美醜逆転の異世界で騎士様たちに愛される

志季彩夜

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ありふれた大切な日々

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 現在妊娠六か月。順調に育っているお腹の子と共に安定期を過ごしていた。

「おなかぽんぽん!」

 ユウが不思議そうに私のお腹をそっと触る。

「ぽんぽんだね、この中に赤ちゃんいるんだよ」
「あかちゃん?」
「ユウの兄弟。弟か妹か、どっちかなぁ」

 ソファにユウを挟んで私の隣に座るラグトさんは、膨らんだお腹に顔を擦り寄せる子供の頭を撫でる。

「何か聞こえる?まだ早いかな」
「あったかー」
「はは!ぬくぬくしてるだけか!」

 なかなかお腹から離れようとしないユウの元へヴェルくんがやって来た。

「ユウ、そろそろお風呂入るよ」
「いや!」
「お湯冷めちゃうから」
「いや!」

 最近のユウはどうも反抗的で、とりあえず何でも嫌がる。
 ラグトさんがユウを抱え、私から離して扉へ連れて行く。

「やだー!」
「お水怖くないから大丈夫!昨日頑張れたじゃん!」

 励ますラグトさんにイヤイヤ首を横に振る。
 毎度のことなのでヴェルくんも慣れた様子で宥めていた。

「終わったらお菓子食べようね」
「かあしゃあぁー!」
「ユウ頑張って!お母さん待ってるから!」

 びえびえ泣きながらお風呂に行ったユウを、私はソファから見送りため息をつく。
 私が甘やかしすぎなのかな……。お父さんたちよりも私に縋りついてくることが多いから、お母さんになら我儘言ってもいい……みたいに思うのかも……。
 かと言って厳しくしたりむやみに怒ったりはしたくないし、皆も別にユウに怒っているところは見たことない。
 今はきっとそういう時期なのだろう。ユウの精神が成長している証だ。

「三人の飲み物用意しとこうかな」

 お風呂上がりの水分補給は大切だ。ユウのはちょっとあっためて……と立ち上がろうとしたところで背中にグッとした痛みを感じた。

「うっ……痛い……たまになるのなんでだろう……」

 お腹が大きくなったからか背中が痛むし……。

「お腹……蹴られてる……」

 中の子も随分元気なことで、内側からのキックをよくもらう。

 同時に来る痛みに、どちらをさすれば良いのかわからず立ち上がった微妙なところで止まっていると、三階から降りてきたリュークが私の様子に気づいて慌てて駆け寄る。

「どうしたの!?お腹痛い?背中痛い?」
「どっちも……」
「とりあえず部屋で横になっとこ!」

 ベッドに横向きで寝てリュークに両方さすってもらった。

「そんなに痛い訳じゃ無いんだけど、ちょっと動きづらいんだよね……」
「そうだねぇ……ずっと座ってるのも立ってるのも良くないし……。無理はしないでね」
「うん……。あ、ユウがラグトさんとヴェルくんとお風呂入ってるの。飲み物用意しようと思って」

 そう伝えるとリュークは頷いて椅子から立ち上がる。

「サキ、次お風呂入る?」
「リューク疲れてるでしょ?先入って」
「そこは一緒に入ろうよー」

 口を尖らせた彼に、私は笑って頷いた。
 彼が出て行ってから、しばらくしてパジャマを着たユウがトコトコ歩いて部屋にやって来た。

「かあさん!」
「お風呂頑張ったの、偉いね」
「がんばた!」

 笑顔で答えるユウを微笑ましく思ったが、よく見ると手にドーナツを持っている。

「ユウ、食べながら歩いちゃだめ」

 私はベッドから降りてユウの傍に屈む。

「お喉に詰まっちゃうの。危ないからリビングで座って食べよう?」
「や!」

 移動させようとしたのだがドーナツを取られると思ったみたいで、手をブンブン振って嫌がり動こうとしない。

「そんなに振り回したら……」

 案の定ドーナツは手から飛んで行き、虚しく床にポトッと落ちた。

「……」

 金色の瞳がうるうるして、口が開くと大きな泣き声が響く。

「う……うああぁ!!」
「ユウ!ドーナツ勝手に持って行って……何があったんですか……?」

 母の胸にしがみついて泣きじゃくる子と落ちたドーナツを見てヴェルくんは察したらしい。

「ドーナツはまだあるから、向こうで一緒に食べよう。ね、ユウ」
「どーなつないぃ……!」
「いっぱいあるよ!ほら、お父さんのとこ来て」

 私が頭を撫でて促すと、ユウは鼻をすすりながらヴェルくんの腕に大人しく抱かれた。
 ユウを片手で抱っこしたヴェルくんは落ちたドーナツを拾う。

「食べ物はとっても大事だから粗末にしちゃだめだよ。代わりのドーナツはあるけど、それは好きなだけ出てくる物じゃないから。材料があってお父さんが作ったものだから、その全部が無駄になっちゃう」
「ひくっ……う……」
「ごめんなさいできる?」
「……ごめんなざい……」

 きちんと謝れたユウに私とヴェルくんは密かに微笑み合い、二人はリビングに戻っていった。

「ユウも成長したねぇ」
「リューク、そこに居たの」
「だって俺が入らなくても良さそうだったから。てかユウだけじゃなくてヴェルストリアもだいぶ大人になったというか……サキの前でも泣かなくなったでしょ」
「ふふ、そうだね。すっかりお父さんって感じ」

 彼の手を借りて立ち上がり、共に浴室へ向かう。

「リュークお父さんも、いつもありがとう」
「サキに言われると変な感じする……」
「やっぱり呼び方は変えたくないね」
「うん!リュークとサキが一番!」

 子供ができても私たちは私たち。そして二人きりの時は夫婦の時間。

「サキ……」

 向き合い服を脱がせながら、リュークは分かりやすく私の肌を撫でる。
 それに応えるように、私も彼の肩に手をかけた。

「ん……はやく……おふろはいろ?」
「早く入って早くあがろう」

 急ぎ気味のリュークに手伝ってもらいながら入浴を終えた。

「ちゃんと髪乾かして」
「このくらい大丈夫!」
「駄目」

 私のだけ乾かして自分のはしないんだから、まったく……。
 渋々自分の髪を拭くリュークは口を尖らせながら呟く。

「髪切ろっかなぁ……」
「え、良いと思う!」

 短髪のリューク……あれ、あんまりイメージが湧かないな……。
 即肯定した割に微妙な顔をしてしまったので気まずかったが、リュークも言った割に乗り気では無かったようで首を横に振った。

「やっぱ止めよ。結べないのヤダ」
「うん、リュークはそのままでもカッコいいよ」
「髪切ったらもっとカッコいいの?」
「いや……何が似合うか分からなくて。短髪はなんか違う気がするんだよね」

 ミスカさんとかハインツさんみたいに……?うーん、髪質が違うからかなぁ……。

「まぁ無理に変える必要も無いし!」
「そうだね」

 二人の髪がそれぞれしっかり乾いたところで彼に部屋に連れて行かれる。

「体痛くない?」
「うん、今は大丈夫」

 ベッドに座り優しいキスから始まる。少しずつ深くなっていきお互いが前のめりに唇を求めてしまっていた。

「ずっとキスしてたい」
「する?」
「えっちもしたい」
「ふふ、欲張り」

 お腹の大きい体を支えながらゆっくりと横に寝かせてくれたリュークは、私の背中側から抱きしめるように腕や胸を撫でる。

「んっ……はぁ……」

 彼の手に触れられると、安心感とそういう気持ちが同時に湧いてくる。
 もっと触れて欲しい。

「……下、して……」
「うん」

 リュークはゆったりしたデザインのワンピースを捲りショーツを下ろすと、濡れてきているアソコに指が入りくちゅくちゅと音が鳴る。

「ふ……ぁ……んっ、あ」
「声出していいよ」
「ユウ……いると思うと……」

 この部屋が防音だと言っても気持ち的にいたたまれなくなってしまう。小さい頃は良かったけれど最近は気づいちゃうんじゃないかって……。

「大丈夫、そういうこともいずれ教えなきゃいけないんだから」
「えっ、親が教えるの?」
「他に誰から教わるの?」

 そういえばこの世界学校が無いんだった……保健体育の授業も父親がするのか……。

「もうちょっと強くするね」
「あっ……!」

 弱いところを軽くも重点的に責められて急に熱が高まっていく。

「あ、んっ!そこ……イッちゃ……っ」

 小さく体を震わせて、一瞬詰まった息を大きく吐いた。
 そんな私の首の後ろにキスをして、彼は耳元で囁く。

「サキ可愛い……入れてい?」
「ん、いれて……」

 ズボンから取り出した彼のものがお尻に当たってドキッとする。皮膚でそれに触れるのは膣とはまた違って、硬さや熱だけでなく感触がより鮮明に分かるのだ。
 私は少しだけ脚を広げて、中に入ってくるのをすんなり受け入れた。

「ねぇ……あの……」
「どうしたの?」
「その……中緩くなったりしてない?今更だけど……」
「え!?全然ないよ!?むしろびっくりしちゃうくらい無い!」
「そ、そっか。それなら良かった……」

 皆私の心配事を全力で否定してくれる。

「サキとのえっちはいつも気持ちいいよー」
「ありがとう」

 後ろからの嬉しそうなリュークの声を聞き、中を擦る動きに意識を向ける。
 深くはないけど彼と繋がれている喜びが胸に広がり、それがまた快感の一部となっていく。

「リュークっ……あ……きもちい、の……」
「サキ……もっと俺のこと呼んで」
「は、ぁっ……りゅーく……りゅ、く……っ」
「大好き、サキ……あ、ちょっと今締められると……」

 知らぬ間に中を収縮させていて、自分でも抑えることが出来なかった。

「あぁっ、イク……!」
「っ、うん……」

 中には注がれず彼の熱は布の中に納まってしまった。

「なか……さみしい」
「うっ……俺だって出したいもん……我慢してるもん……」

 二人ともちょっぴり物足りない気持ちを抱えながら、キスで寂しさを埋めた。

「また俺の子ができるくらいいっぱいしよ」
「六人になっちゃうね」
「子供いっぱい……幸せだ……」

 笑い合いながらそんなことを話し、子供の成長と夫からの愛を日々噛みしめているのだった。
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