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目覚めてそして
大神様の声に導かれて、俺はを目を覚ました。
目を覚ますというより、体に俺の魂が戻ったというのが正しいのかもしれない。
戻って感じたのは異常なまでの怠さと飢餓感。
卯月として生きていた頃、公園の水道の水で空腹を誤魔化していた時よりも酷い感覚に一瞬意識が遠くなりかけたけどか「キューンキューン」と鳴く声に、何とか踏ん張れた。
「魔力回復薬と回復薬」
それぞれ一本ずつマジックバッグから取り出し飲んでも全然足りなくて、お腹の中が水分でタプタプしそうな程飲んでやっと少し落ち着いた。
「キューン」
「暗いなぁ、灯り」
灯りの魔法で照らすと、小さな狐獣人が三人俺を見ながら鳴いていた。
ホルン君よりもだいぶ小さいのかな、どうしよう。
「ごめんね、すぐに戻るから大人しく待っていてね。おやすみ」
急がなきゃいけないから、三人に睡眠の魔法を掛ける。
残されてたら怖いだろうから、無理矢理眠らせて可哀想だけど、ごめんね。
謝りながら仕掛けを解いて、ふらふらする体で外に出ようと扉に手を掛けて外から鍵が掛かっていると気が付いた。
「グレオ君が掛けた?」
扉が動きそうにないから、小さな窓から体を滑らせ外に出た。
「血の匂い、どこだっ」
外に出た途端鼻についた匂いに顔をしかめながら、回復魔法薬を取り出し駆け出した。
「ギャーッ! ウォッッ!!」
凄まじいオークの声と一緒に、ドシンドシンという振動が離れていても伝わってくる。
グレオ君は、ナイフを手にオークと対峙していた。
「グレオ君!」
駆け寄りながら見ると、グレオ君は額から血を流している。
「風の刃。駄目だここらじゃグレオ君にも当たっちゃうかも」
グレオ君はひらりひらりと動き回って、オークの攻撃を避けている。
オークの左手首がプラプラしていて、今にも千切れそうだ。
「まさかナイフだけで? あ! 防御壁!」
転んでしまったグレオ君に、オークが襲いかかる。
それは悪夢の中で見た光景に見えて、俺は急いで防御壁をグレオ君に掛ける。
ガツンッ! オークの棍棒が防御壁に打つかった。
「ひいっ」
「風の刃!」
グレオ君に棍棒を振り下ろそうとするオークに、俺は風の刃をぶつけた。
「駄目だ弱かった! グレオ君逃げて!」
まだ回復していない魔力で防御壁を放ちった後で、走りながら打った風の刃の威力は弱くオークの右腕を落としただけだった。
「ウギヤァ!! ウギヤァ!!」
痛みに暴れるオークは、地団駄を踏みその足でグレオ君を踏み潰そうと暴れだした。
「グレオ君!」
怪我なのか疲れなのか、動けずにいたグレオ君は防御壁に守られながら座り込んでいた。
「グレオ君! あぶないっ!」
オークの蹴りに破壊された防御壁、俺は咄嗟にグレオを抱き込んでそのまま横に飛んだ。
「ウヅキ? 本当に?」
「グレオ君、薬飲んで!」
オークから少し離れた位置にグレオ君をおろして、魔力回復薬と回復薬の両方を手渡すと、自分も魔力回復薬を三本立て続けに飲みながら、オークに風の刃を何度も発動する。
「駄目だ、制御出来ない!」
魔力と体力両方切れてまともに回復していないせいなのか、魔法の制御が出来ない。
さっき腕を落とした時より弱い魔法しか発動しなくて、オークに致命傷を与えられなかった。
「ウヅキ、俺がやる。ウヅキはあいつの足元にあのトゲトゲ石をぶつけて気をそらしてて!」
復活したグレオ君はそう言うと詠唱を始めた。
「この世の魔を打て!稲光!」
両手をオークの方に向け、グレオ君は最大火力の魔法を放った!
「ウギヤァァァァァ!!!」
オークの頭に落ちた稲光は、それが致命傷になりオークはズシンと大きな体を横倒しにしたのだ。
「やった?」
「倒れた?」
俺達オークなんて狩ったことない。
「ダメ押しで心臓に剣刺しとく?」
かなり間抜けな言い方だけど、急に動いたら怖いから俺はオークの体の上に飛び上がり心臓を剣で一突きした。
「うわっ、動い、った!」
剣を突き刺した反動なのか、オークの体がビクンッと大きく跳ねて、俺は慌てて飛び退いた。
「ウヅキ、魔石が落ちたよ! ニ個!」
「え、今の解体扱いになったの」
よろよろっと歩きながら、グレオ君が魔石を二つ持ってきた。
「グレオ君、ありがとう!」
「ありがとうは俺の方だろ、やっぱり俺だけじゃ駄目だったな」
悲しそうに言うグレオ君に俺は飛びついた。
「駄目じゃないよ! グレオ君がいなかったら俺はきっと死んでたよ。グレオ君が一人でオークと戦ってくれたから俺は死なずにすんだんだよ。それにグレオ君が俺を呼んでくれたから俺は戻ってこられたんだ」
早口で捲し立てる俺をきょとんと見ながら、グレオ君は「俺達生きてるんだよな」って呟いた。
「生きてるよ、俺達生きてるんだよ!」
言いながら涙が溢れて、グレオ君にしがみついて俺はわーんわーんと子供みたいに泣いてしまった。
だって、変わったんだ。
グレオ君とワルドさんが教会で誓いをしてる未来が、俺にははっきりと見えたんだ。
※※※※※※※※※※
ゲルト達が来る前にちびっこ達で終わっちゃいました。
本当はここでウヅキも間に合わず、グレオ君は残念な結果になる予定でしたが、やっぱりハッピーエンドにしたくってこんな終わりになりました。
目を覚ますというより、体に俺の魂が戻ったというのが正しいのかもしれない。
戻って感じたのは異常なまでの怠さと飢餓感。
卯月として生きていた頃、公園の水道の水で空腹を誤魔化していた時よりも酷い感覚に一瞬意識が遠くなりかけたけどか「キューンキューン」と鳴く声に、何とか踏ん張れた。
「魔力回復薬と回復薬」
それぞれ一本ずつマジックバッグから取り出し飲んでも全然足りなくて、お腹の中が水分でタプタプしそうな程飲んでやっと少し落ち着いた。
「キューン」
「暗いなぁ、灯り」
灯りの魔法で照らすと、小さな狐獣人が三人俺を見ながら鳴いていた。
ホルン君よりもだいぶ小さいのかな、どうしよう。
「ごめんね、すぐに戻るから大人しく待っていてね。おやすみ」
急がなきゃいけないから、三人に睡眠の魔法を掛ける。
残されてたら怖いだろうから、無理矢理眠らせて可哀想だけど、ごめんね。
謝りながら仕掛けを解いて、ふらふらする体で外に出ようと扉に手を掛けて外から鍵が掛かっていると気が付いた。
「グレオ君が掛けた?」
扉が動きそうにないから、小さな窓から体を滑らせ外に出た。
「血の匂い、どこだっ」
外に出た途端鼻についた匂いに顔をしかめながら、回復魔法薬を取り出し駆け出した。
「ギャーッ! ウォッッ!!」
凄まじいオークの声と一緒に、ドシンドシンという振動が離れていても伝わってくる。
グレオ君は、ナイフを手にオークと対峙していた。
「グレオ君!」
駆け寄りながら見ると、グレオ君は額から血を流している。
「風の刃。駄目だここらじゃグレオ君にも当たっちゃうかも」
グレオ君はひらりひらりと動き回って、オークの攻撃を避けている。
オークの左手首がプラプラしていて、今にも千切れそうだ。
「まさかナイフだけで? あ! 防御壁!」
