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本編
旦那様の覚悟
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「行っちゃったね、あの人騙されてる?」
「そうだな、だがお陰でいいものが撮れた」
「え?」
二人は仲良さげに歩いて行った。
木村君は食事の前に腕時計と服と靴を買って貰うらしい。ねだるわけでもなく、いつの間にか買ってあげるよと相手から言葉を引き出している、木村君の巧みな会話に驚いてしまった。
「見てごらん」
雅がスマホを操作し、画面を僕に見せてくれる。
『もー、なんで上手くいかないのかなっ!』
スマホの中で木村君が大声をあげながら歩いている。
背景は、僕が今見ている景色だ。
「え、これさっきの?」
「全部撮った」
これ撮ってどうするんだろ?
スマホの画面を見ても、雅が何をしたいのか分からなくて首を傾げる。
「使えると思わないか?」
「使える?」
「あれに騙されている奴らに、これを見せたらどうなると思う?」
そう言う雅の顔は、ちょっと悪人ぽい。
これ、木村君が多分僕と思われる人物を邪魔だとかなんとか言って何か相手に命令してた。
そしてあの店員の件は木村君の計画だったことも分かった。
後は?そうか、先輩と呼ばれていた人への態度と話していた中身だ。
「木村君が嘘をついてる証明になる?でも信じるかな」
今まで木村君が先輩としていた会話を見た後では、あの話術で他に『僕達に命令されたんです』と言われないか不安になる。
「俺達が無理矢理演技させたのではと疑うなら、あいつらがそれまでの人間だってことだ」
「これ、佐々木様には」
「勿論見せるさ、あれへの借りはこれで返せる」
「借り?」
「俺にとってはあいつの小姓がどうなろうと関係ないが、ハルはそうではないんだろう? 」
雅は僕が小姓になったせいで舞に危険が及ぶのを心配してるから、それが佐々木様への借りだって考えてるんだ。
あれ? でも佐々木様は騙されてないよね?どうして借りになるのかな。
「これを佐々木様が見るとどうして借りが返せるの?」
「寒いから、戻りながら話そうか」
「そうだね」
さっき木村君から見えないように木の影に隠れてそのままだった。でも、雅にぴったりくっついてたから雅の体温で温かいから苦じゃないんだよね。
むしろもう少しこうしていたい。
「雅」
「ん?」
「もう少しだけこうしてちゃ駄目かなぁ。離れがたくて」
言った途端雅が眉をひそめた。
雅は早く戻りたかったのか、そうだよね僕のせいで雅の時間色々使わせてるんだから、早く帰りたいよね。
「ごめん。我が儘言って帰ろ……ん」
急に雅に抱きしめられて、唇を重ねられた。
え、なんで?
理解が追い付かない、混乱して瞼を閉じるのも忘れてる。
「ハル、あんまり可愛いこと言わないでくれ、本気で俺の理性が限界になる」
「限界?」
「キスだけで我慢出来なくなるってことだよ」
言われてる意味がわからなくて、僕は困って黙りこむ。
雅は何を我慢してるんだろ。それ、僕が我慢させてるんだよね?
「嫌なんじゃなくて、分からないんだよな」
「多分」
何を我慢してるんだろう、本当に分らなくて困惑したまま雅の顔を見つめるだけしかできない。
「キスは嫌じゃないよな」
「恥ずかしいけど。でも嬉しいし幸せな気持ちになる」
「良かった」
至近距離で微笑む雅に、ぽぉっとなりながらも我慢って何を言ってるのか気になって仕方がない。
「我慢って」
「春休みになったら、家とハルの家と正式に顔合わせして手続きする」
「手続き?」
「卒業後に小姓から俺の正室になるという契約を交わすんだよ。初夜はそれから……」
雅の正室という言葉に驚いて、声をあげる。
「あの、第一じゃなく正室?」
同性を正室として迎えるのは、他に誰も娶らないって契約するってことだと聞いたことがある。
結婚する際、貴族は細かい契約書を交わすのだけど、その時に正妻として迎えるとした場合は、他に誰も娶らないと契約するのだ。
第一夫人とした場合は、同性が第一で異性を第二としてもいいし、第三、第四がいても問題にならない。
ただし、どちらの場合でも男は妻としての社交は出来ない。だから女性が第一夫人になり、社交を引き受けるのが常識になっているらしい。
でも、本当にそれでいいの?
★★★★
雅を無自覚に煽ったあげく、初夜という重大ワードを無視する千晴君でした。
雅が哀れ(^^;)
「そうだな、だがお陰でいいものが撮れた」
「え?」
二人は仲良さげに歩いて行った。
木村君は食事の前に腕時計と服と靴を買って貰うらしい。ねだるわけでもなく、いつの間にか買ってあげるよと相手から言葉を引き出している、木村君の巧みな会話に驚いてしまった。
「見てごらん」
雅がスマホを操作し、画面を僕に見せてくれる。
『もー、なんで上手くいかないのかなっ!』
スマホの中で木村君が大声をあげながら歩いている。
背景は、僕が今見ている景色だ。
「え、これさっきの?」
「全部撮った」
これ撮ってどうするんだろ?
スマホの画面を見ても、雅が何をしたいのか分からなくて首を傾げる。
「使えると思わないか?」
「使える?」
「あれに騙されている奴らに、これを見せたらどうなると思う?」
そう言う雅の顔は、ちょっと悪人ぽい。
これ、木村君が多分僕と思われる人物を邪魔だとかなんとか言って何か相手に命令してた。
そしてあの店員の件は木村君の計画だったことも分かった。
後は?そうか、先輩と呼ばれていた人への態度と話していた中身だ。
「木村君が嘘をついてる証明になる?でも信じるかな」
今まで木村君が先輩としていた会話を見た後では、あの話術で他に『僕達に命令されたんです』と言われないか不安になる。
「俺達が無理矢理演技させたのではと疑うなら、あいつらがそれまでの人間だってことだ」
「これ、佐々木様には」
「勿論見せるさ、あれへの借りはこれで返せる」
「借り?」
「俺にとってはあいつの小姓がどうなろうと関係ないが、ハルはそうではないんだろう? 」
雅は僕が小姓になったせいで舞に危険が及ぶのを心配してるから、それが佐々木様への借りだって考えてるんだ。
あれ? でも佐々木様は騙されてないよね?どうして借りになるのかな。
「これを佐々木様が見るとどうして借りが返せるの?」
「寒いから、戻りながら話そうか」
「そうだね」
さっき木村君から見えないように木の影に隠れてそのままだった。でも、雅にぴったりくっついてたから雅の体温で温かいから苦じゃないんだよね。
むしろもう少しこうしていたい。
「雅」
「ん?」
「もう少しだけこうしてちゃ駄目かなぁ。離れがたくて」
言った途端雅が眉をひそめた。
雅は早く戻りたかったのか、そうだよね僕のせいで雅の時間色々使わせてるんだから、早く帰りたいよね。
「ごめん。我が儘言って帰ろ……ん」
急に雅に抱きしめられて、唇を重ねられた。
え、なんで?
理解が追い付かない、混乱して瞼を閉じるのも忘れてる。
「ハル、あんまり可愛いこと言わないでくれ、本気で俺の理性が限界になる」
「限界?」
「キスだけで我慢出来なくなるってことだよ」
言われてる意味がわからなくて、僕は困って黙りこむ。
雅は何を我慢してるんだろ。それ、僕が我慢させてるんだよね?
「嫌なんじゃなくて、分からないんだよな」
「多分」
何を我慢してるんだろう、本当に分らなくて困惑したまま雅の顔を見つめるだけしかできない。
「キスは嫌じゃないよな」
「恥ずかしいけど。でも嬉しいし幸せな気持ちになる」
「良かった」
至近距離で微笑む雅に、ぽぉっとなりながらも我慢って何を言ってるのか気になって仕方がない。
「我慢って」
「春休みになったら、家とハルの家と正式に顔合わせして手続きする」
「手続き?」
「卒業後に小姓から俺の正室になるという契約を交わすんだよ。初夜はそれから……」
雅の正室という言葉に驚いて、声をあげる。
「あの、第一じゃなく正室?」
同性を正室として迎えるのは、他に誰も娶らないって契約するってことだと聞いたことがある。
結婚する際、貴族は細かい契約書を交わすのだけど、その時に正妻として迎えるとした場合は、他に誰も娶らないと契約するのだ。
第一夫人とした場合は、同性が第一で異性を第二としてもいいし、第三、第四がいても問題にならない。
ただし、どちらの場合でも男は妻としての社交は出来ない。だから女性が第一夫人になり、社交を引き受けるのが常識になっているらしい。
でも、本当にそれでいいの?
★★★★
雅を無自覚に煽ったあげく、初夜という重大ワードを無視する千晴君でした。
雅が哀れ(^^;)
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