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本編
雅は過保護だ
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「ごめんね、服濡れちゃった」
雅の胸元に顔を押し付けたまま泣き続けていたから、涙で服が冷たくなっている。
「この位なんでもない、目が腫れてるな冷やそうか」
「大丈夫、ねえ僕どうしてベッドに?」
ベッドに移動した覚えがないし、パジャマに着替えた覚えもない。
ソファーで寝ちゃってたのかな?
「覚えてないのか?」
「うん、何かあったっけ?」
大事なことを忘れてる気がするけど、泣きすぎたせいか頭の中がぼんやりしていて思い出せない。
「そうか、……体調崩して倒れたんだよ。外に長く居すぎて体が冷えたのかもしれないな」
「そうなの、かな」
確かに寒かったけど、体調崩すほどじゃなかったと思う。
雅にくっついてたし、むしろ温めて貰ってたというか。
それでも体調崩すとか、僕弱すぎじゃないのかな。
「一応、ハルの主治医を呼んで診てもらった。昨日のこともあるから念のためにね」
「そうなの?先生に?そんなに酷かったのかな?」
「あぁ、大丈夫だよ『ゆっくり眠れば明日は元気だ』そうだろ」
なんだろ、雅の僕を見つめる目が、表情がいつもと違う気がする。
「雅、父様と同じ事を言うんだね」
「ん?」
「父様、電話の度にそう言うんだよ。僕元気だって言ってるのに、心配してるみたい。電話も週に一度は絶対掛けてくるし」
「そうか、離れているから心配なんだろう」
ちゃんと食べているか?
ちゃんと眠れているか?
僕、そんなに繊細じゃないのに。
「確かに寝不足だとすぐに体調に響くから、そういう意味では睡眠は大事なんだけどね」
「そうだな。ハルは華奢だからもっと食べて体力つけないとな」
僕の頭を撫でながら、雅は「食事出来そうか?」と聞いてくる。
「お腹空いてないよ。今何時かな?」
「もう9時過ぎてるな」
「そんなに寝てたの?」
「あぁ、軽いものならどうだ?スープとか。それとも甘いものなら食べられそうか?」
「こんな時間に甘いもの食べていいの?」
「たまにはいいだろ。いつも飲んでいるハーブティーに蜂蜜入れようか、タルトやケーキ、マカロンもあるぞ」
なんでそんなにお菓子があるんだろ。
あれ、お菓子?
僕何か忘れてる?何かが心に引っ掛かった。
「雅も食べるなら」
「ハルを抱っこして、食べさせていいなら」
くくっと笑って、雅がメイドさんを呼ぶ。
何かを忘れているのに思い出せない。
モヤモヤした気持ちのまま、僕は雅に甘やかされていた。
「ひ、一人で食べられるから」
そう言ったのに、僕は雅に横抱きに座らされて美味しそうなお菓子を差し出されていた。
寝室にもソファーセットが置いてある。
キングサイズのベッドがある寝室に、ソファーセットがあっても窮屈に感じない部屋の広さだというのに、雅は「少し狭いが寮の部屋では流石に自由がきかないな」と言い出したから、流石に上位貴族と感心してしまった。
実家にある僕の寝室はそんなに広くないし、前世の感覚が残っているのか少し狭い部屋の方が実は落ち着くんだよね。
「ほら、あーん」
「だから、一人で食べられるからぁ」
「でも『美味しいものを食べて眠ったら元気になる』……だろ?」
「そうだね」
そう言われると何となく納得しちゃう。
あれ? 僕昔もこういう風に食べさせて貰った事がある気がする? でも、いつだろう。
「ほーら、あーんして」
「あーん」
子供みたいに口を開けて雅が差し出したフォークから、チョコレートケーキを食べる。
甘いチョコレート味のスポンジに、苺のジャムと生クリームが挟んであり、外側はチョコレートクリームで飾られ苺が飾られている。
「美味しいか?」
「うん」
「そうか『美味しいものを食べると幸せな気持ちになる』……俺は、甘いもの食べているハルを見て癒されるけどな」
なんだろう、雅の話し方が何か変だ。
「雅?」
「なんだ、ほらハーブティー」
「ありがと。あ、甘くて美味しい、いい香り」
いつも飲んでいるけど、蜂蜜が入っているせいかより美味しく感じる。
「雅は僕を甘やかしすぎな気がするよ」
抱っこされて、こんな風に甘やかされて、こんな生活が続いたら僕は傲慢な子になってしまいそうだ。
雅に甘やかされないと不満を持つ、そんな子になりそうで怖い。
「そうか?」
「駄目だよ僕を、雅に優しくされないと生きていけないような、駄目な子にしないで」
そうなってしまったら。雅に嫌われそうで怖い。
怖いと思うのは、僕自身は雅に溺れて、雅なしには生きていけないような、そんな気持ちで生きていたいと、そんな誘惑にかられているからだ。
雅の胸元に顔を押し付けたまま泣き続けていたから、涙で服が冷たくなっている。
「この位なんでもない、目が腫れてるな冷やそうか」
「大丈夫、ねえ僕どうしてベッドに?」
ベッドに移動した覚えがないし、パジャマに着替えた覚えもない。
ソファーで寝ちゃってたのかな?
「覚えてないのか?」
「うん、何かあったっけ?」
大事なことを忘れてる気がするけど、泣きすぎたせいか頭の中がぼんやりしていて思い出せない。
「そうか、……体調崩して倒れたんだよ。外に長く居すぎて体が冷えたのかもしれないな」
「そうなの、かな」
確かに寒かったけど、体調崩すほどじゃなかったと思う。
雅にくっついてたし、むしろ温めて貰ってたというか。
それでも体調崩すとか、僕弱すぎじゃないのかな。
「一応、ハルの主治医を呼んで診てもらった。昨日のこともあるから念のためにね」
「そうなの?先生に?そんなに酷かったのかな?」
「あぁ、大丈夫だよ『ゆっくり眠れば明日は元気だ』そうだろ」
なんだろ、雅の僕を見つめる目が、表情がいつもと違う気がする。
「雅、父様と同じ事を言うんだね」
「ん?」
「父様、電話の度にそう言うんだよ。僕元気だって言ってるのに、心配してるみたい。電話も週に一度は絶対掛けてくるし」
「そうか、離れているから心配なんだろう」
ちゃんと食べているか?
ちゃんと眠れているか?
僕、そんなに繊細じゃないのに。
「確かに寝不足だとすぐに体調に響くから、そういう意味では睡眠は大事なんだけどね」
「そうだな。ハルは華奢だからもっと食べて体力つけないとな」
僕の頭を撫でながら、雅は「食事出来そうか?」と聞いてくる。
「お腹空いてないよ。今何時かな?」
「もう9時過ぎてるな」
「そんなに寝てたの?」
「あぁ、軽いものならどうだ?スープとか。それとも甘いものなら食べられそうか?」
「こんな時間に甘いもの食べていいの?」
「たまにはいいだろ。いつも飲んでいるハーブティーに蜂蜜入れようか、タルトやケーキ、マカロンもあるぞ」
なんでそんなにお菓子があるんだろ。
あれ、お菓子?
僕何か忘れてる?何かが心に引っ掛かった。
「雅も食べるなら」
「ハルを抱っこして、食べさせていいなら」
くくっと笑って、雅がメイドさんを呼ぶ。
何かを忘れているのに思い出せない。
モヤモヤした気持ちのまま、僕は雅に甘やかされていた。
「ひ、一人で食べられるから」
そう言ったのに、僕は雅に横抱きに座らされて美味しそうなお菓子を差し出されていた。
寝室にもソファーセットが置いてある。
キングサイズのベッドがある寝室に、ソファーセットがあっても窮屈に感じない部屋の広さだというのに、雅は「少し狭いが寮の部屋では流石に自由がきかないな」と言い出したから、流石に上位貴族と感心してしまった。
実家にある僕の寝室はそんなに広くないし、前世の感覚が残っているのか少し狭い部屋の方が実は落ち着くんだよね。
「ほら、あーん」
「だから、一人で食べられるからぁ」
「でも『美味しいものを食べて眠ったら元気になる』……だろ?」
「そうだね」
そう言われると何となく納得しちゃう。
あれ? 僕昔もこういう風に食べさせて貰った事がある気がする? でも、いつだろう。
「ほーら、あーんして」
「あーん」
子供みたいに口を開けて雅が差し出したフォークから、チョコレートケーキを食べる。
甘いチョコレート味のスポンジに、苺のジャムと生クリームが挟んであり、外側はチョコレートクリームで飾られ苺が飾られている。
「美味しいか?」
「うん」
「そうか『美味しいものを食べると幸せな気持ちになる』……俺は、甘いもの食べているハルを見て癒されるけどな」
なんだろう、雅の話し方が何か変だ。
「雅?」
「なんだ、ほらハーブティー」
「ありがと。あ、甘くて美味しい、いい香り」
いつも飲んでいるけど、蜂蜜が入っているせいかより美味しく感じる。
「雅は僕を甘やかしすぎな気がするよ」
抱っこされて、こんな風に甘やかされて、こんな生活が続いたら僕は傲慢な子になってしまいそうだ。
雅に甘やかされないと不満を持つ、そんな子になりそうで怖い。
「そうか?」
「駄目だよ僕を、雅に優しくされないと生きていけないような、駄目な子にしないで」
そうなってしまったら。雅に嫌われそうで怖い。
怖いと思うのは、僕自身は雅に溺れて、雅なしには生きていけないような、そんな気持ちで生きていたいと、そんな誘惑にかられているからだ。
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