21 / 106
20話 女子寮2
しおりを挟む
食堂に着くと思いのほか人がいなかった、いつもこうなのかとアリスに尋ねると「いつもはもっといるのよ、ただ春休みの最終日である今日ギリギリに寮に戻ってこられる方もいるから」と教えてくれた。
食堂はセルフ形式で、寮専属の料理人に注文して作ってもらい、各々自分でテーブルに運ぶ事になる、学園の食堂も同じだが、学園の方は頼めばお弁当にもしてくれるらしい。
私は何の疑問もなく注文してテーブルに着いたのだが、何故かキャシーが驚いていたので首を傾げていると「公爵令嬢の貴女がセルフ形式に普通に馴染んでるから驚いてるのよ」とアリスが笑っていた。
確かに、今まで食事はサーブしてもらって当たり前な生活をしていたご令嬢が、初見でセルフに馴染んでいたら驚くだろう、アリス曰く「毎年一定数はセルフ形式に戸惑うご令嬢がいるのよ」だそうだ。
「マリーは大丈夫だと分かっているけど、酷いと自分で運ばずに下位貴族のご令嬢や侍女に運ばせる方もいらっしゃるわ」
「あらまぁ、自身の事は自らするのも勉強だと思うのですけれどね」
するとキャシーが「私たまにマリーの方が年上なんじゃないかと思う事があるわ」と、ある意味核心をついてる事を言い出した。
「そうかしら」
「そうよ、私よりもしっかりしてるし、お姉様とも話が合うみたいだし、私もマリーやお姉様のようになりたいのに」
そう言ってキャシーはむくれてしまったのだが「キャシーにはキャシーにしかない良さがあるわ、アルベール殿下もそういう所が好ましいと言ってくれてるのではなくて?」とアリスがフォローを入れた。
するとキャシーはほほを染めて「確かにアル様には「お前はそのままでいいんだ」とよく言われますけど…」と恋バナをし始めたので私とアリスも乗っかってしばらく盛り上がった。
そして、恋バナも食事もひと段落したところでアリスが「そういえばマリーは選択科目で悩んでるんだったわね」と私の相談に乗ってくれた。
「アリスやキャシーは何を選択しているの?」
「私達は王子妃教育との兼ね合いもあるから言語と世界史と外国文化とかかしら、外交を前提としたものがメインよ」
「内政や社交、国内の歴史に関してはお城で勉強するんですよね、お姉様」
「そうよ、キャシー」
「なるほど、2人共王子殿下の婚約者ですものね、そもそも前提が違いましたわ」
「この学園なら社交以外は何を選択しても大丈夫だと思うわよ」
「え、社交は何かありますの?」
「社交はねぇ、何というか時間を持て余した方々が、見栄やプライドをぶつけ合ってる感じの所よ」
「…そう、それは無いわね」
「えぇ、無いわ」
私とアリスが小さくため息を吐いていると、キャシーが「マリーは何か知りたい事は無いの?」と聞いてきた。
「知りたい事ねぇ、気になるのは精霊学と歴史学かしら」
「あ、それならヴィンス先生よ、凄く目立つ格好してるから明日の入学式でもすぐわかると思う」
「そ、そうなの、ありがとうキャシー」
苦笑い気味に答えているとアリスがそっと耳打ちしてきた。
「ちょっとマリー、ヴィンス先生って私が以前話したアレよ!?」
「分かってる!分かってるんだけど、シナリオ的にも精霊については知りたいし、あと神話についても個人的に調べてみたくて」
「ん~、まぁそういう事ならいいわ、あえて近寄ってみるっていうのも有りかもしれないし、でも気をつけてね」
「大丈夫よ、ありがとうアリス」
その後入学式や学園内の施設等について聞いていたのだが、ふと気になったので「そういえばクラス分けってどうやって決めているの?」と聞いてみた、テストなどは選択した学科毎に違うので学力順位のようなものはこの学園には無い。
「あぁ簡単よ、爵位順になってるわ、ホームルームの為だけのクラスだからね、クラス替えも担任替えも基本なし7年一緒よ」
「爵位順、そうなのね⋯」
少し考え込んでいると「マリー、何か気になる事でもあるの?」とキャシーに聞かれてしまったので、とりあえず「なんでもないのよ」と誤魔化しておいたけれど、クラスが爵位順なら、私は伯爵家である初期ヒロインのクリスティーナ様と、幼なじみ兼わんこ枠攻略対象のサイモン様と同じクラスになるような嫌な予感がしていた。
食堂はセルフ形式で、寮専属の料理人に注文して作ってもらい、各々自分でテーブルに運ぶ事になる、学園の食堂も同じだが、学園の方は頼めばお弁当にもしてくれるらしい。
私は何の疑問もなく注文してテーブルに着いたのだが、何故かキャシーが驚いていたので首を傾げていると「公爵令嬢の貴女がセルフ形式に普通に馴染んでるから驚いてるのよ」とアリスが笑っていた。
確かに、今まで食事はサーブしてもらって当たり前な生活をしていたご令嬢が、初見でセルフに馴染んでいたら驚くだろう、アリス曰く「毎年一定数はセルフ形式に戸惑うご令嬢がいるのよ」だそうだ。
「マリーは大丈夫だと分かっているけど、酷いと自分で運ばずに下位貴族のご令嬢や侍女に運ばせる方もいらっしゃるわ」
「あらまぁ、自身の事は自らするのも勉強だと思うのですけれどね」
するとキャシーが「私たまにマリーの方が年上なんじゃないかと思う事があるわ」と、ある意味核心をついてる事を言い出した。
「そうかしら」
「そうよ、私よりもしっかりしてるし、お姉様とも話が合うみたいだし、私もマリーやお姉様のようになりたいのに」
そう言ってキャシーはむくれてしまったのだが「キャシーにはキャシーにしかない良さがあるわ、アルベール殿下もそういう所が好ましいと言ってくれてるのではなくて?」とアリスがフォローを入れた。
するとキャシーはほほを染めて「確かにアル様には「お前はそのままでいいんだ」とよく言われますけど…」と恋バナをし始めたので私とアリスも乗っかってしばらく盛り上がった。
そして、恋バナも食事もひと段落したところでアリスが「そういえばマリーは選択科目で悩んでるんだったわね」と私の相談に乗ってくれた。
「アリスやキャシーは何を選択しているの?」
「私達は王子妃教育との兼ね合いもあるから言語と世界史と外国文化とかかしら、外交を前提としたものがメインよ」
「内政や社交、国内の歴史に関してはお城で勉強するんですよね、お姉様」
「そうよ、キャシー」
「なるほど、2人共王子殿下の婚約者ですものね、そもそも前提が違いましたわ」
「この学園なら社交以外は何を選択しても大丈夫だと思うわよ」
「え、社交は何かありますの?」
「社交はねぇ、何というか時間を持て余した方々が、見栄やプライドをぶつけ合ってる感じの所よ」
「…そう、それは無いわね」
「えぇ、無いわ」
私とアリスが小さくため息を吐いていると、キャシーが「マリーは何か知りたい事は無いの?」と聞いてきた。
「知りたい事ねぇ、気になるのは精霊学と歴史学かしら」
「あ、それならヴィンス先生よ、凄く目立つ格好してるから明日の入学式でもすぐわかると思う」
「そ、そうなの、ありがとうキャシー」
苦笑い気味に答えているとアリスがそっと耳打ちしてきた。
「ちょっとマリー、ヴィンス先生って私が以前話したアレよ!?」
「分かってる!分かってるんだけど、シナリオ的にも精霊については知りたいし、あと神話についても個人的に調べてみたくて」
「ん~、まぁそういう事ならいいわ、あえて近寄ってみるっていうのも有りかもしれないし、でも気をつけてね」
「大丈夫よ、ありがとうアリス」
その後入学式や学園内の施設等について聞いていたのだが、ふと気になったので「そういえばクラス分けってどうやって決めているの?」と聞いてみた、テストなどは選択した学科毎に違うので学力順位のようなものはこの学園には無い。
「あぁ簡単よ、爵位順になってるわ、ホームルームの為だけのクラスだからね、クラス替えも担任替えも基本なし7年一緒よ」
「爵位順、そうなのね⋯」
少し考え込んでいると「マリー、何か気になる事でもあるの?」とキャシーに聞かれてしまったので、とりあえず「なんでもないのよ」と誤魔化しておいたけれど、クラスが爵位順なら、私は伯爵家である初期ヒロインのクリスティーナ様と、幼なじみ兼わんこ枠攻略対象のサイモン様と同じクラスになるような嫌な予感がしていた。
0
あなたにおすすめの小説
転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜
具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、
前世の記憶を取り戻す。
前世は日本の女子学生。
家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、
息苦しい毎日を過ごしていた。
ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。
転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。
女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。
だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、
横暴さを誇るのが「普通」だった。
けれどベアトリーチェは違う。
前世で身につけた「空気を読む力」と、
本を愛する静かな心を持っていた。
そんな彼女には二人の婚約者がいる。
――父違いの、血を分けた兄たち。
彼らは溺愛どころではなく、
「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。
ベアトリーチェは戸惑いながらも、
この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。
※表紙はAI画像です
嫁ぎ先は悪役令嬢推しの転生者一家でした〜攻略対象者のはずの夫がヒロインそっちのけで溺愛してくるのですが、私が悪役令嬢って本当ですか?〜
As-me.com
恋愛
事業の失敗により借金で没落寸前のルーゼルク侯爵家。その侯爵家の一人娘であるエトランゼは侯爵家を救うお金の為に格下のセノーデン伯爵家に嫁入りすることになってしまった。
金で買われた花嫁。政略結婚は貴族の常とはいえ、侯爵令嬢が伯爵家に買われた事実はすぐに社交界にも知れ渡ってしまう。
「きっと、辛い生活が待っているわ」
これまでルーゼルク侯爵家は周りの下位貴族にかなりの尊大な態度をとってきた。もちろん、自分たちより下であるセノーデン伯爵にもだ。そんな伯爵家がわざわざ借金の肩代わりを申し出てまでエトランゼの嫁入りを望むなんて、裏があるに決まっている。エトランゼは、覚悟を決めて伯爵家にやってきたのだが────。
義母「まぁぁあ!やっぱり本物は違うわぁ!」
義妹「素敵、素敵、素敵!!最推しが生きて動いてるなんてぇっ!美しすぎて眼福ものですわぁ!」
義父「アクスタを集めるためにコンビニをはしごしたのが昨日のことのようだ……!(感涙)」
なぜか私を大歓喜で迎え入れてくれる伯爵家の面々。混乱する私に優しく微笑んだのは夫となる人物だった。
「うちの家族は、みんな君の大ファンなんです。悪役令嬢エトランゼのね────」
実はこの世界が乙女ゲームの世界で、私が悪役令嬢ですって?!
────えーと、まず、悪役令嬢ってなんなんですか……?
「ご褒美ください」とわんこ系義弟が離れない
橋本彩里(Ayari)
恋愛
六歳の時に伯爵家の養子として引き取られたイーサンは、年頃になっても一つ上の義理の姉のミラが大好きだとじゃれてくる。
そんななか、投資に失敗した父の借金の代わりにとミラに見合いの話が浮上し、義姉が大好きなわんこ系義弟が「ご褒美ください」と迫ってきて……。
1~2万文字の短編予定→中編に変更します。
いつもながらの溺愛執着ものです。
主人公の義兄がヤンデレになるとか聞いてないんですけど!?
玉響なつめ
恋愛
暗殺者として生きるセレンはふとしたタイミングで前世を思い出す。
ここは自身が読んでいた小説と酷似した世界――そして自分はその小説の中で死亡する、ちょい役であることを思い出す。
これはいかんと一念発起、いっそのこと主人公側について保護してもらおう!と思い立つ。
そして物語がいい感じで進んだところで退職金をもらって夢の田舎暮らしを実現させるのだ!
そう意気込んでみたはいいものの、何故だかヒロインの義兄が上司になって以降、やたらとセレンを気にして――?
おかしいな、貴方はヒロインに一途なキャラでしょ!?
※小説家になろう・カクヨムにも掲載
モブなのに、転生した乙女ゲームの攻略対象に追いかけられてしまったので全力で拒否します
みゅー
恋愛
乙女ゲームに、転生してしまった瑛子は自分の前世を思い出し、前世で培った処世術をフル活用しながら過ごしているうちに何故か、全く興味のない攻略対象に好かれてしまい、全力で逃げようとするが……
余談ですが、小説家になろうの方で題名が既に国語力無さすぎて読むきにもなれない、教師相手だと淫行と言う意見あり。
皆さんも、作者の国語力のなさや教師と生徒カップル無理な人はプラウザバック宜しくです。
作者に国語力ないのは周知の事実ですので、指摘なくても大丈夫です✨
あと『追われてしまった』と言う言葉がおかしいとの指摘も既にいただいております。
やらかしちゃったと言うニュアンスで使用していますので、ご了承下さいませ。
この説明書いていて、海外の商品は訴えられるから、説明書が長くなるって話を思いだしました。
ヒロインだと言われましたが、人違いです!
みおな
恋愛
目が覚めたら、そこは乙女ゲームの世界でした。
って、ベタすぎなので勘弁してください。
しかも悪役令嬢にざまあされる運命のヒロインとかって、冗談じゃありません。
私はヒロインでも悪役令嬢でもありません。ですから、関わらないで下さい。
溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。
婚約破棄したら食べられました(物理)
かぜかおる
恋愛
人族のリサは竜種のアレンに出会った時からいい匂いがするから食べたいと言われ続けている。
婚約者もいるから無理と言い続けるも、アレンもしつこく食べたいと言ってくる。
そんな日々が日常と化していたある日
リサは婚約者から婚約破棄を突きつけられる
グロは無し
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる