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悪夢からの生還4
「止めて、止めて、止めて!!」
グレオ君の首に奴隷の首輪が掛けられていた。
ワルドさんはグレオ君の命を盾にされ、なす術がない。
俺達はただ、悲鳴を上げ見てるだけ。
「ゲルトさん、駄目だよ。俺なんかどうなってもいいからゲルトさんは死なないで!」
願いを込めて叫ぶのに、ゲルトさんは剣を放り投げ人族の手から首輪をつけられてしまう。
俺はその姿を見ながら、自分も首輪をつけられる。
グレオ君はもう意識がない。
ワルドさんの首にも従属の首輪が着けられている。
俺達は、もう抵抗が出来ないんだ。
俺はグレオ君の手を引いて逃げていた。
足をもつれさせて転ぶグレオ君は、俺の手を振り払い自らの首にナイフを突き立てる。
「ウヅキ、ウヅキと会わなければ俺は死ななくてすんだのに」
ナイフが刺さっている状態で話せるわけないのに、俺の耳には確かにグレオ君の声が聞こえた。
「ウヅキがいなければ、良かったのに」
そう言い残して、グレオ君はこと切れた。
俺は、天に向かって叫んだ。
「どうして俺だけが生きてるの! ワルドさんも、ゲルトさんももう生きてないのに。どうして俺だけが!!」
叫ぶ俺は人族に追い詰められて、そして俺もナイフを自分の首に……。
「止めて! 止めてっ。グレオ君、グレオ君っ!!」
泣き叫ぶ俺は、グレオ君の命を盾に何も出来ない。
ワルドさんは、抵抗できずに人族の刃に討たれた。
ゲルトさんは、従属の首輪をつけられてもう動けない。
「ウヅキ、こんなの何でもない大丈夫だから! ウヅキは逃げてっ」
「そんなことできないよ、グレオ君、グレオ君! 止めて、酷い事しないで、止めて!!」
グレオ君の体に人族の男が襲い掛かる。
何人もの人族が、グレオ君の体にのしかかり弄り果てていく。
「嫌だ、グレオ君止めて。お願い止めて!!」
グレオ君の抵抗していた体は力を失ったようにぐったりとしていくのに、俺は正気を失えずただ叫ぶだけ。
「止めて、止めて、止めてっ!!」
泣き叫んでも、声の限りに叫んでも、何も変わらない。
俺のしたことは全部無駄だった。
全部無駄だったんだ。
「駄目だよ、止めて、お願い!!」
ニルスさんが、仲間の筈の狐獣人に白い身体を切り刻まれる。
幼い狐獣人の命と引き換えに、ニルスさんの命が消えていく。
「やだ、ニルスさん駄目だよ。死なないで。死なないでお父さん!!」
俺の声は誰かの声に重なった。
俺の体に、何かが重なった。
「ニルスさんを苦しめないで、傷つけないで」
『お父さんを傷つけるなら、あたしがお前を傷つけてやる!』
誰の声か分からない、幼い声が俺に重なる。
それと一緒に、誰かの声。
「ウヅキ、目を覚ましなさい」
これは誰の声。
俺の知っている声、俺を大切にしてくれて、守ってくれる声。
『許さない。大事な人達を傷つけるなんて、許さない。大切なあの人を悲しませるなんて』
誰の声、知らない。幼い声。
誰の声、知ってる。誰よりも俺はこの声を知っている?
声と一緒に場面が変わる。
今まで見ていたのは夢? 全部夢だったの?
ゲルトさんの姿が見える、白い狐、ニルスさん達もいる?
お墓? 墓石の様なものの前に膝を付き祈るゲルトさんに、ニルスさん達が寄り添っている。
あれは誰のもの?
「ウヅキ、目を覚ましなさい。お前はここにいてはいけない」
この声、知ってる。
「ウヅキ、目を覚まして」
この声を俺は知っている。大切な大切な友達。
「ウヅキは絶対にゲルトさんと幸せにならなきゃ駄目なんだからな。だから目を覚まして、俺が守るから」
グレオ君? 俺をグレオ君が守るの?
「ウヅキ、今度は俺が守るよ」
グレオ君の声は、そう言って離れていく。
どこに行くのグレオ君、今は危ないんだ。だから一緒に、側に。
「ウヅキ、ウヅキ。目を覚ましなさいウヅキ。お前はここにいてはいけない。ここは神と生き物のの境目、命を終えて辿り着く場所」
「大神様?」
「ああ、良かったウヅキやっと目をさましたのですね」
大神様は安心した様な声で俺に声を掛けてから、すぐに口調を変えた。
「ウヅキ、早く目を覚ましなさい。今お前の友であるグレオがオークと対峙しています」
「え、オーク? どうして」
「説明をしている時間はありません。ウヅキはすぐに目を覚まし、マジックバッグから魔力回復薬と回復薬を取り出し飲みなさい。そうして回復してから馬車の仕掛けを解き外にでるのです」
「俺は今馬車の中にいるのですね。仕掛けとは」
「グレオはお前を助ける為、馬車の避難用の仕掛けの中にお前と狐獣人の子供を匿い、自分は自ら囮となりオークを馬車から引き離そうとしているのです」
大神様の説明に、俺は血の気が引いた。
「グレオ君がオークを引き受けているんですか、一人で?」
そんなの無理だ。
グレオ君は、一人でオークを狩ったことなんかないのに。
まさか、俺を助けようとして一人で?
「すぐに目を覚まします。え、でもどうやったら戻れるんでしょうか」
俺は無意識に何かを使って大神様のところに居たみたいだ。
どうやったら、俺は現実に戻れるのか分からないんだ。
「私が現実世界に戻します。ですからウヅキ、目覚めたらすぐに回復薬を飲みなさい。そうしなければあなたはすぐに気を失い、死に至るでしょう」
大神様の恐ろしい説明に、俺はあわあわと焦りながらも必死に頷いた。
すぐに戻って、グレオ君を助けなければ。
俺達は友達だ、絶対に助けるって俺は自分に誓ったんだ。
グレオ君の首に奴隷の首輪が掛けられていた。
ワルドさんはグレオ君の命を盾にされ、なす術がない。
俺達はただ、悲鳴を上げ見てるだけ。
「ゲルトさん、駄目だよ。俺なんかどうなってもいいからゲルトさんは死なないで!」
願いを込めて叫ぶのに、ゲルトさんは剣を放り投げ人族の手から首輪をつけられてしまう。
俺はその姿を見ながら、自分も首輪をつけられる。
グレオ君はもう意識がない。
ワルドさんの首にも従属の首輪が着けられている。
俺達は、もう抵抗が出来ないんだ。
俺はグレオ君の手を引いて逃げていた。
足をもつれさせて転ぶグレオ君は、俺の手を振り払い自らの首にナイフを突き立てる。
「ウヅキ、ウヅキと会わなければ俺は死ななくてすんだのに」
ナイフが刺さっている状態で話せるわけないのに、俺の耳には確かにグレオ君の声が聞こえた。
「ウヅキがいなければ、良かったのに」
そう言い残して、グレオ君はこと切れた。
俺は、天に向かって叫んだ。
「どうして俺だけが生きてるの! ワルドさんも、ゲルトさんももう生きてないのに。どうして俺だけが!!」
叫ぶ俺は人族に追い詰められて、そして俺もナイフを自分の首に……。
「止めて! 止めてっ。グレオ君、グレオ君っ!!」
泣き叫ぶ俺は、グレオ君の命を盾に何も出来ない。
ワルドさんは、抵抗できずに人族の刃に討たれた。
ゲルトさんは、従属の首輪をつけられてもう動けない。
「ウヅキ、こんなの何でもない大丈夫だから! ウヅキは逃げてっ」
「そんなことできないよ、グレオ君、グレオ君! 止めて、酷い事しないで、止めて!!」
グレオ君の体に人族の男が襲い掛かる。
何人もの人族が、グレオ君の体にのしかかり弄り果てていく。
「嫌だ、グレオ君止めて。お願い止めて!!」
グレオ君の抵抗していた体は力を失ったようにぐったりとしていくのに、俺は正気を失えずただ叫ぶだけ。
「止めて、止めて、止めてっ!!」
泣き叫んでも、声の限りに叫んでも、何も変わらない。
俺のしたことは全部無駄だった。
全部無駄だったんだ。
「駄目だよ、止めて、お願い!!」
ニルスさんが、仲間の筈の狐獣人に白い身体を切り刻まれる。
幼い狐獣人の命と引き換えに、ニルスさんの命が消えていく。
「やだ、ニルスさん駄目だよ。死なないで。死なないでお父さん!!」
俺の声は誰かの声に重なった。
俺の体に、何かが重なった。
「ニルスさんを苦しめないで、傷つけないで」
『お父さんを傷つけるなら、あたしがお前を傷つけてやる!』
誰の声か分からない、幼い声が俺に重なる。
それと一緒に、誰かの声。
「ウヅキ、目を覚ましなさい」
これは誰の声。
俺の知っている声、俺を大切にしてくれて、守ってくれる声。
『許さない。大事な人達を傷つけるなんて、許さない。大切なあの人を悲しませるなんて』
誰の声、知らない。幼い声。
誰の声、知ってる。誰よりも俺はこの声を知っている?
声と一緒に場面が変わる。
今まで見ていたのは夢? 全部夢だったの?
ゲルトさんの姿が見える、白い狐、ニルスさん達もいる?
お墓? 墓石の様なものの前に膝を付き祈るゲルトさんに、ニルスさん達が寄り添っている。
あれは誰のもの?
「ウヅキ、目を覚ましなさい。お前はここにいてはいけない」
この声、知ってる。
「ウヅキ、目を覚まして」
この声を俺は知っている。大切な大切な友達。
「ウヅキは絶対にゲルトさんと幸せにならなきゃ駄目なんだからな。だから目を覚まして、俺が守るから」
グレオ君? 俺をグレオ君が守るの?
「ウヅキ、今度は俺が守るよ」
グレオ君の声は、そう言って離れていく。
どこに行くのグレオ君、今は危ないんだ。だから一緒に、側に。
「ウヅキ、ウヅキ。目を覚ましなさいウヅキ。お前はここにいてはいけない。ここは神と生き物のの境目、命を終えて辿り着く場所」
「大神様?」
「ああ、良かったウヅキやっと目をさましたのですね」
大神様は安心した様な声で俺に声を掛けてから、すぐに口調を変えた。
「ウヅキ、早く目を覚ましなさい。今お前の友であるグレオがオークと対峙しています」
「え、オーク? どうして」
「説明をしている時間はありません。ウヅキはすぐに目を覚まし、マジックバッグから魔力回復薬と回復薬を取り出し飲みなさい。そうして回復してから馬車の仕掛けを解き外にでるのです」
「俺は今馬車の中にいるのですね。仕掛けとは」
「グレオはお前を助ける為、馬車の避難用の仕掛けの中にお前と狐獣人の子供を匿い、自分は自ら囮となりオークを馬車から引き離そうとしているのです」
大神様の説明に、俺は血の気が引いた。
「グレオ君がオークを引き受けているんですか、一人で?」
そんなの無理だ。
グレオ君は、一人でオークを狩ったことなんかないのに。
まさか、俺を助けようとして一人で?
「すぐに目を覚まします。え、でもどうやったら戻れるんでしょうか」
俺は無意識に何かを使って大神様のところに居たみたいだ。
どうやったら、俺は現実に戻れるのか分からないんだ。
「私が現実世界に戻します。ですからウヅキ、目覚めたらすぐに回復薬を飲みなさい。そうしなければあなたはすぐに気を失い、死に至るでしょう」
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すぐに戻って、グレオ君を助けなければ。
俺達は友達だ、絶対に助けるって俺は自分に誓ったんだ。
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