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EP 8
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法曹三羽烏の視察! 激辛と激甘の接待攻防
タロー皇国の急激な軍事拡大と、先日発生した謎の大爆発(※ペットボトルロケット)。
これらを重く見た世界三大勢力は、ついに合同で視察団を派遣することを決定した。
選ばれたのは、各勢力を代表する法と秩序の番人たち――通称「法曹三羽烏」である。
タロー皇国、迎賓館。
円卓に座る三人の視線は、鋭くタローを射抜いていた。
「単刀直入に言おう。貴国の兵器使用は『大陸法』における過剰防衛に該当する。即刻、武装解除を求める」
眼鏡を光らせた神経質そうな青年、天使族のサトウ・ケンギ判事。
そのポケットは、何やら赤い粉が入った小瓶でパンパンに膨らんでいる。
「ふん。俺の見立てでは、貴様は禁忌の『魂の錬成』に手を染めているな? 犠牲となった被害者の数は……吐け」
岩のような巨躯にスーツを纏った隻眼の男、魔族の堂羅(どうら)デューラ検事。
ガリガリと音を立ててコーヒーキャンディを噛み砕いている。
「まあまあお二人とも。……タロー様、我がゴルド商会と独占貿易契約を結べば、私が法的な抜け穴……いえ、解決策をご用意しますわよ?」
優雅に扇子を仰ぐ縦ロールの美女、リベラ・ゴルド弁護士。
その目は「金」と「特権」を狙ってギラついている。
三方向からの圧力。
だが、タローはあくびを噛み殺していた。
「あー、難しい話は飯の後にしようぜ。腹減ってピリピリしてんだろ?」
「は? 食事だと? 買収のつもりか!」
ケンギが激昂するが、タローは無視して【100円ショップ】を発動。
テーブルの上に、三人の「嗜好」に合わせた料理を並べた。
「まずは、あんたからだ」
タローはケンギの前に、湯気の立つカレーライスを置いた。
だが、ただのカレーではない。
タローは懐から、ドクロマークのついた小瓶――『激辛ホットソース(ハバネロ20倍)』を取り出し、ドバドバと回しかけた。
「天使様は辛いのがお好きだそうで。特製『地獄谷カレー』だ」
「なっ……! 食品に毒物を混入するとは……!」
ケンギは憤慨しつつも、スプーンで真っ赤に染まったカレーを口に運んだ。
パクッ。
「ぐぉおおおおッ!!?」
ケンギがのけぞった。
口内で爆発する痛み。脳を焼き尽くすような刺激。
だが、その直後に訪れる、突き抜けるような爽快感。
「か、辛い……! だが、この痛みこそが『罪』の味! そして溢れ出るエンドルフィンが『赦し』を与える……! これぞ『断罪の赤き聖餐』!!」
ケンギは眼鏡を曇らせ、汗だくになりながらスプーンを高速で動かし始めた。陥落である。
「次はあんただ」
タローはデューラ検事の前に、湯気の立つマグカップを置いた。
中身は漆黒の液体。
『ドリップバッグコーヒー(深煎り・炭火焼)』である。
「魔族の旦那には、ブラックコーヒーだ。砂糖もミルクもなし。純粋な『苦味』だけを抽出した」
「ほう……俺の舌を満足させる苦味など、この世に……」
デューラは疑り深くカップに口をつけた。
ズズッ。
「…………ッ」
デューラの隻眼が見開かれた。
泥水のような現地のコーヒーとは違う、透き通った苦味。鼻腔を抜ける香ばしい香り。
それは、彼が追い求める「真実」の味に似ていた。
「……悪くない。いや、絶品だ。この漆黒の雫は、まるで深淵(アビス)そのもの……。捜査の疲れが霧散していく」
デューラは葉巻を取り出し、至福の顔で紫煙をくゆらせ始めた。陥落である。
「最後は、お嬢さん」
タローはリベラの前に、金色の包み紙に入った四角い物体と、紅茶を置いた。
『ピーナッツ入りブロックチョコレート』と『アールグレイのティーバッグ』だ。
「甘いもんと紅茶。商談には欠かせないだろ?」
「あら、こんな黒い塊が……?」
リベラは優雅にチョコをひとかけら口に含んだ。
とろり。
舌の上でカカオバターが溶け出し、砂糖の暴力的な甘みが脳髄を直撃する。
「んっ……♡」
リベラの扇子が手から滑り落ちた。
この世界の粗悪な砂糖菓子とは次元が違う。滑らかで、濃厚で、背徳的な甘さ。
「な、なんですのこれ……! 脳が溶けそうですわ……! こんなものを食べてしまっては、もう他のスイーツには戻れません……!」
リベラは恍惚の表情でチョコを頬張り、紅茶で流し込む。完全陥落である。
◇ ◇ ◇
一時間後。
迎賓館からは、殺伐とした空気は消え失せていた。
「タロー殿! この『激辛ソース』、在庫はありますか!? 私の判決にはこれが必要なのです!」
「タロー、この『黒い粉(コーヒー)』を輸出してくれ。言い値で買おう」
「タロー様ぁ♡ このチョコの独占販売権を……いいえ、毎日私のおやつとして献上してくださいまし!」
三人はタローに詰め寄っていた。
タローは面倒くさそうに頭をかく。
「へいへい。100均……じゃなくて、倉庫から出しとくよ。その代わり、視察報告書は『問題なし』にしといてくれよ?」
「「「異議なし!!」」」
こうして、世界を牛耳る法曹三羽烏は、タロー皇国の「常連客」となった。
後日、各国の上層部に届いた報告書には、こう記されていた。
『タロー皇国は、天使を狂わせる「審判の秘薬」、魔族を魅了する「暗黒の聖水」、人間を堕落させる「禁断の果実」を保有している。これらを用いた外交戦術は無敵であり、我々は同盟を結ぶ以外の選択肢を持たない』
タローがスーパーで買ってきただけのお菓子や調味料が、世界平和(とタローへの依存)を実現した瞬間だった。
タロー皇国の急激な軍事拡大と、先日発生した謎の大爆発(※ペットボトルロケット)。
これらを重く見た世界三大勢力は、ついに合同で視察団を派遣することを決定した。
選ばれたのは、各勢力を代表する法と秩序の番人たち――通称「法曹三羽烏」である。
タロー皇国、迎賓館。
円卓に座る三人の視線は、鋭くタローを射抜いていた。
「単刀直入に言おう。貴国の兵器使用は『大陸法』における過剰防衛に該当する。即刻、武装解除を求める」
眼鏡を光らせた神経質そうな青年、天使族のサトウ・ケンギ判事。
そのポケットは、何やら赤い粉が入った小瓶でパンパンに膨らんでいる。
「ふん。俺の見立てでは、貴様は禁忌の『魂の錬成』に手を染めているな? 犠牲となった被害者の数は……吐け」
岩のような巨躯にスーツを纏った隻眼の男、魔族の堂羅(どうら)デューラ検事。
ガリガリと音を立ててコーヒーキャンディを噛み砕いている。
「まあまあお二人とも。……タロー様、我がゴルド商会と独占貿易契約を結べば、私が法的な抜け穴……いえ、解決策をご用意しますわよ?」
優雅に扇子を仰ぐ縦ロールの美女、リベラ・ゴルド弁護士。
その目は「金」と「特権」を狙ってギラついている。
三方向からの圧力。
だが、タローはあくびを噛み殺していた。
「あー、難しい話は飯の後にしようぜ。腹減ってピリピリしてんだろ?」
「は? 食事だと? 買収のつもりか!」
ケンギが激昂するが、タローは無視して【100円ショップ】を発動。
テーブルの上に、三人の「嗜好」に合わせた料理を並べた。
「まずは、あんたからだ」
タローはケンギの前に、湯気の立つカレーライスを置いた。
だが、ただのカレーではない。
タローは懐から、ドクロマークのついた小瓶――『激辛ホットソース(ハバネロ20倍)』を取り出し、ドバドバと回しかけた。
「天使様は辛いのがお好きだそうで。特製『地獄谷カレー』だ」
「なっ……! 食品に毒物を混入するとは……!」
ケンギは憤慨しつつも、スプーンで真っ赤に染まったカレーを口に運んだ。
パクッ。
「ぐぉおおおおッ!!?」
ケンギがのけぞった。
口内で爆発する痛み。脳を焼き尽くすような刺激。
だが、その直後に訪れる、突き抜けるような爽快感。
「か、辛い……! だが、この痛みこそが『罪』の味! そして溢れ出るエンドルフィンが『赦し』を与える……! これぞ『断罪の赤き聖餐』!!」
ケンギは眼鏡を曇らせ、汗だくになりながらスプーンを高速で動かし始めた。陥落である。
「次はあんただ」
タローはデューラ検事の前に、湯気の立つマグカップを置いた。
中身は漆黒の液体。
『ドリップバッグコーヒー(深煎り・炭火焼)』である。
「魔族の旦那には、ブラックコーヒーだ。砂糖もミルクもなし。純粋な『苦味』だけを抽出した」
「ほう……俺の舌を満足させる苦味など、この世に……」
デューラは疑り深くカップに口をつけた。
ズズッ。
「…………ッ」
デューラの隻眼が見開かれた。
泥水のような現地のコーヒーとは違う、透き通った苦味。鼻腔を抜ける香ばしい香り。
それは、彼が追い求める「真実」の味に似ていた。
「……悪くない。いや、絶品だ。この漆黒の雫は、まるで深淵(アビス)そのもの……。捜査の疲れが霧散していく」
デューラは葉巻を取り出し、至福の顔で紫煙をくゆらせ始めた。陥落である。
「最後は、お嬢さん」
タローはリベラの前に、金色の包み紙に入った四角い物体と、紅茶を置いた。
『ピーナッツ入りブロックチョコレート』と『アールグレイのティーバッグ』だ。
「甘いもんと紅茶。商談には欠かせないだろ?」
「あら、こんな黒い塊が……?」
リベラは優雅にチョコをひとかけら口に含んだ。
とろり。
舌の上でカカオバターが溶け出し、砂糖の暴力的な甘みが脳髄を直撃する。
「んっ……♡」
リベラの扇子が手から滑り落ちた。
この世界の粗悪な砂糖菓子とは次元が違う。滑らかで、濃厚で、背徳的な甘さ。
「な、なんですのこれ……! 脳が溶けそうですわ……! こんなものを食べてしまっては、もう他のスイーツには戻れません……!」
リベラは恍惚の表情でチョコを頬張り、紅茶で流し込む。完全陥落である。
◇ ◇ ◇
一時間後。
迎賓館からは、殺伐とした空気は消え失せていた。
「タロー殿! この『激辛ソース』、在庫はありますか!? 私の判決にはこれが必要なのです!」
「タロー、この『黒い粉(コーヒー)』を輸出してくれ。言い値で買おう」
「タロー様ぁ♡ このチョコの独占販売権を……いいえ、毎日私のおやつとして献上してくださいまし!」
三人はタローに詰め寄っていた。
タローは面倒くさそうに頭をかく。
「へいへい。100均……じゃなくて、倉庫から出しとくよ。その代わり、視察報告書は『問題なし』にしといてくれよ?」
「「「異議なし!!」」」
こうして、世界を牛耳る法曹三羽烏は、タロー皇国の「常連客」となった。
後日、各国の上層部に届いた報告書には、こう記されていた。
『タロー皇国は、天使を狂わせる「審判の秘薬」、魔族を魅了する「暗黒の聖水」、人間を堕落させる「禁断の果実」を保有している。これらを用いた外交戦術は無敵であり、我々は同盟を結ぶ以外の選択肢を持たない』
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