輝け五つ星ーぼくらの川下り大作戦ー

ひとりさんぽ(一人三歩)

文字の大きさ
14 / 24
第3章:ごめん、が言えたら(テーマ:謝る勇気と、受け入れる優しさ)

「五人めの仲間」

しおりを挟む
 アカネの家の裏庭から見えるキラキラ川の朝の川べりは、陽ざしでピカピカしていて、ちょっとまぶしかった。
 
 耳には、ジジジ……って、セミの声がじわじわ入ってきた。

 草むらの中から、ぼくらの声があちこちで飛んでる。

 舟作りにも慣れてきてかなり上手く出来てると思う。

 「もうちょっとこっち引っ張って!」

 「そこ、釘が浮いてる!」

 大きなベニヤ板を工作台がわりにして、その上で舟をつくってる最中だった。

 だんだん形になってきて、なんだかワクワクしてくる。

 「サイドフロートを左右に付けると、水のバランスが安定するんだって」

とショウがノートを広げながら教えてくれた。

 「ほんとは棒に浮きだけでもいいんだけど、どうせならスペースシャトルみたいにしたらカッコいいと思うんだ。ほら、この図みたいに」

 ノートに描かれた絵を見て、ぼくはうなる。

 「カッコいいじゃん。さっすが設計係!」

 「よっしゃ、こっちはペンキで星マーク描いちゃおうっと♪」ってアカネが刷毛をぶんぶんふってる。

 ヒナちゃんとアカネは、舟の両側につけたフロートに、カラフルな布の帯をくくりつけてた。

 「これ、風が吹いたらヒラヒラしてきれいかもね」ってヒナがうれしそうに言う。

 そのとき、アカネが「うわっ……」と叫んだ。

 のりがべっとり出すぎて、手がベトベトになってる。

 「もー、出しすぎたら戻んなくなるやつでしょそれ!」

 「だって、スティックのりってさあ、どんぐらい残ってるかわかんないんだもん!」

 その言いぐさに、ぼくらみんなでくすくす笑った。

 ……だけど。

 その笑い声に、別の声がまじった。

 「……あのさ……」

 ぼくらはピタッと動きを止めて、草むらの方をふり返った。

 そこには、トシオが、もじもじしながら立ってた。

 空気がぴたりと固まった。

 ぼくは、立ち上がって言った。

 「……また、イジワル言いに来たのか?」

 トシオは、目をそらして、手をぎゅっとにぎってた。

 「……えっと……あのさ……」

 そして、顔を上げたかと思うと、急に大きな声を出した。

 「今まで、ごめん!!」

 全員が、またしても固まる。

 「オレも……仲間に入れてください!!」

 ちょっとだけ、沈黙が流れて。

 アカネがふっと笑った。

 「やっと本音が出たね」

 するとヒナちゃんが、小さな声で言った。

 「許してあげて……昨日、ノラ犬から助けてもらったんだよ」

 「えっ?」とぼく。

 「マジで?」とショウ。

 ぼくは、もう一度トシオの方を見た。

 「……トシオ、ありがとう。ヒナたち、助けてくれたんだってな」

 「……うん」

 トシオの声は、ちょっとだけ震えてた。

 ぼくは一歩、彼に近づいて言った。

 「でもさ、ひとつだけ守ってほしいことがある」

 「な、なんだよ?」

 と、ちょっとビビった顔のトシオに、ショウが先に口を出した。

 「もう、僕らだけじゃなく誰にもイジワル言わないってこと!」

 「わ、わかったよ!」

 「よーし!」とぼく。

 「これで、キラキラ四つ星から五つ星だな!」

 「いいじゃん、それ!」ってアカネも笑顔になった。

 「チーム・キラキラ☆ファイブ!」

 「なにそのネーミング!?」って、みんなでいっせいにつっこんだ。

 トシオはちょっと照れた顔をして、

 「……おれ、デカいし力あるし。役に立つぜ?」って。

 ヒナちゃんがにこっとほほえんだ。

 「うん、すごく強そう」

 それを聞いたトシオは、顔を真っ赤にして、

 「……そ、そっか……」ってつぶやいた。

 なんか、ぼくの胸の中も、ぽっとあったかくなった気がした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

まぼろしのミッドナイトスクール

木野もくば
児童書・童話
深夜0時ちょうどに突然あらわれる不思議な学校。そこには、不思議な先生と生徒たちがいました。飼い猫との最後に後悔がある青年……。深い森の中で道に迷う少女……。人間に恋をした水の神さま……。それぞれの道に迷い、そして誰かと誰かの想いがつながったとき、暗闇の空に光る星くずの方から学校のチャイムが鳴り響いてくるのでした。

童話短編集

木野もくば
児童書・童話
一話完結の物語をまとめています。

黒地蔵

紫音みけ🐾書籍2冊発売中!
児童書・童話
友人と肝試しにやってきた中学一年生の少女・ましろは、誤って転倒した際に頭を打ち、人知れず幽体離脱してしまう。元に戻る方法もわからず孤独に怯える彼女のもとへ、たったひとり救いの手を差し伸べたのは、自らを『黒地蔵』と名乗る不思議な少年だった。黒地蔵というのは地元で有名な『呪いの地蔵』なのだが、果たしてこの少年を信じても良いのだろうか……。目には見えない真実をめぐる現代ファンタジー。 ※表紙イラスト=ミカスケ様

パンティージャムジャムおじさん

KOU/Vami
児童書・童話
夜の街に、歌いながら歩く奇妙なおじさんが現れる。 口癖は「パラダイス~☆♪♡」――名乗る名は「パンティージャムジャムおじさん」。 子供たちは笑いながら彼の後についていき、歌を真似し、踊り、列は少しずつ長くなる。 そして翌朝、街は初めて気づく。昨夜の歌が、ただの遊びではなかったことに。

笑いの授業

ひろみ透夏
児童書・童話
大好きだった先先が別人のように変わってしまった。 文化祭前夜に突如始まった『笑いの授業』――。 それは身の毛もよだつほどに怖ろしく凄惨な課外授業だった。 伏線となる【神楽坂の章】から急展開する【高城の章】。 追い詰められた《神楽坂先生》が起こした教師としてありえない行動と、その真意とは……。

14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート

谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。 “スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。 そして14歳で、まさかの《定年》。 6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。 だけど、定年まで残された時間はわずか8年……! ――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。 だが、そんな幸弘の前に現れたのは、 「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。 これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。 描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
児童書・童話
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

ぼくのだいじなヒーラー

もちっぱち
絵本
台所でお母さんと喧嘩した。 遊んでほしくて駄々をこねただけなのに 怖い顔で怒っていたお母さん。 そんな時、不思議な空間に包まれてふわりと気持ちが軽くなった。 癒される謎の生き物に会えたゆうくんは楽しくなった。 お子様向けの作品です ひらがな表記です。 ぜひ読んでみてください。 イラスト:ChatGPT(OpenAI)生成

処理中です...