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第8章
捜索が始まる
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ショーンは出会った当初からとてもやさしい存在だった。大きな会社の子息の一人だけれど、肩意地をはっていなくて周りのことをいつも気を使ってみているような人だった。
エレナは探偵事務所に赴いていた。いつものように探偵はコーヒーを飲みながら仕事をしていると思っていたが、その日は事務所に帰って来るのが夕方の六時半を回っていた。
「なんだ、来てたのか」
「すみません、いつも突然来てしまって」
「いいけど、うちみたいな小さな探偵事務所は小さな案件や、はりこみで度々、外に出てくから、来てもらっても私がいないことも多いい、すまない」
「いいえ、いいんです」
探偵はコートをラックにかけて「なにか新しいことはわかったか?」
「二年前のことなんですけど・・」
「2007年の橋本しんやの事件のことか?」
「はい」
「やっぱり、そこが気になるところだな」
「実は私、2年前の夏にカナタにポーランドで出会っているんです」
探偵は目を少し下におろして、「実は君にこのことを言おうか迷っていたのだが、」
「なんですか?・・」
「あぁ、カナタはもしかしたら、その時の事件の関係者に巻き込まれた可能性があるかもしれない」
「どういうことですか・・?巻き込まれた?」
「橋本しんやとカナタの因果関係はまだはっきりはしていないが、二人は大学4年の夏ごろまで親しい仲だったということを卒業生の複数人から情報が入った」
私はその言葉を聞いて、内心で「ああ、やっぱり、そうだったんだ」という感情を感じていた。2年前の記事を見ていた時に、もしかしたらカナタがこの事件に巻き込まれているのかもしれないということは心のどこかで分かっていた気がしていたのだ。
「この事件で橋本しんやがなぜ死ななければならなかったのかをもう少し調べてみよう、なにか手がかりがみつかるはずだ」
「・・・・」
「どうかしたか?」
「もしこの事件でカナタが巻き込まれていたとしたら、もしかしてカナタは、カナタはもう・・・」
「そんなことはまだ誰にもわからない」
「カナタと出逢ったときはそういう事件にかかわるような雰囲気は全くなかったのに」
「君たちが出会ったのは休暇のそんな短い期間だけだろ、それだけじゃ相手のことは何もわからないよ、しかもそれからずっと手紙かメールのやりとりだけだったんだろ」
「・・・たしかにそうね」
探偵はあくる日、警察に出向き、刑事課で二年前の事件について話を聞いた。
警察の窓口で一人の女性に話を聞いている探偵。「こちらでは民事の裁判の受付しかしていませんが、過去の事件については、刑事課にお聞きしたほうがいいとおもいます。」
民事課で受付しているその中年の女性は淡々と対応をして、私に刑事課のその時に担当になった刑事に会えるように手配をしてくれた。
2年前のその対応をしてくれた刑事は私に会うと、やっぱり来たかというような顔つきで少しやつれたような風貌をしていた。
「2年前の事件のこと、覚えていらっしゃいますよね?」
「ああ、覚えているよ」
「あの事件は、やはり他殺という可能性はなかったということですか?」
「・・・・あの事件は基本的に誰かが殺したという証拠は残っていなかった、」
回想
「なんでだよ、なんで、なんで兄さんが死ななきゃいけないんだ」部屋の中で刑事にものをなげたり、わめいている一人の青年。
刑事は探偵に背を向けながら白いブラインドカーテンの方を見ながらしゃべっていた。
「遺族からその事件後当時、起訴をされていたようですが」
「自殺には我々、警察の外部からは踏み込めない部分があるから、本人の中に何があったかや、その時の彼の環境まで理解するのは難しい」
「・・・・ということは、誰かが、関わっていた可能性もありえるということですよね」
刑事は振り向いて「明らかな事件性のあるものならば警察は動くことは出来たが、この事件は、きわめて当事者の意思によるもので加害者による刑事的な要素がなかった。」
「もうすぐ橋本しんやが死んでから3年が経ちますよね、このまま起訴もされなければ、時効になるということですか?」
「・・・・」
「まぁそんなに重要視される種はもう出てこないだろうが、もし、ホシモト大学で起きたワトクの焼身未遂自殺における事件となにかかかわりがあるなら、また話は聞くよ」
橋本しんやの実家の工場を訪ねる。
橋本しんやの父親の工場は3年前に経営不振のために工場自体が閉鎖され、そこで働いていた従業員達も全員が解雇をされていた。橋本しんやの父親は比較的に73歳の高齢でその工場を引き継いでいくものは兄弟もいなかった橋本信也、一人しかいなかった。
その工場は今では古くそびえたつ錆びた風貌になっていて、工場の中は古びた工具や機械が残っている様子だった。
「おい、君、ここに何か用があるのかい?」
この通りを歩いていた65歳くらいの中年の男性が話しかけてきた。
「おじさん、ここの工場のことよく知ってるんですか?」
「あぁ、おやっさんがな、もう年ってのもあったんだけど借金抱えて・・・夜逃げしちまったのよ」
「大変でしたね」
「なーにも、俺たちにも相談なしよ」
「おじさん仲良かったんですか?橋本さんと」
「昔はよく飲む仲だったのよ、まだこの町も活気もあったころでよ・・この不況でな、おやっさんも苦しかったと思うわ・・・大事な息子さんも死んじまうなんてな」
その中年のおじさんは少し涙ぐんだように話していた。
「あの。もしよければここで働いていた人の連絡先とか教えてもらえないですか?」
続く
エレナは探偵事務所に赴いていた。いつものように探偵はコーヒーを飲みながら仕事をしていると思っていたが、その日は事務所に帰って来るのが夕方の六時半を回っていた。
「なんだ、来てたのか」
「すみません、いつも突然来てしまって」
「いいけど、うちみたいな小さな探偵事務所は小さな案件や、はりこみで度々、外に出てくから、来てもらっても私がいないことも多いい、すまない」
「いいえ、いいんです」
探偵はコートをラックにかけて「なにか新しいことはわかったか?」
「二年前のことなんですけど・・」
「2007年の橋本しんやの事件のことか?」
「はい」
「やっぱり、そこが気になるところだな」
「実は私、2年前の夏にカナタにポーランドで出会っているんです」
探偵は目を少し下におろして、「実は君にこのことを言おうか迷っていたのだが、」
「なんですか?・・」
「あぁ、カナタはもしかしたら、その時の事件の関係者に巻き込まれた可能性があるかもしれない」
「どういうことですか・・?巻き込まれた?」
「橋本しんやとカナタの因果関係はまだはっきりはしていないが、二人は大学4年の夏ごろまで親しい仲だったということを卒業生の複数人から情報が入った」
私はその言葉を聞いて、内心で「ああ、やっぱり、そうだったんだ」という感情を感じていた。2年前の記事を見ていた時に、もしかしたらカナタがこの事件に巻き込まれているのかもしれないということは心のどこかで分かっていた気がしていたのだ。
「この事件で橋本しんやがなぜ死ななければならなかったのかをもう少し調べてみよう、なにか手がかりがみつかるはずだ」
「・・・・」
「どうかしたか?」
「もしこの事件でカナタが巻き込まれていたとしたら、もしかしてカナタは、カナタはもう・・・」
「そんなことはまだ誰にもわからない」
「カナタと出逢ったときはそういう事件にかかわるような雰囲気は全くなかったのに」
「君たちが出会ったのは休暇のそんな短い期間だけだろ、それだけじゃ相手のことは何もわからないよ、しかもそれからずっと手紙かメールのやりとりだけだったんだろ」
「・・・たしかにそうね」
探偵はあくる日、警察に出向き、刑事課で二年前の事件について話を聞いた。
警察の窓口で一人の女性に話を聞いている探偵。「こちらでは民事の裁判の受付しかしていませんが、過去の事件については、刑事課にお聞きしたほうがいいとおもいます。」
民事課で受付しているその中年の女性は淡々と対応をして、私に刑事課のその時に担当になった刑事に会えるように手配をしてくれた。
2年前のその対応をしてくれた刑事は私に会うと、やっぱり来たかというような顔つきで少しやつれたような風貌をしていた。
「2年前の事件のこと、覚えていらっしゃいますよね?」
「ああ、覚えているよ」
「あの事件は、やはり他殺という可能性はなかったということですか?」
「・・・・あの事件は基本的に誰かが殺したという証拠は残っていなかった、」
回想
「なんでだよ、なんで、なんで兄さんが死ななきゃいけないんだ」部屋の中で刑事にものをなげたり、わめいている一人の青年。
刑事は探偵に背を向けながら白いブラインドカーテンの方を見ながらしゃべっていた。
「遺族からその事件後当時、起訴をされていたようですが」
「自殺には我々、警察の外部からは踏み込めない部分があるから、本人の中に何があったかや、その時の彼の環境まで理解するのは難しい」
「・・・・ということは、誰かが、関わっていた可能性もありえるということですよね」
刑事は振り向いて「明らかな事件性のあるものならば警察は動くことは出来たが、この事件は、きわめて当事者の意思によるもので加害者による刑事的な要素がなかった。」
「もうすぐ橋本しんやが死んでから3年が経ちますよね、このまま起訴もされなければ、時効になるということですか?」
「・・・・」
「まぁそんなに重要視される種はもう出てこないだろうが、もし、ホシモト大学で起きたワトクの焼身未遂自殺における事件となにかかかわりがあるなら、また話は聞くよ」
橋本しんやの実家の工場を訪ねる。
橋本しんやの父親の工場は3年前に経営不振のために工場自体が閉鎖され、そこで働いていた従業員達も全員が解雇をされていた。橋本しんやの父親は比較的に73歳の高齢でその工場を引き継いでいくものは兄弟もいなかった橋本信也、一人しかいなかった。
その工場は今では古くそびえたつ錆びた風貌になっていて、工場の中は古びた工具や機械が残っている様子だった。
「おい、君、ここに何か用があるのかい?」
この通りを歩いていた65歳くらいの中年の男性が話しかけてきた。
「おじさん、ここの工場のことよく知ってるんですか?」
「あぁ、おやっさんがな、もう年ってのもあったんだけど借金抱えて・・・夜逃げしちまったのよ」
「大変でしたね」
「なーにも、俺たちにも相談なしよ」
「おじさん仲良かったんですか?橋本さんと」
「昔はよく飲む仲だったのよ、まだこの町も活気もあったころでよ・・この不況でな、おやっさんも苦しかったと思うわ・・・大事な息子さんも死んじまうなんてな」
その中年のおじさんは少し涙ぐんだように話していた。
「あの。もしよければここで働いていた人の連絡先とか教えてもらえないですか?」
続く
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