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第四章-⑴ 良い子は謎解きの時間だよ
ホワイトアンドブラック
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「昴、これ何の生き物かってわかる?」
「え? あ、あー、おそらくだけど、大蛇じゃないかな?」
「ダイジャ?」
「別名オロチとも言うんだけど、簡単に言うと、大きな蛇だな」
「ヘビ?」
真由の質問に答える中で、そういえば地上に落ちてから、蛇に遭遇したことはまだなかったんだなと、みんなの視線が俺に集まるのを見て思い出す。
「地上時代に南極大陸を除く、全大陸に生息していた生き物だよ。細長い体と、四肢が退化しているのが特徴なんだ。あとは、種類にもよるけど、毒を持ってたり、確か体長も、最大で十メートルとかあるのもいたって話だっけな?」
「じゅ、じゅう……十メートルとな!?」
「そんな滅多にいないらしいけど、遭遇したら逃げた方がいいな。蛇はすべてを丸呑みするらしいから……あー、本当にごめん、脅しすぎた」
俺の説明に対し、すぐに悲鳴のような叫び声を出して反応したのはハロルドだった。
何より、俺は説明をするのと蛇のことを思い出すのに夢中で、みんながどんな表情で俺の説明を聞いているのかを気にしていなかった。
そして、相槌が誰からもないのを不思議に思って周りを見渡すと、ほとんど全員が真っ青な顔になり、俺から距離をとってドン引きしていたのだった。
何か、俺が悪いわけじゃないのに、申し訳ない気持ちになるな、これ……
「あ、思い出した! これ、日本神話に出てくるヤマタノオロチとかの生き物でしょ?」
「そうそう! さすが、史学科!」
「え? あー、うん。どうも?」
すると、その空気を吹き飛ばすような明るいゾーイの声が上がり、俺は必要以上に反応してしまう。
思ったより、俺が上の反応をしたのだろう……ゾーイは、あからさまに不思議そうな顔をしていた。
しょうがないだろ? この絶望的な空気を変えたいんだからさ!
「けど、あれって、確か……頭と尾がそれぞれ八つもあって、その体は八つの谷と山に跨るとか言われてる、怪物の話だったわよね?」
「あ、うん。そうだと思うけど……よく覚えてるね?」
「逆に忘れられる? フィクションだとしても、こんな衝撃的な怪物の物語を」
「それは一理あるかもな……」
すると、ゾーイは思い出すようにヤマタノオロチの特徴を語る。
よくそこまで覚えているなと俺は感心したのだが、確かにゾーイの言う通り、結構な衝撃的な話だし、俺ですら、大昔にやった授業で聞いたこの話を覚えてるぐらいだから、ほとんどの人間は頭から離れないだろうな……
ほら、現に今も、他のみんなは震えまくってるか、ドン引いてるかだし……
「けど、本来は由緒ある山神や水神ってことなんだよな、確か」
「そうね。古代エジプトでは王権のシンボルが蛇だったし、古くから神聖な動物とされてきたわけなのよ。まあ、というわけで、ありがとう! これは立派な証拠よ!」
「え、待って!? 何で、そうなるの?」
「だって、普通に考えて、そんな風に隠し持つほど、この紙切れが大事ってことを踏まえるとよ? この白黒の大蛇が、ナサニエル墜落事件を仕組んだ組織のシンボルの可能性大じゃないのよ!」
蛇は神聖な動物だと、そんな話を数秒前までしていたと思ったら、あっという間にゾーイの言葉で、事態は急展開。
思わず、その前の流れからツッコミを入れた俺だったけど、全員がゾーイの言葉に耳を疑っていただろう。
しかし、毎度のことながら、本当にゾーイの推理力と考察力には、驚かされるばかりだった。
そうか……蛇が神聖な動物ってことが共通認識で、ナサニエル墜落なんて大それたことをやるぐらいだから、その組織にシンボルがあったって、まったく不思議じゃないんだ……
「あ、ああ……!! そういうことか!」
「そうそう、お手柄よ! ご褒美にキスしてあげるから、おいで」
「よし、サンキュー! それじゃあ、遠慮なく……今、何て言った?」
デルタも、事の重大さに気付いて興奮したように声を上げる。
しかし、これまたそれに続くゾーイの言葉によって、あっという間にその場は氷点下へと空気を変えるのだった。
デルタは壊れた人形の、ギギギ……と音がしそうなほど、ゆっくりとゾーイに振り返り、そう質問した。
一難去ってまた一難って、こういう時に使うのかな……?
「え? あ、あー、おそらくだけど、大蛇じゃないかな?」
「ダイジャ?」
「別名オロチとも言うんだけど、簡単に言うと、大きな蛇だな」
「ヘビ?」
真由の質問に答える中で、そういえば地上に落ちてから、蛇に遭遇したことはまだなかったんだなと、みんなの視線が俺に集まるのを見て思い出す。
「地上時代に南極大陸を除く、全大陸に生息していた生き物だよ。細長い体と、四肢が退化しているのが特徴なんだ。あとは、種類にもよるけど、毒を持ってたり、確か体長も、最大で十メートルとかあるのもいたって話だっけな?」
「じゅ、じゅう……十メートルとな!?」
「そんな滅多にいないらしいけど、遭遇したら逃げた方がいいな。蛇はすべてを丸呑みするらしいから……あー、本当にごめん、脅しすぎた」
俺の説明に対し、すぐに悲鳴のような叫び声を出して反応したのはハロルドだった。
何より、俺は説明をするのと蛇のことを思い出すのに夢中で、みんながどんな表情で俺の説明を聞いているのかを気にしていなかった。
そして、相槌が誰からもないのを不思議に思って周りを見渡すと、ほとんど全員が真っ青な顔になり、俺から距離をとってドン引きしていたのだった。
何か、俺が悪いわけじゃないのに、申し訳ない気持ちになるな、これ……
「あ、思い出した! これ、日本神話に出てくるヤマタノオロチとかの生き物でしょ?」
「そうそう! さすが、史学科!」
「え? あー、うん。どうも?」
すると、その空気を吹き飛ばすような明るいゾーイの声が上がり、俺は必要以上に反応してしまう。
思ったより、俺が上の反応をしたのだろう……ゾーイは、あからさまに不思議そうな顔をしていた。
しょうがないだろ? この絶望的な空気を変えたいんだからさ!
「けど、あれって、確か……頭と尾がそれぞれ八つもあって、その体は八つの谷と山に跨るとか言われてる、怪物の話だったわよね?」
「あ、うん。そうだと思うけど……よく覚えてるね?」
「逆に忘れられる? フィクションだとしても、こんな衝撃的な怪物の物語を」
「それは一理あるかもな……」
すると、ゾーイは思い出すようにヤマタノオロチの特徴を語る。
よくそこまで覚えているなと俺は感心したのだが、確かにゾーイの言う通り、結構な衝撃的な話だし、俺ですら、大昔にやった授業で聞いたこの話を覚えてるぐらいだから、ほとんどの人間は頭から離れないだろうな……
ほら、現に今も、他のみんなは震えまくってるか、ドン引いてるかだし……
「けど、本来は由緒ある山神や水神ってことなんだよな、確か」
「そうね。古代エジプトでは王権のシンボルが蛇だったし、古くから神聖な動物とされてきたわけなのよ。まあ、というわけで、ありがとう! これは立派な証拠よ!」
「え、待って!? 何で、そうなるの?」
「だって、普通に考えて、そんな風に隠し持つほど、この紙切れが大事ってことを踏まえるとよ? この白黒の大蛇が、ナサニエル墜落事件を仕組んだ組織のシンボルの可能性大じゃないのよ!」
蛇は神聖な動物だと、そんな話を数秒前までしていたと思ったら、あっという間にゾーイの言葉で、事態は急展開。
思わず、その前の流れからツッコミを入れた俺だったけど、全員がゾーイの言葉に耳を疑っていただろう。
しかし、毎度のことながら、本当にゾーイの推理力と考察力には、驚かされるばかりだった。
そうか……蛇が神聖な動物ってことが共通認識で、ナサニエル墜落なんて大それたことをやるぐらいだから、その組織にシンボルがあったって、まったく不思議じゃないんだ……
「あ、ああ……!! そういうことか!」
「そうそう、お手柄よ! ご褒美にキスしてあげるから、おいで」
「よし、サンキュー! それじゃあ、遠慮なく……今、何て言った?」
デルタも、事の重大さに気付いて興奮したように声を上げる。
しかし、これまたそれに続くゾーイの言葉によって、あっという間にその場は氷点下へと空気を変えるのだった。
デルタは壊れた人形の、ギギギ……と音がしそうなほど、ゆっくりとゾーイに振り返り、そう質問した。
一難去ってまた一難って、こういう時に使うのかな……?
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