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魔法使いと魔導書4 (キム先生視点)
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「自画自賛ですが、私は結構優秀な魔法使いなんですよ。性格はともかく、ね。領地運営の経験はありませんが、他家とのやり取りは慣れていますし、人脈もそれなりにあります」
セドリック様の顔を覗き込むように見ながら、少しでも彼の心が穏やかになれるように微笑む。
セドリック様に以前の記憶があるとしても、亡くなったのは成人前だったのだからまだ子供だったと言えなくもないし、今は五歳の少年だ。
どちらにしろ子供でしかないこの方が、他領の川の氾濫や魔物被害に悲しみながら自分は何も出来なかったと嘆いているのは気の毒過ぎて見ていられない。
川の氾濫はどうしようもないにせよ、魔物を溢れさせるまで土地を荒れさせ他の領地まで魔物被害を及ばせてしまったのは、隣の領地を治めている貴族の責任だし、自領にまで影響が出る前に対処しなかった侯爵と代官達が悪いとも言える。
「自画自賛ではなく、キム先生は優秀な魔法使いだと思います。信頼できる方ですし、それに優しい」
普通に領地を治めるだけでも大変なのに、川の氾濫や魔物の対応なんて領地運営の経験すらない子供に出来るわけが無いのだから自分を責める必要はない。……なんて、慰めたくても私は気の利いたことを言える性分ではない。
だからせめて、自分は強い魔法使いだから役に立てると言えば、セドリック様は一瞬目を見開いた後で健気にも私を肯定してくれる。
セドリック様の気持ちは嬉しいが、信頼はともかく私は優しい人間ではない。
「ありがとうございます。でも私は自分のことだけが大切で、他はどうでもいい人間なんですよ」
「どうでも?」
人脈がそれなりにあると言いながら他はどうでもいいという私に、セドリック様は首を傾げてしまう。
「ええ、私はね利己的な人間ですから、他人からどう思われようが関係なく行動する。私だけでなく魔法使いというものは大抵、興味がある事以外は存在していないのと同じと考えがちな自分勝手な生き物なんですよ」
セドリック様の中に自分勝手なんて考え方はそもそも存在しないのかもしれないが、元々私はそういう人間だ。
こういう人間は、誰かに教えるなんて向いていない。それも幼児と言ってもいいくらい幼い人に教えるなんて、向いていないどころじゃない。
最初から向いていない自覚はあったし最初は頼まれたから渋々だったけれど、でも今はセドリック様とミルフィ様の師として二人を守りたいし、魔法を本気で身に付けたいというなら私の持っている力を全部使って二人に教えたいと思っている。
付き合いは短くても二人は、自分の両親や兄弟よりも仕事仲間よりも大切な存在だからだ。
「そんな自分勝手な生き物な魔法使いの私でも、自分の生徒は可愛いし大切なんですよ」
子供に教えるなんて面倒だし、そんな時間があるなら魔法の研究をしたいんじゃないのか? と、宮廷魔法使いの仕事仲間には言われているが、二人に関わった以上私は全力で彼らを守る。
「生徒、僕とミルフィーヌですか?」
「ええ、ですからお二人を私は全力で守ります。宮廷魔法師の役目もあるのでこちらのお屋敷にお世話になりながら出仕するのは今までと変わりませんが、侯爵家と魔法使いの契約を結びさえすれば侯爵家の領地のために動くことも出来るようになります」
思いつきと勢いで話しているところはあるが、これは悪い話ではないと思う。
セドリック様が心配している、隣の領地の川の氾濫を止める為には魔法使いの力は必要だ。
私が手伝いをしたくても、家庭教師の立場のままでは難しい。だから契約を結ぶ必要がある。
「キム先生が領地のために?」
「ええ、今なら侯爵も簡単に契約してくれそうだと思いませんか?」
魔法使いと契約する家は多くはない、何せ魔法使いを雇うのは金が掛かるし、我儘気儘の魔法使いと契約するには相当の伝手がいる。
魔法使いで金に困っている者は魔法使いとしての力がないから稼げないだけ、冒険者でも宮廷魔法使いでも能力があれば稼ぎは普通にあるものだから、わざわざ貴族と契約ししがらみを作るなんて酔狂をする者が少ないのだ。
「お父様の心が弱っているから?」
「ええ、今日の出来事は一人で心の中にしまっておくのは難しいでしょう。私なら相談相手になれますよ」
私の笑顔はかなり悪そうに見えているかもしれない、でもセドリック様は素直に頷く。
「きっとお父様はキム先生に感謝すると思います」
「感謝して頂けるように頑張ります、セドリック様。未来にある不安を無くせる様私を使ってください」
幼いミルフィ様とセドリック様が安心して大人になれる様、私が二人を守るのだ。
セドリック様の顔を覗き込むように見ながら、少しでも彼の心が穏やかになれるように微笑む。
セドリック様に以前の記憶があるとしても、亡くなったのは成人前だったのだからまだ子供だったと言えなくもないし、今は五歳の少年だ。
どちらにしろ子供でしかないこの方が、他領の川の氾濫や魔物被害に悲しみながら自分は何も出来なかったと嘆いているのは気の毒過ぎて見ていられない。
川の氾濫はどうしようもないにせよ、魔物を溢れさせるまで土地を荒れさせ他の領地まで魔物被害を及ばせてしまったのは、隣の領地を治めている貴族の責任だし、自領にまで影響が出る前に対処しなかった侯爵と代官達が悪いとも言える。
「自画自賛ではなく、キム先生は優秀な魔法使いだと思います。信頼できる方ですし、それに優しい」
普通に領地を治めるだけでも大変なのに、川の氾濫や魔物の対応なんて領地運営の経験すらない子供に出来るわけが無いのだから自分を責める必要はない。……なんて、慰めたくても私は気の利いたことを言える性分ではない。
だからせめて、自分は強い魔法使いだから役に立てると言えば、セドリック様は一瞬目を見開いた後で健気にも私を肯定してくれる。
セドリック様の気持ちは嬉しいが、信頼はともかく私は優しい人間ではない。
「ありがとうございます。でも私は自分のことだけが大切で、他はどうでもいい人間なんですよ」
「どうでも?」
人脈がそれなりにあると言いながら他はどうでもいいという私に、セドリック様は首を傾げてしまう。
「ええ、私はね利己的な人間ですから、他人からどう思われようが関係なく行動する。私だけでなく魔法使いというものは大抵、興味がある事以外は存在していないのと同じと考えがちな自分勝手な生き物なんですよ」
セドリック様の中に自分勝手なんて考え方はそもそも存在しないのかもしれないが、元々私はそういう人間だ。
こういう人間は、誰かに教えるなんて向いていない。それも幼児と言ってもいいくらい幼い人に教えるなんて、向いていないどころじゃない。
最初から向いていない自覚はあったし最初は頼まれたから渋々だったけれど、でも今はセドリック様とミルフィ様の師として二人を守りたいし、魔法を本気で身に付けたいというなら私の持っている力を全部使って二人に教えたいと思っている。
付き合いは短くても二人は、自分の両親や兄弟よりも仕事仲間よりも大切な存在だからだ。
「そんな自分勝手な生き物な魔法使いの私でも、自分の生徒は可愛いし大切なんですよ」
子供に教えるなんて面倒だし、そんな時間があるなら魔法の研究をしたいんじゃないのか? と、宮廷魔法使いの仕事仲間には言われているが、二人に関わった以上私は全力で彼らを守る。
「生徒、僕とミルフィーヌですか?」
「ええ、ですからお二人を私は全力で守ります。宮廷魔法師の役目もあるのでこちらのお屋敷にお世話になりながら出仕するのは今までと変わりませんが、侯爵家と魔法使いの契約を結びさえすれば侯爵家の領地のために動くことも出来るようになります」
思いつきと勢いで話しているところはあるが、これは悪い話ではないと思う。
セドリック様が心配している、隣の領地の川の氾濫を止める為には魔法使いの力は必要だ。
私が手伝いをしたくても、家庭教師の立場のままでは難しい。だから契約を結ぶ必要がある。
「キム先生が領地のために?」
「ええ、今なら侯爵も簡単に契約してくれそうだと思いませんか?」
魔法使いと契約する家は多くはない、何せ魔法使いを雇うのは金が掛かるし、我儘気儘の魔法使いと契約するには相当の伝手がいる。
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「お父様の心が弱っているから?」
「ええ、今日の出来事は一人で心の中にしまっておくのは難しいでしょう。私なら相談相手になれますよ」
私の笑顔はかなり悪そうに見えているかもしれない、でもセドリック様は素直に頷く。
「きっとお父様はキム先生に感謝すると思います」
「感謝して頂けるように頑張ります、セドリック様。未来にある不安を無くせる様私を使ってください」
幼いミルフィ様とセドリック様が安心して大人になれる様、私が二人を守るのだ。
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