​【マグナギア無双】チー牛の俺、牛丼食ってボドゲしてただけで、国王と女神に崇拝される~神速の指先で戦場を支配し、気づけば英雄でした~

月神世一

文字の大きさ
16 / 18

EP 15

しおりを挟む
イケメン騎士、許すまじ
​ 千津 牛太(ちず ぎゅうた)の世界は、今やバラ色に輝いていた。
​ アイドル・リーザとの婚約(妄想)。
 弁護士・リベラとの愛の契約(妄想)。
 エルフ姫・ルナからの求愛(妄想)。
​「(ふふふ……参ったな。俺の遺伝子が優秀すぎて、異世界の美女たちが放っておいてくれない。これが『主人公補正』ってやつか? いや、俺の日頃の行い(牛丼への感謝)が良いからだな)」
​ 彼は上機嫌で、王都のメインストリートを歩いていた。
 今日は、王立騎士団による『公開模擬戦』が行われる日だ。
 名誉団長(仮)のコネを断った彼だが、タロウ国王から「参加賞で高級牛肉が出るぞ」と釣られ、ノコノコとやってきたのである。
​ だが。
 会場である闘技場に到着した瞬間、彼のバラ色の世界は暗転した。
​「キャァァァァァッ!! アレン様ぁぁぁ!!」
「こっち向いてぇぇ! 素敵ぃぃ!」
​ 黄色い悲鳴。
 地響きのような歓声。
 会場の中心、スポットライトを浴びて立っていたのは、一人の青年騎士だった。
​ 輝くようなブロンドの髪。
 宝石のような碧眼。
 白亜の鎧に身を包み、爽やかな笑顔を振りまくその姿は、絵本から飛び出してきたような「正統派王子様」そのもの。
​ 彼の名はアレン。
 伝説の勇者リュウの息子にして、次世代の英雄候補。
 剣の腕は天才的、性格は誠実、家柄も完璧。
 つまり――牛太が最も憎むべき存在、『スーパーリア充』である。
​「(チッ……眩しい。光害だ。目が腐る)」
​ 牛太は舌打ちし、忌々しげにメガネの位置を直した。
 陰キャにとって、陽キャの輝きは猛毒に等しい。
 だが、悲劇はここからだった。
​「あら、アレン様。ごきげんよう」
「やあ、アレン君! 元気?」
「アレンさーん! 今日の試合、頑張ってくださいね!」
​ アレンの元に、三人の美女が駆け寄った。
 リベラ、ルナ、そしてリーザだ。
 彼女たちは(社交辞令や友人として)笑顔でアレンと談笑し始めた。
​「リベラさん、今日のドレスも素敵ですね」
「うふふ、お上手ですこと」
「ルナさん、迷子になりませんでしたか?」
「ええ! 今日はちゃんと地図(ネギオ)を持ってますから!」
​ 爽やかな会話。
 美しい光景。
​ ――しかし、牛太のフィルターを通すと、それは「地獄」に見えた。
​「(……は?)」
​ 牛太の足が止まる。
 ドス黒いオーラが、チェックシャツの背中から立ち昇る。
​「(NTR……? いや、寝取られだと? 俺という婚約者がいながら、あのチャラ男に媚びを売っているのか?)」
​ 完全なる被害妄想である。
 だが、彼の中の劣等感が、怒りの炎に油を注いだ。
​「(許せない……。顔が良いだけでチヤホヤされやがって。中身を見ろよ中身を! 俺の『在庫管理能力』や『ハサミ捌き』のほうが上だろ!)」
​ ギリリ、と歯ぎしりの音が響く。
 牛太の瞳から理性の光が消え、代わりに「嫉妬」と「殺意」の文字が浮かび上がった。
​「(……分からせてやる必要があるな)」
​ 牛太はポケットから、愛機『シャドウ・ウォーカー』を取り出した。
 その指先が、カミソリのように鋭く尖る。
​「(あのメッキが剥がれた時、あいつがどんな顔をするか見ものだ。……イケメンの顔面(フェイス)崩壊ショー、開演といこうか)」
​ ◇
​「さあ! 続いてのエントリーは、飛び入り参加枠です!」
​ 実況の声が響く中、アレンが爽やかに剣(マグナギア用コントローラー)を構えた。
 彼が操るのは、正統派ヒーロー機体『ブレイブ・ナイト』。
​「誰でもかかってきてください! 正々堂々、良い試合をしましょう!」
​ キラキラした笑顔のアレン。
 そこへ、ゆらりと影が近づいた。
​「……へぇ。随分と余裕ですね、勇者の息子さん」
​ マイクを通した陰湿な声。
 会場がざわつく。
 現れたのは、猫背でメガネの男。
​「君は……?」
「ただの……通りすがりの理髪師(バーバー)です」
​ 牛太はニチャリと笑った。
 その笑顔は、恐怖映画の殺人鬼よりも不気味だった。
​「俺が相手になりますよ。ただし――」
​ 牛太はグローブをはめた手で、アレンの「顔」を指差した。
​「泣いてママのところに逃げ帰らないでくださいね? ……その甘いマスクごと、削ぎ落としてあげますから」
​ 宣戦布告。
 それは模擬戦の挨拶ではない。私怨まみれの「処刑宣告」だった。
 アレンの笑顔が引きつり、会場の空気が凍りつく。
​ だが、牛太だけは恍惚としていた。
 これから始まる「ざまぁ」展開を想像し、脳汁を垂れ流しながら。
​「(見てろよ、俺の女たち……。誰が本当の『オス』か、教えてやる……!)」
​ 最も動機が不純な、しかし最も技術力が高い戦いが、今始まろうとしていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~

eggy
ファンタジー
 もと魔狩人《まかりびと》ライナルトは大雪の中、乳飲み子を抱いて村に入った。  村では魔獣や獣に被害を受けることが多く、村人たちが生活と育児に協力する代わりとして、害獣狩りを依頼される。  ライナルトは村人たちの威力の低い攻撃魔法と協力して大剣を振るうことで、害獣狩りに挑む。  しかし年々増加、凶暴化してくる害獣に、低威力の魔法では対処しきれなくなってくる。  まだ赤ん坊の娘イェッタは何処からか降りてくる『知識』に従い、魔法の威力増加、複数合わせた使用法を工夫して、父親を援助しようと考えた。  幼い娘と父親が力を合わせて害獣や強敵に挑む、冒険ファンタジー。 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

帝国の王子は無能だからと追放されたので僕はチートスキル【建築】で勝手に最強の国を作る!

雪奈 水無月
ファンタジー
帝国の第二王子として生まれたノルは15才を迎えた時、この世界では必ず『ギフト授与式』を教会で受けなくてはいけない。 ギフトは神からの祝福で様々な能力を与えてくれる。 観衆や皇帝の父、母、兄が見守る中… ノルは祝福を受けるのだが…手にしたのはハズレと言われているギフト…【建築】だった。 それを見た皇帝は激怒してノルを国外追放処分してしまう。 帝国から南西の最果ての森林地帯をノルは仲間と共に開拓していく… さぁ〜て今日も一日、街作りの始まりだ!!

処理中です...