102 / 119
本編
目覚めた僕は
しおりを挟む
「あれ」
目を開けたらサロンの天井が見えた。
なんで僕サロンで寝てるんだろ?
お昼休みだったかな?と惚けた頭で視線を動かしたら、メイドさんが近付いてきた。
「千晴様、お気づきになられましたか。ご気分は如何でしょうか」
「ええと?痛っ」
左手を支えに体を起こそうとして、指先の痛みに顔をしかめた。
なんでこんな痛みが?そこまで考えてやっと思い出した。
「千晴様、傷が深いのです。左手はなるべくお使いになりませんよう」
「わかった、結構痛いかも」
「数針縫っておりますので、お食事されてから痛み止をお飲みくださいと医師より指示が出ておりますが、何か召し上がれますか」
「ううん今はいいです。あ、授業。今何時かな?」
部屋の中を見渡しても雅の姿は無いから、授業を受けているんだろう。
雅の姿がないと何だか不安になる。
でも、ほんの少し離れただけで不安になるとか、子どもじゃないんだから、もっと強くならないと駄目だよね。
「十時半を過ぎたばかりです。ご主人様は授業を受けていらっしゃいます」
「そう」
「部分麻酔をしておりますが、痛みが出ているということは麻酔が切れてきたのでしょう。感覚は如何ですか」
「えっと、なんか痛いけれど。指先の感覚はあるよ」
包帯が巻かれた指に触れると、鈍く痛みが走るし、指先に触れた時にも感覚がある。
切ったのは左手の人差し指、親指側の爪先から第二間接の辺り、四、五センチ程度切れていた様に見えた。
「なんとなくジクジクって感じに痛いかも」
なんであんなに簡単に切れちゃったのか分からないけれど、感覚的にはスパッと切れた感じだった。
「申し訳ございません。あの方が机に触れていたのですから、中を確認すべきでした。私共の落ち度でございます」
「そ、そんなことないよ。あの時先生が来たからそんな暇無かったんだし、僕も気にせず手を入れちゃったのが悪かったんだよ」
「ですが」
「それより、何か飲み物貰えるかな。さっぱりしたものがいいな」
「それでしたら、炭酸水の無糖のもの、ジンジャーエール、柑橘類のスカッシュ、ウーロン茶にハーブティもございます」
「じゃあ、ジンジャーエールかな。氷無しでグラスに半分だけお願いします」
「畏まりました」
メイドさんが一礼して下がっていくのを見届けて、僕はじっと左手を見る。
包帯が巻かれた指、メイドさんの話によれば何針か塗っているらしい。
自分の指を縫うなんて、想像するだけで貧血起こしそうだ。
「雅にまた迷惑掛けちゃったな」
怪我した。それだけで気を失う僕。
きっと凄く心配掛けたし、迷惑も掛けた。
雅自身大変だったのに、僕は足を引っ張るしか出来ないのかと自己嫌悪に陥ってしまう。
「はあぁっ」
雅はそんなこと思っていないと分かってるのに、今側に居てくれない、その事実が僕を追い詰める。
もしかしたら僕を面倒に思ってるんじゃないか、小姓にしたのを後悔しているんじゃないか、という不安。
あれだけ僕を大切にしてくれているのに、それなのに不安になる僕を、僕自身嫌悪してしまう。
「雅、助けて」
僕を不安にするのも、安心させるのも雅なんだ。
「雅、雅」
どうしてこんなに不安なんだろう。
雅が側にいないなんて、ほんの一ヶ月前には当たり前だったというのに、今は雅の不在が不安で仕方ない。
「こんなのおかしいよ。依存しすぎでしょ」
おかしいと思うのに、僕はもう雅無しには生きていけないと思う。
依存しまくりだ、こんなのおかしいと思うのに止められない。
「なんで、こんなの変だよ」
不安で不安で不安で。
今すぐに雅に会いたいと願ってしまう僕は、もう、おかしいのかもしれない。
「雅助けて」
何故こんなに不安なのか。
どうして僕はこんなに弱いのか。
分からないまま僕は、ここにはいない雅に助けを求めていたんだ。
目を開けたらサロンの天井が見えた。
なんで僕サロンで寝てるんだろ?
お昼休みだったかな?と惚けた頭で視線を動かしたら、メイドさんが近付いてきた。
「千晴様、お気づきになられましたか。ご気分は如何でしょうか」
「ええと?痛っ」
左手を支えに体を起こそうとして、指先の痛みに顔をしかめた。
なんでこんな痛みが?そこまで考えてやっと思い出した。
「千晴様、傷が深いのです。左手はなるべくお使いになりませんよう」
「わかった、結構痛いかも」
「数針縫っておりますので、お食事されてから痛み止をお飲みくださいと医師より指示が出ておりますが、何か召し上がれますか」
「ううん今はいいです。あ、授業。今何時かな?」
部屋の中を見渡しても雅の姿は無いから、授業を受けているんだろう。
雅の姿がないと何だか不安になる。
でも、ほんの少し離れただけで不安になるとか、子どもじゃないんだから、もっと強くならないと駄目だよね。
「十時半を過ぎたばかりです。ご主人様は授業を受けていらっしゃいます」
「そう」
「部分麻酔をしておりますが、痛みが出ているということは麻酔が切れてきたのでしょう。感覚は如何ですか」
「えっと、なんか痛いけれど。指先の感覚はあるよ」
包帯が巻かれた指に触れると、鈍く痛みが走るし、指先に触れた時にも感覚がある。
切ったのは左手の人差し指、親指側の爪先から第二間接の辺り、四、五センチ程度切れていた様に見えた。
「なんとなくジクジクって感じに痛いかも」
なんであんなに簡単に切れちゃったのか分からないけれど、感覚的にはスパッと切れた感じだった。
「申し訳ございません。あの方が机に触れていたのですから、中を確認すべきでした。私共の落ち度でございます」
「そ、そんなことないよ。あの時先生が来たからそんな暇無かったんだし、僕も気にせず手を入れちゃったのが悪かったんだよ」
「ですが」
「それより、何か飲み物貰えるかな。さっぱりしたものがいいな」
「それでしたら、炭酸水の無糖のもの、ジンジャーエール、柑橘類のスカッシュ、ウーロン茶にハーブティもございます」
「じゃあ、ジンジャーエールかな。氷無しでグラスに半分だけお願いします」
「畏まりました」
メイドさんが一礼して下がっていくのを見届けて、僕はじっと左手を見る。
包帯が巻かれた指、メイドさんの話によれば何針か塗っているらしい。
自分の指を縫うなんて、想像するだけで貧血起こしそうだ。
「雅にまた迷惑掛けちゃったな」
怪我した。それだけで気を失う僕。
きっと凄く心配掛けたし、迷惑も掛けた。
雅自身大変だったのに、僕は足を引っ張るしか出来ないのかと自己嫌悪に陥ってしまう。
「はあぁっ」
雅はそんなこと思っていないと分かってるのに、今側に居てくれない、その事実が僕を追い詰める。
もしかしたら僕を面倒に思ってるんじゃないか、小姓にしたのを後悔しているんじゃないか、という不安。
あれだけ僕を大切にしてくれているのに、それなのに不安になる僕を、僕自身嫌悪してしまう。
「雅、助けて」
僕を不安にするのも、安心させるのも雅なんだ。
「雅、雅」
どうしてこんなに不安なんだろう。
雅が側にいないなんて、ほんの一ヶ月前には当たり前だったというのに、今は雅の不在が不安で仕方ない。
「こんなのおかしいよ。依存しすぎでしょ」
おかしいと思うのに、僕はもう雅無しには生きていけないと思う。
依存しまくりだ、こんなのおかしいと思うのに止められない。
「なんで、こんなの変だよ」
不安で不安で不安で。
今すぐに雅に会いたいと願ってしまう僕は、もう、おかしいのかもしれない。
「雅助けて」
何故こんなに不安なのか。
どうして僕はこんなに弱いのか。
分からないまま僕は、ここにはいない雅に助けを求めていたんだ。
172
あなたにおすすめの小説
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語
平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
【完結】我が兄は生徒会長である!
tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。
名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。
そんな彼には「推し」がいる。
それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。
実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。
終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。
本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。
(番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)
最弱白魔導士(♂)ですが最強魔王の奥様になりました。
はやしかわともえ
BL
のんびり書いていきます。
2023.04.03
閲覧、お気に入り、栞、ありがとうございます。m(_ _)m
お待たせしています。
お待ちくださると幸いです。
2023.04.15
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。
m(_ _)m
更新頻度が遅く、申し訳ないです。
今月中には完結できたらと思っています。
2023.04.17
完結しました。
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます!
すずり様にてこの物語の短編を0円配信しています。よろしければご覧下さい。
無能の騎士~退職させられたいので典型的な無能で最低最悪な騎士を演じます~
紫鶴
BL
早く退職させられたい!!
俺は労働が嫌いだ。玉の輿で稼ぎの良い婚約者をゲットできたのに、家族に俺には勿体なさ過ぎる!というので騎士団に入団させられて働いている。くそう、ヴィがいるから楽できると思ったのになんでだよ!!でも家族の圧力が怖いから自主退職できない!
はっ!そうだ!退職させた方が良いと思わせればいいんだ!!
なので俺は無能で最悪最低な悪徳貴族(騎士)を演じることにした。
「ベルちゃん、大好き」
「まっ!準備してないから!!ちょっとヴィ!服脱がせないでよ!!」
でろでろに主人公を溺愛している婚約者と早く退職させられたい主人公のらぶあまな話。
ーーー
ムーンライトノベルズでも連載中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる