76 / 119
本編
初めてのサロンで
しおりを挟む
「はぁ、疲れた」
お昼休み僕は雅のサロンでソファーにぐったり座っていた。
行儀悪いけれど、姿勢良くなんて出来ない。
「お疲れですよね。千晴様、おいたわしい」
「ありがとう。でも舞も気をつけてね」
雅は佐々木様と離れた場所で話し合っているから、僕の隣には舞が座り労ってくれている。
「あの方、なりふり構わずで恐ろしいです」
「谷崎様の退学が受け入れられないんだろうね」
メイドさんが入れてくれた紅茶を飲む間もため息が出る。
休憩の度に木村君がやって来て大騒ぎされるから、精神的に疲れてしまった。
「貴族の病気療養は謹慎と同じだとは知らないみたいだけど、川島君は教えてあげてないのかな」
「貴族の中では常識ですし、あの方が知らないと気がついていないのではありませんか?」
「そうか、僕でも知ってる位だから、川島君ならそう考えててもおかしくないかも」
ゲームにはそんな展開無かったから、木村君が前世の記憶を持っていてもそんな知識はないのかもしれない。
「はあ、このソファーふわふわで眠くなっちゃうな」
「お疲れなのですね。お二人はまだお話しされている様ですし、少しお休み下さい」
「うん、でも舞と話すのも久しぶりだし。ごめんね、舞を巻き込んで」
僕があのメールを無視して小姓になってしまったから、あのメールが脅しでなければ舞に危険が及ぶ可能性が高いんだ。
僕の幸せの為に舞を不幸になんて、望んでないし絶対に阻止したい。
でも、木村君が何をしようとしてるのか予想すらつかないんだよなぁ。
「大丈夫です、藤四郎様は頼もしい供を付けてくださいましたから。それに、今の僕の幸せは千晴様のご尽力あってのものですから。今度は僕が頑張る番です」
「舞、ごめんね」
「ごめんだなんて、仰らないで下さい。千晴様、僕は今まで沢山千晴様にお世話になっていたのですから、僕にご恩返しさせてくださいませ。それに謝られるよりありがとうと言って頂ける方が嬉しいです」
にこにこと、舞は笑って僕の両手を握る。
僕何もしてないのに、舞が優しすぎる。
「舞ありがとう」
なんだか最近の僕は涙もろいみたいだ。
ありがとうの言葉と一緒に涙がこぼれ落ちた。
「千晴様、僕は大丈夫です。何があっても藤四郎様は僕と一緒にいて下さいますし、きっと守ってくださいますから、僕はちっとも不安なんて感じていませんから」
「僕も雅が守ってくれると信じてるよ」
自分で対抗出来るのが一番だけど、昨日のことでそれは無理だって自覚があるから僕が出来るのは絶対に隙を作らない。これだけだ。
「僕達、頼れる旦那様がいて幸せですね」
「うん、幸せ。へへ、こんな時に呑気にしてるの申し訳ないけど」
舞と一緒にと笑ってたら、メイドさん達に微笑ましそうに見られていると気がついた。
恥ずかしすぎるな、今さらだけど。
★★★おまけ★★★
「なんだあの可愛い生き物は」
「天然記念物的な可愛さだな、」
大事な話をしていたのに、ハルの可愛さについ向こうの会話に耳をすませてしまう。
ハルは普段からおっとりしているが、佐々木の小姓と一緒だとそれに輪が掛かるようだ。
佐々木を見れば、普段の気難しい顔が若干緩んでいる。
こいつが小姓に執着しているのは昔からだが、小姓手続きして気が緩んでいるんだろう。
「あれを害そうなど、ろくなことを考えないな。盛りのついた雌犬が」
「その雌犬に一時でも名前呼びを許したのが不思議だよ」
「あれは一生の不覚だった。だが私にも訳が分からないんだ」
「ふうん?」
「谷崎にしろ、川島にしろ同じだろう。訳が分からず側にいる。何かに操られでもしているかの様にな」
操られる。それは正しいのかもしれない。
谷崎だって、あそこまで短慮な奴では無かった。
「だから警戒は怠るな。いっそあれを退学にしてしまった方が安全だ」
「だが、あんなんでも奨学金と特待生両方取っているからな、平民とはいえ退学させられる程の不始末がなければ難しいだろう」
あれの今日の言動からは、とてもその頭があるとは思えないんだがな。
「あれだけ派手にやらかしているんだ、放っておいてもいずれ自滅するだろうが、それまで待てないな」
「少し煽ってみるか」
正攻法では難しいだろうが、佐々木は自信ありげに口を開く。
「どうする?」
「簡単だ、害したいなら行動させればいい。あいつを貶し、同時に自分の小姓を存分に可愛がる。幸い小姓持ちも増えたからな。私達がそうすれば乗ってくる奴らもいるだろうし、馬鹿も釣れれば一石二鳥」
「馬鹿?」
「節操なく振る舞えば品位がないとして、家からも学園からも査定されるし、許可が出ず焦る馬鹿もいるだろうな」
どっちを落としたいのか分からないが、こいつに比べたら俺は甘いなと反省した。
★★★★
可愛いちびっこ二人を愛でる旦那達でした。
お昼休み僕は雅のサロンでソファーにぐったり座っていた。
行儀悪いけれど、姿勢良くなんて出来ない。
「お疲れですよね。千晴様、おいたわしい」
「ありがとう。でも舞も気をつけてね」
雅は佐々木様と離れた場所で話し合っているから、僕の隣には舞が座り労ってくれている。
「あの方、なりふり構わずで恐ろしいです」
「谷崎様の退学が受け入れられないんだろうね」
メイドさんが入れてくれた紅茶を飲む間もため息が出る。
休憩の度に木村君がやって来て大騒ぎされるから、精神的に疲れてしまった。
「貴族の病気療養は謹慎と同じだとは知らないみたいだけど、川島君は教えてあげてないのかな」
「貴族の中では常識ですし、あの方が知らないと気がついていないのではありませんか?」
「そうか、僕でも知ってる位だから、川島君ならそう考えててもおかしくないかも」
ゲームにはそんな展開無かったから、木村君が前世の記憶を持っていてもそんな知識はないのかもしれない。
「はあ、このソファーふわふわで眠くなっちゃうな」
「お疲れなのですね。お二人はまだお話しされている様ですし、少しお休み下さい」
「うん、でも舞と話すのも久しぶりだし。ごめんね、舞を巻き込んで」
僕があのメールを無視して小姓になってしまったから、あのメールが脅しでなければ舞に危険が及ぶ可能性が高いんだ。
僕の幸せの為に舞を不幸になんて、望んでないし絶対に阻止したい。
でも、木村君が何をしようとしてるのか予想すらつかないんだよなぁ。
「大丈夫です、藤四郎様は頼もしい供を付けてくださいましたから。それに、今の僕の幸せは千晴様のご尽力あってのものですから。今度は僕が頑張る番です」
「舞、ごめんね」
「ごめんだなんて、仰らないで下さい。千晴様、僕は今まで沢山千晴様にお世話になっていたのですから、僕にご恩返しさせてくださいませ。それに謝られるよりありがとうと言って頂ける方が嬉しいです」
にこにこと、舞は笑って僕の両手を握る。
僕何もしてないのに、舞が優しすぎる。
「舞ありがとう」
なんだか最近の僕は涙もろいみたいだ。
ありがとうの言葉と一緒に涙がこぼれ落ちた。
「千晴様、僕は大丈夫です。何があっても藤四郎様は僕と一緒にいて下さいますし、きっと守ってくださいますから、僕はちっとも不安なんて感じていませんから」
「僕も雅が守ってくれると信じてるよ」
自分で対抗出来るのが一番だけど、昨日のことでそれは無理だって自覚があるから僕が出来るのは絶対に隙を作らない。これだけだ。
「僕達、頼れる旦那様がいて幸せですね」
「うん、幸せ。へへ、こんな時に呑気にしてるの申し訳ないけど」
舞と一緒にと笑ってたら、メイドさん達に微笑ましそうに見られていると気がついた。
恥ずかしすぎるな、今さらだけど。
★★★おまけ★★★
「なんだあの可愛い生き物は」
「天然記念物的な可愛さだな、」
大事な話をしていたのに、ハルの可愛さについ向こうの会話に耳をすませてしまう。
ハルは普段からおっとりしているが、佐々木の小姓と一緒だとそれに輪が掛かるようだ。
佐々木を見れば、普段の気難しい顔が若干緩んでいる。
こいつが小姓に執着しているのは昔からだが、小姓手続きして気が緩んでいるんだろう。
「あれを害そうなど、ろくなことを考えないな。盛りのついた雌犬が」
「その雌犬に一時でも名前呼びを許したのが不思議だよ」
「あれは一生の不覚だった。だが私にも訳が分からないんだ」
「ふうん?」
「谷崎にしろ、川島にしろ同じだろう。訳が分からず側にいる。何かに操られでもしているかの様にな」
操られる。それは正しいのかもしれない。
谷崎だって、あそこまで短慮な奴では無かった。
「だから警戒は怠るな。いっそあれを退学にしてしまった方が安全だ」
「だが、あんなんでも奨学金と特待生両方取っているからな、平民とはいえ退学させられる程の不始末がなければ難しいだろう」
あれの今日の言動からは、とてもその頭があるとは思えないんだがな。
「あれだけ派手にやらかしているんだ、放っておいてもいずれ自滅するだろうが、それまで待てないな」
「少し煽ってみるか」
正攻法では難しいだろうが、佐々木は自信ありげに口を開く。
「どうする?」
「簡単だ、害したいなら行動させればいい。あいつを貶し、同時に自分の小姓を存分に可愛がる。幸い小姓持ちも増えたからな。私達がそうすれば乗ってくる奴らもいるだろうし、馬鹿も釣れれば一石二鳥」
「馬鹿?」
「節操なく振る舞えば品位がないとして、家からも学園からも査定されるし、許可が出ず焦る馬鹿もいるだろうな」
どっちを落としたいのか分からないが、こいつに比べたら俺は甘いなと反省した。
★★★★
可愛いちびっこ二人を愛でる旦那達でした。
226
あなたにおすすめの小説
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語
平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
【完結】我が兄は生徒会長である!
tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。
名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。
そんな彼には「推し」がいる。
それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。
実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。
終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。
本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。
(番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)
最弱白魔導士(♂)ですが最強魔王の奥様になりました。
はやしかわともえ
BL
のんびり書いていきます。
2023.04.03
閲覧、お気に入り、栞、ありがとうございます。m(_ _)m
お待たせしています。
お待ちくださると幸いです。
2023.04.15
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。
m(_ _)m
更新頻度が遅く、申し訳ないです。
今月中には完結できたらと思っています。
2023.04.17
完結しました。
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます!
すずり様にてこの物語の短編を0円配信しています。よろしければご覧下さい。
無能の騎士~退職させられたいので典型的な無能で最低最悪な騎士を演じます~
紫鶴
BL
早く退職させられたい!!
俺は労働が嫌いだ。玉の輿で稼ぎの良い婚約者をゲットできたのに、家族に俺には勿体なさ過ぎる!というので騎士団に入団させられて働いている。くそう、ヴィがいるから楽できると思ったのになんでだよ!!でも家族の圧力が怖いから自主退職できない!
はっ!そうだ!退職させた方が良いと思わせればいいんだ!!
なので俺は無能で最悪最低な悪徳貴族(騎士)を演じることにした。
「ベルちゃん、大好き」
「まっ!準備してないから!!ちょっとヴィ!服脱がせないでよ!!」
でろでろに主人公を溺愛している婚約者と早く退職させられたい主人公のらぶあまな話。
ーーー
ムーンライトノベルズでも連載中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる