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14話 出会いイベント1
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「とうとうこの日が来てしまいましたわね、マリー」
「そうですわね、でもまさかこんな形で確かめることになるなんて思っていませんでしたわ」
今日は年に一度の王誕祭の日だ、名前の通り陛下の誕生日を祝うお祭りの日なんだけど、この日は『黄昏のメモリア~私と秘密の王子様~』でヒロインのクリスティーナ・キャンベル伯爵令嬢と初期攻略対象のサイモン・ハーグリーヴ伯爵令息、マーク・シモンズ侯爵令息、ネイサン・ウォード公爵令息、そしてアルベール・クレメント・トワイライト第2王子との出会いイベントが発生する日でもある。
そこでカイン殿下発案の下、私、ウィル様、アリス、カイン殿下の4人は、現在ヒロインが現れるであろう広場にて待機をしている、ちなみに私達の目立つ容姿は、ウィル様とカイン殿下の認識阻害魔法のおかげで、訓練を受けてるような人でなければ、モブレベルにしか感じないそうだ。
「そういえばカイン様、どうしてこの広場なんです?」
そうウィル様がカイン殿下に質問した、確かにゲームでイベントが発生したのはこんな感じの広場だったが、似たような広場は他にもある、するとカイン殿下は「あぁ、それはね」と説明してくれた。
カイン殿下によれば、まず今いる区画は貴族向けの商店が並ぶ区画で、歩行者や遊んでいる子供も、下位貴族やそこに仕える使用人、富裕層の商人の家族だったりするので、伯爵令嬢が迷子になって1人でウロウロしていてもそれほど危険がないらしい、確かに出会う前に拉致られるような場所では元も子もない、それと、イベントの最後の方に夕日を見るシーンがあるのだけれど、子供の足で夕日が見える絶景スポットまで行ける距離の広場となるとここしかなかったらしい。
「これでキャンベル伯爵令嬢が現れなければ良し、現れちゃったら…まぁちょっと良くない状況かな」
何か思うところがありそうなカイン殿下に「何かあるのですか?」と聞くと代わりにアリスが答えてくれた。
「キャシーに聞いたのだけれど、今日この近くでアルベール殿下とデートするらしいのよ」
「え!?じゃあアルベール殿下近くにいるんですか?」
「そう、つまり本当に君たちの言う通りに、偶然出会う可能性が出てきちゃうって事」
「アルのやつ、最近頑張ってると思ったら今日の為だったのか」
「まぁアルは私達の事情を知らないからね、それに起こるか分からないものの為にデートを潰しちゃうのもかわいそうだし」
ウィル様が「それはそうですが…」と言ったその時、アリスがカイン殿下の袖を引っ張り「カ、カイン!!来た!ヒロインが来たわ!!」と、ある方向を示した。
全員でその方向を見ると、そこには白い帽子を被ったアッシュブロンドの長い髪にスカイブルーの瞳の可愛らしい美少女、まだ幼いが黄昏のメモリア初期ヒロイン、クリスティーナ・キャンベル伯爵令嬢が男の子2人と一緒に3人で歩いていた。
「へぇ、あの子がそうなんだ、というか本当に来ちゃったね」そうカイン殿下が言った後、ウィル様が「マリーとアリス様は他の2人も誰か分かったりするの?」と聞いてきたので「分かりますわ、彼女の隣にいるのがハーグリーヴ伯爵令息のサイモン様、少し後ろの眼鏡をしている方がお兄様のバージル・キャンベル様ですわ」と答えた。
「彼がバージルかぁ、実際に見るのは初めてだけどよく似てるね」
「誰に似てるんですか?」
「それはもちろん陛下にだよウィル、彼が例の陛下の隠し子だ」
カイン殿下はいつもの王子スマイルだが、ウィル様はあからさまに聞きたくなかったって表情をしている。
「さて、バージルの件より今はヒロインと目される彼女の方が大事だね、アリスはこの現状を見てどう思う?」
「バージル様が居るのは予想外でしたが、サイモン様と居るのはイベント通りだと思いますわ、ねぇマリー」
「えぇそうね、イベントだと今まで領地から出たことがなかった彼女が、初めて来た王都にはしゃいで、幼馴染のサイモン様と王都を見て回るんです、そしてこの広場で休憩しようとして…」
そこまで言って、ある事を思い出した私とアリスが同時に自分たちの帽子を押さえたので、不思議に思ったカイン殿下が「何してるの?」と聞いた瞬間風が吹いた。
「あっ!」と叫んだヒロインの声が、こちらまで聞こえたのでそちらを見ると彼女の白い帽子は風に乗って飛ばされていた。
「あ~、うん、分かったなるほどね、これはいよいよもって運命というか強制力というか、シナリオの方もある程度信じた方が良さそうだね」
「そうみたいですね、カイン様この後どうします?」
「そうだなぁ、王子権限でさっさと家に帰ってもらう事も出来るけど、変に目立つのもアレだしね、この後どうなるのかも気になるし、もう少し様子見してみようか」
そうしてもうしばらくヒロイン達の動向を見守ることに決めたカイン殿下は「シナリオ通りなら日が傾くまではここで後2人と会うだろうから、お茶でもしながら見守ろうか」と言ってテラス席のあるお店に連れて行ってくれた。
「そうですわね、でもまさかこんな形で確かめることになるなんて思っていませんでしたわ」
今日は年に一度の王誕祭の日だ、名前の通り陛下の誕生日を祝うお祭りの日なんだけど、この日は『黄昏のメモリア~私と秘密の王子様~』でヒロインのクリスティーナ・キャンベル伯爵令嬢と初期攻略対象のサイモン・ハーグリーヴ伯爵令息、マーク・シモンズ侯爵令息、ネイサン・ウォード公爵令息、そしてアルベール・クレメント・トワイライト第2王子との出会いイベントが発生する日でもある。
そこでカイン殿下発案の下、私、ウィル様、アリス、カイン殿下の4人は、現在ヒロインが現れるであろう広場にて待機をしている、ちなみに私達の目立つ容姿は、ウィル様とカイン殿下の認識阻害魔法のおかげで、訓練を受けてるような人でなければ、モブレベルにしか感じないそうだ。
「そういえばカイン様、どうしてこの広場なんです?」
そうウィル様がカイン殿下に質問した、確かにゲームでイベントが発生したのはこんな感じの広場だったが、似たような広場は他にもある、するとカイン殿下は「あぁ、それはね」と説明してくれた。
カイン殿下によれば、まず今いる区画は貴族向けの商店が並ぶ区画で、歩行者や遊んでいる子供も、下位貴族やそこに仕える使用人、富裕層の商人の家族だったりするので、伯爵令嬢が迷子になって1人でウロウロしていてもそれほど危険がないらしい、確かに出会う前に拉致られるような場所では元も子もない、それと、イベントの最後の方に夕日を見るシーンがあるのだけれど、子供の足で夕日が見える絶景スポットまで行ける距離の広場となるとここしかなかったらしい。
「これでキャンベル伯爵令嬢が現れなければ良し、現れちゃったら…まぁちょっと良くない状況かな」
何か思うところがありそうなカイン殿下に「何かあるのですか?」と聞くと代わりにアリスが答えてくれた。
「キャシーに聞いたのだけれど、今日この近くでアルベール殿下とデートするらしいのよ」
「え!?じゃあアルベール殿下近くにいるんですか?」
「そう、つまり本当に君たちの言う通りに、偶然出会う可能性が出てきちゃうって事」
「アルのやつ、最近頑張ってると思ったら今日の為だったのか」
「まぁアルは私達の事情を知らないからね、それに起こるか分からないものの為にデートを潰しちゃうのもかわいそうだし」
ウィル様が「それはそうですが…」と言ったその時、アリスがカイン殿下の袖を引っ張り「カ、カイン!!来た!ヒロインが来たわ!!」と、ある方向を示した。
全員でその方向を見ると、そこには白い帽子を被ったアッシュブロンドの長い髪にスカイブルーの瞳の可愛らしい美少女、まだ幼いが黄昏のメモリア初期ヒロイン、クリスティーナ・キャンベル伯爵令嬢が男の子2人と一緒に3人で歩いていた。
「へぇ、あの子がそうなんだ、というか本当に来ちゃったね」そうカイン殿下が言った後、ウィル様が「マリーとアリス様は他の2人も誰か分かったりするの?」と聞いてきたので「分かりますわ、彼女の隣にいるのがハーグリーヴ伯爵令息のサイモン様、少し後ろの眼鏡をしている方がお兄様のバージル・キャンベル様ですわ」と答えた。
「彼がバージルかぁ、実際に見るのは初めてだけどよく似てるね」
「誰に似てるんですか?」
「それはもちろん陛下にだよウィル、彼が例の陛下の隠し子だ」
カイン殿下はいつもの王子スマイルだが、ウィル様はあからさまに聞きたくなかったって表情をしている。
「さて、バージルの件より今はヒロインと目される彼女の方が大事だね、アリスはこの現状を見てどう思う?」
「バージル様が居るのは予想外でしたが、サイモン様と居るのはイベント通りだと思いますわ、ねぇマリー」
「えぇそうね、イベントだと今まで領地から出たことがなかった彼女が、初めて来た王都にはしゃいで、幼馴染のサイモン様と王都を見て回るんです、そしてこの広場で休憩しようとして…」
そこまで言って、ある事を思い出した私とアリスが同時に自分たちの帽子を押さえたので、不思議に思ったカイン殿下が「何してるの?」と聞いた瞬間風が吹いた。
「あっ!」と叫んだヒロインの声が、こちらまで聞こえたのでそちらを見ると彼女の白い帽子は風に乗って飛ばされていた。
「あ~、うん、分かったなるほどね、これはいよいよもって運命というか強制力というか、シナリオの方もある程度信じた方が良さそうだね」
「そうみたいですね、カイン様この後どうします?」
「そうだなぁ、王子権限でさっさと家に帰ってもらう事も出来るけど、変に目立つのもアレだしね、この後どうなるのかも気になるし、もう少し様子見してみようか」
そうしてもうしばらくヒロイン達の動向を見守ることに決めたカイン殿下は「シナリオ通りなら日が傾くまではここで後2人と会うだろうから、お茶でもしながら見守ろうか」と言ってテラス席のあるお店に連れて行ってくれた。
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