転んでしまったグレオ君に、オークが襲いかかる。
それは悪夢の中で見た光景に見えて、俺は急いで防御壁をグレオ君に掛ける。
ガツンッ! オークの棍棒が防御壁に打つかった。
「ひいっ」
「風の刃!」
グレオ君に棍棒を振り下ろそうとするオークに、俺は風の刃をぶつけた。
「駄目だ弱かった! グレオ君逃げて!」
まだ回復していない魔力で防御壁を放ちった後で、走りながら打った風の刃の威力は弱くオークの右腕を落としただけだった。
「ウギヤァ!! ウギヤァ!!」
痛みに暴れるオークは、地団駄を踏みその足でグレオ君を踏み潰そうと暴れだした。
「グレオ君!」
怪我なのか疲れなのか、動けずにいたグレオ君は防御壁に守られながら座り込んでいた。
「グレオ君! あぶないっ!」
オークの蹴りに破壊された防御壁、俺は咄嗟にグレオを抱き込んでそのまま横に飛んだ。
「ウヅキ? 本当に?」
「グレオ君、薬飲んで!」
オークから少し離れた位置にグレオ君をおろして、魔力回復薬と回復薬の両方を手渡すと、自分も魔力回復薬を三本立て続けに飲みながら、オークに風の刃を何度も発動する。
「駄目だ、制御出来ない!」
魔力と体力両方切れてまともに回復していないせいなのか、魔法の制御が出来ない。
さっき腕を落とした時より弱い魔法しか発動しなくて、オークに致命傷を与えられなかった。
「ウヅキ、俺がやる。ウヅキはあいつの足元にあのトゲトゲ石をぶつけて気をそらしてて!」
復活したグレオ君はそう言うと詠唱を始めた。
「この世の魔を打て!稲光!」
両手をオークの方に向け、グレオ君は最大火力の魔法を放った!
「ウギヤァァァァァ!!!」
オークの頭に落ちた稲光は、それが致命傷になりオークはズシンと大きな体を横倒しにしたのだ。
「やった?」
「倒れた?」
俺達オークなんて狩ったことない。
「ダメ押しで心臓に剣刺しとく?」
かなり間抜けな言い方だけど、急に動いたら怖いから俺はオークの体の上に飛び上がり心臓を剣で一突きした。
「うわっ、動い、った!」
剣を突き刺した反動なのか、オークの体がビクンッと大きく跳ねて、俺は慌てて飛び退いた。
「ウヅキ、魔石が落ちたよ! ニ個!」
「え、今の解体扱いになったの」
よろよろっと歩きながら、グレオ君が魔石を二つ持ってきた。
「グレオ君、ありがとう!」
「ありがとうは俺の方だろ、やっぱり俺だけじゃ駄目だったな」
悲しそうに言うグレオ君に俺は飛びついた。
「駄目じゃないよ! グレオ君がいなかったら俺はきっと死んでたよ。グレオ君が一人でオークと戦ってくれたから俺は死なずにすんだんだよ。それにグレオ君が俺を呼んでくれたから俺は戻ってこられたんだ」
早口で捲し立てる俺をきょとんと見ながら、グレオ君は「俺達生きてるんだよな」って呟いた。
「生きてるよ、俺達生きてるんだよ!」
言いながら涙が溢れて、グレオ君にしがみついて俺はわーんわーんと子供みたいに泣いてしまった。
だって、変わったんだ。
グレオ君とワルドさんが教会で誓いをしてる未来が、俺にははっきりと見えたんだ。
※※※※※※※※※※
ゲルト達が来る前にちびっこ達で終わっちゃいました。
本当はここでウヅキも間に合わず、グレオ君は残念な結果になる予定でしたが、やっぱりハッピーエンドにしたくってこんな終わりになりました。
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