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伯爵家で知った真実
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「お嬢様、お顔が赤くなっていらっしゃいますよ」
「からかわないで」
最後の休憩を終えた私は馬車に乗り込むと、早速ユウナにからかわれてしまいました。
ユウナは旅に出てから少し砕けた言葉使いになった気がしますが、それは私も同じです。
不安はあるものの気心の知れた人に囲まれ、馬車に揺られて過ごす内に気が緩んだのでしょう。
「ケネス様がとても誉めて下さっていましたね」
「そうね」
先触れとして伯爵家に向かっていたケネスは、休憩所で私達を待っていてくれました。
朝は会えなかったので、今日は初めて顔を合わせたことになります。
おはようと言った後でケネスは、私の髪型を褒めリボンが似合っていると言ってくれました。
なんでもない風に「フローリアは青が似合うな」と笑って言うので、なんだか胸が一杯になってしまいました。
「好きな色を似合うと言われるのは、気分が良いものなのね」
お父様やお母様が誉めてくださるのと、ケネスが誉めてくれるのは同じ「似合うよ」という一言でも何故か大きく違う気がします。
嬉しい気持ちと恥ずかしい気持ちを同時に感じて、戸惑ってしまうのです。
「私達もお伝えしていましたが、ケネス様が仰るのとは言葉の重みが異なりますね」
「言っている意味が分からないわ」
ユウナを睨みながら、頬が熱くなるのを止められません。
それではまるで、似合うと言ってくれたのがケネスだから嬉しいと感じている様に聞こえてしまいます。
「そうですか? お嬢様、お顔がもっと赤くなっておいでですよ」
「ユウナッ」
「ふふふ」
怒った振りをする私にユウナはただ笑っています。
「あなた気が緩みすぎよ、おばあ様達の前ではきちんとしてね」
「勿論でございます」
「ならいいわ。二人だけなら少し位の軽口は許してあげます」
本当はユウナにずっとこんな風に会話をして欲しかったのです。
王都の屋敷では、ユウナはこんな風に気安く私に笑いかけてすらくれませんでした。
だから、ほんの少し淋しかったのです。
主人と使用人の関係では仕方ありませんが、それでももっとユウナとはどんなことでも話せる関係になりたかったのです。
「ありがとうございます。お嬢様、嬉しいです」
「あなただけよ」
「はい」
嬉しそうに笑うユウナに、私も嬉しくなって、だから久し振りに会うおばあ様に衝撃的な話をされるなんて思っていなかったのです。
考えつかなかった私が馬鹿でした。
そう、私は馬鹿だったのです。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「おばあ様、本当にお久しぶりです」
ローゲン伯爵家に着くとおばあ様が私を出迎えてくれました。
伯父様達は外出されているらしく、おばあ様お一人の出迎えでしたが久し振りに会う嬉しさに屋敷内に漂う慌ただしい雰囲気に気がつきませんでした。
「フリーリア、顔を良く見せて。ああ、私の可愛い孫娘」
「おばあ様、お久しぶりですがお体の調子は如何ですか」
おばあ様は足が悪く社交界からは遠ざかっていたから、王都にいらっしゃることもなくずっとお会い出来なかった。
「ふふ。大丈夫よ。ありがとう優しい子ね」
私を抱きしめると、杖を付ながら私を居間に案内してくれました。
ローゲン伯爵家は、領地と王都を往復する際には必ず立ち寄っている場所です。
幼い頃から何度も何度も立ち寄っているこの屋敷は、使用人達もよく知っていて心安まる場所でもあります。
通された居間も何度も案内された場所ですが、ソファーセットに寄り添って座るのは初めてでその違和感に首を傾げてしまいました。
「おばさ様」
「着いたばかりで申し訳ないけれど、フローリアあなたに選択して貰わないといけないの」
「選択、ですか」
「ええ。あなたは侯爵家を捨てる覚悟はある?」
「え」
それはどういう意味なのでしょう。
まさか、婚約破棄の不名誉を、私が償わないといけない。そういうことでしょうか。
「フローリア、あなたの命を守る為に、あなたは侯爵家を捨てる? それとも」
おばあ様が話してくれたのは、私が知らない過去の話でした。
「からかわないで」
最後の休憩を終えた私は馬車に乗り込むと、早速ユウナにからかわれてしまいました。
ユウナは旅に出てから少し砕けた言葉使いになった気がしますが、それは私も同じです。
不安はあるものの気心の知れた人に囲まれ、馬車に揺られて過ごす内に気が緩んだのでしょう。
「ケネス様がとても誉めて下さっていましたね」
「そうね」
先触れとして伯爵家に向かっていたケネスは、休憩所で私達を待っていてくれました。
朝は会えなかったので、今日は初めて顔を合わせたことになります。
おはようと言った後でケネスは、私の髪型を褒めリボンが似合っていると言ってくれました。
なんでもない風に「フローリアは青が似合うな」と笑って言うので、なんだか胸が一杯になってしまいました。
「好きな色を似合うと言われるのは、気分が良いものなのね」
お父様やお母様が誉めてくださるのと、ケネスが誉めてくれるのは同じ「似合うよ」という一言でも何故か大きく違う気がします。
嬉しい気持ちと恥ずかしい気持ちを同時に感じて、戸惑ってしまうのです。
「私達もお伝えしていましたが、ケネス様が仰るのとは言葉の重みが異なりますね」
「言っている意味が分からないわ」
ユウナを睨みながら、頬が熱くなるのを止められません。
それではまるで、似合うと言ってくれたのがケネスだから嬉しいと感じている様に聞こえてしまいます。
「そうですか? お嬢様、お顔がもっと赤くなっておいでですよ」
「ユウナッ」
「ふふふ」
怒った振りをする私にユウナはただ笑っています。
「あなた気が緩みすぎよ、おばあ様達の前ではきちんとしてね」
「勿論でございます」
「ならいいわ。二人だけなら少し位の軽口は許してあげます」
本当はユウナにずっとこんな風に会話をして欲しかったのです。
王都の屋敷では、ユウナはこんな風に気安く私に笑いかけてすらくれませんでした。
だから、ほんの少し淋しかったのです。
主人と使用人の関係では仕方ありませんが、それでももっとユウナとはどんなことでも話せる関係になりたかったのです。
「ありがとうございます。お嬢様、嬉しいです」
「あなただけよ」
「はい」
嬉しそうに笑うユウナに、私も嬉しくなって、だから久し振りに会うおばあ様に衝撃的な話をされるなんて思っていなかったのです。
考えつかなかった私が馬鹿でした。
そう、私は馬鹿だったのです。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「おばあ様、本当にお久しぶりです」
ローゲン伯爵家に着くとおばあ様が私を出迎えてくれました。
伯父様達は外出されているらしく、おばあ様お一人の出迎えでしたが久し振りに会う嬉しさに屋敷内に漂う慌ただしい雰囲気に気がつきませんでした。
「フリーリア、顔を良く見せて。ああ、私の可愛い孫娘」
「おばあ様、お久しぶりですがお体の調子は如何ですか」
おばあ様は足が悪く社交界からは遠ざかっていたから、王都にいらっしゃることもなくずっとお会い出来なかった。
「ふふ。大丈夫よ。ありがとう優しい子ね」
私を抱きしめると、杖を付ながら私を居間に案内してくれました。
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幼い頃から何度も何度も立ち寄っているこの屋敷は、使用人達もよく知っていて心安まる場所でもあります。
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「おばさ様」
「着いたばかりで申し訳ないけれど、フローリアあなたに選択して貰わないといけないの」
「選択、ですか」
「ええ。あなたは侯爵家を捨てる覚悟はある?」
「え」
それはどういう意味なのでしょう。
まさか、婚約破棄の不名誉を、私が償わないといけない。そういうことでしょうか。
「フローリア、あなたの命を守る為に、あなたは侯爵家を捨てる? それとも」
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