95 / 119
本編
懲りない主人公2
しおりを挟む
「凄いな、束縛を見守りとは。素晴らしい調教だね」
にこにこ笑顔で言うから、束縛?と首を傾げるけど、この人は木村君の本性とか知らないから、雅がなんで僕を守ろうとしてるのかも思い付かないのかと納得した。
「束縛を嫌だと思わないのかな?そう考える力もない?」
「名前も知らない方に決めつけられる方が嫌です。しかも事実確認もせずに本人に向かって失礼な事を言っている自覚もない恥知らずな方に」
話は通じる方だけど、失礼なこと言ってるのは確かだ。
今は周囲に誰もいないけれど、こんなの大勢の前で言われたら信じちゃう人だっているかもしれないじゃないか。
「恥知らずとは?」
「事実確認もせずに言い掛かりを付けてきたあなたのことですが、何か?質問という形でも、十分に失礼な話ですよね。礼儀を知らない方なんですね」
「責めるのは酷いです。僕の為に言ってくれただけなのに」
一瞬で涙を流し始めたのは、木村君だ。
「礼儀を知らないとは思っていないけど」
「なら、ここに雅がいなかったとして、僕がやっていないと言って信じますか?」
「うーん。それはどうだろ、やってない証拠は?」
「なら、やられたという証拠は?どちらが正しいか、あなたが決めるんですか?それこそ証拠もないのに。最低ですね」
冷静にならなきゃと思うのに、腹が立って仕方ない。
もっと言ってやろうと口を開き掛けたら、雅が笑いだした。
「ハルそれくらいにしてやれ」
「だって、雅が馬鹿にされたんだよ。なんで笑ってるのっ」
「頑張って抗議しているハルが可愛いから、かな」
なんで怒らないのか、そっちが不思議だ。
でも、雅が気にしてないならいいのかな。
「もう」
「まあ、言い掛かりは面倒だから今後は遠慮して貰おうか。今回は可愛いハルに免じて家に抗議はしないでおいてやる」
「ありがとうございます」
「ハルへの接触はすべて俺が把握してる。ハルはそれにも、他の生徒にも苛めなど愚かな行いはしていない。これでいいな」
「はい」
雅の言葉に簡単に頭を下げる。
あれ? なんかおかしい?
「でもクラスの人達に嫌がらせされているのは事実なんです。山城様僕を助けてくれませんか?」
「何故俺が?」
「何故って」
凄いなこの人、全然めげずに雅にすり寄ってくる。
「そもそも苛めの事実はないのにハルに冤罪を着せようとする。そんな奴を何故俺が助けなければならない?それに俺は前にお前に一切関わらないと以前言った筈だが」
冷たい雅の声がフロアに響く。
「そんな、酷い。僕は本当に皆さんから嫌がらせをされているのに」
「川島にでも頼るんだな。時間の無駄だ、もう行く」
「え、雅?」
手を引っ張られ僕は慌てて雅の後を追う。
振り替えると、木村君を慰める先輩の姿が見えた。
※※※※※※※
部屋に戻って夕食後、雅とコーヒーを飲んでいたら意外な人がやって来た。
「こんばんは」
「あなたは」
「お疲れ、大変だったようだな」
メイドさんに案内されてリビングに入ってきたのは、寮の入り口で僕達に声を掛けてきた上級生だった。
「雅?」
なんだろう、凄く気安い感じだ。
「あぁ、種明かしをすると彼には証拠固めにあれに近付いて貰っている」
「証拠?」
「あれが誰彼構わず声をかけ、腕時計等を買わせているという証拠だ」
大林君が言っていた件だ。
でも、あれは罪には問えないとも話してなかったっけ?
でも、雅がこの人に指示していたならあの話し方は納得出来る。
「そうか、だから冷静だったんだね」
「冷静とは」
「木村君を名前で呼ぶ人達は、話が通じないんだよ。何だかおかしな位に自分の意見を押し通そうとしてると言うか、上手に説明出来ないけれど一方通行というか、でもさっきは違ったから、印象に残ってたんだ」
何となく僕に対して冷たい感じがするけれど、僕が感じていた事を話すと、少し目を見張り「へえ」と呟いた。
「ぽやぽやしているだけかと思いましたが、見るべきところは見ているんですね」
どういう意味? 失礼なんだけど。という視線を雅に向けると苦笑している。
「お前はどうしようもないな。いい加減認めろ。俺はハル以外は娶らない」
「守られるだけの軟弱な者等、山城家には必要ありませんが仕方ないですね」
なんだろこの人。
「白井伯爵家長男の忠と申します。小姓様に改めてご挨拶申し上げます」
「しろいただし?って、雅のおばあ様のご実家の白井家?」
「なんだ知ってるのか、なら顔くらい覚えておけよ」
ころりと態度を変えた白井さんは、ごちんと雅に拳骨を落とされたのだった。
にこにこ笑顔で言うから、束縛?と首を傾げるけど、この人は木村君の本性とか知らないから、雅がなんで僕を守ろうとしてるのかも思い付かないのかと納得した。
「束縛を嫌だと思わないのかな?そう考える力もない?」
「名前も知らない方に決めつけられる方が嫌です。しかも事実確認もせずに本人に向かって失礼な事を言っている自覚もない恥知らずな方に」
話は通じる方だけど、失礼なこと言ってるのは確かだ。
今は周囲に誰もいないけれど、こんなの大勢の前で言われたら信じちゃう人だっているかもしれないじゃないか。
「恥知らずとは?」
「事実確認もせずに言い掛かりを付けてきたあなたのことですが、何か?質問という形でも、十分に失礼な話ですよね。礼儀を知らない方なんですね」
「責めるのは酷いです。僕の為に言ってくれただけなのに」
一瞬で涙を流し始めたのは、木村君だ。
「礼儀を知らないとは思っていないけど」
「なら、ここに雅がいなかったとして、僕がやっていないと言って信じますか?」
「うーん。それはどうだろ、やってない証拠は?」
「なら、やられたという証拠は?どちらが正しいか、あなたが決めるんですか?それこそ証拠もないのに。最低ですね」
冷静にならなきゃと思うのに、腹が立って仕方ない。
もっと言ってやろうと口を開き掛けたら、雅が笑いだした。
「ハルそれくらいにしてやれ」
「だって、雅が馬鹿にされたんだよ。なんで笑ってるのっ」
「頑張って抗議しているハルが可愛いから、かな」
なんで怒らないのか、そっちが不思議だ。
でも、雅が気にしてないならいいのかな。
「もう」
「まあ、言い掛かりは面倒だから今後は遠慮して貰おうか。今回は可愛いハルに免じて家に抗議はしないでおいてやる」
「ありがとうございます」
「ハルへの接触はすべて俺が把握してる。ハルはそれにも、他の生徒にも苛めなど愚かな行いはしていない。これでいいな」
「はい」
雅の言葉に簡単に頭を下げる。
あれ? なんかおかしい?
「でもクラスの人達に嫌がらせされているのは事実なんです。山城様僕を助けてくれませんか?」
「何故俺が?」
「何故って」
凄いなこの人、全然めげずに雅にすり寄ってくる。
「そもそも苛めの事実はないのにハルに冤罪を着せようとする。そんな奴を何故俺が助けなければならない?それに俺は前にお前に一切関わらないと以前言った筈だが」
冷たい雅の声がフロアに響く。
「そんな、酷い。僕は本当に皆さんから嫌がらせをされているのに」
「川島にでも頼るんだな。時間の無駄だ、もう行く」
「え、雅?」
手を引っ張られ僕は慌てて雅の後を追う。
振り替えると、木村君を慰める先輩の姿が見えた。
※※※※※※※
部屋に戻って夕食後、雅とコーヒーを飲んでいたら意外な人がやって来た。
「こんばんは」
「あなたは」
「お疲れ、大変だったようだな」
メイドさんに案内されてリビングに入ってきたのは、寮の入り口で僕達に声を掛けてきた上級生だった。
「雅?」
なんだろう、凄く気安い感じだ。
「あぁ、種明かしをすると彼には証拠固めにあれに近付いて貰っている」
「証拠?」
「あれが誰彼構わず声をかけ、腕時計等を買わせているという証拠だ」
大林君が言っていた件だ。
でも、あれは罪には問えないとも話してなかったっけ?
でも、雅がこの人に指示していたならあの話し方は納得出来る。
「そうか、だから冷静だったんだね」
「冷静とは」
「木村君を名前で呼ぶ人達は、話が通じないんだよ。何だかおかしな位に自分の意見を押し通そうとしてると言うか、上手に説明出来ないけれど一方通行というか、でもさっきは違ったから、印象に残ってたんだ」
何となく僕に対して冷たい感じがするけれど、僕が感じていた事を話すと、少し目を見張り「へえ」と呟いた。
「ぽやぽやしているだけかと思いましたが、見るべきところは見ているんですね」
どういう意味? 失礼なんだけど。という視線を雅に向けると苦笑している。
「お前はどうしようもないな。いい加減認めろ。俺はハル以外は娶らない」
「守られるだけの軟弱な者等、山城家には必要ありませんが仕方ないですね」
なんだろこの人。
「白井伯爵家長男の忠と申します。小姓様に改めてご挨拶申し上げます」
「しろいただし?って、雅のおばあ様のご実家の白井家?」
「なんだ知ってるのか、なら顔くらい覚えておけよ」
ころりと態度を変えた白井さんは、ごちんと雅に拳骨を落とされたのだった。
177
あなたにおすすめの小説
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語
平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
【完結】我が兄は生徒会長である!
tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。
名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。
そんな彼には「推し」がいる。
それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。
実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。
終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。
本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。
(番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)
最弱白魔導士(♂)ですが最強魔王の奥様になりました。
はやしかわともえ
BL
のんびり書いていきます。
2023.04.03
閲覧、お気に入り、栞、ありがとうございます。m(_ _)m
お待たせしています。
お待ちくださると幸いです。
2023.04.15
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。
m(_ _)m
更新頻度が遅く、申し訳ないです。
今月中には完結できたらと思っています。
2023.04.17
完結しました。
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます!
すずり様にてこの物語の短編を0円配信しています。よろしければご覧下さい。
無能の騎士~退職させられたいので典型的な無能で最低最悪な騎士を演じます~
紫鶴
BL
早く退職させられたい!!
俺は労働が嫌いだ。玉の輿で稼ぎの良い婚約者をゲットできたのに、家族に俺には勿体なさ過ぎる!というので騎士団に入団させられて働いている。くそう、ヴィがいるから楽できると思ったのになんでだよ!!でも家族の圧力が怖いから自主退職できない!
はっ!そうだ!退職させた方が良いと思わせればいいんだ!!
なので俺は無能で最悪最低な悪徳貴族(騎士)を演じることにした。
「ベルちゃん、大好き」
「まっ!準備してないから!!ちょっとヴィ!服脱がせないでよ!!」
でろでろに主人公を溺愛している婚約者と早く退職させられたい主人公のらぶあまな話。
ーーー
ムーンライトノベルズでも連載中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる