65 / 73
みんなで楽しむんです
しおりを挟む
あっという間に月日は流れ、パルラの結婚式まであと1か月。
私はテックとルイスさんと、ある程度距離を取りつつ、それでも仲良くやってきたつもりだ。
パルラの結婚が近くなって、私はなるべくパルラと一緒に行動している。
「もうすぐお城から出て行くパルラと、少しでも一緒にいたい。」
テックとルイスさんにお願いして、パルラがお城にいる時には側にいさせてもらった。
テックとルイスさんは、パルラがいなくなるのが寂しいのだろうと、私のお願いをすんなり許可してくれた。
それからは、私はパルラにベッタリとくっついて歩いている。
パルラには最初に話をつけておいた。
結婚するまで、私がパルラに煩いくらい纏わり付くから我慢してねって。
「煩いなんて思わないわ。むしろアヤナなら大歓迎よ。これもきっと、何か考えがあっての行動なのでしょう?私のことは、利用できるだけ利用してちょうだいね。」
パルラは嬉しそうに、けれどちょっぴり申し訳なさそうに眉尻を下げて微笑んだ。
「ごめんね?でも、パルラの側にいたいっていうのも本当だからっ!」
私はギュッとパルラの腕にしがみつく。
「ふふっ。分かってるわ。アヤナ、大好きよ。」
パルラがムギュッて抱き締めてくれたから、私も嬉しくなって暫くギュッと抱きついていた。
「「ピクニック?」」
パルラの結婚式まであと2週間。
2人揃って首を傾げるテックとパルラを見ながら、私は流石は双子だなぁと感心していた。
「そう。私のいた国では、天気の良い日にお弁当を持ってお出掛けしたりするんだよ。」
「オベントウ?」
「そう。お昼ご飯を外で食べやすいように作って箱に詰めるの。外で食べれば美味しさ倍増なんだよね~。」
この国に、お弁当という物はない。
みんなお昼や夜ご飯は家で食べるか、お店で食べるので、食べ物を持ち歩く考えがないのだ。
ヨダレを垂らしそうになっている私に、パルラはクスクスと笑う。
「楽しそうね。どこに行くの?」
「あそこの山に行きたい!侍女の人達がね、山の上に綺麗なお花畑があるって教えてくれたの!みんなで一緒に行きたいなぁ。」
私は窓から見える小高い山を指差して言った。
興奮気味な私を、テックとパルラは目を細めて見つめ、笑っている。
「そんな可愛いお願いをされたら行かないとね。すぐにオベントウ?とやらを作らせるよ。」
テックが侍女に指示を出して、お弁当を作ってもらうように厨房へお願いする。
その間に動きやすい服装に着替えて準備していると、あっという間にお弁当が完成して届けられていた。
お城のコックさん達は、流石に皆さん仕事が早い。ありがとうございます。
馬車で山の麓まで行き、みんなで歩いて山を上方まで散策する。
私を真ん中にして、パルラ、テックと3人で手を繋いで登った。
途中に生えている木や草花、鳥の姿や鳴き声を楽しみながら、ズンズン進んで行くと目の前が開け、辺り一面にお花畑があらわれた。
色とりどりの花々はとっても見事に咲いていて、まるで夢の中にいるかのように素晴らしい光景だった。
私達は夢中になって遊んだ。
花冠やネックレスを作ったり、追いかけっこをしたり、疲れたら大の字に寝転がってひと休みしたり。
教会にいた頃を思い出し、ただひたすらに遊んだ。
「花畑の向こうは、結構な崖になってるから、近づくんじゃねえぞー。」
龍斗さんの声に反応して、3人で恐る恐る崖に近づき下を覗き込む。
木々が茂り崖の下はよく見えないけれど、かなりの高さで足が竦んだ。
3人で顔を見合わせ、ブルッと震う。
「こらー!お前ら、俺の言うことが聞けねえのか?危ないだろう。」
怒っている龍斗さんから逃げように3人で走り回り、笑い合った。
途中、お昼を食べながらお弁当の美味しさに感動しているテックとパルラに、私はまた笑った。
私は今日、全力で遊び、そして、本気で楽しんだ。
今日という日が、テックやパルラにとって最高の1日となり、最高の思い出となるように。
印象深く残るように……。
私はテックとルイスさんと、ある程度距離を取りつつ、それでも仲良くやってきたつもりだ。
パルラの結婚が近くなって、私はなるべくパルラと一緒に行動している。
「もうすぐお城から出て行くパルラと、少しでも一緒にいたい。」
テックとルイスさんにお願いして、パルラがお城にいる時には側にいさせてもらった。
テックとルイスさんは、パルラがいなくなるのが寂しいのだろうと、私のお願いをすんなり許可してくれた。
それからは、私はパルラにベッタリとくっついて歩いている。
パルラには最初に話をつけておいた。
結婚するまで、私がパルラに煩いくらい纏わり付くから我慢してねって。
「煩いなんて思わないわ。むしろアヤナなら大歓迎よ。これもきっと、何か考えがあっての行動なのでしょう?私のことは、利用できるだけ利用してちょうだいね。」
パルラは嬉しそうに、けれどちょっぴり申し訳なさそうに眉尻を下げて微笑んだ。
「ごめんね?でも、パルラの側にいたいっていうのも本当だからっ!」
私はギュッとパルラの腕にしがみつく。
「ふふっ。分かってるわ。アヤナ、大好きよ。」
パルラがムギュッて抱き締めてくれたから、私も嬉しくなって暫くギュッと抱きついていた。
「「ピクニック?」」
パルラの結婚式まであと2週間。
2人揃って首を傾げるテックとパルラを見ながら、私は流石は双子だなぁと感心していた。
「そう。私のいた国では、天気の良い日にお弁当を持ってお出掛けしたりするんだよ。」
「オベントウ?」
「そう。お昼ご飯を外で食べやすいように作って箱に詰めるの。外で食べれば美味しさ倍増なんだよね~。」
この国に、お弁当という物はない。
みんなお昼や夜ご飯は家で食べるか、お店で食べるので、食べ物を持ち歩く考えがないのだ。
ヨダレを垂らしそうになっている私に、パルラはクスクスと笑う。
「楽しそうね。どこに行くの?」
「あそこの山に行きたい!侍女の人達がね、山の上に綺麗なお花畑があるって教えてくれたの!みんなで一緒に行きたいなぁ。」
私は窓から見える小高い山を指差して言った。
興奮気味な私を、テックとパルラは目を細めて見つめ、笑っている。
「そんな可愛いお願いをされたら行かないとね。すぐにオベントウ?とやらを作らせるよ。」
テックが侍女に指示を出して、お弁当を作ってもらうように厨房へお願いする。
その間に動きやすい服装に着替えて準備していると、あっという間にお弁当が完成して届けられていた。
お城のコックさん達は、流石に皆さん仕事が早い。ありがとうございます。
馬車で山の麓まで行き、みんなで歩いて山を上方まで散策する。
私を真ん中にして、パルラ、テックと3人で手を繋いで登った。
途中に生えている木や草花、鳥の姿や鳴き声を楽しみながら、ズンズン進んで行くと目の前が開け、辺り一面にお花畑があらわれた。
色とりどりの花々はとっても見事に咲いていて、まるで夢の中にいるかのように素晴らしい光景だった。
私達は夢中になって遊んだ。
花冠やネックレスを作ったり、追いかけっこをしたり、疲れたら大の字に寝転がってひと休みしたり。
教会にいた頃を思い出し、ただひたすらに遊んだ。
「花畑の向こうは、結構な崖になってるから、近づくんじゃねえぞー。」
龍斗さんの声に反応して、3人で恐る恐る崖に近づき下を覗き込む。
木々が茂り崖の下はよく見えないけれど、かなりの高さで足が竦んだ。
3人で顔を見合わせ、ブルッと震う。
「こらー!お前ら、俺の言うことが聞けねえのか?危ないだろう。」
怒っている龍斗さんから逃げように3人で走り回り、笑い合った。
途中、お昼を食べながらお弁当の美味しさに感動しているテックとパルラに、私はまた笑った。
私は今日、全力で遊び、そして、本気で楽しんだ。
今日という日が、テックやパルラにとって最高の1日となり、最高の思い出となるように。
印象深く残るように……。
86
あなたにおすすめの小説
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
騎士団の繕い係
あかね
ファンタジー
クレアは城のお針子だ。そこそこ腕はあると自負しているが、ある日やらかしてしまった。その結果の罰則として針子部屋を出て色々なところの繕い物をすることになった。あちこちをめぐって最終的に行きついたのは騎士団。花形を譲って久しいが消えることもないもの。クレアはそこで繕い物をしている人に出会うのだが。
城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?
甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。
友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。
マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に……
そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり……
武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
モブで可哀相? いえ、幸せです!
みけの
ファンタジー
私のお姉さんは“恋愛ゲームのヒロイン”で、私はゲームの中で“モブ”だそうだ。
“あんたはモブで可哀相”。
お姉さんはそう、思ってくれているけど……私、可哀相なの?
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
【完結】遺棄令嬢いけしゃあしゃあと幸せになる☆婚約破棄されたけど私は悪くないので侯爵さまに嫁ぎます!
天田れおぽん
ファンタジー
婚約破棄されましたが私は悪くないので反省しません。いけしゃあしゃあと侯爵家に嫁いで幸せになっちゃいます。
魔法省に勤めるトレーシー・ダウジャン伯爵令嬢は、婿養子の父と義母、義妹と暮らしていたが婚約者を義妹に取られた上に家から追い出されてしまう。
でも優秀な彼女は王城に住み、個性的な人たちに囲まれて楽しく仕事に取り組む。
一方、ダウジャン伯爵家にはトレーシーの親戚が乗り込み、父たち家族は追い出されてしまう。
トレーシーは先輩であるアルバス・メイデン侯爵令息と王族から依頼された仕事をしながら仲を深める。
互いの気持ちに気付いた二人は、幸せを手に入れていく。
。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.
他サイトにも連載中
2023/09/06 少し修正したバージョンと入れ替えながら更新を再開します。
よろしくお願いいたします。m(_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる