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奇跡の!?生還しました
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ハッと目が覚め、意識を取り戻した私は自分のベッドに寝かされていた。
首を動かして周りを見ると、窓の外は真っ暗だった。
あれからどれくらい経っているんだろう。
私、あんな高い所から落ちたのに、よく死ななかったなぁ。むしろ、ぐっすり寝たおかげでスッキリしてる。
盗賊さんに狙われてるかも?って分かった日から、あまりぐっすりと寝られなかったからね。
いや~、良かった良かった。
「ふあぁ~っ。」
ムクリと起きて両手を上に伸ばしながら大きな欠伸をすると、突然横から激しく抱き締められた。
「アヤナ!!目が覚めて良かった!!」
「グェッ。」
いやだ!苦しくて変な声が出ちゃったじゃないか!
私は枕元のランプの薄明かりにも目が慣れて、私を抱き締めているとーさまと、その横に立つリスターの姿を確認することが出来た。
「あぁ、アヤナ……。どこも痛いところはないかい?」
「とーさま、リスターもしんぱいかけてごめんなさい。どこもいたくないよ。いっぱいねたから、とってもげんき。いまは、なんじくらい?」
「夜の11時過ぎだよ。あぁ、良かった。本当に良かった!」
11時かぁ。どうりで外が真っ暗な訳だ。本当によく寝たんだなぁ、私。
「かーさまは?」
私はキョロキョロ部屋を見回すけど、かーさまの姿が見あたらない。
とーさまが困ったように眉尻を下げて私の頭を撫でた。
「かーさまは、アヤナが屋根から落ちたって報告にショックを受けてね、倒れてしまったんだよ。でも今は寝室で安静にしているから大丈夫。」
「かーさま……。」
目をウルウルさせていると、とーさまが私の頬にキスをして立ち上がった。
「早速かーさまにアヤナが起きた事を知らせてくるよ。これを聞けば、きっとすぐに元気になるからね。心配いらないよ。」
とーさまが出て行き、リスターと2人きりになった部屋に、しばらくの間沈黙が流れた。
「あ、あの、リスター?ずっとついててくれたの?めいわくかけてごめんね?」
「…………」
長い沈黙に居た堪れなくなった私はリスターに謝ってみたんだけど、リスターからの返事は無かった。
「リスター、おこってる?」
「…………」
リスターは俯いたまま、私を見てもくれない。どうしよう。
私が慌てふためいていると、リスターは俯いたまま何かを呟いた。
「えっ?」
声が小さ過ぎて何て言っているのか聞こえない。
「あの時、僕がアヤナの隣にいたのに。隣にいたのに……簡単にアヤナを盗賊に奪われてしまったんだ。僕のせいで……。」
「あれはリスターのせいなんかじゃ……」
「僕のせいなんだ!僕のせいで、アヤナがあんな危ない目に!僕がアヤナを守るって言ったのに!!」
リスターの目から涙がボタボタと溢れ落ちる。
リスターは私が呑気に寝ている間、ずっとずっとこんな風に自分を責めていたんだ。
私はリスターを抱き締めた。私の想いが届くように願いながら、ギュッと。
「リスター、きいて。あれはリスターのせいじゃない。リスターはいつもわたしをまもってくれてる。いつもそばにいて、わたしにがんばるちからをくれる。わたしを、げんきにしてくれる。」
「うぅっ……。」
「それは、リスターにしかできない。わたしがすきな、リスターにしかできないの。リスター、いつもありがとう。だいすき。」
これからもずっと側にいてね、と言って抱き締める力を強くすると、リスターもギュッと抱き締め返してくれた。
「……それはこっちのセリフだよ。アヤナがいてくれるから、僕はいつだって頑張れるんだ。もっともっと強くなるから、ずっと側にいさせて……。」
私はリスターの頬を両手で包んで涙を拭うと、ニッコリ笑顔で頷いた。
「もちろん!リスターがいやだっていってもそばにいるから!」
「ふふっ。嫌だなんて死んでも言わないよ。あ、それと、アヤナより僕の方が何倍もアヤナのこと大好きなんだからね。」
うっとりと私を見つめて言うリスターは凄く綺麗で……私は思わず目を逸らした。
だって、ドキドキし過ぎてヤバいんだもん!!
そんな私にお構いなしに、リスターは私をギュウギュウ抱き締めてくる。
「はぁ……。本当に生きていてくれて良かった。アイツに屋根から落とされた時は、目の前が真っ暗になったよ。」
うん、本当にね!私も死ぬかと思った。
「そういえば、りゅうとさんはどこに?」
「……リュウト?もしかして、あの盗賊のこと?なんで名前で呼んでいるの?アヤナをあんなに危ない目に遭わせたヤツなのに。ねぇ、なんで?」
龍斗さんの名前を言った途端、お怒りオーラ全開のリスターの目が鋭くなる。
怖い!怖いよリスター!!
「りゅ、りゅうとさんは、そんなにわるいひとじゃないよ!ごめんねって、だいじょうぶだからっていってくれた。だから、もっとちゃんとはなしがしたいの。」
私がお願いすると、リスターは渋々だけど家にある客間に龍斗さんが拘束されていると教えてくれた。
「叔父上も、アイツに色々聴きたい事があるらしいよ。」
「ありがとうリスター。まずは、かーさまがしんぱいだからあいにいきたい。リスターもいっしょにきてくれる?」
「勿論だよ。アヤナを一人になんてさせられないからね。何処へでもついて行くよ。」
私とリスターは手を繋ぎ、かーさまのもとへと向かった。
首を動かして周りを見ると、窓の外は真っ暗だった。
あれからどれくらい経っているんだろう。
私、あんな高い所から落ちたのに、よく死ななかったなぁ。むしろ、ぐっすり寝たおかげでスッキリしてる。
盗賊さんに狙われてるかも?って分かった日から、あまりぐっすりと寝られなかったからね。
いや~、良かった良かった。
「ふあぁ~っ。」
ムクリと起きて両手を上に伸ばしながら大きな欠伸をすると、突然横から激しく抱き締められた。
「アヤナ!!目が覚めて良かった!!」
「グェッ。」
いやだ!苦しくて変な声が出ちゃったじゃないか!
私は枕元のランプの薄明かりにも目が慣れて、私を抱き締めているとーさまと、その横に立つリスターの姿を確認することが出来た。
「あぁ、アヤナ……。どこも痛いところはないかい?」
「とーさま、リスターもしんぱいかけてごめんなさい。どこもいたくないよ。いっぱいねたから、とってもげんき。いまは、なんじくらい?」
「夜の11時過ぎだよ。あぁ、良かった。本当に良かった!」
11時かぁ。どうりで外が真っ暗な訳だ。本当によく寝たんだなぁ、私。
「かーさまは?」
私はキョロキョロ部屋を見回すけど、かーさまの姿が見あたらない。
とーさまが困ったように眉尻を下げて私の頭を撫でた。
「かーさまは、アヤナが屋根から落ちたって報告にショックを受けてね、倒れてしまったんだよ。でも今は寝室で安静にしているから大丈夫。」
「かーさま……。」
目をウルウルさせていると、とーさまが私の頬にキスをして立ち上がった。
「早速かーさまにアヤナが起きた事を知らせてくるよ。これを聞けば、きっとすぐに元気になるからね。心配いらないよ。」
とーさまが出て行き、リスターと2人きりになった部屋に、しばらくの間沈黙が流れた。
「あ、あの、リスター?ずっとついててくれたの?めいわくかけてごめんね?」
「…………」
長い沈黙に居た堪れなくなった私はリスターに謝ってみたんだけど、リスターからの返事は無かった。
「リスター、おこってる?」
「…………」
リスターは俯いたまま、私を見てもくれない。どうしよう。
私が慌てふためいていると、リスターは俯いたまま何かを呟いた。
「えっ?」
声が小さ過ぎて何て言っているのか聞こえない。
「あの時、僕がアヤナの隣にいたのに。隣にいたのに……簡単にアヤナを盗賊に奪われてしまったんだ。僕のせいで……。」
「あれはリスターのせいなんかじゃ……」
「僕のせいなんだ!僕のせいで、アヤナがあんな危ない目に!僕がアヤナを守るって言ったのに!!」
リスターの目から涙がボタボタと溢れ落ちる。
リスターは私が呑気に寝ている間、ずっとずっとこんな風に自分を責めていたんだ。
私はリスターを抱き締めた。私の想いが届くように願いながら、ギュッと。
「リスター、きいて。あれはリスターのせいじゃない。リスターはいつもわたしをまもってくれてる。いつもそばにいて、わたしにがんばるちからをくれる。わたしを、げんきにしてくれる。」
「うぅっ……。」
「それは、リスターにしかできない。わたしがすきな、リスターにしかできないの。リスター、いつもありがとう。だいすき。」
これからもずっと側にいてね、と言って抱き締める力を強くすると、リスターもギュッと抱き締め返してくれた。
「……それはこっちのセリフだよ。アヤナがいてくれるから、僕はいつだって頑張れるんだ。もっともっと強くなるから、ずっと側にいさせて……。」
私はリスターの頬を両手で包んで涙を拭うと、ニッコリ笑顔で頷いた。
「もちろん!リスターがいやだっていってもそばにいるから!」
「ふふっ。嫌だなんて死んでも言わないよ。あ、それと、アヤナより僕の方が何倍もアヤナのこと大好きなんだからね。」
うっとりと私を見つめて言うリスターは凄く綺麗で……私は思わず目を逸らした。
だって、ドキドキし過ぎてヤバいんだもん!!
そんな私にお構いなしに、リスターは私をギュウギュウ抱き締めてくる。
「はぁ……。本当に生きていてくれて良かった。アイツに屋根から落とされた時は、目の前が真っ暗になったよ。」
うん、本当にね!私も死ぬかと思った。
「そういえば、りゅうとさんはどこに?」
「……リュウト?もしかして、あの盗賊のこと?なんで名前で呼んでいるの?アヤナをあんなに危ない目に遭わせたヤツなのに。ねぇ、なんで?」
龍斗さんの名前を言った途端、お怒りオーラ全開のリスターの目が鋭くなる。
怖い!怖いよリスター!!
「りゅ、りゅうとさんは、そんなにわるいひとじゃないよ!ごめんねって、だいじょうぶだからっていってくれた。だから、もっとちゃんとはなしがしたいの。」
私がお願いすると、リスターは渋々だけど家にある客間に龍斗さんが拘束されていると教えてくれた。
「叔父上も、アイツに色々聴きたい事があるらしいよ。」
「ありがとうリスター。まずは、かーさまがしんぱいだからあいにいきたい。リスターもいっしょにきてくれる?」
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私とリスターは手を繋ぎ、かーさまのもとへと向かった。
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