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第一章 物語は落下して始まった
探偵ごっこはおしまいだ
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シエロとは、空島を空に浮かべることを可能にしている根本の装置だ。
昔はシエロは空島の地中深くに埋められていたようだが、最近では交換がしやすいようにと空島の下部の先端にセットされることが主流になっている。
交換という単語からわかるようにシエロは消耗品で、確かに空島とシエロを切り離すことは可能だ。
けど、それには空島全体を取り仕切る中心島が管理するパスワードを入力しなければならないのだ。
そして、そのパスワードは空島発足の時から代々受け継がれてきたもので、厳重に管理されており、限られた人間しか知ることはない。
「こんなこと不可能だ……!!」
「そうよ! ナサニエルにパスワードを知る人間なんていないもの……」
ハロルドとクレアがこの世の終わりのような声を上げ、一瞬でコックピットには絶望という空気が蔓延する。
誰も口を開けず、いや……
何を話したらいいのかがわからず、無言の時間が数分続き、とても長い時間のように感じられた。
だから、聞こえた冷静な二人分の声はさらに俺達に追い討ちをかけた。
「状況から見て、こうなった原因はこの死体と関係していることは確かだな」
「そして、この死体自体が捨て駒ってこともほぼ正解ね?」
「あの、捨て駒……とは?」
予想通りにというか、その声はアランとゾーイのものだった。
どうして、そんな冷静なんだ……
俺の心の声はこの場の誰もが思ったことと一致するはずだ。
そして、そんな二人に果敢に言葉を投げかけたのはサトルだった。
「わからないのか? こいつは、目的を達成したから消されたんだ」
「な、何のために……?」
「口封じに決まってるじゃない?」
「いやいや、そんな……サラッと当たり前だろよみたいなテンションで言われてもね? ほら、僕もだけど、全員すっかり怯えちゃってるし?」
「事実を言っただけだ」
「そうだね、それに……」
「え、ゾーイ? まだ何かある?」
「まあ、憶測だけど? この死体の後ろにはとんでもないものが待ち構えているような気がするのよね……」
「その、とんでもないものって!?」
「まだわからないわよ。まず、あたし達には推理ごっこより、やるべきことが他にあるでしょうよ」
「え?」
「シエロが切り離されてんのよ? オートパイロットで安定しているけど、ナサニエルはいずれ確実に落ちる」
ゾーイの言葉に、全員が我に返った感覚に襲われたのではないだろうか。
すると、さっきまでの静けさとは打って変わって、コックピットは一瞬でパニックに陥った。
「おい! エリート集団! 今すぐにこの状況を何とかしろ!!!!」
「私達にどうしろというのですか!」
「普段から、最先端の教育されてるんでしょ!? 私達を見殺しにする気なの!?」
「非常時に役立たずなんて、そんなの何の意味もないじゃないの!!!!」
真っ青な顔をしたシンがモーリスの胸ぐらを掴んで詰め寄る。
さすがのモーリスもこの状況には相当焦っているようで、声を荒らげていた。
さらにデルタとソニアが、アーデルに口々にまくし立てていく。
「待てって、状況はみんな同じだろ!?」
「そ、そうだよ! 少し冷静に……!!」
サトルと俺は必死でこの場を収めようと叫びまくるが、そんなことほとんど効果がない。
アランと望は見てるだけだし、本当にどこまで自己中心的なんだよ!
「無茶を言わないでくれ!! 私達は確かに技術を教わってはいるが、操縦の実技はまだ数えられるほどしか……!!」
「その実技だって、先生が隣に付きっきりだったの!! 生徒だけなんて……」
「つまり、言い換えると、まったくの初めてじゃないってわけね? この際、できるかどうかなんてどうでもいいの。今はやるかやらないかの場面だから」
ハロルドとクレアが必死でシン達に訴えていると、そんな声が響いた。
「ぞ、ゾーイ……」
昔はシエロは空島の地中深くに埋められていたようだが、最近では交換がしやすいようにと空島の下部の先端にセットされることが主流になっている。
交換という単語からわかるようにシエロは消耗品で、確かに空島とシエロを切り離すことは可能だ。
けど、それには空島全体を取り仕切る中心島が管理するパスワードを入力しなければならないのだ。
そして、そのパスワードは空島発足の時から代々受け継がれてきたもので、厳重に管理されており、限られた人間しか知ることはない。
「こんなこと不可能だ……!!」
「そうよ! ナサニエルにパスワードを知る人間なんていないもの……」
ハロルドとクレアがこの世の終わりのような声を上げ、一瞬でコックピットには絶望という空気が蔓延する。
誰も口を開けず、いや……
何を話したらいいのかがわからず、無言の時間が数分続き、とても長い時間のように感じられた。
だから、聞こえた冷静な二人分の声はさらに俺達に追い討ちをかけた。
「状況から見て、こうなった原因はこの死体と関係していることは確かだな」
「そして、この死体自体が捨て駒ってこともほぼ正解ね?」
「あの、捨て駒……とは?」
予想通りにというか、その声はアランとゾーイのものだった。
どうして、そんな冷静なんだ……
俺の心の声はこの場の誰もが思ったことと一致するはずだ。
そして、そんな二人に果敢に言葉を投げかけたのはサトルだった。
「わからないのか? こいつは、目的を達成したから消されたんだ」
「な、何のために……?」
「口封じに決まってるじゃない?」
「いやいや、そんな……サラッと当たり前だろよみたいなテンションで言われてもね? ほら、僕もだけど、全員すっかり怯えちゃってるし?」
「事実を言っただけだ」
「そうだね、それに……」
「え、ゾーイ? まだ何かある?」
「まあ、憶測だけど? この死体の後ろにはとんでもないものが待ち構えているような気がするのよね……」
「その、とんでもないものって!?」
「まだわからないわよ。まず、あたし達には推理ごっこより、やるべきことが他にあるでしょうよ」
「え?」
「シエロが切り離されてんのよ? オートパイロットで安定しているけど、ナサニエルはいずれ確実に落ちる」
ゾーイの言葉に、全員が我に返った感覚に襲われたのではないだろうか。
すると、さっきまでの静けさとは打って変わって、コックピットは一瞬でパニックに陥った。
「おい! エリート集団! 今すぐにこの状況を何とかしろ!!!!」
「私達にどうしろというのですか!」
「普段から、最先端の教育されてるんでしょ!? 私達を見殺しにする気なの!?」
「非常時に役立たずなんて、そんなの何の意味もないじゃないの!!!!」
真っ青な顔をしたシンがモーリスの胸ぐらを掴んで詰め寄る。
さすがのモーリスもこの状況には相当焦っているようで、声を荒らげていた。
さらにデルタとソニアが、アーデルに口々にまくし立てていく。
「待てって、状況はみんな同じだろ!?」
「そ、そうだよ! 少し冷静に……!!」
サトルと俺は必死でこの場を収めようと叫びまくるが、そんなことほとんど効果がない。
アランと望は見てるだけだし、本当にどこまで自己中心的なんだよ!
「無茶を言わないでくれ!! 私達は確かに技術を教わってはいるが、操縦の実技はまだ数えられるほどしか……!!」
「その実技だって、先生が隣に付きっきりだったの!! 生徒だけなんて……」
「つまり、言い換えると、まったくの初めてじゃないってわけね? この際、できるかどうかなんてどうでもいいの。今はやるかやらないかの場面だから」
ハロルドとクレアが必死でシン達に訴えていると、そんな声が響いた。
「ぞ、ゾーイ……」
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