96 / 119
本編
懲りない主人公3
しおりを挟む
「いったーーっ。お前俺の扱い酷いよ」
「ハルを馬鹿にし過ぎだ」
「だってさあ、こんな弱っちいの小姓どころか正妻なんて正気かと思うだろ」
「家の親は喜んでるから問題ない。お前は自分の妹を送り込もうとしていたから不満なんだろうが」
両手を拳骨にして、白井さんの頭をグリグリと攻撃する。
普段の雅から想像出来ない行為に目を丸くしながら、妹を送り込むの言葉の意味を噛み砕いた。
「送り込むとか人聞きの悪い。あいつは純粋にお前を……」
「あれがそんな殊勝なことを考えているわけがないだろう。弟夫婦の子供が俺の次の当主になると知ったら喜んで二番目と婚約すると言い出したぞ。俺に好きだと言って断られたすぐ後にな」
雅に好きと言って断られた?
何それ。
「それは、あの。あいつは野心家だから、でも結局婚約に至ってないじゃないか」
「それはそうだろう。弟の名前も覚えてなく二番目と言い放つ女を家族に迎えるわけがない。雅久という立派な名前があるんだぞ」
「知らないわけ……あるかも」
「だろ?仮にも遠縁で、しかも嫁ぎたいという相手にそれはあり得ないだろ。家の両親は激怒していたから白井家関係と山城家との縁談は今後一切無いと思った方がいいぞ。勿論お前の父親には話し済みだ」
ポンポンと会話のやり取りがテンポ良く続いて、二人の仲の良さが分かる。
分かって色々モヤモヤする。雅って僕に気を遣いすぎな気がする。
「そっかぁ。まあ仕方ないか、小姓ちゃん雅命っぽいしなあ」
「雅久も婚約者に惚れてるから、そもそもお前の妹が入り込む隙なんかないからな」
「はいはい。どうせ妹は元々奥様にも好かれてないからな、お姫さんの学友にも選ばれなかったからどうしようもないな。でも白井家関係全部は酷いなぁ」
家族構成も把握してないのって、僕駄目じゃないか。
なんか落ち込んできた。
「もういいから、早く報告して帰れ」
「へいへい。あの性悪凄いよ。あれよあれよという間に腕時計買わされそうになって、ちょっと渋って見せたら『自分の腕時計を持つのが夢だったんです』だってさ」
「ふうん」
白井さんの説明に、雅は不機嫌そうに返事をする。
メイドさんは僕達に新しいコーヒーを、白井さんの前にはホイップした生クリームをたっぷりのせたココアのカップを置いて部屋を出ていった。生クリームにはチョコレートシロップっぽいのもかけてある。
なんか見てるだけで胸焼けしそう。
白井さんは物凄い甘党らしい。
「で、仕方ないから買いに行ったら、さりげなーく安めのコーナーに誘導して、遠慮してる風を装いながら、ちょい高めの棚にあるお前が言ってた奴を見つめてさ『亡くなったお父さんが着けていた物に似てるなって』なんて言い出してさ。あれ、知らなかったら騙されるな。その後夕飯も奢らせられた。何か奢らないと可哀想な感じに話がいくんだよ、上手いよなあ。まあ、お陰でいい証拠になったけどさ」
「ふん。そういう訓練をしてきた様には見えないが、どう思う?」
「そういう感じはないな。食事は話に聞いてた苛められてるから食堂に行きにくい。施設では食事が少なくて食べられない日もあったから一食抜くくらい平気だとかなんとか」
そんな事言うんだ。
施設はそんな酷い環境なのかな。
「まあ、嘘だろうけどね」
「だろうな、転校してきた時健康そのものな顔をしていた。とても食事が足りない様な生活をしていた様には見えなかったぞ」
そういえば、雅は最初木村君に見とれてたんだ。
健康そのものな顔してたって覚えてるってことは、それだけ印象深かったってことだよね。
「あれれ、小姓ちゃん焼きもちやいてる?」
「ハル?」
「憶測で勝手なこと言わないで下さい」
「えーー?でも、今急に不機嫌になったよ。お兄さんには分かるよ。転校の時の様子をなんで覚えてるんだって不愉快になったんだろ?心狭いなあ」
ニヤニヤと笑いながら言われるけど、プイと無視して答えない。
「ハル」
「焼きもちなんかやくわけないよ。雅は僕だけ好きなんだから」
「当たり前だ」
「はいはい。ご馳走さま。じゃあこれ、録音データ渡しておくよ。小姓ちゃん、心狭いとこいつのせた気持ち冷めちゃうかもよ。卒業待たずにお別れになっちゃうんじゃないの?ふふふ」
「お前、山城家全部出入り禁止にするぞ」
「何言ってんだよ。未来の側近に向かって酷すぎるだろ。へいへい邪魔者は消えますよーー。じゃあね小姓ちゃん焼きもちは程々にねーー」
最後まで嫌味な態度を崩さずに、白井さんは去っていった。
「ハルを馬鹿にし過ぎだ」
「だってさあ、こんな弱っちいの小姓どころか正妻なんて正気かと思うだろ」
「家の親は喜んでるから問題ない。お前は自分の妹を送り込もうとしていたから不満なんだろうが」
両手を拳骨にして、白井さんの頭をグリグリと攻撃する。
普段の雅から想像出来ない行為に目を丸くしながら、妹を送り込むの言葉の意味を噛み砕いた。
「送り込むとか人聞きの悪い。あいつは純粋にお前を……」
「あれがそんな殊勝なことを考えているわけがないだろう。弟夫婦の子供が俺の次の当主になると知ったら喜んで二番目と婚約すると言い出したぞ。俺に好きだと言って断られたすぐ後にな」
雅に好きと言って断られた?
何それ。
「それは、あの。あいつは野心家だから、でも結局婚約に至ってないじゃないか」
「それはそうだろう。弟の名前も覚えてなく二番目と言い放つ女を家族に迎えるわけがない。雅久という立派な名前があるんだぞ」
「知らないわけ……あるかも」
「だろ?仮にも遠縁で、しかも嫁ぎたいという相手にそれはあり得ないだろ。家の両親は激怒していたから白井家関係と山城家との縁談は今後一切無いと思った方がいいぞ。勿論お前の父親には話し済みだ」
ポンポンと会話のやり取りがテンポ良く続いて、二人の仲の良さが分かる。
分かって色々モヤモヤする。雅って僕に気を遣いすぎな気がする。
「そっかぁ。まあ仕方ないか、小姓ちゃん雅命っぽいしなあ」
「雅久も婚約者に惚れてるから、そもそもお前の妹が入り込む隙なんかないからな」
「はいはい。どうせ妹は元々奥様にも好かれてないからな、お姫さんの学友にも選ばれなかったからどうしようもないな。でも白井家関係全部は酷いなぁ」
家族構成も把握してないのって、僕駄目じゃないか。
なんか落ち込んできた。
「もういいから、早く報告して帰れ」
「へいへい。あの性悪凄いよ。あれよあれよという間に腕時計買わされそうになって、ちょっと渋って見せたら『自分の腕時計を持つのが夢だったんです』だってさ」
「ふうん」
白井さんの説明に、雅は不機嫌そうに返事をする。
メイドさんは僕達に新しいコーヒーを、白井さんの前にはホイップした生クリームをたっぷりのせたココアのカップを置いて部屋を出ていった。生クリームにはチョコレートシロップっぽいのもかけてある。
なんか見てるだけで胸焼けしそう。
白井さんは物凄い甘党らしい。
「で、仕方ないから買いに行ったら、さりげなーく安めのコーナーに誘導して、遠慮してる風を装いながら、ちょい高めの棚にあるお前が言ってた奴を見つめてさ『亡くなったお父さんが着けていた物に似てるなって』なんて言い出してさ。あれ、知らなかったら騙されるな。その後夕飯も奢らせられた。何か奢らないと可哀想な感じに話がいくんだよ、上手いよなあ。まあ、お陰でいい証拠になったけどさ」
「ふん。そういう訓練をしてきた様には見えないが、どう思う?」
「そういう感じはないな。食事は話に聞いてた苛められてるから食堂に行きにくい。施設では食事が少なくて食べられない日もあったから一食抜くくらい平気だとかなんとか」
そんな事言うんだ。
施設はそんな酷い環境なのかな。
「まあ、嘘だろうけどね」
「だろうな、転校してきた時健康そのものな顔をしていた。とても食事が足りない様な生活をしていた様には見えなかったぞ」
そういえば、雅は最初木村君に見とれてたんだ。
健康そのものな顔してたって覚えてるってことは、それだけ印象深かったってことだよね。
「あれれ、小姓ちゃん焼きもちやいてる?」
「ハル?」
「憶測で勝手なこと言わないで下さい」
「えーー?でも、今急に不機嫌になったよ。お兄さんには分かるよ。転校の時の様子をなんで覚えてるんだって不愉快になったんだろ?心狭いなあ」
ニヤニヤと笑いながら言われるけど、プイと無視して答えない。
「ハル」
「焼きもちなんかやくわけないよ。雅は僕だけ好きなんだから」
「当たり前だ」
「はいはい。ご馳走さま。じゃあこれ、録音データ渡しておくよ。小姓ちゃん、心狭いとこいつのせた気持ち冷めちゃうかもよ。卒業待たずにお別れになっちゃうんじゃないの?ふふふ」
「お前、山城家全部出入り禁止にするぞ」
「何言ってんだよ。未来の側近に向かって酷すぎるだろ。へいへい邪魔者は消えますよーー。じゃあね小姓ちゃん焼きもちは程々にねーー」
最後まで嫌味な態度を崩さずに、白井さんは去っていった。
168
あなたにおすすめの小説
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語
平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
【完結】我が兄は生徒会長である!
tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。
名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。
そんな彼には「推し」がいる。
それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。
実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。
終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。
本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。
(番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)
最弱白魔導士(♂)ですが最強魔王の奥様になりました。
はやしかわともえ
BL
のんびり書いていきます。
2023.04.03
閲覧、お気に入り、栞、ありがとうございます。m(_ _)m
お待たせしています。
お待ちくださると幸いです。
2023.04.15
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。
m(_ _)m
更新頻度が遅く、申し訳ないです。
今月中には完結できたらと思っています。
2023.04.17
完結しました。
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます!
すずり様にてこの物語の短編を0円配信しています。よろしければご覧下さい。
無能の騎士~退職させられたいので典型的な無能で最低最悪な騎士を演じます~
紫鶴
BL
早く退職させられたい!!
俺は労働が嫌いだ。玉の輿で稼ぎの良い婚約者をゲットできたのに、家族に俺には勿体なさ過ぎる!というので騎士団に入団させられて働いている。くそう、ヴィがいるから楽できると思ったのになんでだよ!!でも家族の圧力が怖いから自主退職できない!
はっ!そうだ!退職させた方が良いと思わせればいいんだ!!
なので俺は無能で最悪最低な悪徳貴族(騎士)を演じることにした。
「ベルちゃん、大好き」
「まっ!準備してないから!!ちょっとヴィ!服脱がせないでよ!!」
でろでろに主人公を溺愛している婚約者と早く退職させられたい主人公のらぶあまな話。
ーーー
ムーンライトノベルズでも連載中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる