​100均グッズで快適生活してたら、世界最強の軍事帝国になっていた件~カップ麺とアルミホイルで、魔王も神獣も土下座してくるんですが~

月神世一

文字の大きさ
7 / 15

EP 7

しおりを挟む
商人ニャングルと、ラップで包まれた「終わりの卵」
 山一つを消し飛ばした「威嚇射撃」から数日後。
 タロー皇国には、新たな訪問者が訪れていた。
「まいど! ゴルド商会のニャングルでっせ~!」
 謁見の間に響き渡る、コテコテの関西弁。
 現れたのは、大きなリュックと、身の丈ほどある黄金の算盤(そろばん)を背負った猫耳族の青年だ。
 彼はゴルド商会の行商人で、タローの「100均グッズ」を世界に流通させているパートナーでもある。
「ようニャングル。今日は何の用だ?」
「へへっ、王様にはいつも贔屓にしてもろてますからな。今日はとびっきりの『掘り出し物』を持ってきましてん!」
 ニャングルは鼻息荒く、リュックから厳重に梱包された物体を取り出した。
「辺境の古代遺跡で見つけた謎の石……いや、宝石でっしゃろか。とにかく綺麗で、ただならぬオーラ放ってますねん!」
 ゴトッ。
 テーブルに置かれたのは、バレーボールほどの大きさがある「虹色の結晶体」だった。
 表面は脈打つように明滅し、見る角度によって色を変える。
「……ん?」
 タローは眉をひそめた。
 綺麗だ。確かに綺麗だが――。
 ジジジ……ジュウ……。
 その物体の周囲だけ、空間が歪んでいる。
 さらに、テーブルに置かれた花瓶の花が、一瞬で枯れては蕾に戻り、また咲き誇るという奇妙なループを繰り返していた。
(……やばい。これ絶対、放射能とか有害物質が出てるやつだ)
 タローの現代知識が警鐘を鳴らす。
 これは「呪い」とか以前に、物理的に人体に有害なエネルギーを垂れ流している。
「おいニャングル、これヤバいだろ。なんか漏れてるぞ」
「え? そうでっか? ワシには『金(カネ)』の匂いしかしませんが」
 銭ゲバすぎて危険察知能力が麻痺しているニャングルをよそに、タローは即座に行動した。
 このままでは城が汚染される。遮蔽(シールド)が必要だ。
「スキル発動――【100円ショップ】」
 タローが取り出したのは、銀色に輝く円筒形の箱。
 『アルミホイル(厚手・25cm×8m)』である。
「よし、とりあえずこれで包んで遮断しよう」
 タローはアルミホイルを引き出し、虹色の物体(卵)に巻き付けた。
 ビリッ、クシャクシャ。
 何重にも、隙間なく。
 すると――。
 シーン……。
 空間の歪みが消えた。
 花のループ現象も止まった。
 禍々しいオーラは、薄さ0.01ミリの銀紙によって完全に遮断されたのだ。
「ふぅ、これで安心だな。とりあえず倉庫の奥にでもしまっておくか」
「さすが王様! その銀色の紙、ただもんやないですな!」
 ◇ ◇ ◇
 その光景を、遠く離れた場所から魔法の水晶玉で監視していた者がいた。
 魔導大国ワイズ皇国、魔界議会の筆頭公爵ルーベンスである。
 ガタッ!!
 冷静沈着なルーベンスが、執務室の椅子を蹴り倒して立ち上がった。
「ば、馬鹿な……! あれは『始祖竜の卵』ではないか!?」
 ルーベンスは震えた。
 かつて世界を破滅寸前まで追い込んだ、時空を操る最悪の魔獣。
 その卵が放つ波動は、いかなる魔法障壁も貫通し、周囲の時間を腐らせる。
 本来なら、触れただけでニャングルの腕は消滅し、タローの城ごと時間が巻き戻って消えるはずなのだ。
 だが、タローはそれを素手で触り、あろうことか――。
「あの『銀色の紙』……一体何なのだ!?」
 ルーベンスの魔眼には見えていた。
 卵から溢れ出る規格外の時空干渉エネルギーが、あの薄っぺらい銀紙に触れた瞬間、全反射されているのを。
(ミスリル? いや、それ以上の魔力伝導率を持つオリハルコンを、紙のように薄く延ばしたのか!?)
 そんな加工技術は、ドワーフにも、魔族にも、天界にすら存在しない。
 しかもタローは、それを「使い捨て」のようにクシャクシャにして巻き付けた。
(なんという贅沢……なんという技術力……! 『始祖竜の呪い』すら、彼にとっては生ゴミの臭いを防ぐ程度のことだというのか……!)
 ルーベンスは額に脂汗を浮かべ、部下に命じた。
「……タロー皇国との敵対行動を全て中止せよ。あの国には、我々の常識が通じない『神の結界技術』がある。下手に手を出せば、あの銀色の結界で我々ごと封印されるぞ」
 ◇ ◇ ◇
 一方、タロー皇国。
「ほな、お代はこれで頂きまっせ!」
 ニャングルは、卵の代金としてタローから「大量の駄菓子(うまい棒など)」と「100均の電卓」を受け取り、ホクホク顔で帰っていった。
 タローは、アルミホイルで銀色の塊になった卵を持ち上げる。
「うん、重さもちょうどいいな」
 そして、執務室のドアが風で閉まらないよう、足元にドンと置いた。
「よし、ドアストッパーにしよう」
 世界を滅ぼす「始祖竜」は今、タロー皇国のドアが勝手に閉まるのを防ぐという、重要な任務(?)に就いている。
 孵化する気配は、アルミホイルの結界によって完全に沈黙していた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

72時間ワンオペ死した元球児、女神の『ボッタクリ』通販と『絶対破壊不能』のノートPCで異世界最強のコンビニ・スローライフを始める

月神世一
ファンタジー
「剣? 魔法? いいえ、俺の武器は『鈍器になるノートPC』と『時速160kmの剛速球』です」 ​あらすじ ブラックコンビニで72時間連続勤務の末、過労死した元甲子園優勝投手・赤木大地。 目覚めた彼を待っていたのは、コタツでソシャゲ三昧のダメ女神・ルチアナだった。 ​「手違いで死なせちゃった☆ 詫び石代わりにこれあげる」 ​渡されたのは、地球のAmazonもGoogleも使える『絶対破壊不能』のノートPC。 ただし、購入レートは定価の10倍という超ボッタクリ仕様!? ​「ふざけんな! 俺は静かに暮らしたいんだよ!」 ​ブラック労働はもうこりごり。大地は異世界の緩衝地帯「ポポロ村」で、地球の物資とコンビニ知識、そして「うなる右腕(ジャイロボール)」を武器に、悠々自適なスローライフを目指す! ​……はずが、可愛い月兎族の村長を助けたり、腹ペコのエルフ王女を餌付けしたり、気づけば村の英雄に!? ​元球児が投げる「紅蓮の魔球」が唸り、女神の「ボッタクリ通販」が世界を変える! 異世界コンビニ・コメディ、開店ガラガラ!

異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。

Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。 現世で惨めなサラリーマンをしていた…… そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。 その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。 それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。 目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて…… 現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に…… 特殊な能力が当然のように存在するその世界で…… 自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。 俺は俺の出来ること…… 彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。 だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。 ※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※ ※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

貞操逆転世界の「内助の功」~掃除と料理を極めた俺が、脳筋幼馴染を女王にするまで~

ありゃくね
ファンタジー
前世の記憶が目覚めたそこは、男女の貞操が逆転した異世界だった。 彼が繰り出すのは、現代知識を活かした「お掃除アイテム」、そして胃袋を掴む「絶品手料理」。 ただ快適に暮らしたいだけのマシロの行動は、男に飢えた女騎士たちを狂わせ、国の常識さえも変える一大革命へと繋がっていく。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた

砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。 彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。 そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。 死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。 その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。 しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、 主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。 自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、 寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。 結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、 自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……? 更新は昼頃になります。

処理中です...