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EP 6
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新兵器実験! 100均のペットボトルが戦略級魔法を超える
神獣たちが定住し、タロー皇国の平和は盤石かと思われた。
だが、世の中そう甘くはない。
「報告! 隣国『鉄血帝国』の軍勢が、国境付近に布陣! 挑発行為を繰り返しています!」
王城の執務室に、ライザの怒声が響いた。
鉄血帝国は、古くから軍事国家として知られる大国だ。新興国であるタロー皇国、そしてそこに集まる神獣たちの力を我が物にしようと、ちょっかいを出してきたのだ。
「あー、めんどくさいなぁ……」
タローはコタツ(100均の断熱シートとテーブルで自作)に入ったまま、みかんの皮を剥いていた。
「ライザ、適当に追い払えないの?」
「彼らは『神獣など幻だ』と信じておりまして……。一度、圧倒的な力の差を見せつけねば、引かないでしょう」
「力の差ねぇ……。殺し合いはしたくないしなぁ」
タローは少し考え、ポンと手を打った。
「よし、威嚇射撃しよう。派手な一発をドカンと見せて、『これ以上近づくとヤバいぞ』って分からせるんだ」
タローはコタツから這い出し、バルコニーへと向かった。
そして虚空に手をかざす。
「来い、相棒」
バチバチッ!
空間から青白い雷と共に現れたのは、一見すると安っぽい玩具のような弓。
伝説の神殺し武具、雷霆(らいてい)である。
『ヒャハハハ! 待ってたぜ相棒! ついに俺様の出番か! どいつを殺るんだ? 神か? 魔神か?』
雷霆の念話が脳内に響く。相変わらず殺る気満々だ。
「殺さないよ。ちょっと驚かすだけだ」
『ケッ、またかよ。……で、今日の弾は何だ? 割り箸か? 吸盤矢か?』
「今日はとっておきだぞ」
タローが【100円ショップ】から取り出したのは、ずしりと重い物体だった。
『2リットル・ペットボトル(コーラ)』の空容器。
その中には、ドス黒い赤色の液体がなみなみと注がれている。
『……おい相棒。なんだその、禍々しいオーラを放つ液体は』
「100均の『花火用火薬』をバラして、ガソリンと赤インクを混ぜて圧縮した特製ボトルだ。名付けて『タロー・スペシャル・レッド』」
要するに、即席の液体爆弾である。
タローとしては「大きな音が鳴って、赤く光ればいいな」程度の認識だった。
「行くぞ雷霆。あそこの荒れ地に向かって撃つ」
『へいへい。……チッ、相棒の「殺気」が足りねぇな。俺様がサービスしてやるよ』
タローがペットボトルを弦につがえる。
本来、2キロもある物体を弓で飛ばすのは不可能だ。
だが、雷霆が気を利かせ(過ぎ)た。
『食らえ! 神滅・雷霆龍(ヴォルテック・ドラゴン)モード!!』
バシュウウウウウッ!!
雷霆から溢れ出した青い雷が、ペットボトルを螺旋状に包み込む。
安っぽいプラスチック容器が、雷の力で超高圧に圧縮され、内部の火薬と魔力が臨界点突破(クリティカル)を起こす。
「え、なんか光りすぎ……ま、いっか。いっけー!」
タローが指を離した。
ズドンッ!!
発射音だけで、バルコニーの床がひび割れた。
放たれたペットボトルは、もはやプラスチックのゴミではない。
青い雷龍を纏い、紅い核を持つ「破壊の流星」と化していた。
◇ ◇ ◇
一方、国境付近の鉄血帝国軍。
将軍は鼻で笑っていた。
「はんっ! 皇国から何か飛んできたぞ。あんな豆粒のような矢で、我らが重装歩兵を止められるとでも……」
将軍が言い終わる前だった。
その「豆粒」が、軍勢から数キロ離れた荒れ地に着弾した。
カッ――――――――!!!!
世界から音が消えた。
視界が真っ白に染まる。
遅れて、鼓膜をつんざく轟音と、猛烈な爆風が襲いかかった。
ズガガガガガアアアアアアンッ!!!!!
大地が揺れる。いや、ひっくり返る。
着弾地点には、太陽が落ちたかのような紅蓮の火球が膨れ上がり、それはやがて巨大な「キノコ雲」となって成層圏まで立ち昇った。
鉄血帝国軍の兵士たちは、腰を抜かし、武器を取り落とした。
彼らの位置までは爆風でテントが吹き飛ぶ程度で済んだが、もしあれが自分たちの頭上に落ちていたら……。
「ひ、ひぃぃぃっ!!」
「か、神の怒りだぁぁぁ!!」
「撤退! いや、降伏だ! 土下座しろぉぉ!!」
歴戦の帝国軍は、たった一撃で戦意を喪失し、我先にと白旗を上げた。
◇ ◇ ◇
城のバルコニーにて。
タローは口をぽかんと開けて、遠くに見えるキノコ雲を見つめていた。
「……やりすぎた」
『ギャハハハ! 見ろよ相棒、山が一つ消えたぞ! 最高だ!』
雷霆が喜び勇む中、ライザが震える声で呟く。
「タロー様……あれが、あなたの言う『威嚇』なのですか……? まさに戦略級禁呪……」
この日、世界中に新たな伝説が刻まれた。
後日、現場のクレーターから微細な破片を回収した各国の調査団は、報告書にこう記した。
『タロー皇国が使用した兵器は、「透明なクリスタル(PET)」の中に「液状化した賢者の石(赤インク)」を封入した、古代文明の最終兵器であると推測される。あの兵器がある限り、タロー皇国への侵攻は自殺行為である』
タローがコーラの空き容器をリサイクルしただけだとは、誰も夢にも思わなかった。
神獣たちが定住し、タロー皇国の平和は盤石かと思われた。
だが、世の中そう甘くはない。
「報告! 隣国『鉄血帝国』の軍勢が、国境付近に布陣! 挑発行為を繰り返しています!」
王城の執務室に、ライザの怒声が響いた。
鉄血帝国は、古くから軍事国家として知られる大国だ。新興国であるタロー皇国、そしてそこに集まる神獣たちの力を我が物にしようと、ちょっかいを出してきたのだ。
「あー、めんどくさいなぁ……」
タローはコタツ(100均の断熱シートとテーブルで自作)に入ったまま、みかんの皮を剥いていた。
「ライザ、適当に追い払えないの?」
「彼らは『神獣など幻だ』と信じておりまして……。一度、圧倒的な力の差を見せつけねば、引かないでしょう」
「力の差ねぇ……。殺し合いはしたくないしなぁ」
タローは少し考え、ポンと手を打った。
「よし、威嚇射撃しよう。派手な一発をドカンと見せて、『これ以上近づくとヤバいぞ』って分からせるんだ」
タローはコタツから這い出し、バルコニーへと向かった。
そして虚空に手をかざす。
「来い、相棒」
バチバチッ!
空間から青白い雷と共に現れたのは、一見すると安っぽい玩具のような弓。
伝説の神殺し武具、雷霆(らいてい)である。
『ヒャハハハ! 待ってたぜ相棒! ついに俺様の出番か! どいつを殺るんだ? 神か? 魔神か?』
雷霆の念話が脳内に響く。相変わらず殺る気満々だ。
「殺さないよ。ちょっと驚かすだけだ」
『ケッ、またかよ。……で、今日の弾は何だ? 割り箸か? 吸盤矢か?』
「今日はとっておきだぞ」
タローが【100円ショップ】から取り出したのは、ずしりと重い物体だった。
『2リットル・ペットボトル(コーラ)』の空容器。
その中には、ドス黒い赤色の液体がなみなみと注がれている。
『……おい相棒。なんだその、禍々しいオーラを放つ液体は』
「100均の『花火用火薬』をバラして、ガソリンと赤インクを混ぜて圧縮した特製ボトルだ。名付けて『タロー・スペシャル・レッド』」
要するに、即席の液体爆弾である。
タローとしては「大きな音が鳴って、赤く光ればいいな」程度の認識だった。
「行くぞ雷霆。あそこの荒れ地に向かって撃つ」
『へいへい。……チッ、相棒の「殺気」が足りねぇな。俺様がサービスしてやるよ』
タローがペットボトルを弦につがえる。
本来、2キロもある物体を弓で飛ばすのは不可能だ。
だが、雷霆が気を利かせ(過ぎ)た。
『食らえ! 神滅・雷霆龍(ヴォルテック・ドラゴン)モード!!』
バシュウウウウウッ!!
雷霆から溢れ出した青い雷が、ペットボトルを螺旋状に包み込む。
安っぽいプラスチック容器が、雷の力で超高圧に圧縮され、内部の火薬と魔力が臨界点突破(クリティカル)を起こす。
「え、なんか光りすぎ……ま、いっか。いっけー!」
タローが指を離した。
ズドンッ!!
発射音だけで、バルコニーの床がひび割れた。
放たれたペットボトルは、もはやプラスチックのゴミではない。
青い雷龍を纏い、紅い核を持つ「破壊の流星」と化していた。
◇ ◇ ◇
一方、国境付近の鉄血帝国軍。
将軍は鼻で笑っていた。
「はんっ! 皇国から何か飛んできたぞ。あんな豆粒のような矢で、我らが重装歩兵を止められるとでも……」
将軍が言い終わる前だった。
その「豆粒」が、軍勢から数キロ離れた荒れ地に着弾した。
カッ――――――――!!!!
世界から音が消えた。
視界が真っ白に染まる。
遅れて、鼓膜をつんざく轟音と、猛烈な爆風が襲いかかった。
ズガガガガガアアアアアアンッ!!!!!
大地が揺れる。いや、ひっくり返る。
着弾地点には、太陽が落ちたかのような紅蓮の火球が膨れ上がり、それはやがて巨大な「キノコ雲」となって成層圏まで立ち昇った。
鉄血帝国軍の兵士たちは、腰を抜かし、武器を取り落とした。
彼らの位置までは爆風でテントが吹き飛ぶ程度で済んだが、もしあれが自分たちの頭上に落ちていたら……。
「ひ、ひぃぃぃっ!!」
「か、神の怒りだぁぁぁ!!」
「撤退! いや、降伏だ! 土下座しろぉぉ!!」
歴戦の帝国軍は、たった一撃で戦意を喪失し、我先にと白旗を上げた。
◇ ◇ ◇
城のバルコニーにて。
タローは口をぽかんと開けて、遠くに見えるキノコ雲を見つめていた。
「……やりすぎた」
『ギャハハハ! 見ろよ相棒、山が一つ消えたぞ! 最高だ!』
雷霆が喜び勇む中、ライザが震える声で呟く。
「タロー様……あれが、あなたの言う『威嚇』なのですか……? まさに戦略級禁呪……」
この日、世界中に新たな伝説が刻まれた。
後日、現場のクレーターから微細な破片を回収した各国の調査団は、報告書にこう記した。
『タロー皇国が使用した兵器は、「透明なクリスタル(PET)」の中に「液状化した賢者の石(赤インク)」を封入した、古代文明の最終兵器であると推測される。あの兵器がある限り、タロー皇国への侵攻は自殺行為である』
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