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本編
恋人って甘いのかな
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「怒ってないの?」
俯きながら雅に恐る恐る尋ねる、声が怖すぎて視線を合わせられない。
だって雅が声を荒げたのは僕がさっきのことを話したからだ。
なのに、どうして雅が自分に怒るの?
「俺が不用意に部屋の中に入ったから、ハルはそんな目に逢ったんだろ。ハルが悪いんじゃない」
そう言いながら、雅の声は僕を責めてる様に聞こえてしまう。
「だって電話だったんだし、仕方ないよ」
「電話はあったが、何も部屋の中に入らなきゃ出来ない話じゃなかったんだ。だけど無意識に動いてしまったんだ。いや、あの時はそうするべきだと思っていたんだ、まだ話もしていなかったのに」
電話だと言って雅は、躊躇う様子もなく保健室の中に入っていった。
だから、僕に聞かせたくない電話なんだって思った。それが無意識の行動だったなんて。
これって、佐々木様が名前呼びを許したときの感じに似てないかな?
まさか、イベント?木村君が言っていたイベントが関係してるの?
「ハル?」
「雅のせいじゃないよ。だってあの人が来るなんて予想できないし」
「でも、あいつが来たとき俺が隣にいれば守れただろ」
「それはそうだけど」
イベントがどんな内容か分からないけど、もしあれが主人公の邪魔になるライバルポジションの誰かを退場させる原因になるイベントだったとしたら、雅には避けようがなかったんだ。
でも、失敗したんだよね?
じゃあ、もしかしたらもっと酷いことされてたってこと?
それとも、あの場面を誰かに見られることがイベント成功になったのかな。
だとしたら、僕は本当に危なかった?
あぁ、また涙が出そうだ。
駄目だよ、泣いたら。
「ハル」
「え?あ、ご、ごめんなさいっ」
自分の考えに入り込んでしまった僕は、雅に名前を呼ばれ我に返って慌てた。
いつの間にか雅の手を握りしめてたみたいだ。
「あの、なんか、あの」
手を洗った後、雅が冷たくなった僕の手を自分の手で温めてくれていた。そのまま話し込んでいたから、雅の手に包まれたままだった筈なのに、僕いつの間にこんなことしてたんだろ。
それこそ無意識だよ。
「何慌ててるの、顔赤いぞ」
雅の顔と手を交互に見ながら言い訳しようとしてる僕がおかしかったんだろう、雅は楽しそうに笑ってる。
良かった、やっといつもの雅に戻った。
「慌ててなんて、え、雅?」
怖くなくなった声に安心していたら、雅は突然さっきあの人に舐められた指に唇を近づけ始めた。
「み、雅?」
チュッと小さな音がしたような、僕の妄想の様な一瞬。
雅の唇が僕の指に触れたんだと、自覚した途端体が熱を持った。
「消毒、本当はもっとちゃんとしたいけど、倒れたばかりのハルを動揺させすぎたらいけないからな」
「し、消毒?」
「そうでなければ上書き、あいつに何をされたのかなんて忘れろ。そして、思い出すならこっちだ」
そう言うと雅は僕の目の高さ近くまで手を持ち上げ、僕の目を見ながらもう一度指先に唇で触れた。
「雅っ」
「嫌、だったか?」
悲鳴の様な声で雅の名を呼ぶと、笑いながら聞かれてブンブンと勢いよく首を横に振る。
「顔赤いぞ、なあ嫌だったのか?言葉にされないと分からない」
「だって雅が」
「俺が?」
にやりと笑う顔に、さっきのシーンが重なって倒れそうになる。
「外なのに」
「外なのに?なんだ」
「雅が意地悪だ」
「どうして」
「だって、嫌だなんて思わないよ。さっきは気持ち悪くて怖くて堪らなかったけど、雅にされてそんな風に思うわけないよ」
驚きすぎて涙が止まっちゃったし、どう考えても恥ずかしすぎるけど嫌だなんて思わない。
顔が熱い、雅の唇が触れた指先も熱い。
なんか、おかしくなりそうだ。
俯きながら雅に恐る恐る尋ねる、声が怖すぎて視線を合わせられない。
だって雅が声を荒げたのは僕がさっきのことを話したからだ。
なのに、どうして雅が自分に怒るの?
「俺が不用意に部屋の中に入ったから、ハルはそんな目に逢ったんだろ。ハルが悪いんじゃない」
そう言いながら、雅の声は僕を責めてる様に聞こえてしまう。
「だって電話だったんだし、仕方ないよ」
「電話はあったが、何も部屋の中に入らなきゃ出来ない話じゃなかったんだ。だけど無意識に動いてしまったんだ。いや、あの時はそうするべきだと思っていたんだ、まだ話もしていなかったのに」
電話だと言って雅は、躊躇う様子もなく保健室の中に入っていった。
だから、僕に聞かせたくない電話なんだって思った。それが無意識の行動だったなんて。
これって、佐々木様が名前呼びを許したときの感じに似てないかな?
まさか、イベント?木村君が言っていたイベントが関係してるの?
「ハル?」
「雅のせいじゃないよ。だってあの人が来るなんて予想できないし」
「でも、あいつが来たとき俺が隣にいれば守れただろ」
「それはそうだけど」
イベントがどんな内容か分からないけど、もしあれが主人公の邪魔になるライバルポジションの誰かを退場させる原因になるイベントだったとしたら、雅には避けようがなかったんだ。
でも、失敗したんだよね?
じゃあ、もしかしたらもっと酷いことされてたってこと?
それとも、あの場面を誰かに見られることがイベント成功になったのかな。
だとしたら、僕は本当に危なかった?
あぁ、また涙が出そうだ。
駄目だよ、泣いたら。
「ハル」
「え?あ、ご、ごめんなさいっ」
自分の考えに入り込んでしまった僕は、雅に名前を呼ばれ我に返って慌てた。
いつの間にか雅の手を握りしめてたみたいだ。
「あの、なんか、あの」
手を洗った後、雅が冷たくなった僕の手を自分の手で温めてくれていた。そのまま話し込んでいたから、雅の手に包まれたままだった筈なのに、僕いつの間にこんなことしてたんだろ。
それこそ無意識だよ。
「何慌ててるの、顔赤いぞ」
雅の顔と手を交互に見ながら言い訳しようとしてる僕がおかしかったんだろう、雅は楽しそうに笑ってる。
良かった、やっといつもの雅に戻った。
「慌ててなんて、え、雅?」
怖くなくなった声に安心していたら、雅は突然さっきあの人に舐められた指に唇を近づけ始めた。
「み、雅?」
チュッと小さな音がしたような、僕の妄想の様な一瞬。
雅の唇が僕の指に触れたんだと、自覚した途端体が熱を持った。
「消毒、本当はもっとちゃんとしたいけど、倒れたばかりのハルを動揺させすぎたらいけないからな」
「し、消毒?」
「そうでなければ上書き、あいつに何をされたのかなんて忘れろ。そして、思い出すならこっちだ」
そう言うと雅は僕の目の高さ近くまで手を持ち上げ、僕の目を見ながらもう一度指先に唇で触れた。
「雅っ」
「嫌、だったか?」
悲鳴の様な声で雅の名を呼ぶと、笑いながら聞かれてブンブンと勢いよく首を横に振る。
「顔赤いぞ、なあ嫌だったのか?言葉にされないと分からない」
「だって雅が」
「俺が?」
にやりと笑う顔に、さっきのシーンが重なって倒れそうになる。
「外なのに」
「外なのに?なんだ」
「雅が意地悪だ」
「どうして」
「だって、嫌だなんて思わないよ。さっきは気持ち悪くて怖くて堪らなかったけど、雅にされてそんな風に思うわけないよ」
驚きすぎて涙が止まっちゃったし、どう考えても恥ずかしすぎるけど嫌だなんて思わない。
顔が熱い、雅の唇が触れた指先も熱い。
なんか、おかしくなりそうだ。
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