23 / 73
盗賊さんに気に入られました
しおりを挟む
コンコン
「かーさま。」
扉を開けて顔を覗かせると、ベッドから体を起こし、かーさまがこちらを見て涙を流した。
「アヤナ!!」
両手を広げて私を呼ぶかーさまに、私も泣きながら駆け寄り抱き付いた。
「しんぱいかけてごめんなさい!わたし、どこもいたくない。とってもげんきだよ!」
「良かった!良かった!」
私は手を伸ばして、かーさまの目から流れ続ける涙を拭う。
「かーさま、だいじょうぶ?どこかいたい?」
かーさまの涙を拭いながらかーさまの頬を手でスリスリしていると、かーさまが私の手を取り嬉しそうに微笑んだ。
「かーさまも大丈夫よ。アヤナが元気に笑っていてくれたら、かーさまもそれだけで元気になれるから。」
「かーさま、だいすき!!」
「ふふっ。かーさまもアヤナが大好きよ。」
2人で笑いながら抱き合っていると、ベッドの脇にいたとーさまが私とかーさまを纏めて抱き込んできた。
「とーさまも仲間に入れておくれ。2人とも愛しているよ。」
もちろん、とーさまも仲間に入れてあげるよ!
「とーさまも、だいすき!」
私はとーさまにも手を伸ばして、2人にギュ~って抱き付いた。
「アヤナ、良かったね。」
抱き合う3人を、リスターがニコニコしながら見守ってくれていた。
「さあ、そろそろかーさまを休ませてあげよう。アヤナも、大丈夫ならこっちで3人一緒に寝ようか。」
もう夜も遅いからねと、とーさまは私に寝るよう促すと、私を抱き上げようとする。
私はそのとーさまの手をギュッと掴んで見上げた。
「とーさま、とうぞくさんにあわせてください。まだ、このいえにいるんでしょ?」
「……何故?」
私がお願いすると、とーさまは今までの甘い雰囲気が一変して厳しい口調と顔つきになった。
うっ……!ま、負けない!とーさまが怖くなってるけど、私は負けないぞ!!
リスターもとーさまも、龍斗さんのことを話すと途端に怖くなっちゃうんだから!本当はとっても良い人なんだよ………多分ね!
「わたしが、やねからおちても、だいじょうぶだっていってた。なんでそんなことをしっていたのか、きいてみたいの。とーさまがあいにいくとき、いっしょにつれていってください。」
「叔父上、僕もアヤナと一緒に行って会いたいです。お願いします。」
リスターと一緒にとーさまをジッと見つめて返事を待つ。
とーさまは私とリスターを交互を見ると、小さく息を吐いて肩を竦めた。
「明日、朝食を食べたら会わせてあげるよ。ただし、私とダナン、カールも一緒だ。いいね?」
私はコクコクと勢いよく頷く。
「ありがとう、とーさま!リスターもありがとう!またあした、よろしくおねがいします!」
リスターに手を振ると、嬉々としてベッドに潜り込んでかーさまの隣に陣取った。
「おはようございます!」
「「「「「おはよう。」」」」」
元気に朝の挨拶をする私の前には、5人いる。
とーさま、リスター、ダナンさん、カールさん、そして、かーさま。
「……本当にフローラも行くのかい?」
「あら、勿論よ。私だけまだ会っていないのだから、是非会いたいわ。」
ニッコリ笑うかーさまに、とーさまはそれ以上何も言わず……言えず?龍斗さんのいる所へ向かった。
「ここだよ。」
開けられた部屋の真ん中に、手を後ろに縛られて椅子に座る龍斗さんの姿があった。
『よう、彩菜。やっぱり無事だったんだな。』
『龍斗さん!!大丈夫?』
ニッと笑う龍斗さんに駆け寄ろうとして、とーさまに阻止される。
「アヤナ、これ以上近づいてはだめだよ。」
『ははっ。まず最初に俺の心配かよ。俺に屋根から落とされた奴が言うセリフじゃねえなぁ。』
龍斗さんが私を見て、何が面白いのか声を出して笑った。
ーー龍斗さん、出来れば空気読んで下さい。
みんなが怖いですから。メッチャ睨んでますから。
あなた、みんなに睨まれてますよー!!
『俺は大丈夫だ。手を縛られただけで、暴力なんて振るわれてねぇから安心しろ。俺なんかの心配するなんて、やっぱり彩菜は面白い奴だな。ますます気に入ったぜ。』
龍斗さんは目を細めて私を見ると、とーさまに視線を移して不敵な笑みを浮かべた。
「団長さんよ。俺に聴きたい事が色々あるんだろ?いいぜ、答えてやるよ。全部答えてやる。」
あ、龍斗さんてばこの国の言葉も流暢に話せるんだ。出会ってからずっと日本語で話してたから分からなかったよ。
私がそんな事を考えながらジッと見ていたら、視線を感じたのか龍斗さんがニッと笑って私にウィンクをした。
その途端、周りの空気がピシッと凍る。
うわ~ん!みんなが怖いよ~!
ーーお願い。龍斗さん、空気読んで下さい……。
「かーさま。」
扉を開けて顔を覗かせると、ベッドから体を起こし、かーさまがこちらを見て涙を流した。
「アヤナ!!」
両手を広げて私を呼ぶかーさまに、私も泣きながら駆け寄り抱き付いた。
「しんぱいかけてごめんなさい!わたし、どこもいたくない。とってもげんきだよ!」
「良かった!良かった!」
私は手を伸ばして、かーさまの目から流れ続ける涙を拭う。
「かーさま、だいじょうぶ?どこかいたい?」
かーさまの涙を拭いながらかーさまの頬を手でスリスリしていると、かーさまが私の手を取り嬉しそうに微笑んだ。
「かーさまも大丈夫よ。アヤナが元気に笑っていてくれたら、かーさまもそれだけで元気になれるから。」
「かーさま、だいすき!!」
「ふふっ。かーさまもアヤナが大好きよ。」
2人で笑いながら抱き合っていると、ベッドの脇にいたとーさまが私とかーさまを纏めて抱き込んできた。
「とーさまも仲間に入れておくれ。2人とも愛しているよ。」
もちろん、とーさまも仲間に入れてあげるよ!
「とーさまも、だいすき!」
私はとーさまにも手を伸ばして、2人にギュ~って抱き付いた。
「アヤナ、良かったね。」
抱き合う3人を、リスターがニコニコしながら見守ってくれていた。
「さあ、そろそろかーさまを休ませてあげよう。アヤナも、大丈夫ならこっちで3人一緒に寝ようか。」
もう夜も遅いからねと、とーさまは私に寝るよう促すと、私を抱き上げようとする。
私はそのとーさまの手をギュッと掴んで見上げた。
「とーさま、とうぞくさんにあわせてください。まだ、このいえにいるんでしょ?」
「……何故?」
私がお願いすると、とーさまは今までの甘い雰囲気が一変して厳しい口調と顔つきになった。
うっ……!ま、負けない!とーさまが怖くなってるけど、私は負けないぞ!!
リスターもとーさまも、龍斗さんのことを話すと途端に怖くなっちゃうんだから!本当はとっても良い人なんだよ………多分ね!
「わたしが、やねからおちても、だいじょうぶだっていってた。なんでそんなことをしっていたのか、きいてみたいの。とーさまがあいにいくとき、いっしょにつれていってください。」
「叔父上、僕もアヤナと一緒に行って会いたいです。お願いします。」
リスターと一緒にとーさまをジッと見つめて返事を待つ。
とーさまは私とリスターを交互を見ると、小さく息を吐いて肩を竦めた。
「明日、朝食を食べたら会わせてあげるよ。ただし、私とダナン、カールも一緒だ。いいね?」
私はコクコクと勢いよく頷く。
「ありがとう、とーさま!リスターもありがとう!またあした、よろしくおねがいします!」
リスターに手を振ると、嬉々としてベッドに潜り込んでかーさまの隣に陣取った。
「おはようございます!」
「「「「「おはよう。」」」」」
元気に朝の挨拶をする私の前には、5人いる。
とーさま、リスター、ダナンさん、カールさん、そして、かーさま。
「……本当にフローラも行くのかい?」
「あら、勿論よ。私だけまだ会っていないのだから、是非会いたいわ。」
ニッコリ笑うかーさまに、とーさまはそれ以上何も言わず……言えず?龍斗さんのいる所へ向かった。
「ここだよ。」
開けられた部屋の真ん中に、手を後ろに縛られて椅子に座る龍斗さんの姿があった。
『よう、彩菜。やっぱり無事だったんだな。』
『龍斗さん!!大丈夫?』
ニッと笑う龍斗さんに駆け寄ろうとして、とーさまに阻止される。
「アヤナ、これ以上近づいてはだめだよ。」
『ははっ。まず最初に俺の心配かよ。俺に屋根から落とされた奴が言うセリフじゃねえなぁ。』
龍斗さんが私を見て、何が面白いのか声を出して笑った。
ーー龍斗さん、出来れば空気読んで下さい。
みんなが怖いですから。メッチャ睨んでますから。
あなた、みんなに睨まれてますよー!!
『俺は大丈夫だ。手を縛られただけで、暴力なんて振るわれてねぇから安心しろ。俺なんかの心配するなんて、やっぱり彩菜は面白い奴だな。ますます気に入ったぜ。』
龍斗さんは目を細めて私を見ると、とーさまに視線を移して不敵な笑みを浮かべた。
「団長さんよ。俺に聴きたい事が色々あるんだろ?いいぜ、答えてやるよ。全部答えてやる。」
あ、龍斗さんてばこの国の言葉も流暢に話せるんだ。出会ってからずっと日本語で話してたから分からなかったよ。
私がそんな事を考えながらジッと見ていたら、視線を感じたのか龍斗さんがニッと笑って私にウィンクをした。
その途端、周りの空気がピシッと凍る。
うわ~ん!みんなが怖いよ~!
ーーお願い。龍斗さん、空気読んで下さい……。
115
あなたにおすすめの小説
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
騎士団の繕い係
あかね
ファンタジー
クレアは城のお針子だ。そこそこ腕はあると自負しているが、ある日やらかしてしまった。その結果の罰則として針子部屋を出て色々なところの繕い物をすることになった。あちこちをめぐって最終的に行きついたのは騎士団。花形を譲って久しいが消えることもないもの。クレアはそこで繕い物をしている人に出会うのだが。
城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?
甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。
友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。
マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に……
そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり……
武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
モブで可哀相? いえ、幸せです!
みけの
ファンタジー
私のお姉さんは“恋愛ゲームのヒロイン”で、私はゲームの中で“モブ”だそうだ。
“あんたはモブで可哀相”。
お姉さんはそう、思ってくれているけど……私、可哀相なの?
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
【完結】遺棄令嬢いけしゃあしゃあと幸せになる☆婚約破棄されたけど私は悪くないので侯爵さまに嫁ぎます!
天田れおぽん
ファンタジー
婚約破棄されましたが私は悪くないので反省しません。いけしゃあしゃあと侯爵家に嫁いで幸せになっちゃいます。
魔法省に勤めるトレーシー・ダウジャン伯爵令嬢は、婿養子の父と義母、義妹と暮らしていたが婚約者を義妹に取られた上に家から追い出されてしまう。
でも優秀な彼女は王城に住み、個性的な人たちに囲まれて楽しく仕事に取り組む。
一方、ダウジャン伯爵家にはトレーシーの親戚が乗り込み、父たち家族は追い出されてしまう。
トレーシーは先輩であるアルバス・メイデン侯爵令息と王族から依頼された仕事をしながら仲を深める。
互いの気持ちに気付いた二人は、幸せを手に入れていく。
。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.
他サイトにも連載中
2023/09/06 少し修正したバージョンと入れ替えながら更新を再開します。
よろしくお願いいたします。m(_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる