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第三章-⑸ クレアとハロルド
変なとこで素直さ皆無
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ゾーイは指を折って数えながらしっかりとクレアの顔を見て、次々とクレアの短所を上げていく。
そして、最終的にはそうだろと本人に問いかける始末。
その場の気温が一気に三度は下がった気がしたのは、気のせいじゃない。
なぜだか、言われた張本人のクレアより、ハロルドの方がショックを受けて百面相してる様は異様だったけど……
「あなた……私のことをバカに……!!」
「それがこの状況なら、プラスになると思ったの」
わなわなと震えて、今にも飛びかかりそうなクレアだったが……
そんなクレアの言葉は、ゾーイからの思いもよらない言葉で遮られたのだ。
思わず、その場の時は止まり、一気に俺達の視線はゾーイに釘付けだった。
「えっと……え? プラス?」
「そうよ? 空島だと、結構苦労する性格だと思うし、息抜きは忘れんなよって言いたくなるけど? サバイバルなこの状況には、クレアはピッタリよ」
これでもかと困惑しまくってるクレアとは対象的に、ゾーイは淡々と答えた。
「サバイバルは、何でも疑えが鉄則。慎重で臆病ぐらいがいいのよ。あと、常に目を配ること。そうしないと、いつの間にか、誰かが死んじゃってるなんてパターンもあるし。それに、自分が自分がばっかりでも生きられないし。そんなサバイバルの要素を、見事にクレアはクリアしている」
クレアは当たり前としても、思わず俺とハロルドもゾーイの言葉に聞き入ってしまっていた。
「あとは、ナサニエルの奨学金をゲットしちゃうほど、果てしない努力をすることだってできるし、粘り強いとこだってあるわけでしょ? そんな人間が、リーダーになれば、全員が満足できる結果を生むだろうって思ったのよ。まあ、ここまでが、クレアがリーダーに適しているって思った、第二の理由かな?」
本当に君は不思議だ……あんなに自分本位なのに、人のことをよく見てる。
見えすぎるぐらいに周りのことを把握してる。
改めて、そのゾーイの観察眼に関心をした俺だが、最後が引っかかった。
「え、今話したのは第二の理由なの?」
クレアも引っかかったのだろう、俺と同じところに指摘をすぐさま入れる。
すると、なぜかゾーイはとても不思議そうに頷く……いや、その顔って本来だと、俺達がすべき顔なんじゃないの?
「ちなみにだが、第一の理由というのは何なのだ?」
決して声にならないツッコミを心でゾーイに入れていると、今度はハロルドが質問をする。
それに、ゾーイは少し考えてから……
「あたしとクレアって、性格とか価値観とか正反対でしょ?」
「え? う、うん……」
「そして、最近平和でしょ? 全員平和ボケしてるでしょ?」
「平和ボケ……まあ、平和かな?」
どうしてか、ゾーイとの謎の質疑応答の時間が始まってしまったが……
「だから、この緩んだ空気の最中、あたしとクレアが意見で対立とかをして、内部分裂でもすれば全員の平和ボケが改善されるかなって。まあ、今回はそんな暇とかなく、あんたらで勝手に面倒事起こしてくれたみたいだけど」
そのゾーイの血も涙もないような考えを聞いた途端に、俺達は固まる。
「な、ななっ、何でそんな……?」
「え? だって、つまらないじゃん」
そして、ハロルドが震えながらゾーイに問いかけると、悪魔のような答えが返ってきた。
というか、待てよ? それって……?
「ふふっ……!! あっははははは!!」
すると、俺とある答えにたどり着こうとしていた時に、前触れもなく、その空間に笑い声が響き渡った。
「ゾーイ? ちょっと、前々からまさかとは思ってたけど……ふふっ、これではっきりしたわ」
「は?」
「けれど、いくらなんでも、今回はあまりに強引すぎないかしら……あっはははははは……!!」
「大丈夫? 何の話よ?」
これでもかと目に涙を浮かべて、お腹を抱えながら笑っているのは、クレアだった。
クレアは笑いながら、ゾーイに言葉を紡ぐが、当の本人はわけがわからないと言わんばかり。
やっぱり、そうだよね? きっと、クレアも気付いたんだ。
まあ、隣の鈍感王のハロルドが何かを察した顔をしてるぐらいだもんね?
そう、それは、ゾーイのいつもの遠回しの優しさで照れ隠しだ。
第一の理由なんて、少しは思ってるとこもあるのかもしれないけど、ゾーイは理由もなく、状況を掻き回すようなことはしないから……
第二の理由って言ったことが、クレアをリーダーに指名した本当の理由なのだと思う。
最近薄々わかってきたけど、ゾーイはまっすぐに人を褒めるとか、優しさを与えるとか、なぜかそういうことに抵抗があるようだ。
だから、嫌味を言ったり、無茶苦茶なことを言って、ゾーイは自分の優しさを誤魔化している。
本当に君って、どんな人間なんだい?
そして、最終的にはそうだろと本人に問いかける始末。
その場の気温が一気に三度は下がった気がしたのは、気のせいじゃない。
なぜだか、言われた張本人のクレアより、ハロルドの方がショックを受けて百面相してる様は異様だったけど……
「あなた……私のことをバカに……!!」
「それがこの状況なら、プラスになると思ったの」
わなわなと震えて、今にも飛びかかりそうなクレアだったが……
そんなクレアの言葉は、ゾーイからの思いもよらない言葉で遮られたのだ。
思わず、その場の時は止まり、一気に俺達の視線はゾーイに釘付けだった。
「えっと……え? プラス?」
「そうよ? 空島だと、結構苦労する性格だと思うし、息抜きは忘れんなよって言いたくなるけど? サバイバルなこの状況には、クレアはピッタリよ」
これでもかと困惑しまくってるクレアとは対象的に、ゾーイは淡々と答えた。
「サバイバルは、何でも疑えが鉄則。慎重で臆病ぐらいがいいのよ。あと、常に目を配ること。そうしないと、いつの間にか、誰かが死んじゃってるなんてパターンもあるし。それに、自分が自分がばっかりでも生きられないし。そんなサバイバルの要素を、見事にクレアはクリアしている」
クレアは当たり前としても、思わず俺とハロルドもゾーイの言葉に聞き入ってしまっていた。
「あとは、ナサニエルの奨学金をゲットしちゃうほど、果てしない努力をすることだってできるし、粘り強いとこだってあるわけでしょ? そんな人間が、リーダーになれば、全員が満足できる結果を生むだろうって思ったのよ。まあ、ここまでが、クレアがリーダーに適しているって思った、第二の理由かな?」
本当に君は不思議だ……あんなに自分本位なのに、人のことをよく見てる。
見えすぎるぐらいに周りのことを把握してる。
改めて、そのゾーイの観察眼に関心をした俺だが、最後が引っかかった。
「え、今話したのは第二の理由なの?」
クレアも引っかかったのだろう、俺と同じところに指摘をすぐさま入れる。
すると、なぜかゾーイはとても不思議そうに頷く……いや、その顔って本来だと、俺達がすべき顔なんじゃないの?
「ちなみにだが、第一の理由というのは何なのだ?」
決して声にならないツッコミを心でゾーイに入れていると、今度はハロルドが質問をする。
それに、ゾーイは少し考えてから……
「あたしとクレアって、性格とか価値観とか正反対でしょ?」
「え? う、うん……」
「そして、最近平和でしょ? 全員平和ボケしてるでしょ?」
「平和ボケ……まあ、平和かな?」
どうしてか、ゾーイとの謎の質疑応答の時間が始まってしまったが……
「だから、この緩んだ空気の最中、あたしとクレアが意見で対立とかをして、内部分裂でもすれば全員の平和ボケが改善されるかなって。まあ、今回はそんな暇とかなく、あんたらで勝手に面倒事起こしてくれたみたいだけど」
そのゾーイの血も涙もないような考えを聞いた途端に、俺達は固まる。
「な、ななっ、何でそんな……?」
「え? だって、つまらないじゃん」
そして、ハロルドが震えながらゾーイに問いかけると、悪魔のような答えが返ってきた。
というか、待てよ? それって……?
「ふふっ……!! あっははははは!!」
すると、俺とある答えにたどり着こうとしていた時に、前触れもなく、その空間に笑い声が響き渡った。
「ゾーイ? ちょっと、前々からまさかとは思ってたけど……ふふっ、これではっきりしたわ」
「は?」
「けれど、いくらなんでも、今回はあまりに強引すぎないかしら……あっはははははは……!!」
「大丈夫? 何の話よ?」
これでもかと目に涙を浮かべて、お腹を抱えながら笑っているのは、クレアだった。
クレアは笑いながら、ゾーイに言葉を紡ぐが、当の本人はわけがわからないと言わんばかり。
やっぱり、そうだよね? きっと、クレアも気付いたんだ。
まあ、隣の鈍感王のハロルドが何かを察した顔をしてるぐらいだもんね?
そう、それは、ゾーイのいつもの遠回しの優しさで照れ隠しだ。
第一の理由なんて、少しは思ってるとこもあるのかもしれないけど、ゾーイは理由もなく、状況を掻き回すようなことはしないから……
第二の理由って言ったことが、クレアをリーダーに指名した本当の理由なのだと思う。
最近薄々わかってきたけど、ゾーイはまっすぐに人を褒めるとか、優しさを与えるとか、なぜかそういうことに抵抗があるようだ。
だから、嫌味を言ったり、無茶苦茶なことを言って、ゾーイは自分の優しさを誤魔化している。
本当に君って、どんな人間なんだい?
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