58 / 119
本編
甘い甘い甘い
しおりを挟む
「本当か?」
僕の目を見ながら、雅の唇がまた指先に触れる。
僕の反応を見ながら、何度も。
指先から少しずつ手の甲へ移動するかすかな熱を、敏感に感じて震えてしまう。
「雅」
「嫌じゃないんだろ」
「だけど、な、なんでそんなに何度もするの?」
消毒と言った。
記憶の上書きとも。
「消毒も上書きも十分過ぎるよ」
自分の指先を見るたびに、雅のこの姿を思い出すなんて心臓に悪すぎる。
「死んじゃう」
「え」
「僕の心臓持たないよ」
イベント要員だと分かったから諦めなきゃ、なんて考えていたのに両思いで、こんな恋人みたいなイチャイチャとか、幸せ過ぎて心臓持たないよ。
前世と今世両方で初めてなんだもん。
前世では想像も出来なかった、リアルな恋人。
ゲームでも妄想でもない、本物の恋人なんて。
雅が好き、好きすぎて辛い。
「雅、好き」
心の声が出てしまった。
「ハル」
何故か雅は唸りながら片手で自分の顔を覆ってしまった。
「ハル、やっぱり今すぐ小姓の手続きしよう」
「え?」
暫く唸っていた雅は突然顔を上げると、僕の両肩を掴んでそう言った。
「あの」
「ハルが無防備過ぎて心配過ぎる。ハルがまだ抵抗あるなら決心が付くまで待つから、小姓になったからとハルの初めてを無理矢理奪うなんてしないと誓うから」
あれ、なんか理解の範囲を越えた話しになってきたよ。
僕の知識に無くないか?
前世の俺としての知識で理解していいのか?
どうしよう父様が僕に閨事は何も教えてないと言ってたから、判断がつかない。
実は、前世の記憶で一人でした記憶はあっても具体的に何をどうしたが朧気だったりする。
これ前世の俺と今世の僕の意識が完全に融合したからなのか、だんだん前世の記憶が朧気になって来ている気がするんだ。ゲームの知識もところどころ抜けているのかもしれない。木村君が言っていたイベントも、僕は覚えていないんだから。
そんな状態だから、前世のネットやゲームやマンガ等のそういうエッチなシーンも、見てドキドキしたとか、妄想したというのは記憶があるけれど、具体的な知識が皆無に近いんだ。
「雅、あの」
「無理かな」
しょんぼりとしている雅には申し訳ないけれど、これはもう聞くしかないよね?
「あのね、小姓になったから初めてをって、あの」
「ハル?」
初めてって、前世の俺の知識が合ってれば閨事なんだよね。閨事に関して、以前舞と話したときに少し説明はされたけれど、具体的な内容までは聞けなかった。
以前父様は物凄く言いにくそうに、閨事とは旦那様に小姓としてお仕えする際一番大切な仕事だと言われた。後は山城様に教えて頂くんだよ、すべてお任せすればいいから心配いらないよと諭すように言われた。その後雅にそのまま話して雅も頭を抱えてたけれど、でもここまでだって思ってないかもしれない。
これが千晴の知識すべてなんだから、それは雅に知っておいて貰わないと困る。
「あの」
「ハル」
「初めてを奪うってなに?」
「は?」
あ、珍しい。
雅が固まった。
「あのね、ハル」
「はい」
「取りあえず、部屋に行こうか」
暫く無言が続いた後、雅に言われて立ち上がる。
「ハルは俺が好きなんだよね」
「うん」
「小姓になるのも嫌ではない」
「うん」
不安なだけだ。
小姓になってからも、雅を木村君に奪われる可能性が残ってるんじゃないかって、不安だっただけ。
でも、今は別の不安がある。
彼も前世の記憶があって、その記憶を元に雅を攻略するため動いているのかもしれない。
「良かった」
こそっと雅が言った。
言われて気がついた、雅も不安だったのかもしれない。
「雅、好きだよ。大好き」
東屋を出て歩きだす。
暖房の効果で周辺は温かい空気が漂っているけど、頬に当たる風が冷たい。
「俺も」
雅がそれきり何も言わなくなっちゃったから、無言が怖くて何か言おうと口を開いたら、雅に突然抱き締められた。
「好きだよ、ハル」
驚き戸惑う僕に雅は顔を近づけて、そっと唇を塞いだんだ。
僕の目を見ながら、雅の唇がまた指先に触れる。
僕の反応を見ながら、何度も。
指先から少しずつ手の甲へ移動するかすかな熱を、敏感に感じて震えてしまう。
「雅」
「嫌じゃないんだろ」
「だけど、な、なんでそんなに何度もするの?」
消毒と言った。
記憶の上書きとも。
「消毒も上書きも十分過ぎるよ」
自分の指先を見るたびに、雅のこの姿を思い出すなんて心臓に悪すぎる。
「死んじゃう」
「え」
「僕の心臓持たないよ」
イベント要員だと分かったから諦めなきゃ、なんて考えていたのに両思いで、こんな恋人みたいなイチャイチャとか、幸せ過ぎて心臓持たないよ。
前世と今世両方で初めてなんだもん。
前世では想像も出来なかった、リアルな恋人。
ゲームでも妄想でもない、本物の恋人なんて。
雅が好き、好きすぎて辛い。
「雅、好き」
心の声が出てしまった。
「ハル」
何故か雅は唸りながら片手で自分の顔を覆ってしまった。
「ハル、やっぱり今すぐ小姓の手続きしよう」
「え?」
暫く唸っていた雅は突然顔を上げると、僕の両肩を掴んでそう言った。
「あの」
「ハルが無防備過ぎて心配過ぎる。ハルがまだ抵抗あるなら決心が付くまで待つから、小姓になったからとハルの初めてを無理矢理奪うなんてしないと誓うから」
あれ、なんか理解の範囲を越えた話しになってきたよ。
僕の知識に無くないか?
前世の俺としての知識で理解していいのか?
どうしよう父様が僕に閨事は何も教えてないと言ってたから、判断がつかない。
実は、前世の記憶で一人でした記憶はあっても具体的に何をどうしたが朧気だったりする。
これ前世の俺と今世の僕の意識が完全に融合したからなのか、だんだん前世の記憶が朧気になって来ている気がするんだ。ゲームの知識もところどころ抜けているのかもしれない。木村君が言っていたイベントも、僕は覚えていないんだから。
そんな状態だから、前世のネットやゲームやマンガ等のそういうエッチなシーンも、見てドキドキしたとか、妄想したというのは記憶があるけれど、具体的な知識が皆無に近いんだ。
「雅、あの」
「無理かな」
しょんぼりとしている雅には申し訳ないけれど、これはもう聞くしかないよね?
「あのね、小姓になったから初めてをって、あの」
「ハル?」
初めてって、前世の俺の知識が合ってれば閨事なんだよね。閨事に関して、以前舞と話したときに少し説明はされたけれど、具体的な内容までは聞けなかった。
以前父様は物凄く言いにくそうに、閨事とは旦那様に小姓としてお仕えする際一番大切な仕事だと言われた。後は山城様に教えて頂くんだよ、すべてお任せすればいいから心配いらないよと諭すように言われた。その後雅にそのまま話して雅も頭を抱えてたけれど、でもここまでだって思ってないかもしれない。
これが千晴の知識すべてなんだから、それは雅に知っておいて貰わないと困る。
「あの」
「ハル」
「初めてを奪うってなに?」
「は?」
あ、珍しい。
雅が固まった。
「あのね、ハル」
「はい」
「取りあえず、部屋に行こうか」
暫く無言が続いた後、雅に言われて立ち上がる。
「ハルは俺が好きなんだよね」
「うん」
「小姓になるのも嫌ではない」
「うん」
不安なだけだ。
小姓になってからも、雅を木村君に奪われる可能性が残ってるんじゃないかって、不安だっただけ。
でも、今は別の不安がある。
彼も前世の記憶があって、その記憶を元に雅を攻略するため動いているのかもしれない。
「良かった」
こそっと雅が言った。
言われて気がついた、雅も不安だったのかもしれない。
「雅、好きだよ。大好き」
東屋を出て歩きだす。
暖房の効果で周辺は温かい空気が漂っているけど、頬に当たる風が冷たい。
「俺も」
雅がそれきり何も言わなくなっちゃったから、無言が怖くて何か言おうと口を開いたら、雅に突然抱き締められた。
「好きだよ、ハル」
驚き戸惑う僕に雅は顔を近づけて、そっと唇を塞いだんだ。
185
あなたにおすすめの小説
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語
平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
【完結】我が兄は生徒会長である!
tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。
名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。
そんな彼には「推し」がいる。
それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。
実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。
終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。
本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。
(番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)
最弱白魔導士(♂)ですが最強魔王の奥様になりました。
はやしかわともえ
BL
のんびり書いていきます。
2023.04.03
閲覧、お気に入り、栞、ありがとうございます。m(_ _)m
お待たせしています。
お待ちくださると幸いです。
2023.04.15
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。
m(_ _)m
更新頻度が遅く、申し訳ないです。
今月中には完結できたらと思っています。
2023.04.17
完結しました。
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます!
すずり様にてこの物語の短編を0円配信しています。よろしければご覧下さい。
無能の騎士~退職させられたいので典型的な無能で最低最悪な騎士を演じます~
紫鶴
BL
早く退職させられたい!!
俺は労働が嫌いだ。玉の輿で稼ぎの良い婚約者をゲットできたのに、家族に俺には勿体なさ過ぎる!というので騎士団に入団させられて働いている。くそう、ヴィがいるから楽できると思ったのになんでだよ!!でも家族の圧力が怖いから自主退職できない!
はっ!そうだ!退職させた方が良いと思わせればいいんだ!!
なので俺は無能で最悪最低な悪徳貴族(騎士)を演じることにした。
「ベルちゃん、大好き」
「まっ!準備してないから!!ちょっとヴィ!服脱がせないでよ!!」
でろでろに主人公を溺愛している婚約者と早く退職させられたい主人公のらぶあまな話。
ーーー
ムーンライトノベルズでも連載中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる