ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい

珂里

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突然の変化にビックリ!!

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ジルがお城に滞在するようになって一ヵ月が経ち、ジルも従者のイナムさんもすっかり此処での生活に慣れたようで良かった。

相変わらずジルはドレスを着て生活しているけど、黙っていれば本当にどこから見ても美少女にしか思えないから全く違和感がない。

…………同じ年頃の男の子が私よりドレスが似合っていて可愛いのもなんか複雑だけど……ジルはとってもいい子だから許す。

私より一つ年上なだけなんだけど、いつも元気で明るくて優しいから、私の中でジルはとっても頼りになるお姉さん的な存在になっていた。……男の子だけどね。

今ではすっかり仲良くなって、ほぼ毎日行動を共にしている。

勿論、ジルと二人きりで居ることは無くて、常にサイラスが一緒だけど。

もうすぐ成人する王太子がそんなに暇なわけないでしょって思うけど、なんでか常に私達と一緒に居る。

ちょっと前に、気になって王太子の公務は大丈夫なのか聞いてみた。

そしたら、すっごくいい笑顔のサイラスが「問題ないよ」って言う後ろで、額に青筋を立てているメイソンさんを見てしまい…………それからは、もう何も聞かないことにした。…………うん、もう怖くて聞けないよね。



そんなある日、ジルが突然ドレスではなくグレーで落ち着いた感じのスーツに身を包み、皆の前に現れた。

いつもの綺麗なお姉さんという感じは微塵も無く、今日はどこからどう見ても爽やかなイケメンの男の子って感じで、ビックリした私は思わずジルを凝視してしまっていた。


「そんなにユーカに見つめられると照れるんだけど」

「あ、ごめん」


ジルに頬を赤く染め顔を背けながらそう言われて、そんなにジッと見つめちゃってたかと反省しつつ、いつもならここで私とジルの間に割って入るサイラスがいない事に今更ながらに気付いて周りをキョロキョロと見渡す。


「サイラス様でしたら国王との公務が少々長引いておりまして…………もう少ししましたらこちらに来られると思うのですが」

「あ、大丈夫です」


説明してくれたメイソンさんに即答すると、苦笑されてしまった。

だって、ジルと話してると、いつもすぐに邪魔してくるからちっとも話しが進まないんだもん。

邪魔してきてもサイラスは大好きだけどさ、たまにはジルとゆっくり話したいし。

メイソンさんはサイラスが遅れるのを知らせる為にこの応接室に来てくれていたんだろう。

いつも迷惑かけてゴメンナサイ。そんな思いでメイソンさんを見上げると、にっこり微笑んでくれた。

良かった。今日は額に青筋が立ってないからサイラスもしっかり公務をこなしているんだろうな。

私のホッとした様子にメイソンさんが笑って頭を撫でてくれた。


「大丈夫ですよ。サイラス様はちゃんと公務もこなしてくださってますから。ユーカ様と会えない方が逆に公務に支障が出てしまいますからね」


…………なんか、ホントにゴメンナサイ。



ジルとお茶しながら話したりするのは、大抵この応接室か客間を利用している。
サイラスが絶対に私の部屋にジルを入れないし、ジルの部屋にも行かせてくれないから。


「サイラス様がいない間はゆっくり話せますね」


ジョシュア君が明らかに嬉しそうな顔をして言う。

ホント、その通りだね。いつもゴメンナサイ。


「それにしてもビックリだよ!ジル、どうしたの?今日は男の子になってるじゃん!」

「うん、もとから男の子なんだけどね」

「ホントですよー!王子様みたいな格好をしているから、一瞬誰だか分かりませんでした!」

「うん、もとから王子なんだけどね」


私とジョシュア君が興奮して騒いでいるのにジルが丁寧に突っ込んでくれる。

「落ち着いて」とクスクス笑いながら私達を宥める姿もジルはカッコ良くて、立ち姿だけでも王子様っぽくサマになっていて思わず見惚れてしまう。


「可愛いお姫様に、僕のこの姿はお気に召したかな?」

「うん!凄くカッコいいよ!!」


ジルは目を輝かせて見ていた私の手を取り、チュッと甲にキスを落とした。

不意打ちのキスに顔が熱くなった私に、顔を上げたジルは悪戯が成功した子供のようにニコッと笑む。


「サイラスがいない時じゃないと、絶対にこんな事させてもらえないからね」

「サイラス様がいなくても駄目ですよ!僕がいるんですからね!!」


離れてください!!と、私とジルをベリッと引き剥がすジョシュア君に手の甲をゴシゴシと力強く拭かれてちょっと痛い。

ジルを睨んで思いきり威嚇しているジョシュア君を見て目を細めていると、そんな私の様子に気付いたジョシュア君が拗ねたように少し口を尖らせた。


「なに?」

「…………なんでもなーい」



……言えない。ジルがお城に来てから、ジョシュア君が段々とサイラスに似てきたなぁ、って思ってたなんて、ジョシュア君がますます拗ねちゃうのが分かるだけに……言えるわけない。


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