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本編
騙されていた人達1
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頭痛でぼんやりしていた僕は、舞と寄り添いながら体育を見学していたのだけれど、ぼぉっとしているうちにいつの間にか授業が終わっていたらしい。
気がつくとフロアから皆が移動を始めていて、舞が心配そうに僕を見つめていた。
「あれ、僕寝ちゃってた?」
「ほんの少しの時間ですが」
「ごめん、舞に寄りかかってたかな?」
「僕の肩でもお役に立てたなら嬉しいです」
笑う舞に、僕は落ち込む。
授業中に寝てるとか、しかも体育の時間にとか、駄目すぎる。
「顔色がよくなりましたね、安心しました」
「心配かけてごめんね。雅達待たせたら悪いから、行こうか」
立ち上がり、膝掛けをメイドさんに手渡すと、歩きだそうとする僕達を引き留めた。
「千晴様、ご主人様は担任教諭と打ち合わせがある為先にサロンへとのことです」
「そうなの? 教室じゃなくサロン?」
昼休み前にもうひとつ授業があるのに、どうしてサロンなんだろう?
疑問に思っているのは舞も同じらしい、不思議そうな顔でメイドさんを見ている。
「舞様もご一緒にとの事です。佐々木様はご主人様と後からいらっしゃるとのことです」
「分かりました」
授業はどうするんだろと疑問に思いながら、木村君がいないのを確認してサロンのある校舎へ向かって歩く。
教室がある校舎とは違う場所だからなのか、まばらにしか人がいなくて静かだ。
「雅のバスケしてるところ、見逃しちゃった」
「山城様は最後のグループでしたから、丁度お眠りになった頃ですね」
「そっかあ、雅バスケ上手なのに、見たかったなあ」
見学してたのに見逃すなんて、馬鹿だなあ。
なんで寝ちゃったんだろ。
「暫く体育はバスケットボールの様ですし、これからご覧になれますよ」
「そうだけど。なんで寝ちゃったんだろ」
「色々あって心身ともにお疲れなのではありませんか?打たれた衝撃もありますし」
「そんなに繊細なつもりないけど、え」
舞に慰められながら歩いていると、上級生っぽい雰囲気の人がこちらに向かって歩いてきた。
「君が山城の小姓?」
「どなたですか? 名乗りもせずその物言いは失礼です」
名乗りもせずに僕の腕を掴もうと、勢いよく腕を伸ばしてくるのをお供のメイドさん達三人が払いのけ、僕とその人の間に立ち抗議する。
「失礼なのはお前らの方だろう。使用人が何をするっ!」
「初対面で気安く主の小姓様に触れようとなさる方への礼等必要を感じません」
「山城の小姓と仰ったからには、どちらが立場が上かお分かりになるのではありませんか」
先輩に一歩も引かず、毅然とした態度で対応する様子を僕はオロオロと見ていることしか出来ずにいた。
でも、こんなんじゃ駄目だ。
「どんなご用件でしょうか」
「千晴様」
「ご用件?? 女に守られて後ろからいいご身分だな、山城を誑かした女狐が」
「初対面の方に馬鹿にされるような生き方はしていないつもりです。僕は山城家にも学園にも小姓を正式に認められているのですから、失礼なことを言わないでくれませんか」
「そうです。千晴様に失礼すぎます!」
心臓がバクバクと音を立てている。
気を失いそうな程だけど、このくらい僕だって対抗出来なくちゃ。
舞だって一緒に抗議してくれてるし、一人じゃないんだから。
雅に迷惑ばかりかけてちゃ駄目なんだ。
「ふん。学園も目が曇っているんだな、お前みたいな者に許可を出して、純粋な春君を蔑ろにするなんて」
春君?
思わず隣にいた舞と目を合わせる。
「どういう意味ですか? 蔑ろに誰がされていると」
「特待生の木村春君だよ。平民だからといってお前達に苛められて仲間外れにされていると、さっき体育館のところで泣いていたんだ! 可哀想じゃないか!」
谷崎様、森村様、川島君と来て、今度はこの人なの?
うんざりして僕は「木村君、どれだけ範囲広げてるの」と天を仰いだのだった。
気がつくとフロアから皆が移動を始めていて、舞が心配そうに僕を見つめていた。
「あれ、僕寝ちゃってた?」
「ほんの少しの時間ですが」
「ごめん、舞に寄りかかってたかな?」
「僕の肩でもお役に立てたなら嬉しいです」
笑う舞に、僕は落ち込む。
授業中に寝てるとか、しかも体育の時間にとか、駄目すぎる。
「顔色がよくなりましたね、安心しました」
「心配かけてごめんね。雅達待たせたら悪いから、行こうか」
立ち上がり、膝掛けをメイドさんに手渡すと、歩きだそうとする僕達を引き留めた。
「千晴様、ご主人様は担任教諭と打ち合わせがある為先にサロンへとのことです」
「そうなの? 教室じゃなくサロン?」
昼休み前にもうひとつ授業があるのに、どうしてサロンなんだろう?
疑問に思っているのは舞も同じらしい、不思議そうな顔でメイドさんを見ている。
「舞様もご一緒にとの事です。佐々木様はご主人様と後からいらっしゃるとのことです」
「分かりました」
授業はどうするんだろと疑問に思いながら、木村君がいないのを確認してサロンのある校舎へ向かって歩く。
教室がある校舎とは違う場所だからなのか、まばらにしか人がいなくて静かだ。
「雅のバスケしてるところ、見逃しちゃった」
「山城様は最後のグループでしたから、丁度お眠りになった頃ですね」
「そっかあ、雅バスケ上手なのに、見たかったなあ」
見学してたのに見逃すなんて、馬鹿だなあ。
なんで寝ちゃったんだろ。
「暫く体育はバスケットボールの様ですし、これからご覧になれますよ」
「そうだけど。なんで寝ちゃったんだろ」
「色々あって心身ともにお疲れなのではありませんか?打たれた衝撃もありますし」
「そんなに繊細なつもりないけど、え」
舞に慰められながら歩いていると、上級生っぽい雰囲気の人がこちらに向かって歩いてきた。
「君が山城の小姓?」
「どなたですか? 名乗りもせずその物言いは失礼です」
名乗りもせずに僕の腕を掴もうと、勢いよく腕を伸ばしてくるのをお供のメイドさん達三人が払いのけ、僕とその人の間に立ち抗議する。
「失礼なのはお前らの方だろう。使用人が何をするっ!」
「初対面で気安く主の小姓様に触れようとなさる方への礼等必要を感じません」
「山城の小姓と仰ったからには、どちらが立場が上かお分かりになるのではありませんか」
先輩に一歩も引かず、毅然とした態度で対応する様子を僕はオロオロと見ていることしか出来ずにいた。
でも、こんなんじゃ駄目だ。
「どんなご用件でしょうか」
「千晴様」
「ご用件?? 女に守られて後ろからいいご身分だな、山城を誑かした女狐が」
「初対面の方に馬鹿にされるような生き方はしていないつもりです。僕は山城家にも学園にも小姓を正式に認められているのですから、失礼なことを言わないでくれませんか」
「そうです。千晴様に失礼すぎます!」
心臓がバクバクと音を立てている。
気を失いそうな程だけど、このくらい僕だって対抗出来なくちゃ。
舞だって一緒に抗議してくれてるし、一人じゃないんだから。
雅に迷惑ばかりかけてちゃ駄目なんだ。
「ふん。学園も目が曇っているんだな、お前みたいな者に許可を出して、純粋な春君を蔑ろにするなんて」
春君?
思わず隣にいた舞と目を合わせる。
「どういう意味ですか? 蔑ろに誰がされていると」
「特待生の木村春君だよ。平民だからといってお前達に苛められて仲間外れにされていると、さっき体育館のところで泣いていたんだ! 可哀想じゃないか!」
谷崎様、森村様、川島君と来て、今度はこの人なの?
うんざりして僕は「木村君、どれだけ範囲広げてるの」と天を仰いだのだった。
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