤いながら私の後ろを覗き込むと、髪を結っていたリボンをほどいて奪い取ってしまった。
「王女殿下、それをお返し下さい。私はいまから成人の宴に……」
「知っているわ。お兄様の後ろに立つのよね、そのみすぼらしい姿で。礼服ぐらい私が新しいものを用意すると言ったのに。断るから恥ずかしい思いをすることになるのよ」
リボンを取り返そうと王女殿下に手を伸ばすが、簡単に逃げられてしまう。
親しくもない女性から服を贈られるなんて、そんなことを誰かに知られたらあらぬ疑いを持たれてしまうというのに、なぜこの人はそんな簡単な事が分からないのだろう。
「礼服の一枚や二枚を用意することぐらい、私は簡単に出来るのよ。ブルーノが私に願ってくれたらすぐに叶えてあげるわ」
すっと私に近付き、王女殿下は扇の先で私の頬を撫でる。
王女殿下お気に入りの香水が私に移りそうな程の距離に、私は恐ろしくなって後ろに飛び退く。こんなに近付いているところを誰かに見られたら何を言われるか分からない。
「王女殿下にねだるような真似、出来るはずがありません」
「他の者ならそんな図々しいおねだりは許さないわ。でも、お前ならいいのよ。……でもお前は小心者、おねだりなんてできないわね。ブルーノ」
言いながら王女殿下は私を壁際に追い詰め、両手を伸ばし私の髪を掴んだ。
私の首の後ろに伸ばされた手、吐息がかかりそうな程の距離に息を飲む。
「お、お許しください」
こんな状態を誰かに見られたら、そう思うと生きた心地がしない。
王女殿下の傍若無人振りは広く知られているし、礼儀作法や男女の適切な距離を全く気にしない人だということも同様に知られているけれど、それでも私はこんな風にふざけられるのは嫌だった。
誰にも話したことはないけれど、私は唯一の相手との恋愛を願っている。物語の恋人たちのように運命の出会いをして互いに惹かれ合う。
互いを想い、互いだけを愛し結ばれる。贅沢は出来なくても愛し愛されたい、そう願っているんだ。
「髪が伸びたわね、そのまま伸ばしなさい。切るのは許さないわ」
口付けししそうな程の近さに逃げようとするけれど、王女殿下の鋭い眼差しに体が動かなくなる。
私が髪を伸ばしているのは王女殿下の命令だった。短い髪は似合わないから伸ばせと言われて、何年もそうしている。
だけど、それは命令に従っているだけだ。王女殿下を想っているから彼女の好みに合わせたいわけではない。
「良く似あうわ。私の好きな赤い色」
「え。これは」
何をされたのか分からず首筋に手を伸ばすと、髪が何かで結われていると気が付いた。
茫然としている私を満足そうに見つめながら王女殿下は、私のリボンを右手に持ち「これはまじないの対価として貰うわ」と言い放った。
「まじないの対価?」
戸惑う私は、王女殿下が持っているリボンから視線が外せない。
まじないとはどういう意味だろう、王女殿下が何をしたのか分からない。
「お前のそのみすぼらしい姿を一時的に変えてあげたの。まじないの効果は一刻半といったところかしら、その間は服も靴も新品同様よ。自分を見てごらんなさい」
「本当だ」
「流行遅れはどうしようもないけれどね。それは我慢なさい」
王女殿下の言葉に下を向くと視界に入った傷一つない靴に、今さっき仕立てたばかりと言われても信じてしまいそうな礼服だった。ほころびひとつ、皺ひとつ見つからないのが信じられなくて、思わず両手であちこち触れてしまう。
「なぜこんな」
「王太子殿下の後ろに立つ者がそんなみすぼらしい姿をしていたら、お兄様が恥をかくわ」
「そうですね。私は……側近として恥ずかしい」
綺麗な服と靴に浮上した気持ちは、王女殿下の言葉で元に戻ってしまう。
自分では新しい服や靴を用意出来なかったのだから、みすぼらしいと言われても反論出来なかった。
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