42 / 73
仲直りしました
しおりを挟む
「リスターとアヤナの婚約を承認する。」
その後、王様からのお言葉をもらったので、正式にリスターの婚約者になりました。
リスターと喜び合っていると、王様から私を渡された王妃様が、強く私を抱き締めた。
「アヤナ、おめでとう。……そして、ありがとう。」
「おうひさま。」
私も王妃様をギュッと抱き締め返す。
王妃様は暫く私を抱き締めた後、眉尻を下げながら目を潤ませた。
「この前は、エアリスが酷いことを言ってしまってごめんなさい……。フローラがあれ程怒っているのも当然だと思うわ。」
そう言って王妃様がエアリス王子を呼び寄せる。
王妃様は、気まずそうにモジモジと下を向くエアリス王子の前に私を降ろした。
私がエアリス王子をジッと見つめていると、エアリス王子は意を決したのか勢いよく顔を上げて私を見た。
「こ、こ、この前は悪かった!!許してくれるまで何回でも謝るし、何でもするぞ。本当にゴメン!」
顔を強張らせたまま一気にまくし立てるエアリス王子がなんだか可笑しくて、堪らずに吹き出してしまった。
「もういいですよ。あやまるより、わたしとおともだちになってください。」
ニコニコ笑顔でそう言えば、エアリス王子の顔がたちまち真っ赤になる。
「も、もちろんいいぞ!今から私達は友達だ!」
「おともだち!エアリスおうじ、よろしくおねがいします!」
私が嬉しくなりエアリス王子の手を取ってブンブン振っていると、横からリスターが来て手を引き剥がした。
「エアリス王子、一応言っておきますけど、アヤナはもう僕の婚約者ですからね?」
リスターが微笑みながらエアリス王子に言う。目は笑ってないけどね。
エアリス王子はムッとした表情でリスターを睨んだ。
「そんなの分かっている。友達になるぐらいいいだろう。……まあ、婚約だって将来はどうなるか分からないしな。」
「えっ?そうなの?」
私は不安になってリスターを見上げる。
リスターは私の頬にキスをすると、愛しげに髪を梳きながら真剣な表情で私を見つめ返した。
「そんな事ある訳ないよ。初めて会った時から、僕はアヤナの虜なんだ。ずっと一緒にいるとね、見た目だけじゃなくて、アヤナのとっても優しくて可愛らしい性格にも毎日惚れ直して、好きっていう気持ちが溢れてくるんだよ。僕はもうアヤナがいないと生きていけないから、ずっと一緒にいてね?」
リスターの熱烈な愛の告白に、私だけじゃなくてエアリス王子も顔を赤くしていた。
ウ~ッ、ヤバイ!!
リスター大好き!!
嬉しくってガバッとリスターに抱きつくと、リスターは私の頭に何回もキスをしてくれた。
「……お前なぁ。よくそんな恥ずかしい事を平気な顔して言えるよな。」
エアリス王子が顔を赤らめたままリスターをジト目で見る。
「僕は恥ずかしくなんてないよ。全部本当の事だからね。それよりバカ王子。アヤナに変な事を言わないでくれる?」
リスターは周りに聞こえないくらいの声でエアリス王子に答えた。
「なっ!バカ王子ってなんだよ!?」
怒って掴みかかろうとするエアリス王子をリスターは鋭く睨んだ。
その瞬間、エアリス王子が固まって動けなくなる。
「次は許さないから。」
凍えるくらいに冷たい声で、リスターはエアリス王子にとどめを刺した。
さ、寒い!寒いよリスター!!
「ん?アヤナどうしたの?震えてるけど寒いのかな?僕が暖めてあげるよ。」
リスターは私を抱き締める力を少し強めて背中を摩ってくれる。
……リスター、嬉しいけど、そうじゃないじゃん。エアリス王子が固まったままだよ。そっちはいいの?
「ふふっ。エアリス王子と仲直りはできたかしら?」
今まで少し離れた所で私達を見守ってくれていたかーさまが、こっちに歩み寄る。
「かーさま!はいっ!エアリスおうじと、おともだちになりました!」
「そう、良かったわ。エアリス王子、アヤナと仲良くしてあげて下さいね?」
エアリス王子はかーさまに声をかけられると、ハッと我に返って緊張した様子でかーさまを見上げた。
「あ、ああ!勿論だ!!」
かーさまは私の頭を撫でる手を止める事なくエアリス王子を見下ろし、ニッコリ微笑んだ。
「次は許しませんから。」
エアリス王子がピキッとまた固まってしまった。
ウヒョー!!
この展開、さっき見た!全く同じヤツ見ましたよ!!
オロオロと慌てている私を余所に、かーさまとリスターはニコニコと微笑んでいる。
辺りをキョロキョロと伺えば、王様、王妃様、アレクセイ王子は苦笑しながらもエアリス王子を助ける様子は全く無い。
私の家族も全員、当然だというように満足げにしていて、これまたエアリス王子の為に動く気配は無かった。
……まあ、みんながいいならいいかぁ……。
エアリス王子、強く生きようね!
私がエアリス王子の肩をポンポンと元気付ける為に叩いても、王子の反応は返ってこなかった。
後日聞いた話では、エアリス王子はかーさまと話した後からの記憶が無くて、気付いたらパーティが終わってたんだって。……そうかぁ、残念だったね……。
え?私?
あの後、エアリス王子を放置して、私の家族達と煌びやかな世界を堪能しておりましたけど、何か?
その後、王様からのお言葉をもらったので、正式にリスターの婚約者になりました。
リスターと喜び合っていると、王様から私を渡された王妃様が、強く私を抱き締めた。
「アヤナ、おめでとう。……そして、ありがとう。」
「おうひさま。」
私も王妃様をギュッと抱き締め返す。
王妃様は暫く私を抱き締めた後、眉尻を下げながら目を潤ませた。
「この前は、エアリスが酷いことを言ってしまってごめんなさい……。フローラがあれ程怒っているのも当然だと思うわ。」
そう言って王妃様がエアリス王子を呼び寄せる。
王妃様は、気まずそうにモジモジと下を向くエアリス王子の前に私を降ろした。
私がエアリス王子をジッと見つめていると、エアリス王子は意を決したのか勢いよく顔を上げて私を見た。
「こ、こ、この前は悪かった!!許してくれるまで何回でも謝るし、何でもするぞ。本当にゴメン!」
顔を強張らせたまま一気にまくし立てるエアリス王子がなんだか可笑しくて、堪らずに吹き出してしまった。
「もういいですよ。あやまるより、わたしとおともだちになってください。」
ニコニコ笑顔でそう言えば、エアリス王子の顔がたちまち真っ赤になる。
「も、もちろんいいぞ!今から私達は友達だ!」
「おともだち!エアリスおうじ、よろしくおねがいします!」
私が嬉しくなりエアリス王子の手を取ってブンブン振っていると、横からリスターが来て手を引き剥がした。
「エアリス王子、一応言っておきますけど、アヤナはもう僕の婚約者ですからね?」
リスターが微笑みながらエアリス王子に言う。目は笑ってないけどね。
エアリス王子はムッとした表情でリスターを睨んだ。
「そんなの分かっている。友達になるぐらいいいだろう。……まあ、婚約だって将来はどうなるか分からないしな。」
「えっ?そうなの?」
私は不安になってリスターを見上げる。
リスターは私の頬にキスをすると、愛しげに髪を梳きながら真剣な表情で私を見つめ返した。
「そんな事ある訳ないよ。初めて会った時から、僕はアヤナの虜なんだ。ずっと一緒にいるとね、見た目だけじゃなくて、アヤナのとっても優しくて可愛らしい性格にも毎日惚れ直して、好きっていう気持ちが溢れてくるんだよ。僕はもうアヤナがいないと生きていけないから、ずっと一緒にいてね?」
リスターの熱烈な愛の告白に、私だけじゃなくてエアリス王子も顔を赤くしていた。
ウ~ッ、ヤバイ!!
リスター大好き!!
嬉しくってガバッとリスターに抱きつくと、リスターは私の頭に何回もキスをしてくれた。
「……お前なぁ。よくそんな恥ずかしい事を平気な顔して言えるよな。」
エアリス王子が顔を赤らめたままリスターをジト目で見る。
「僕は恥ずかしくなんてないよ。全部本当の事だからね。それよりバカ王子。アヤナに変な事を言わないでくれる?」
リスターは周りに聞こえないくらいの声でエアリス王子に答えた。
「なっ!バカ王子ってなんだよ!?」
怒って掴みかかろうとするエアリス王子をリスターは鋭く睨んだ。
その瞬間、エアリス王子が固まって動けなくなる。
「次は許さないから。」
凍えるくらいに冷たい声で、リスターはエアリス王子にとどめを刺した。
さ、寒い!寒いよリスター!!
「ん?アヤナどうしたの?震えてるけど寒いのかな?僕が暖めてあげるよ。」
リスターは私を抱き締める力を少し強めて背中を摩ってくれる。
……リスター、嬉しいけど、そうじゃないじゃん。エアリス王子が固まったままだよ。そっちはいいの?
「ふふっ。エアリス王子と仲直りはできたかしら?」
今まで少し離れた所で私達を見守ってくれていたかーさまが、こっちに歩み寄る。
「かーさま!はいっ!エアリスおうじと、おともだちになりました!」
「そう、良かったわ。エアリス王子、アヤナと仲良くしてあげて下さいね?」
エアリス王子はかーさまに声をかけられると、ハッと我に返って緊張した様子でかーさまを見上げた。
「あ、ああ!勿論だ!!」
かーさまは私の頭を撫でる手を止める事なくエアリス王子を見下ろし、ニッコリ微笑んだ。
「次は許しませんから。」
エアリス王子がピキッとまた固まってしまった。
ウヒョー!!
この展開、さっき見た!全く同じヤツ見ましたよ!!
オロオロと慌てている私を余所に、かーさまとリスターはニコニコと微笑んでいる。
辺りをキョロキョロと伺えば、王様、王妃様、アレクセイ王子は苦笑しながらもエアリス王子を助ける様子は全く無い。
私の家族も全員、当然だというように満足げにしていて、これまたエアリス王子の為に動く気配は無かった。
……まあ、みんながいいならいいかぁ……。
エアリス王子、強く生きようね!
私がエアリス王子の肩をポンポンと元気付ける為に叩いても、王子の反応は返ってこなかった。
後日聞いた話では、エアリス王子はかーさまと話した後からの記憶が無くて、気付いたらパーティが終わってたんだって。……そうかぁ、残念だったね……。
え?私?
あの後、エアリス王子を放置して、私の家族達と煌びやかな世界を堪能しておりましたけど、何か?
108
あなたにおすすめの小説
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
騎士団の繕い係
あかね
ファンタジー
クレアは城のお針子だ。そこそこ腕はあると自負しているが、ある日やらかしてしまった。その結果の罰則として針子部屋を出て色々なところの繕い物をすることになった。あちこちをめぐって最終的に行きついたのは騎士団。花形を譲って久しいが消えることもないもの。クレアはそこで繕い物をしている人に出会うのだが。
城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?
甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。
友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。
マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に……
そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり……
武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
モブで可哀相? いえ、幸せです!
みけの
ファンタジー
私のお姉さんは“恋愛ゲームのヒロイン”で、私はゲームの中で“モブ”だそうだ。
“あんたはモブで可哀相”。
お姉さんはそう、思ってくれているけど……私、可哀相なの?
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
【完結】遺棄令嬢いけしゃあしゃあと幸せになる☆婚約破棄されたけど私は悪くないので侯爵さまに嫁ぎます!
天田れおぽん
ファンタジー
婚約破棄されましたが私は悪くないので反省しません。いけしゃあしゃあと侯爵家に嫁いで幸せになっちゃいます。
魔法省に勤めるトレーシー・ダウジャン伯爵令嬢は、婿養子の父と義母、義妹と暮らしていたが婚約者を義妹に取られた上に家から追い出されてしまう。
でも優秀な彼女は王城に住み、個性的な人たちに囲まれて楽しく仕事に取り組む。
一方、ダウジャン伯爵家にはトレーシーの親戚が乗り込み、父たち家族は追い出されてしまう。
トレーシーは先輩であるアルバス・メイデン侯爵令息と王族から依頼された仕事をしながら仲を深める。
互いの気持ちに気付いた二人は、幸せを手に入れていく。
。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.
他サイトにも連載中
2023/09/06 少し修正したバージョンと入れ替えながら更新を再開します。
よろしくお願いいたします。m(_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる