14 / 48
厄日
しおりを挟む
「兄上、暇だから連想ゲームしよう」
「連想ゲームか…まぁ、息抜きぐらいには…」
現在シアとフィドゥは無気力にベッドとソファに寝転んでいた。激務に激務を重ね、束の間の休息に二人は動く気力も無く、ただひたすらフィドゥの寝室でだれていた。
ちょっとした気分転換なのか、弟のシアがゲームを持ち出してきたのだ。
「じゃあ親は兄上から」
「オレでいいのか?……あ~、じゃあ書類」
「書類といったら偽造」
「偽造といったら横領」
「横領といったら老害」
「老害といったら殺意」
「殺意といったら駆除」
「駆除といったら始末」
「始末といったら焼却」
「焼却といったら灰」
「灰といったら肥料」
「肥料といったら糞尿」
「糞尿といったら汚染」
「汚染といったら廃液」
「廃液といったら公害」
「公害といったら死人」
「死人といったら……」
「……」
「……」
「……止めよう。どんどん心が病んでいく」
「私もそう思っていたところだよ……」
重症だった。安定した国家を築いているとはいえ、内部はまだまだ問題だらけなのだ。ついこの間も密売や横領事件が発覚したばかりで、穴埋めとして奔走しっぱなしなのだ。
「……なぁシア」
「なんだい兄上」
「ウミガメのスープを食べた男が店員にこれはウミガメのスープかと確認したら店員は間違い無いと答えたので男は自殺した。何故?」
「昔食べたウミガメのスープが実は人肉だったから、罪悪感で自殺した。恐らく知人とかに騙されて食べてしまったんだろうね」
「…………」
「王様は職人に絶対に開けられない金庫を作らせたら、職人は王に罰せられた。何故?」
「自分だけの秘密にしようと、口封じのために職人を始末したから」
「……」
「……」
「よし、料理!料理しよう!」
このままではいけないと、シアは料理を提案する。シアはたまに厨房に入ってはフィドゥの為に料理を振る舞っていたが、フィドゥはそもそも厨房にすら入った事が無かった。
「オレ、包丁すら握った事無いんだが?」
「お菓子は基本混ぜて焼くだけだからお菓子にしよう!」
というわけで今度は厨房に来た。一応食事の時間はまだだろうから人払いさせて現在は二人だけ。
マカロンを作ろうと提案してきた。
しかし上手くいかない。バランスが悪かったり、ヒビが割れたり、ピエが出なかったりと失敗ばかり続いた。
「そんな…前はあんなに成功したのに…」
「済まないシア。多分オレのせいだ」
「兄上…?」
「オレのせいだ、オレがいるせいで失敗ばかり続いて、お前の足を引っ張って…オレはいつもそうだ。オレは全てを台無しにする。このマカロンはまるでオレの人生だ。色んな事が始まるのに何一つ終わらない。誰もオレの事を愛さない……」
「あ、兄上ーーーー!?」
顔を両手で覆い隠しながらテーブルの下に潜り込み小さく丸まってしまった。
「どうしよう、兄上が壊れた……」
「──すまん。取り乱した」
数分後、何とか持ち直したフィドゥは椅子に座って頭を下げていた。
「まぁまぁ落ち着いてよ兄上。ほら形は不恰好だけど味は悪く無いよ。はい、あーん」
マカロンを差し出され、フィドゥは食べようと口を開けた瞬間、マカロンは引っ込められ、代わりにシアが口付けてきた。舌を入れられてフィドゥの口腔内を蹂躙する。
しばらくして唇を離すと唾液が糸を引いていた。
「ごちそうさま」
妖艶に微笑む弟にフィドゥは何も言えなかった。
「……ベッドへ、行くか……」
ようやく出た言葉がそれだった。それでもシアは嬉しそうに頷き、結局残りの時間はずっとベッドの上で過ごしたのだった。
「連想ゲームか…まぁ、息抜きぐらいには…」
現在シアとフィドゥは無気力にベッドとソファに寝転んでいた。激務に激務を重ね、束の間の休息に二人は動く気力も無く、ただひたすらフィドゥの寝室でだれていた。
ちょっとした気分転換なのか、弟のシアがゲームを持ち出してきたのだ。
「じゃあ親は兄上から」
「オレでいいのか?……あ~、じゃあ書類」
「書類といったら偽造」
「偽造といったら横領」
「横領といったら老害」
「老害といったら殺意」
「殺意といったら駆除」
「駆除といったら始末」
「始末といったら焼却」
「焼却といったら灰」
「灰といったら肥料」
「肥料といったら糞尿」
「糞尿といったら汚染」
「汚染といったら廃液」
「廃液といったら公害」
「公害といったら死人」
「死人といったら……」
「……」
「……」
「……止めよう。どんどん心が病んでいく」
「私もそう思っていたところだよ……」
重症だった。安定した国家を築いているとはいえ、内部はまだまだ問題だらけなのだ。ついこの間も密売や横領事件が発覚したばかりで、穴埋めとして奔走しっぱなしなのだ。
「……なぁシア」
「なんだい兄上」
「ウミガメのスープを食べた男が店員にこれはウミガメのスープかと確認したら店員は間違い無いと答えたので男は自殺した。何故?」
「昔食べたウミガメのスープが実は人肉だったから、罪悪感で自殺した。恐らく知人とかに騙されて食べてしまったんだろうね」
「…………」
「王様は職人に絶対に開けられない金庫を作らせたら、職人は王に罰せられた。何故?」
「自分だけの秘密にしようと、口封じのために職人を始末したから」
「……」
「……」
「よし、料理!料理しよう!」
このままではいけないと、シアは料理を提案する。シアはたまに厨房に入ってはフィドゥの為に料理を振る舞っていたが、フィドゥはそもそも厨房にすら入った事が無かった。
「オレ、包丁すら握った事無いんだが?」
「お菓子は基本混ぜて焼くだけだからお菓子にしよう!」
というわけで今度は厨房に来た。一応食事の時間はまだだろうから人払いさせて現在は二人だけ。
マカロンを作ろうと提案してきた。
しかし上手くいかない。バランスが悪かったり、ヒビが割れたり、ピエが出なかったりと失敗ばかり続いた。
「そんな…前はあんなに成功したのに…」
「済まないシア。多分オレのせいだ」
「兄上…?」
「オレのせいだ、オレがいるせいで失敗ばかり続いて、お前の足を引っ張って…オレはいつもそうだ。オレは全てを台無しにする。このマカロンはまるでオレの人生だ。色んな事が始まるのに何一つ終わらない。誰もオレの事を愛さない……」
「あ、兄上ーーーー!?」
顔を両手で覆い隠しながらテーブルの下に潜り込み小さく丸まってしまった。
「どうしよう、兄上が壊れた……」
「──すまん。取り乱した」
数分後、何とか持ち直したフィドゥは椅子に座って頭を下げていた。
「まぁまぁ落ち着いてよ兄上。ほら形は不恰好だけど味は悪く無いよ。はい、あーん」
マカロンを差し出され、フィドゥは食べようと口を開けた瞬間、マカロンは引っ込められ、代わりにシアが口付けてきた。舌を入れられてフィドゥの口腔内を蹂躙する。
しばらくして唇を離すと唾液が糸を引いていた。
「ごちそうさま」
妖艶に微笑む弟にフィドゥは何も言えなかった。
「……ベッドへ、行くか……」
ようやく出た言葉がそれだった。それでもシアは嬉しそうに頷き、結局残りの時間はずっとベッドの上で過ごしたのだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
30
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる