真!異世界転生×ユニークスキル 【地球ショッピング】で無双する!?

月神世一

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EP 5

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天国から地獄へ~逮捕、そして全財産没収~
 『銀の猫亭』での騒動から一夜が明けた。
 優太たちは、ルナが錬成した「金塊」の余りを使って、同じ宿の部屋を取っていた。
 朝日が差し込む部屋で、優太は震える手で空中に浮かぶ半透明のボードを操作していた。
「すげぇ……。本当に『地球(こっち)』の商品が買えるのか……」
 女神ルチアナから授かったユニークスキル【地球ショッピング】。
 画面には懐かしいAmazonや楽天のようなインターフェースが表示されている。
 右上の表示にはこうあった。
 『所持善行ポイント:1500pt』
(キャルルを助けたのと、昨日のルチアナの支払いを肩代わりした分か……?)
 優太は試しに、一番安かった『国産ミネラルウォーター(2L)』をポチった。価格は10pt。
 すると、空間がジッパーのように裂け、ドスン! とペットボトルの箱が目の前に落下してきた。
「魔法だ! 優太は召喚魔法も使えるのか!」
「すごい……! こんなに透明な水、見たことありません!」
 起きてきたイグニスとキャルルが歓声を上げる。
 優太は鼻高々だった。これさえあれば、異世界生活もイージーモードだ。食料も、薬も、現代兵器だって手に入るかもしれない。
「ふふん、これからの旅は快適になるぞ。なんたって俺には――」
 その時だった。
 ドォォォォン!!
 部屋のドアが、何者かに蹴破られた。
「御用だ御用だァ!! 神妙にしやがれ詐欺師どもッ!!」
 雪崩れ込んできたのは、武装した衛兵たちと、顔を真っ赤にして激怒している宿の女将(ドワーフ)だった。
「は……? え、何?」
 優太が固まる。
 女将が優太の胸倉を掴み上げ、目の前に何かを突きつけた。
 それは、ただの「河原の石ころ」だった。
「ふざけやがって! 昨日あんたが渡した金塊が、今朝になったら石に戻ってやがったんだよ!!」
「はぁぁぁ!?」
 優太は叫び、部屋の隅で優雅に朝の紅茶(自前)を飲んでいるルナを振り返った。
「ル、ルナさん!? これどういうこと!?」
「あら、騒がしいですわね」
 ルナはコトンとカップを置き、きょとんとした顔で言った。
「言いませんでしたっけ? 私の錬金術による物質変換は、効果が三日間しか持続しませんの。……あら、昨日は魔力をケチったので半日で戻ってしまったようですわね。てへっ♡」
「てへっ、じゃねぇよ!!」
 優太の絶叫が響く。
 つまり、昨日支払った莫大な飲食代も、この宿代も、すべて「石ころ」で支払ったことになる。
 完全なる詐欺。しかも悪質な偽金作りだ。
「しょっぴけェ! 全員、牢屋にぶち込んでやる!」
「待って! 待ってください! 悪気はなかったんです!」
 優太は必死に抵抗するが、衛兵たちの腕力には敵わない。
 イグニスが「やるかぁ!?」と斧に手をかけようとしたが、優太が「やめろ! 公務執行妨害で罪が重くなる!」と全力で止めた。
 絶体絶命。
 このままでは異世界ライフのスタートが「囚人」になってしまう。
 優太は覚悟を決めた。
「女将さん! これで! これで勘弁してください!」
 優太は左腕から腕時計を外し、女将の目の前に差し出した。
 日本を出る時に買った、G-SHOCKの高級モデルだ。
「あぁん? なんだこの腕輪は」
「これは『時計』です! 太陽の光で動き続け、水に浸けても壊れず、ハンマーで叩いても傷つかない、地球の超技術の結晶です!」
「な……に……?」
 ドワーフである女将の目の色が変わった。
 彼女は時計をひったくり、その精巧な造形、秒針の正確な動き、そして文字盤のガラスの透明度を食い入るように見つめた。
「ミスリルでもねぇ……なんだこの素材は。それに、魔石もなしに動いてやがる……」
「この世界のどこを探しても、これ以上の時計はありません! これを代金の代わりに! お願いしまぁぁぁぁぁすッ!!」
 優太は、その場で土下座をした。
 額を床に擦り付ける、ジャパニーズ・ドゲザ・スタイル。
 それを見たキャルルも、慌てて隣で平伏する。ルナとイグニスはよく分かっていないようだったが、優太の気迫に押されて正座した。
 長い沈黙の後。
 女将はため息交じりに言った。
「……いいだろう。このオーパーツに免じて、今回の詐欺は不問にしてやる」
「あ、ありがとうございます……!」
「ただし! 部屋代は別だ! さっさと出ていきな!」
 ◇
 十分後。
 宿を追い出された四人は、路地裏に立ち尽くしていた。
 金はない。
 宿もない。
 頼みの綱だった腕時計もない。
 あるのは、空腹を訴える竜人と、事の重大さを理解していないエルフ、そしておろおろする兎耳少女だけ。
「……詰んだ」
 優太が膝から崩れ落ちる。
 だが、彼にはまだ【地球ショッピング】がある。ポイントさえあれば、なんとかなるはずだ。
 優太は虚空を見上げ、決意を固めた。
「善行だ……。善行をしてポイントを稼ぐしかねぇ……!」
 英雄への道は遠い。
 まずは、目の前のドブ掃除から始めなくてはならなかった。
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