神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです

珂里

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嫉妬されました

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「取り敢えず、皆で俺達の泊まっている宿に行こうぜ?」

龍斗さんの声にハッとして周りを見れば、店の人や通りすがりの人にジロジロと見られていた。


……そりゃそうだよね。

超絶イケメンが、今は男の子にしか見えない私を抱き締めたり、キスしたりしてるんだから。

これではリスターがヤバイ人になってしまう。

私は慌ててリスターの手を引っ張り、宿に案内する。

「リスター、こっちだよ!」

リスターと手を繋ぐのも久しぶりだから、ちょっとドキドキしちゃう。

さっきからリスターに抱き締められたりして、私の顔はずっと真っ赤なままだと思う。

そんな私を、嬉しそうに目を細めて見ていたリスターが、部屋の前まで来て途端に眉を顰めた。

「……ねえ、まさかとは思うけど、リュートさんと一緒の部屋じゃないよね?」

「え?一緒に決まってるじゃん。親子の設定なんだし、別々の部屋の方がおかしいでしょ?」

「……そうだね。」

私が扉を開けて中に招き入れると、リスターの眉間の皺がいっそう酷くなる。

「ねえ、ベッドの距離が近過ぎない?」

「え?部屋が狭いんだからしょうがないじゃん。身を隠してるんだし、贅沢して広い部屋になんて泊まれないでしょ?」

「…………そうだね。」

リスターが後から部屋に入って来た龍斗さんをギロリと睨んだ。

「なあ……、俺、リスターにヤラレそうな勢いじゃねえ?」

「あの目はかなり怒っているね。」

「ハハッ。骨は拾ってやるから安心しろ。」

思わず後ずさる龍斗さんの肩を、カールさんとダナンさんがポンと叩いて苦笑している。

リスターが龍斗さんを睨んだまま、扉の方を指差した。

「今すぐ部屋をもう1つ取ってきてください。今日は僕がこの部屋でアヤナと寝ます。」

「はいはい。暫く2人にしてあげるから。やきもちを妬き過ぎて喧嘩しないようにね?」

3人が部屋を出て行った後。
チラリとリスターを見上げると、なんだか拗ねたような表情で私を見つめるリスターと目が合った。


か、か、可愛い!!!

その表情、ヤバ過ぎですよ!!

心臓がドキドキ煩くてジタバタと悶えている私を、リスターがそっと抱き寄せる。

「リスター、龍斗さんにまでやきもち妬いてるの?」

「……誰にだって妬くよ。アヤナは、僕だけのなんだから。」

リスターが耳まで真っ赤にして少し膨れている。

そんなリスターが可愛くて、リスターの膨れている頬をツンツンしていたら、その手を掴まれて激しくキスをされた。


「明日の朝一番に出る船で家に帰ろう。もう絶対に離さないから、覚悟しておいてね?」

「は、はい……。」





翌日。

別の部屋を取っていた3人が部屋まで迎えに来てくれた。

扉を開けて部屋から出て来た私を見て、3人はリスターに白い目を向ける。


何故って?

それはきっと、リスターに腰を抱かれて出て来た私が、真っ赤な顔でトロンと蕩けたような表情をしていたからだと思う。


「……リスター、お前……。」

「何ですか?してませんよ。結婚するまではしないって約束しましたからね。」

「そ、そうだよ!してないよっ!!確かにちょっと……いや、かなり?キスやスキンシップは多かったけど!!」

「そう?これでも我慢したつもりなんだけどね?」

真っ赤になって動揺している私と、その私の腰をガッシリと抱いて頭にキスをしまくるリスター。


3人は私とリスターを呆れ顔で見ながら、揃って深い溜め息を吐いた。

「……誰だよ、リスター連れて来たの……。こうなるのは分かっていただろう?」

「だって、リスターが団長の承諾を得たって言うから……ん?待てよ……団長が認めたって事は、こうなる事も認めて……」

「認めてねえよ!おい、団長に顔向けできなくなる前に、早いとこ帰るぞ!リスターも本当に我慢してくれよな!」


ブーブー文句を言う3人と、3人を全く気にする事なく、隙あれば私とくっついてイチャイチャしようとするリスター。

昨夜はリスターに一晩中愛を囁かれていたおかげ?で、すっかり寝不足な私は、船に乗り込む頃にはグッタリと疲れてしまっていた。

そして、そんな私を嬉々として世話をするリスターに、またトロトロに蕩けさせられてしまう私なのだった……。



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