神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです

珂里

文字の大きさ
64 / 73

作戦を練りました

しおりを挟む
泣き過ぎてグシャグシャな私の顔を、龍斗さんはハンカチで拭ってくれる。

『ほら。鼻水、チーンってしろ。』

鼻にハンカチをあてられて、私は大人しくそれに従った。

『……ここにお父さんがいる。』

『俺の娘はいつまで経ってもガキだからな~。世話が焼けるぜ。』

ジト目で見る私に、龍斗がニッと笑って鼻をハンカチでゴシゴシ拭ってくれた。

『手のかかる子供は俺がずっとついててやらないとな~?あ、因みに彩菜の嫁入り道具には俺も入ってるから。こんな嫁入り道具、リスターしか許してくれないと思うぜ。』

『えー……。嫁入り道具って……。しかもうちは婿入りしてもらう側なんですけど?』

『リスターの嫁になるんだから嫁入り道具でいいじゃねえか。もうリスターの許可も取ってるしな。』

…………許可、取ってるんだ……。

アハハ~と乾いた笑いを浮かべていたら、龍斗さんにデコピンをされた。

『痛い!』

『要するに、彩菜の婿はリスターじゃないと務まらないって事だよ。』

『うん……うん、そうだよね!顔が怖くて、口が悪くて、態度もデカイけど、私の事を1番に考えてくれる龍斗さんを受け入れてくれるのは、リスターしかいないよね!』

『お前、それは俺をディスってるのか、褒めてるのか、どっちなんだ?』

龍斗さんがもう一度デコピンの態勢を取りながら私を問い詰める。

私はオデコを慌てて両手で隠した。

『も、勿論、褒めてるんだよ!!』

龍斗さんはデコピンする為に伸ばした手を私の頭に置くと、いつものようにガシガシと撫でる。

『そうだろ。彩菜の事を1番に考えている有能な俺様が、絶対にリスターのところに帰してやるからな。』

『……うん。』

『フレイの結婚式には出席させてやれないけど、帰ったら2人でまたお祝いしてやろうぜ。』

『うん。』

『かなり大掛かりな事になりそうだから、しっかりと2人で作戦を練らないとな。』

『うん!』

私は泣き笑いしつつ、元気に返事をした。
龍斗さんも、満足そうに笑っている。


『取り敢えず、あの宰相には今まで以上に気をつけて行動しないとな。俺達がフレイの結婚やテックとの婚約の話しを知ってると分かれば、また何をしてくるか……。』

『うん、そうだね。私もルイスさんは、ちょっと腹黒な感じがして苦手なんだよね……。気をつけるよ。』

『アイツはちょっとどころか、ガッツリ腹黒だぜ?何考えてるのか全く読めないし。あんな腹黒い奴はそうそういないだろ。彩菜に黙ってテックと勝手に婚約させようとしてるくらいだしな。』

『そうだね……。』

私と龍斗さんはついつい難しい顔をして考え込んでしまった。

眉間に皺を寄せていると、龍斗さんがニッと笑って、私の眉間目掛けて手を伸ばして小突いてきた。

『まあ、俺も相当悪知恵は働くから。パルラの結婚式にも出て、テックと婚約しずにリスターのところへ戻る方法を何としてでも考え出してやるよ。』


……龍斗さん、悪知恵が働くって自分で言っちゃったよ。自覚があったんだね。


『2人で一緒にアイツをぎゃふんと言わせてやろうぜ。』

『うん、言わせてやろう!ぎゃふん、ぎゃふんとね!』

私は力一杯拳を突き上げて意気込んだ。


そうだよね。泣いてばかりでは……ウジウジ考えてるだけでは、何も解決しないよね。
頑張って、先に進む為に行動しないと!

私は1人じゃないんだから!!



ーーその日から、私と龍斗さんの、頭をフル回転させて作戦を練る日々が始まったのだった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】断罪された悪役令嬢は、本気で生きることにした

きゅちゃん
ファンタジー
帝国随一の名門、ロゼンクロイツ家の令嬢ベルティア・フォン・ロゼンクロイツは、突如として公の場で婚約者であるクレイン王太子から一方的に婚約破棄を宣告される。その理由は、彼女が平民出身の少女エリーゼをいじめていたという濡れ衣。真実はエリーゼこそが王太子の心を奪うために画策した罠だったにも関わらず、ベルティアは悪役令嬢として断罪され、社交界からの追放と学院退学の処分を受ける。 全てを失ったベルティアだが、彼女は諦めない。これまで家の期待に応えるため「完璧な令嬢」として生きてきた彼女だが、今度は自分自身のために生きると決意する。軍事貴族の嫡男ヴァルター・フォン・クリムゾンをはじめとする協力者たちと共に、彼女は自らの名誉回復と真実の解明に挑む。 その過程で、ベルティアは王太子の裏の顔や、エリーゼの正体、そして帝国に忍び寄る陰謀に気づいていく。かつては社交界のスキルだけを磨いてきた彼女だが、今度は魔法や剣術など実戦的な力も身につけながら、自らの道を切り開いていく。 失われた名誉、隠された真実、そして予期せぬ恋。断罪された「悪役令嬢」が、自分の物語を自らの手で紡いでいく、爽快復讐ファンタジー。

「ときめかない」ものなど捨てておしまいなさい

megane-san
ファンタジー
私、クリスティーナは、前世で国税調査官として残業漬けの日々を送っていましたが、どうやら過労でぶっ倒れそのまま今の世界に転生してきたようです。 転生先のグリモード伯爵家は表向きは普通の商会を営んでおりますが裏では何やら諜報や暗部の仕事をしているらしく…。そんな表と裏の家業を手伝いながら、前世で汚部屋生活をしていた私は、今世で断捨離に挑戦することにしたのですが、なんと断捨離中に光魔法が使えることが発覚! 魔力があることを国にバレないようにしながら、魔術師の最高峰である特級魔術師を目指します!

婚約破棄のその場で転生前の記憶が戻り、悪役令嬢として反撃開始いたします

タマ マコト
ファンタジー
革命前夜の王国で、公爵令嬢レティシアは盛大な舞踏会の場で王太子アルマンから一方的に婚約を破棄され、社交界の嘲笑の的になる。その瞬間、彼女は“日本の歴史オタク女子大生”だった前世の記憶を思い出し、この国が数年後に血塗れの革命で滅びる未来を知ってしまう。 悪役令嬢として嫌われ、切り捨てられた自分の立場と、公爵家の権力・財力を「運命改変の武器」にすると決めたレティシアは、貧民街への支援や貴族の不正調査をひそかに始める。その過程で、冷静で改革派の第二王子シャルルと出会い、互いに利害と興味を抱きながら、“歴史に逆らう悪役令嬢”として静かな反撃をスタートさせていく。

ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい

珂里
ファンタジー
ある日、仲の良かった友達が突然いなくなってしまった。 本当に、急に、目の前から消えてしまった友達には、二度と会えなかった。 …………私も消えることができるかな。 私が消えても、きっと、誰も何とも思わない。 私は、邪魔な子だから。 私は、いらない子だから。 だからきっと、誰も悲しまない。 どこかに、私を必要としてくれる人がいないかな。 そんな人がいたら、絶対に側を離れないのに……。 異世界に迷い込んだ少女と、孤独な獣人の少年が徐々に心を通わせ成長していく物語。 ☆「神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです」と同じ世界です。 彩菜が神隠しに遭う時に、公園で一緒に遊んでいた「ゆうちゃん」こと優香の、もう一つの神隠し物語です。

彼女が微笑むそのときには

橋本彩里(Ayari)
ファンタジー
ミラは物語のヒロインの聖女となるはずだったのだが、なぜか魔の森に捨てられ隣国では物語通り聖女が誕生していた。 十五歳の時にそのことを思い出したが、転生前はベッドの上の住人であったこともあり、無事生き延びているからいいじゃないと、健康体と自由であることを何よりも喜んだ。 それから一年後の十六歳になった満月の夜。 魔力のために冬の湖に一人で浸かっていたところ、死ぬなとルーカスに勘違いされ叱られる。 だが、ルーカスの目的はがめつい魔女と噂のあるミラを魔の森からギルドに連れ出すことだった。 謂れのない誤解を解き、ルーカス自身の傷や、彼の衰弱していた同伴者を自慢のポーションで治癒するのだが…… 四大元素の魔法と本来あるはずだった聖魔法を使えない、のちに最弱で最強と言われるミラの物語がここから始まる。 長編候補作品

【完結】遺棄令嬢いけしゃあしゃあと幸せになる☆婚約破棄されたけど私は悪くないので侯爵さまに嫁ぎます!

天田れおぽん
ファンタジー
婚約破棄されましたが私は悪くないので反省しません。いけしゃあしゃあと侯爵家に嫁いで幸せになっちゃいます。  魔法省に勤めるトレーシー・ダウジャン伯爵令嬢は、婿養子の父と義母、義妹と暮らしていたが婚約者を義妹に取られた上に家から追い出されてしまう。  でも優秀な彼女は王城に住み、個性的な人たちに囲まれて楽しく仕事に取り組む。  一方、ダウジャン伯爵家にはトレーシーの親戚が乗り込み、父たち家族は追い出されてしまう。  トレーシーは先輩であるアルバス・メイデン侯爵令息と王族から依頼された仕事をしながら仲を深める。  互いの気持ちに気付いた二人は、幸せを手に入れていく。 。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.  他サイトにも連載中 2023/09/06 少し修正したバージョンと入れ替えながら更新を再開します。  よろしくお願いいたします。m(_ _)m

きっと幸せな異世界生活

スノウ
ファンタジー
   神の手違いで日本人として15年間生きてきた倉本カノン。彼女は暴走トラックに轢かれて生死の境を彷徨い、魂の状態で女神のもとに喚ばれてしまう。女神の説明によれば、カノンは本来異世界レメイアで生まれるはずの魂であり、転生神の手違いで魂が入れ替わってしまっていたのだという。  そして、本来カノンとして日本で生まれるはずだった魂は異世界レメイアで生きており、カノンの事故とほぼ同時刻に真冬の川に転落して流され、仮死状態になっているという。  時を同じくして肉体から魂が離れようとしている2人の少女。2つの魂をあるべき器に戻せるたった一度のチャンスを神は見逃さず、実行に移すべく動き出すのだった。  女神の導きで新生活を送ることになったカノンの未来は…?  毎日12時頃に投稿します。   ─────────────────  いいね、お気に入りをくださった方、どうもありがとうございます。  とても励みになります。

【コミカライズ決定】愛されない皇妃~最強の母になります!~

椿蛍
ファンタジー
【コミカライズ決定の情報が解禁されました】 ※レーベル名、漫画家様はのちほどお知らせいたします。 ※配信後は引き下げとなりますので、ご注意くださいませ。 愛されない皇妃『ユリアナ』 やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。 夫も子どもも――そして、皇妃の地位。 最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。 けれど、そこからが問題だ。 皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。 そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど…… 皇帝一家を倒した大魔女。 大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!? ※表紙は作成者様からお借りしてます。 ※他サイト様に掲載しております。

処理中です...