17 / 73
お勉強を褒められました
しおりを挟む
「今日は騎士団の所へ行けないんですか?」
今日も朝から家にやって来たリスターが首を傾げている。
とーさまは申し訳なさそうに眉尻をさげると、リスターの頭をポンポンと撫でた。
「すまない、リスター。昨日の夜、城に侵入者があったと報告を受けてね。どうやら私の執務室が荒らされていたらしいんだ。」
「叔父上の?何故でしょう?」
「それを今調査中なんだ。金目の物や国の機密書類が狙いなら、私の執務室を荒らしても意味は無いからね。」
そう言うと、とーさまは慌ただしくお城へと向かった。
「リスターどうする?」
私がとーさまの後ろ姿を見送りながらリスターに尋ねると、リスターは私の手を取ってニッコリと微笑む。
「勿論、このままアヤナといるよ。朝から一緒にいられるなんて嬉しいな。今日はたっぷり時間があるから字を書く練習をしようか?でもその前に、天気が良いからアヤナと少し庭を散歩したいし……いいよね?」
手を繋いで横を歩くリスターを見上げると、リスターの金色の髪が朝日を浴びてキラキラと輝いていた。
誰かー!!ここに天使がいますよー!!
「天使なのはアヤナでしょ。」
リスターがクスクスと笑いながら言った。
「え?なんでわたしのかんがえてることがわかったの?」
「ふふっ。声に出てたよ。アヤナ可愛い。大好き。」
自分の醜態とリスターのカッコ良さのダブルで顔が赤くなった私を、リスターが楽しそうに見ている。
負けないもん!!
私は今日も元気に勉強をしっかり頑張ります!!
「やあ、アヤナ。しっかり勉強してるかい?」
「カールさん!どうしたの?なんでいえにいるの?」
夕方、そろそろ勉強も終えようかというときにカールさんがやって来た。
リスターと一緒に驚いていると、カールさんは私とリスターの頭をクシャッと撫でて、私が練習でびっしりと字を書き込んだノートを見ると目を細めた。
「騎士団の寄宿舎を改装するんで、暫くここにダナンとお世話になるんだよ。よろしくね。それにしてもアヤナ、上手に書けるようになったね。すごいぞ。」
やった!褒められた!
私は嬉しくなって得意げにノートをカールさんに見せる。
カールさんが頑張ったねって褒めてくれるから、上機嫌になった私はリスターが訝しそうにカールさんを見ている事に気付かなかった。
「ダナンさんもいっしょにきたの?」
そういえばダナンさんの姿がないな。カールさんひとりで来たのかな?
私がキョロキョロと周りを見て首を傾げると、カールさんは首を横に振る。
「いいや。取り敢えず俺だけ先に来たんだ。そろそろリスターが帰る時間だろう?団長とダナンはまだ城を調査中だから、帰って来るのはもうちょっと遅くなくと思うよ。」
そうかぁ、とーさま今日は遅いのか。寂しいなぁ。
あれ、でもなんでリスターが帰るのを気にしてるんだろう?
更に首を傾げる私に、カールさんは少し困った表情をみせる。けれど、それ以上は何も言わなかった。
「では、僕はそろそろ帰ろうかな。あ、そうだカールさん。馬車に置いてある訓練用の剣の具合が悪いみたいなんで、少し見てもらってもいいですか?」
帰ろうとするリスターに続いて見送るつもりの私も椅子から立とうとすると、リスターに止められた。
「時間がかかるかもしれないから、ここでいいよ。今日は朝から沢山勉強して、えらかったね。また明日。」
そう言ってニッコリ笑い私の頭に優しくキスをしたリスターは、カールさんと連なって部屋から出て行った。
…………はぁ。リスターは、帰る時までかっこよすぎでした。
今日も朝から家にやって来たリスターが首を傾げている。
とーさまは申し訳なさそうに眉尻をさげると、リスターの頭をポンポンと撫でた。
「すまない、リスター。昨日の夜、城に侵入者があったと報告を受けてね。どうやら私の執務室が荒らされていたらしいんだ。」
「叔父上の?何故でしょう?」
「それを今調査中なんだ。金目の物や国の機密書類が狙いなら、私の執務室を荒らしても意味は無いからね。」
そう言うと、とーさまは慌ただしくお城へと向かった。
「リスターどうする?」
私がとーさまの後ろ姿を見送りながらリスターに尋ねると、リスターは私の手を取ってニッコリと微笑む。
「勿論、このままアヤナといるよ。朝から一緒にいられるなんて嬉しいな。今日はたっぷり時間があるから字を書く練習をしようか?でもその前に、天気が良いからアヤナと少し庭を散歩したいし……いいよね?」
手を繋いで横を歩くリスターを見上げると、リスターの金色の髪が朝日を浴びてキラキラと輝いていた。
誰かー!!ここに天使がいますよー!!
「天使なのはアヤナでしょ。」
リスターがクスクスと笑いながら言った。
「え?なんでわたしのかんがえてることがわかったの?」
「ふふっ。声に出てたよ。アヤナ可愛い。大好き。」
自分の醜態とリスターのカッコ良さのダブルで顔が赤くなった私を、リスターが楽しそうに見ている。
負けないもん!!
私は今日も元気に勉強をしっかり頑張ります!!
「やあ、アヤナ。しっかり勉強してるかい?」
「カールさん!どうしたの?なんでいえにいるの?」
夕方、そろそろ勉強も終えようかというときにカールさんがやって来た。
リスターと一緒に驚いていると、カールさんは私とリスターの頭をクシャッと撫でて、私が練習でびっしりと字を書き込んだノートを見ると目を細めた。
「騎士団の寄宿舎を改装するんで、暫くここにダナンとお世話になるんだよ。よろしくね。それにしてもアヤナ、上手に書けるようになったね。すごいぞ。」
やった!褒められた!
私は嬉しくなって得意げにノートをカールさんに見せる。
カールさんが頑張ったねって褒めてくれるから、上機嫌になった私はリスターが訝しそうにカールさんを見ている事に気付かなかった。
「ダナンさんもいっしょにきたの?」
そういえばダナンさんの姿がないな。カールさんひとりで来たのかな?
私がキョロキョロと周りを見て首を傾げると、カールさんは首を横に振る。
「いいや。取り敢えず俺だけ先に来たんだ。そろそろリスターが帰る時間だろう?団長とダナンはまだ城を調査中だから、帰って来るのはもうちょっと遅くなくと思うよ。」
そうかぁ、とーさま今日は遅いのか。寂しいなぁ。
あれ、でもなんでリスターが帰るのを気にしてるんだろう?
更に首を傾げる私に、カールさんは少し困った表情をみせる。けれど、それ以上は何も言わなかった。
「では、僕はそろそろ帰ろうかな。あ、そうだカールさん。馬車に置いてある訓練用の剣の具合が悪いみたいなんで、少し見てもらってもいいですか?」
帰ろうとするリスターに続いて見送るつもりの私も椅子から立とうとすると、リスターに止められた。
「時間がかかるかもしれないから、ここでいいよ。今日は朝から沢山勉強して、えらかったね。また明日。」
そう言ってニッコリ笑い私の頭に優しくキスをしたリスターは、カールさんと連なって部屋から出て行った。
…………はぁ。リスターは、帰る時までかっこよすぎでした。
129
あなたにおすすめの小説
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
騎士団の繕い係
あかね
ファンタジー
クレアは城のお針子だ。そこそこ腕はあると自負しているが、ある日やらかしてしまった。その結果の罰則として針子部屋を出て色々なところの繕い物をすることになった。あちこちをめぐって最終的に行きついたのは騎士団。花形を譲って久しいが消えることもないもの。クレアはそこで繕い物をしている人に出会うのだが。
城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?
甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。
友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。
マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に……
そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり……
武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
モブで可哀相? いえ、幸せです!
みけの
ファンタジー
私のお姉さんは“恋愛ゲームのヒロイン”で、私はゲームの中で“モブ”だそうだ。
“あんたはモブで可哀相”。
お姉さんはそう、思ってくれているけど……私、可哀相なの?
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
【完結】遺棄令嬢いけしゃあしゃあと幸せになる☆婚約破棄されたけど私は悪くないので侯爵さまに嫁ぎます!
天田れおぽん
ファンタジー
婚約破棄されましたが私は悪くないので反省しません。いけしゃあしゃあと侯爵家に嫁いで幸せになっちゃいます。
魔法省に勤めるトレーシー・ダウジャン伯爵令嬢は、婿養子の父と義母、義妹と暮らしていたが婚約者を義妹に取られた上に家から追い出されてしまう。
でも優秀な彼女は王城に住み、個性的な人たちに囲まれて楽しく仕事に取り組む。
一方、ダウジャン伯爵家にはトレーシーの親戚が乗り込み、父たち家族は追い出されてしまう。
トレーシーは先輩であるアルバス・メイデン侯爵令息と王族から依頼された仕事をしながら仲を深める。
互いの気持ちに気付いた二人は、幸せを手に入れていく。
。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.
他サイトにも連載中
2023/09/06 少し修正したバージョンと入れ替えながら更新を再開します。
よろしくお願いいたします。m(_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる