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EP 3
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隣国は軍事国家!? ~100円ショップの王様、タロー~
Dr.ギアが住人として加わってから数日。
タクミの『絶対安全圏(シェルター)』は、驚くべき進化を遂げようとしていた――設計図の上では。
「主(ぬし)よ! これを見るのじゃ!」
ギアが血走った目で広げたのは、彼が徹夜で書き上げた青写真だった。
そこには、シェルターの周囲に展開する『自律型迎撃砲台』や、『侵入者自動排除アーム』といった、物騒極まりない兵器群が描かれていた。
「すごいな爺さん。これならドラゴンが来ても撃ち落とせそうだ」
「うむ! 理論上はな! だが……問題が一つある」
ギアは悔しげに髭を噛んだ。
「資材が足りんのじゃ。主のスキル『建材庫』にある木材や石材だけでは、精密な駆動系や、高出力の魔導回路が作れん。特殊なゴムや、精錬された金属、それに断熱用の素材が必要じゃ」
タクミの【絶対建築】は万能に近いが、無から有を生み出すわけではない。
初期ボーナスで持っていた資材も、シェルター建設で底をつきかけている。
「資材か……。この荒野で調達するのは自殺行為だしな」
「そこでじゃ! ここから東へ30キロほど行った場所に、最近急成長しておる国があるという噂を聞いた。『サトウ連邦王国』……通称『タロー国』じゃ」
タロー国。
その名は、荒野に漂着する前のギアも耳にしていた。
なんでも、独自の高度な文明を持ち、周辺諸国が恐れる軍事大国だという。
「軍事国家か……。俺みたいなHP1人間が行ったら、入国審査の威圧感だけで死ぬんじゃないか?」
「安心せい。ワシが開発した移動用ビークル『シェル・ウォーカー』がある! これに乗れば、外気も振動もシャットアウトじゃ!」
◇
数時間後。
荒野を爆走する奇妙な物体の姿があった。
見た目は、巨大な鉄の卵に四本の多脚が生えたもの。
ドワーフの超技術と、タクミの建築スキルによる内装(極上のクッション性)が融合した、完全防備の移動要塞である。
『快適じゃのう! これならどこまででも行けるわい!』
「爺さん、スピード出しすぎだ。G(重力加速度)で俺の内臓が破裂しそうだ」
コックピットの中で、タクミはシートベルトに雁字搦めになりながら呻いた。
やがて、荒野の先に巨大な城壁が見えてきた。
タロー国である。
検問所の兵士たちは、突如現れた鉄の多脚戦車に槍を構え、ざわめいた。
だが、その騒ぎはすぐに収まった。
城壁の上から、一人の男が声をかけたからだ。
「おーい、そこの面白そうなメカ! ちょっと止まってくれ!」
その男は、王冠を斜めに被り、片手には湯気の立つカップ麺を持っていた。
この国の王、サトウ・タローである。
◇
王城の応接室(といっても、畳が敷かれた和室だった)に通されたタクミとギアは、目の前の光景に唖然としていた。
出されたのは、陶器のカップに入った黒い液体と、袋に入ったカリカリの菓子。
「コーラとポテチだ。毒じゃないから食ってくれ」
タローはあぐらをかいて言った。
タクミの目が点になる。
「……コーラ? ポテチ?」
「ん? その反応……もしかして君、日本人?」
タローの目が輝いた。
タクミもおずおずと頷く。
「あ、はい。元建築士の古城タクミです。……あの、ここ異世界ですよね?」
「だよねー! いやー、久しぶりだわ日本人! 俺は佐藤太郎。一応ここの王様やってるよ。スキル『100円ショップ』でのんびり暮らしてるんだ」
100円ショップ。
その単語を聞いた瞬間、タクミの中で全ての謎が解けた。この国に漂う、奇妙な『生活感』の正体はこれだったのか。
「で、タクミ君はどういうスキル持ち? その爺さんのメカもすごいけど」
「俺は『絶対建築』です。ただ……その代償なのか、HPが1しかなくて」
「えっ」
タローがポテチを持つ手を止めた。
「1? 100じゃなくて?」
「1です。さっきも検問で兵士さんに睨まれて、ダメージ受けかけました」
「……うわぁ、ハードモードだねぇ。俺なんてラーメン食ってるだけなのに」
タローは心底同情したような目でタクミを見た。
そして、ポンと手を叩いた。
「分かった。同郷のよしみだ、協力するよ。資材を探しに来たんだろ? うちの倉庫にあるもん、好きなだけ持ってっていいよ」
タローが案内したのは、城の地下にある巨大倉庫だった。
そこには、100円ショップの商品が山のように積まれていた。
「これが……この国の宝物庫か……!」
Dr.ギアが震える手で拾い上げたのは、園芸用の『防草シート』だった。
「なんという強度……! ミスリル繊維か!? いや、それよりも軽くてしなやかじゃ!」
次に手に取ったのは、『プチプチ(気泡緩衝材)』。
「空気そのものを閉じ込めた鎧だと!? これがあれば、あらゆる衝撃を無効化できるぞ!」
さらに、『プラスチック製の衣装ケース』。
「透明な金属……! 中身が見えるのに、水を通さないとは!」
ギアにとっては、100均グッズはオーパーツ(超古代文明の遺産)そのものだった。
一方、タクミの目にも、それらは輝いて見えた。
(……いける。この防草シートをスキルで積層強化すれば、ドラゴンの爪も通さない『絶対障壁』になる。プチプチを壁材に埋め込めば、俺が壁に激突しても死なない『完全衝撃吸収ルーム』が作れる!)
「タローさん、これ売ってください! 特にこの『ブルーシート』と『突っ張り棒』!」
「いいよいいよ、銅貨数枚で。あ、在庫処分品の『カラーボックス』も持ってく?」
こうして、史上最強の貿易協定が結ばれた。
タロー国から供給される『神の素材(100均グッズ)』と、Dr.ギアの『魔導科学』、そしてタクミの『絶対建築』。
三つの力が合わさった時、荒野のシェルターは、難攻不落の要塞へと進化を遂げることになる。
帰り際、タローは大量のカップ麺を土産に持たせてくれた。
「また遊びにおいでよ。……あ、でもタクミ君、移動中に死なないでね?」
その言葉がフラグにならないことを祈りつつ、タクミたちはホクホク顔で帰路についたのである。
Dr.ギアが住人として加わってから数日。
タクミの『絶対安全圏(シェルター)』は、驚くべき進化を遂げようとしていた――設計図の上では。
「主(ぬし)よ! これを見るのじゃ!」
ギアが血走った目で広げたのは、彼が徹夜で書き上げた青写真だった。
そこには、シェルターの周囲に展開する『自律型迎撃砲台』や、『侵入者自動排除アーム』といった、物騒極まりない兵器群が描かれていた。
「すごいな爺さん。これならドラゴンが来ても撃ち落とせそうだ」
「うむ! 理論上はな! だが……問題が一つある」
ギアは悔しげに髭を噛んだ。
「資材が足りんのじゃ。主のスキル『建材庫』にある木材や石材だけでは、精密な駆動系や、高出力の魔導回路が作れん。特殊なゴムや、精錬された金属、それに断熱用の素材が必要じゃ」
タクミの【絶対建築】は万能に近いが、無から有を生み出すわけではない。
初期ボーナスで持っていた資材も、シェルター建設で底をつきかけている。
「資材か……。この荒野で調達するのは自殺行為だしな」
「そこでじゃ! ここから東へ30キロほど行った場所に、最近急成長しておる国があるという噂を聞いた。『サトウ連邦王国』……通称『タロー国』じゃ」
タロー国。
その名は、荒野に漂着する前のギアも耳にしていた。
なんでも、独自の高度な文明を持ち、周辺諸国が恐れる軍事大国だという。
「軍事国家か……。俺みたいなHP1人間が行ったら、入国審査の威圧感だけで死ぬんじゃないか?」
「安心せい。ワシが開発した移動用ビークル『シェル・ウォーカー』がある! これに乗れば、外気も振動もシャットアウトじゃ!」
◇
数時間後。
荒野を爆走する奇妙な物体の姿があった。
見た目は、巨大な鉄の卵に四本の多脚が生えたもの。
ドワーフの超技術と、タクミの建築スキルによる内装(極上のクッション性)が融合した、完全防備の移動要塞である。
『快適じゃのう! これならどこまででも行けるわい!』
「爺さん、スピード出しすぎだ。G(重力加速度)で俺の内臓が破裂しそうだ」
コックピットの中で、タクミはシートベルトに雁字搦めになりながら呻いた。
やがて、荒野の先に巨大な城壁が見えてきた。
タロー国である。
検問所の兵士たちは、突如現れた鉄の多脚戦車に槍を構え、ざわめいた。
だが、その騒ぎはすぐに収まった。
城壁の上から、一人の男が声をかけたからだ。
「おーい、そこの面白そうなメカ! ちょっと止まってくれ!」
その男は、王冠を斜めに被り、片手には湯気の立つカップ麺を持っていた。
この国の王、サトウ・タローである。
◇
王城の応接室(といっても、畳が敷かれた和室だった)に通されたタクミとギアは、目の前の光景に唖然としていた。
出されたのは、陶器のカップに入った黒い液体と、袋に入ったカリカリの菓子。
「コーラとポテチだ。毒じゃないから食ってくれ」
タローはあぐらをかいて言った。
タクミの目が点になる。
「……コーラ? ポテチ?」
「ん? その反応……もしかして君、日本人?」
タローの目が輝いた。
タクミもおずおずと頷く。
「あ、はい。元建築士の古城タクミです。……あの、ここ異世界ですよね?」
「だよねー! いやー、久しぶりだわ日本人! 俺は佐藤太郎。一応ここの王様やってるよ。スキル『100円ショップ』でのんびり暮らしてるんだ」
100円ショップ。
その単語を聞いた瞬間、タクミの中で全ての謎が解けた。この国に漂う、奇妙な『生活感』の正体はこれだったのか。
「で、タクミ君はどういうスキル持ち? その爺さんのメカもすごいけど」
「俺は『絶対建築』です。ただ……その代償なのか、HPが1しかなくて」
「えっ」
タローがポテチを持つ手を止めた。
「1? 100じゃなくて?」
「1です。さっきも検問で兵士さんに睨まれて、ダメージ受けかけました」
「……うわぁ、ハードモードだねぇ。俺なんてラーメン食ってるだけなのに」
タローは心底同情したような目でタクミを見た。
そして、ポンと手を叩いた。
「分かった。同郷のよしみだ、協力するよ。資材を探しに来たんだろ? うちの倉庫にあるもん、好きなだけ持ってっていいよ」
タローが案内したのは、城の地下にある巨大倉庫だった。
そこには、100円ショップの商品が山のように積まれていた。
「これが……この国の宝物庫か……!」
Dr.ギアが震える手で拾い上げたのは、園芸用の『防草シート』だった。
「なんという強度……! ミスリル繊維か!? いや、それよりも軽くてしなやかじゃ!」
次に手に取ったのは、『プチプチ(気泡緩衝材)』。
「空気そのものを閉じ込めた鎧だと!? これがあれば、あらゆる衝撃を無効化できるぞ!」
さらに、『プラスチック製の衣装ケース』。
「透明な金属……! 中身が見えるのに、水を通さないとは!」
ギアにとっては、100均グッズはオーパーツ(超古代文明の遺産)そのものだった。
一方、タクミの目にも、それらは輝いて見えた。
(……いける。この防草シートをスキルで積層強化すれば、ドラゴンの爪も通さない『絶対障壁』になる。プチプチを壁材に埋め込めば、俺が壁に激突しても死なない『完全衝撃吸収ルーム』が作れる!)
「タローさん、これ売ってください! 特にこの『ブルーシート』と『突っ張り棒』!」
「いいよいいよ、銅貨数枚で。あ、在庫処分品の『カラーボックス』も持ってく?」
こうして、史上最強の貿易協定が結ばれた。
タロー国から供給される『神の素材(100均グッズ)』と、Dr.ギアの『魔導科学』、そしてタクミの『絶対建築』。
三つの力が合わさった時、荒野のシェルターは、難攻不落の要塞へと進化を遂げることになる。
帰り際、タローは大量のカップ麺を土産に持たせてくれた。
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