​拾った卵が始祖竜だった!通販スキルで育てる為、竜王とラーメン屋を始めたら、最強の3柱と契約してしまい世界が平和になった件

月神世一

文字の大きさ
3 / 13

EP 3

しおりを挟む
竜王の契約『貴様に教えられるだけでは癪に障る』
森の中のラーメン屋台『麺屋 竜王』での生活が始まって数日が過ぎた。
奇妙な共同生活は、思いのほか順調に回っていた。
「デューク、そっちの寸胴、火力が強すぎるよ。弱火でコトコト煮込まないとスープが濁っちゃう」
「む……こうか?」
「そうそう。あと、ネギの刻み方が荒いかな。僕がやるよ」
太郎は腰に巻いたエプロンを締め直し、手際よく包丁を振るう。
相手が伝説の竜王であろうと、厨房に立てば対等なパートナーとして接していた。
太郎のユニークスキル【ネット通販】は、ここでも遺憾なく発揮されていた。
善行ポイントを消費して購入した「キッチンタイマー」がピピピと鳴る。
「よし、味玉の漬け込み完了だ」
「ほう……この小さい箱が時間を管理するのか。人間の道具も馬鹿にならんな」
デュークは腕組みをしながら、感心半分、悔しさ半分といった顔で唸る。
数百年、力(ブレス)ですべてを解決してきた竜王にとって、太郎の「繊細かつ合理的」な仕事ぶりは未知の体験だった。
しかし同時に、ただの人間である太郎に料理のイロハを教えられている現状に、竜王としてのプライドが疼いてもいた。
夜が更け、森が静寂に包まれる頃。
本日の営業(といっても客は来なかったが)を終え、二人は屋台の丸椅子に座り、月を見上げていた。
足元では、始祖竜のクロが太郎のリュックを枕にして、すーすーと寝息を立てている。
「……美味いな」
デュークがポツリと漏らした。
手にしているのは、太郎が通販で取り寄せた缶ビール。そして、試作品の「豚骨醤油ラーメン」だ。
「でしょ? デュークのスープは力強いけど、少しカエシ(タレ)の角が立ってたから。少し甘みを足してみたんだ」
太郎もビールを一口煽り、夜風に当たる。
この世界に来てから、こうして月を見ながら一息つく時間が、僕にとって一番の安らぎになっていた。
「ふん……」
デュークは丼の中身を飲み干すと、ドンと音を立ててカウンターに置いた。
そして、鋭い金色の瞳で太郎を射抜くように見据えた。
「太郎」
「ん? どうしたの、デューク」
太郎が首を傾げると、デュークは尊大な態度を崩さず、しかし真剣な眼差しで切り出した。
「貴様の手際は認めてやる。だがな……この我(われ)が、人間ごときに料理を教えられてばかりというのは、どうにも癪に障るのだ」
「ええ……そんなこと言われても」
「だから、契約してやる」
「は?」
唐突な言葉に、太郎はきょとんとした。
「我と契約しろ、と言っているのだ。主従ではない。対等な『共同経営者』として、我が貴様の背中を守ってやる」
デュークは鼻を鳴らし、そっぽを向いた。
「貴様はただの人間だ。この先、このガキ(始祖竜)を育てていけば、必ず厄介ごとも増える。……その時、我が守ってやらんと、せっかくのラーメン作りが滞るからな」
それは、不器用極まりない竜王なりの、信頼と親愛の証だった。
ただのバイトとしてではなく、魂を分かち合う相棒として認めたい。
そんなデュークの心情を、太郎の「俯瞰する目」は正確に読み取っていた。
太郎はふっと相好を崩し、缶ビールを持ち上げた。
「分かったよ。じゃあ、改めてよろしく。頼りにしてるよ、デューク」
カチン。
缶ビールと、デュークの出した拳が軽くぶつかり合う。
その瞬間だった。
太郎の目の前に、かつてないほど眩しい光と共に電子ボードが出現した。
【システム通知:調停者・竜王デュークとの『魂の契約(対等)』が成立しました】
【偉業達成! 世界平和への貢献度:特大】
【獲得善行ポイント:1,000,000 P】
「い、一回、十、百……ひゃくまん!?」
太郎は素っ頓狂な声を上げた。
1ポイント=1円換算なら、いきなり100万円の臨時収入だ。
「どうした、騒がしい」
「いや……何でもない。ありがとう、デューク。これでクロにお腹いっぱいミルクを飲ませてあげられるよ」
太郎は眠っているクロの頭を優しく撫でた。
クロが嬉しそうに夢の中で「バブー」と寝言を言う。
100万ポイント。
これでミルクも、オムツも、そして屋台の設備投資も思うがままだ。
だが太郎は浮かれることなく、冷静に「特売のオムツ」をカートに入れた。
こうして、最強の用心棒(パートナー)を得た太郎のラーメン屋は、静かに、しかし確実に「伝説の店」への道を歩み始めたのである。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

没落港の整備士男爵 ~「構造解析」スキルで古代設備を修理(レストア)したら、大陸一の物流拠点になり、王家も公爵家も頭が上がらなくなった件~

namisan
ファンタジー
大陸の南西端に位置するベルナ子爵領。 かつては貿易で栄えたこの港町も、今は見る影もない。 海底には土砂が堆積して大型船は入港できず、倉庫街は老朽化し、特産品もない。借金まみれの父と、諦めきった家臣たち。そこにあるのは、緩やかな「死」だけだった。 そんな没落寸前の領地の嫡男、アレン(16歳)に転生した主人公には、前世の記憶があった。 それは、日本で港湾管理者兼エンジニアとして働き、現場で散った「整備士」としての知識。 そして、彼にはもう一つ、この世界で目覚めた特異な能力があった。 対象の構造や欠陥、魔力の流れが設計図のように視えるスキル――【構造解析】。 「壊れているなら、直せばいい。詰まっているなら、通せばいい」 アレンは錆びついた古代の「浚渫(しゅんせつ)ゴーレム」を修理して港を深く掘り直し、魔導冷却庫を「熱交換の最適化」で復活させて、腐るだけだった魚を「最高級の輸出品」へと変えていく。 ドケチな家令ガルシアと予算を巡って戦い、荒くれ者の港湾長ゲンと共に泥にまみれ、没落商会の女主人メリッサと手を組んで販路を開拓する。 やがてその港には、陸・海・空の物流革命が巻き起こる。 揺れない「サスペンション馬車」が貴族の移動を変え、「鮮度抜群の魚介グルメ」が王族の胃袋を掴み、気性の荒いワイバーンを手懐けた「空輸便」が世界を結ぶ。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~

草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。 レアらしくて、成長が異常に早いよ。 せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。 出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった

仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...